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経理のテレワークは難しい?進まない理由と実現する方法・ポイントを解説
経理はテレワークに向かない、と感じている経営者や管理部門の方は少なくありません。しかし、業務フローとツールを見直せば、経理のテレワーク化は十分に実現できます。本記事では、難しいとされる理由から、実現のステップ・メリット・注意点までをわかりやすく解説します。
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経理のテレワークは可能|正しく準備すれば実現できる

結論から言えば、経理業務のテレワークは可能です。かつては紙の書類や押印が前提で「経理は出社が必須」と考えられてきました。しかし近年は、クラウドサービスの普及と制度の後押しにより、経理業務の多くを場所を問わず進められる環境が整いつつあります。
経理業務の多くはクラウドで完結できるようになった
クラウド会計ソフトやクラウド経費精算システムの普及により、記帳・仕訳・請求書の発行・経費精算・振込データの作成といった日常業務は、インターネット環境があれば自宅からでも進められるようになりました。たとえば、従業員がスマートフォンで領収書を撮影して申請し、経理担当者が画面上で内容を確認・承認するワークフローであれば、紙のやり取りは発生しません。
銀行の入出金データやクレジットカードの利用明細を自動で取り込む機能を使えば、通帳記帳のための出社も減らせます。月次決算や試算表の作成なども、データがクラウド上に集約されていれば遠隔で対応しやすくなります。日常的な経理業務のうち、オフィスでしかできない作業は想像より少ないと考えられます。
電子帳簿保存法の義務化がテレワークを後押ししている
制度面の変化も、経理のテレワークを後押ししています。電子帳簿保存法の改正により、2024年1月1日からは、電子取引でやり取りした請求書や領収書などのデータを電子データのまま保存することが原則として義務化されました
メールやクラウドで受け取った書類を紙に印刷して保管する運用は、原則として認められなくなりました。これは経理部門にとって負担にも見えますが、書類を電子化する流れそのものはテレワークと相性が良いものです。データが電子化・クラウド化されるほど、担当者はオフィスに縛られずに業務を進めやすくなると考えられます。
経理のテレワークが「難しい」と言われる主な理由

経理業務のテレワークが進みにくいのには、いくつかの構造的な理由があります。総務省の調査によると、テレワークを導入している企業は47.3%で、産業や企業規模によって差が大きいのが実情です。
経理を含むバックオフィスでは、紙や押印を前提とした業務慣行が壁になりやすい傾向があります。
紙の書類と押印(ハンコ)を前提とした業務が多い
経理のテレワークを難しくしている大きな要因は、紙と押印を前提とした業務フローだと考えられます。取引先から郵送で届く請求書、押印が必要な稟議書や支払依頼書、原本の保管が求められる契約書など、経理は紙の書類を扱う場面が多い部門です。
承認のたびに上長の押印が必要な運用では、担当者も承認者も出社せざるを得ません。「ハンコを押すためだけに出社する」という状況が、テレワーク定着の妨げになりやすいといえます。まずは、どの書類が本当に紙や押印を必要としているのかを洗い出すことが、改善の出発点になります。
セキュリティ・情報漏えいへの不安が大きい
経理は、給与や口座情報、取引先情報など、社内でも特に機密性の高いデータを扱います。そのため、社外から財務情報にアクセスできる環境に対して、漠然とした不安を抱く経営者や担当者は少なくありません。自宅のネットワークや公衆Wi-Fiを経由した通信、端末の紛失・盗難などは、確かに情報漏えいのリスクにつながります。
ただし、これらは対策を講じることで管理できるリスクでもあります。VPNの利用やアクセス権限の設定、端末管理のルール化など、後述する環境整備によって、不安の多くは軽減できると考えられます。
内部統制やチェック体制の維持が課題になる
経理業務では、不正やミスを防ぐために、担当者と承認者を分ける「職務分掌」や二重チェックが重視されます。オフィスであれば口頭やその場の確認で済んでいた作業も、テレワークでは仕組みとして再設計する必要があります。また、誰がどこまで作業を進めているかが見えにくくなり、進捗管理や引き継ぎに手間がかかるケースもあります。
統制やチェックの仕組みをオンライン上で再現できるかどうかが、経理テレワーク成功の分かれ目になりやすい点です。ワークフローシステムやチャットツールを活用し、承認履歴や進捗を可視化する工夫が求められます。
経理のテレワークを実現するためのステップ

ここからは、経理のテレワークを実現するための具体的なステップを紹介します。いずれも一度に完璧を目指す必要はなく、できるところから段階的に進めることが現実的です。自社の業務を棚卸ししながら、優先度の高いものから着手していきましょう。
①書類・帳票のペーパーレス化を進める
最初のステップは、経理が扱う書類のペーパーレス化です。請求書や領収書、見積書などをデータで受け取り、データのまま保存・管理する体制に切り替えます。取引先に請求書の電子化を依頼したり、受領した紙の書類はスキャナで読み取ってデータ化したりする運用が考えられます。
ペーパーレス化は、テレワークの前提であると同時に、電子帳簿保存法への対応にもつながります。まずは取引量の多い書類から電子化を進めると、効果を実感しやすいでしょう。紙の削減は、保管スペースやコストの削減にも寄与すると考えられます。
②クラウド会計・経費精算システムを導入する
次に、会計や経費精算の仕組みをクラウド化します。クラウド会計ソフトを使えば、インターネット環境があればどこからでも記帳や帳票の確認ができ、自社専用サーバーを用意する必要もありません。銀行口座やクレジットカードと連携させれば、入出金データが自動で取り込まれ、手入力の手間も減らせます。
経費精算システムを導入すれば、従業員の申請から承認、仕訳までをオンラインで完結させやすくなります。複数人で同じデータをリアルタイムに共有できる点も、離れた場所で働くうえで大きな利点だと考えられます。
③承認・押印フローを電子化する
紙とハンコによる承認を、電子ワークフローや電子契約に置き換えます。稟議や支払依頼をワークフローシステム上で回せば、承認者は自宅からでも内容を確認して承認でき、承認履歴も自動で残ります。取引先との契約も、電子契約サービスを使えば押印や郵送の手間を省けます。
「承認のための出社」をなくすことが、経理テレワークの実現度を大きく左右します。すべてを一度に切り替えるのが難しい場合は、社内で完結する稟議や経費精算から電子化を始めると、無理なく移行しやすいでしょう。
④セキュリティ環境を整える
機密情報を扱う経理だからこそ、セキュリティ環境の整備は欠かせません。具体的には、VPNによる安全な通信経路の確保、担当者ごとのアクセス権限の設定、多要素認証の導入、端末の紛失に備えた管理ルールの策定などが挙げられます。
あわせて、持ち出し可能なデータの範囲や取り扱いルールを社内規程として明文化しておくことが重要です。従業員一人ひとりがルールを理解し遵守する体制を整えることで、テレワークにおける情報漏えいのリスクは大きく抑えられると考えられます。ツールの導入だけで満足せず、運用の徹底まで意識したいところです。
経理をテレワーク化するメリット【人材確保の視点から】

経理のテレワーク化は、単なる業務効率化にとどまりません。とくに人材の採用・定着という観点で、企業にとって見逃せないメリットがあります。働き方の柔軟性は、経理人材を確保するうえでの競争力に直結しつつあると考えられます。
採用競争力の向上と人材の確保につながる
働き方の柔軟性は、求職者が企業を選ぶ際の重要な判断材料になっています。テレワークができる職場は、通勤圏内に限らず遠方の人材や、育児・介護と両立したい人材にもアプローチしやすくなります。
経理のような専門職は採用市場でも人材の獲得競争が起きやすく、「テレワーク可」を打ち出せること自体が、応募数や採用力を高める要素になり得ます。採用の現場では、勤務地や勤務時間の柔軟性が応募の決め手になるケースも多く見られます。働き方の選択肢を広げることは、採用ブランディングの観点からも有効だと考えられます。
生産性向上とコスト削減が期待できる
テレワークは、生産性やコスト面でもメリットが期待できます。通勤時間がなくなることで、その分を業務や休息に充てられ、集中して作業しやすい環境を整えやすくなります。ペーパーレス化やクラウド化を同時に進めれば、印刷代や書類の保管コスト、オフィスの省スペース化にもつながります。
紙の処理や手入力といった定型作業が減ることで、担当者はより付加価値の高い業務に時間を割きやすくなると考えられます。ただし、環境が整わないまま移行すると一時的に非効率になる場合もあるため、準備を伴わせることが前提です。
BCP(事業継続)対策として機能する
経理のテレワーク体制は、災害や感染症の流行といった非常時への備えにもなります。オフィスに出社できない状況でも、支払や給与計算などの止められない業務を継続できれば、事業へのダメージを抑えられます。データがクラウド上に保管されていれば、オフィスが被災した場合でも情報を失うリスクを下げられます。
「出社できなくても経理が回る」状態をつくっておくことは、企業の事業継続力そのものを高めることにつながります。平常時の働き方改革と非常時の備えを両立できる点は、テレワークの大きな価値だと考えられます。
経理のテレワーク導入で失敗しないための注意点

メリットの多い経理のテレワークですが、進め方を誤ると混乱を招くこともあります。ツールを導入するだけでなく、運用ルールまで含めて設計することが、失敗を避けるポイントです。
スモールスタートで段階的に移行する
最初からすべての業務をテレワークに切り替えようとすると、現場に大きな負荷がかかり、かえって混乱を招きがちです。まずは経費精算や社内稟議など、電子化しやすく社内で完結する業務から始めるのが現実的です。
小さく始めて成功体験を積み重ねながら、対象業務を少しずつ広げていく進め方が、定着につながりやすいと考えられます。一部を出社、一部を在宅とするハイブリッドな働き方から取り入れる方法もあります。自社の状況に合わせて、無理のないペースで移行することが大切です。
運用ルールとマニュアルを整備する
テレワークを定着させるには、ツールの導入と並行して運用ルールの整備が欠かせません。承認の手順、データの取り扱い、セキュリティ上の遵守事項などをマニュアルとして明文化し、担当者全員が同じ基準で業務を進められるようにします。
「誰が・いつ・何を・どう処理するか」を可視化しておくことで、属人化や引き継ぎの問題を防ぎやすくなります。とくに経理は正確性が求められる業務のため、口頭の確認に頼らず、記録が残る形で運用することが重要です。定期的にルールを見直し、実態に合わせて更新していくことも意識したいところです。
経理のテレワークに関するよくある質問

Q1. 経理はテレワークに向いていないのでしょうか?
一概に向いていないとは言えません。紙や押印を前提とした業務には難しさがありますが、ペーパーレス化やクラウド化を進めることで、多くの業務は在宅でも対応できるようになると考えられます。まずは自社の業務を棚卸し、電子化できる部分から見直すことをおすすめします。
Q2. 小規模な会社でも経理のテレワークは導入できますか?
導入しやすいと考えられます。クラウド会計ソフトや経費精算システムは、自社サーバーを持たなくても利用でき、初期投資を抑えて始められるサービスも多くあります。むしろ担当者が少ない企業ほど、業務のクラウド化による効率化の恩恵を受けやすい面もあります。
Q3. 経理のテレワークで最も注意すべき点は何ですか?
セキュリティ対策と内部統制の維持です。機密情報を扱う部門であるため、アクセス権限の設定やVPNの利用、承認履歴が残る仕組みづくりが重要になります。ツールの導入だけでなく、運用ルールの整備までセットで進めることが、安全なテレワークの前提となります。
Q4. テレワーク化にあたって、まず何から始めればよいですか?
書類のペーパーレス化から始めるのが取り組みやすいでしょう。請求書や領収書などをデータで扱う体制を整えると、電子帳簿保存法への対応にもつながります。そのうえで、経費精算や承認フローの電子化へと段階的に広げていく流れが現実的です。
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まとめ

経理のテレワークは、「できない」のではなく「準備すれば実現できる」業務です。紙と押印を前提とした業務フローを見直し、ペーパーレス化・クラウド化・承認フローの電子化・セキュリティ整備を段階的に進めることで、多くの経理業務は場所を問わず進められるようになります。
電子帳簿保存法への対応が求められる今は、業務を見直す好機ともいえます。働き方の柔軟性は、経理人材の採用・定着を左右する競争力にもつながります。自社の業務を棚卸しし、できるところから一歩ずつ取り組んでみてはいかがでしょうか。
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