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組織図とは?作り方からテンプレート活用まで初心者向けに徹底解説
「組織図」という言葉を聞いたことはありますか?多くの企業で使われているものですが、「具体的に何なのか」「なぜ必要なのか」と聞かれると、意外と答えに詰まる方も多いのではないでしょうか。
組織図とは、簡単に言えば「会社の構造をひと目でわかるようにした図」のことです。部署やチームの配置、誰がどのポジションにいるのか、指揮命令系統はどうなっているのかといった、組織の骨格を図式化したものを指します。
本記事では、組織図の基本的な定義から、作成するメリット、具体的な作り方のステップ、さらには無料で使えるテンプレートの活用法や英語での作成方法まで、初心者の方にもわかりやすく徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたも組織図を戦略的に活用し、より良い組織作りに役立てられるようになるでしょう。
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組織図とは何か?基本的な定義をわかりやすく説明

まずは、「組織図とは何か」という基本的な定義から見ていきましょう。組織図は単なる図ではなく、組織の在り方を示す重要なツールです。その役割や必要性を理解することで、活用の幅が大きく広がります。
組織図の定義と役割
組織図とは、企業や団体といった組織の内部構造を、部署や役職などの関係性とともに体系的に図式化したものです。英語では「Organization Chart」または略して「Org Chart」と呼ばれます。
この図が果たす主な役割は、組織内の関係性を可視化し、誰がどのような役割を担っているのかを明確にすることです。具体的には、以下のような役割を担っています。
- 指揮命令系統の明確化:誰が誰に指示を出し、誰が誰に報告するのかというレポートラインを明らかにします。
- 役割と責任範囲の明示:各部署や各役職がどのような責任を負っているのかを示します。
- 全社的な情報共有の促進:他部署の役割や担当者を把握しやすくなり、円滑なコミュニケーションを促します。
このように、組織図は社内の円滑なコミュニケーションと効率的な業務遂行を支える、いわば「組織の地図」のような役割を果たしているのです。
組織図が必要な理由:日常業務での具体的なシーン
「組織図なんて、なくても仕事は回る」と感じる方もいるかもしれません。しかし、日常業務のふとした瞬間に、組織図の必要性を感じる場面は数多く存在します。
例えば、あなたが新しいプロジェクトの担当者になったとします。他部署のAさんに協力をお願いしたいけれど、Aさんの上司は誰で、どの部署の承認を得れば良いのかわからない…こんな時、組織図があればすぐに確認できます。承認プロセスがスムーズに進み、プロジェクトの立ち上がりも迅速になるでしょう。
また、中途採用で新しく入社した社員は、誰に何を聞けば良いのかわからず、不安を感じるものです。組織図があれば、会社全体の構造を俯瞰でき、関係部署やキーパーソンを早期に把握できます。これは、新入社員のオンボーディングを円滑にし、早期離職を防ぐ効果も期待できます。
このように、組織図は業務上の非効率やコミュニケーションロスを防ぎ、組織全体の生産性を向上させるために不可欠なツールなのです。
組織図の目的:社内向けと社外向けの違い
組織図は、誰に向けて作成するかによってその目的が異なります。大きく分けて「社内向け」と「社外向け」の2種類があり、それぞれ記載する情報やデザインの粒度が変わってきます。
| 目的 | 対象者 | 主な記載情報 | 特徴 |
| 社内向け | 従業員 | 部署名、役職、氏名、顔写真、内線番号など | 業務連絡や連携を円滑にするための詳細な情報を含む |
| 社外向け | 株主、投資家、取引先、顧客、採用候補者 | 主要な部署名、役員構成など | 会社の統治体制や健全性を示すためのシンプルな構成 |
社内向けの組織図は、従業員が日々の業務を円滑に進めることを目的としています。そのため、各部署の役割や責任範囲、従業員の連絡先といった実用的な情報が詳細に記載されるのが一般的です。
一方、社外向けの組織図は、コーポレートサイトや会社案内などに掲載され、ステークホルダーに対して組織の透明性や信頼性を示すことを目的とします。監査役の設置を明記してガバナンス体制の健全性をアピールするなど、企業のブランディング戦略の一環としても活用されます。
組織図を作成する5つのメリット

組織図を作成し、活用することは、企業に多くのメリットをもたらします。単に組織構造を可視化するだけでなく、生産性の向上や健全な組織運営に直結するのです。ここでは、組織図がもたらす5つの具体的なメリットについて、詳しく解説します。
メリット1:指揮命令系統が明確になり業務がスムーズに進む
組織図を作成する最大のメリットは、指揮命令系統、いわゆるレポートラインが明確になることです。誰が意思決定者で、誰に報告・相談すれば良いのかが一目瞭然になるため、業務上の混乱を防ぎ、意思決定のスピードを向上させることができます。
例えば、あるプロジェクトで予期せぬ問題が発生したとします。組織図がなければ、担当者は「誰に報告すればいいのか」「誰の指示を仰げばいいのか」と迷ってしまい、対応が遅れてしまう可能性があります。しかし、組織図によって責任者と報告ルートが明確になっていれば、担当者は迅速に関係者に情報を伝え、適切な指示を受けることができます。これにより、問題の早期解決につながり、ビジネスへの影響を最小限に抑えることが可能になります。特に、組織構造が複雑な大企業や、複数のプロジェクトが同時に進行するような環境では、このメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
メリット2:人材配置の最適化で生産性が向上する
組織図は、会社全体の人材配置を客観的に把握し、最適化するための強力なツールとなります。各部署の役割や人員構成、さらには個々の従業員のスキルや経験を組織図に紐づけて管理することで、経営資源である「ヒト」を最大限に活用することが可能になります。
例えば、ある部署で業務負荷が特定の従業員に集中している、あるいは逆に、特定のスキルを持つ人材が十分に活用されていないといった状況があったとします。組織図を用いて全社的な視点から人員配置を見直すことで、業務の偏りを是正し、適材適所の人材配置を実現できます。また、「営業部門を強化するために、マーケティング部門からAさんを異動させる」といった戦略的な人事異動の検討にも役立ちます。これにより、従業員一人ひとりのモチベーション向上とスキルアップを促し、結果として組織全体の生産性向上につながるのです。
メリット3:部署間の連携が円滑になり情報共有が改善される
企業の成長に伴い、部署間の壁、いわゆる「サイロ化」が問題になることが少なくありません。組織図は、このサイロ化を防ぎ、部署間の円滑な連携と情報共有を促進する役割を果たします。
例えば、新商品の開発プロジェクトでは、開発部門だけでなく、マーケティング、営業、カスタマーサポートなど、多くの部署が連携する必要があります。組織図があれば、各部署の役割と担当者が明確になり、「この件は〇〇部の△△さんに相談しよう」といったコミュニケーションが生まれやすくなります。顔写真や内線番号などの情報も記載されていれば、さらに効果的です。従業員同士の相互理解が深まることで、部署の垣根を越えた協力体制が構築され、組織としての一体感が醸成されます。これにより、部門間のコンフリクトが減少し、より創造的で効率的な業務遂行が可能になるのです。
メリット4:権限の集中を防ぎ適切な分散ができる
組織図を作成する過程で、各部署や役職の権限と責任範囲を整理することになります。これにより、特定の個人や部署に権限が集中しすぎていないかを確認し、適切に分散させることができます。
例えば、創業社長がすべての意思決定を行っているワンマン経営の企業では、社長が不在の際に業務が停滞してしまうリスクがあります。組織図を作成し、各部門長に権限を委譲するプロセスを明確にすることで、属人化を防ぎ、組織として持続可能な成長基盤を築くことができます。また、「似たような業務を行う部署が複数存在し、非効率な状態になっていないか」「特定の役職に権限が集中し、ボトルネックになっていないか」といった組織の課題を発見するきっかけにもなります。権限の適切な分散は、従業員の自律性を高め、次世代のリーダー育成にもつながる重要な取り組みです。
メリット5:外部に組織の健全性をアピールできる
社外向けに公開される組織図は、株主や投資家、取引先、そして採用候補者といったステークホルダーに対して、組織の健全性や透明性をアピールするための重要なツールとなります。
例えば、上場企業がコーポレートサイトで組織図を公開する際、取締役会の下に監査役会や内部監査室を明確に位置づけることで、コーポレート・ガバナンスが有効に機能していることを示すことができます。これは、投資家からの信頼獲得に直結します。また、採用活動においては、候補者に対して会社の構造やキャリアパスを視覚的に示すことで、入社後の働き方を具体的にイメージしてもらいやすくなります。「この会社にはこんな部署があって、こんなキャリアを築けそうだ」と理解を深めてもらうことは、入社後のミスマッチを防ぎ、採用競争力を高める上で非常に有効です。このように、組織図は企業の信頼性とブランドイメージを向上させるための戦略的な広報ツールとしても機能するのです。
「メリットは理解できたが、自社の場合どう進めるべきか迷う」という場合は、採用トラストにお気軽にご相談いただけますと幸いです。組織設計と採用の両面から、貴社に合った進め方をご提案いたします。
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組織図の主な種類と特徴:自社に合った形式を選ぶ

組織図には、いくつかの基本的な型(形式)があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、企業の規模や業種、組織文化によって最適な形式は異なります。ここでは、代表的な3つの組織図と、それに関連する「事業部制」「機能別」という考え方について解説します。自社に最も合った形式を選ぶための参考にしてください。
階層型(ピラミッド型)組織図:指揮系統を明確にする
階層型組織図は、社長やCEOを頂点とし、その下に各部門が階層的に連なる、ピラミッドのような構造を持つ組織図です。多くの日本企業で採用されている、最も伝統的で一般的な形式と言えるでしょう。
この形式の最大のメリットは、指揮命令系統が単一で明確なことです。誰が上司で、誰に報告するのかが一目瞭然なため、責任の所在が明らかになり、組織の統制が取りやすいという特徴があります。特に、規模が大きく、業務プロセスが標準化されている製造業や金融機関などで効果を発揮します。
一方で、デメリットとしては、意思決定の階層が多くなるため、トップの意向が現場に伝わるまでに時間がかかったり、逆に現場の声がトップに届きにくくなったりする点が挙げられます。また、部門間の壁が生まれやすく、セクショナリズム(部署間の対立)に陥る可能性もあります。変化の速い現代のビジネス環境においては、その意思決定の遅さが弱点となることも少なくありません。
フラット型組織図:意思決定を迅速化する
フラット型組織図は、階層型とは対照的に、管理階層をできるだけ少なくした、水平(フラット)な構造を持つ組織図です。社長と一般社員の間に管理職がほとんどいない、あるいは全くいないような組織で採用されます。
この形式のメリットは、意思決定のスピードが速いことです。トップと現場の距離が近いため、情報の伝達が迅速かつ正確に行われ、市場の変化に素早く対応できます。また、従業員一人ひとりの裁量が大きく、自律的な働き方が促進されるため、創造性やイノベーションが生まれやすいとも言われています。IT業界やスタートアップ企業など、変化への迅速な対応が求められる組織に適しています。
ただし、管理者の目が届きにくくなるため、従業員のマネジメントや評価が難しくなるというデメリットもあります。また、各従業員が担う責任の範囲が広くなるため、個々の能力や自己管理能力への依存度が高くなります。組織が大きくなるにつれて、この形式を維持するのは難しくなる傾向があります。
マトリックス型組織図:複数プロジェクトを効率的に管理する
マトリックス型組織図は、従来の職能別(人事、経理、開発など)の縦の組織に、事業部別やプロジェクト別といった横の組織を組み合わせた、格子(マトリックス)状の構造を持つ組織図です。
この形式では、従業員は同時に2つの異なる系統に所属します。例えば、あるエンジニアは「開発部」に所属しながら、同時に「Aプロジェクト」のメンバーでもある、といった具合です。これにより、専門的なスキルを持つ人材を、複数のプロジェクトで柔軟に活用できるというメリットがあります。特に、グローバル企業や、複数のプロダクトを同時並行で開発するような企業で有効です。
しかし、一人の従業員に対して上司が二人(職能の上司とプロジェクトの上司)存在するため、指揮命令系統が複雑になり、混乱が生じやすいという大きなデメリットがあります。どちらの指示を優先すべきか、評価は誰が行うのかといった問題が発生しやすく、運用には高度なマネジメント能力が求められます。この複雑さから、導入したものの、うまく機能せずに形骸化してしまうケースも少なくありません。
事業部制型と機能別型:企業規模に応じた選択
「事業部制」と「機能別」は、組織をどのように分割するかの考え方であり、上記の階層型組織図などと組み合わせて使われます。
- 事業部制組織:製品(A事業部、B事業部)や地域(関東事業部、関西事業部)といった、事業単位で組織を分割する方法です。各事業部がそれぞれ開発、製造、営業といった機能を持ち、独立採算で運営されることが多いのが特徴です。事業ごとの損益が明確になり、意思決定も迅速化しますが、全社的な視点での連携が取りにくくなったり、部門間で機能が重複して非効率になったりする可能性があります。比較的大企業で採用されることが多い形態です。
- 機能別組織:「営業」「開発」「人事」「経理」といった職務内容(機能)ごとに組織を分割する方法です。各機能の専門性を高めやすく、スケールメリットを活かせるというメリットがあります。しかし、事業が多角化してくると、機能ごとの連携が難しくなり、部門間の対立が起こりやすくなるというデメリットがあります。多くのスタートアップや中小企業は、この機能別組織からスタートします。
自社の事業内容や成長フェーズに合わせて、これらの組織構造を適切に組み合わせ、最適な組織図を設計することが重要です。
組織図の作り方:5つのステップで簡単作成

「組織図を作る」と聞くと、少し難しく感じるかもしれませんが、手順に沿って進めれば誰でも作成することができます。ここでは、目的の明確化から更新の仕組み作りまで、具体的な5つのステップに分けて、組織図の作り方を解説します。
ステップ1:組織図を作る目的を明確にする
まず最初に、「何のために組織図を作るのか」という目的を明確にすることが最も重要です。目的が曖昧なまま作成を始めてしまうと、誰にとっても価値のない、使われない組織図になってしまうからです。目的によって、記載すべき情報やデザインの方向性が大きく変わってきます。
例えば、目的が「新入社員の早期離職を防ぐため、オンボーディングを円滑にしたい」なのであれば、各部署の役割やキーパーソン、連絡先などを詳細に記載した社内向けの組織図が必要になるでしょう。一方、「海外の投資家に向けて、ガバナンス体制の健全性をアピールしたい」という目的であれば、役員構成や監査役会の位置づけが明確にわかる、シンプルで公式な社外向けの組織図が求められます。このように、具体的な利用シーンを想像しながら目的を言語化することで、作成すべき組織図の姿が自ずと明らかになります。関係者間で目的意識を共有しておくことも、後の手戻りを防ぐ上で重要です。
ステップ2:対象範囲を決定する
目的が明確になったら、次に組織図に含める情報の範囲(どこまで記載するか)を決定します。全社的な組織図なのか、それとも特定の部署やプロジェクトに限定したものなのかを決めましょう。また、役職や従業員の情報をどこまで詳細に記載するかも、この段階で定義します。
例えば、社内向けの組織図であれば、「正社員のみを対象とし、部署名、役職名、氏名、顔写真、内線番号まで記載する」といったルールを定めます。パートやアルバイト、業務委託のメンバーを含めるかどうか、旧姓併記は許可するかなど、細かな点まで決めておくと、情報収集がスムーズに進みます。一方、社外向けの組織図であれば、「取締役と執行役員のみを対象とし、役職と氏名のみを記載する」といったシンプルな範囲設定になるでしょう。対象範囲を広げすぎると、情報収集や更新の負担が大きくなりすぎるため、目的に照らし合わせて、必要最小限かつ十分な範囲を見極めることが重要です。特に、個人情報を含む場合は、その取り扱いについても慎重に検討する必要があります。
ステップ3:必要な情報を収集する
対象範囲が決まったら、組織図を作成するために必要な情報を収集します。このステップは、組織図の正確性を担保する上で非常に重要です。情報が古かったり、間違っていたりすると、信頼性のない組織図になってしまいます。
具体的な情報収集の方法としては、まず人事部門が管理している従業員データベースや人事情報を基本データとします。部署名、役職名、氏名、所属部署、入社日などの公式な情報を確認しましょう。その上で、各部署の責任者に連絡を取り、最新のメンバー構成や役職、レポートラインに変更がないかを確認します。特に、最近人事異動があった場合や、組織改編の直後などは、情報が古くなっている可能性があるので注意が必要です。顔写真や内線番号といった付加情報を掲載する場合は、従業員一人ひとりからデータを提出してもらう必要があります。情報収集のプロセスを効率化するために、Googleフォームなどのツールを活用して、一斉に情報提供を依頼するのも良い方法です。
ステップ4:組織図の形式を選択し作成する
情報が収集できたら、いよいよ組織図の形式を選択し、実際に図を作成していきます。「組織図の主な種類と特徴」で解説した階層型、フラット型、マトリックス型などの中から、自社の組織構造や目的に最も合った形式を選びましょう。多くの中小企業では、まず階層型で作成してみるのが一般的です。
作成ツールとしては、後述するMicrosoft OfficeのSmartArt機能やGoogleスプレッドシート、デザイン性の高いCanvaなど、様々な選択肢があります。ツールの選定基準としては、操作のしやすさ、共同編集の可否、デザインの自由度、そして更新のしやすさなどが挙げられます。例えば、頻繁に組織変更がある企業であれば、簡単に修正できるツールを選ぶのが賢明です。収集した情報を元に、選択したツールを使って部署や役職を配置し、線で結んで関係性を示していきます。最初は下書きから始め、各部署の責任者にレビューを依頼し、フィードバックを反映しながら完成度を高めていくと、手戻りが少なくスムーズに進められます。
ステップ5:定期的な更新と管理の仕組みを作る
組織図は、一度作成したら終わりではありません。組織は生き物であり、人事異動や組織改編、入退社などによって常に変化しています。そのため、組織図を常に最新の状態に保つための、定期的な更新と管理の仕組みを構築することが不可欠です。
具体的には、「誰が」「いつ」「どのように」更新するのかというルールを明確に定めます。例えば、「人事部が責任部署となり、毎月1日の月次更新を基本とする。ただし、役員人事などの重要な変更があった場合は、その都度速やかに更新する」といったルールです。更新作業の担当者を明確に任命し、その業務が属人化しないようにマニュアルを整備しておくことも重要です。また、更新した際には、全社にアナウンスし、最新版の組織図がどこに保管されているのかを周知徹底することも忘れてはいけません。この更新と管理の仕組みが形骸化してしまうと、せっかく作成した組織図もすぐに陳腐化し、「使えない」ものになってしまいます。継続的な運用こそが、組織図活用の鍵を握っているのです。
組織図の作成に使えるツール比較

組織図を作成するためのツールは、シンプルなオフィスソフトから専門的なシステムまで数多く存在します。ここでは、代表的な4つのツールを取り上げ、それぞれの特徴、メリット・デメリットを比較します。自社の目的や規模、更新頻度などを考慮して、最適なツールを選びましょう。
Microsoft SmartArt:視覚的にわかりやすい組織図を短時間で作成
多くの方が使い慣れているであろう、Microsoft Office(PowerPointやWord、Excel)に標準搭載されている「SmartArt」機能は、手軽に組織図を作成するのに非常に便利なツールです。特に、プレゼンテーション資料の一部として組織図を挿入したい場合や、急いで組織図を作成する必要がある場合に適しています。
SmartArtの最大のメリットは、専門的な知識がなくても、あらかじめ用意されたテンプレートを選ぶだけで、視覚的にわかりやすい組織図を短時間で作成できる点です。テキストボックスに役職や氏名を入力していくだけで、自動的にレイアウトが調整され、綺麗な図が完成します。色の変更やデザインの調整も簡単に行えるため、自社のコーポレートカラーに合わせたデザインにすることも可能です。一方で、デメリットとしては、複雑な組織構造や、マトリックス型のような特殊なレイアウトには対応しにくい点が挙げられます。また、人事情報と連動しているわけではないため、人事異動があるたびに手動で修正する必要があり、大規模な組織や頻繁に更新が必要な場合には手間がかかります。手軽さを重視する中小企業や、特定のプロジェクト内での簡易的な組織図作成におすすめです。
Googleスプレッドシート:複数人で同時編集できる
Googleスプレッドシートは、複数人での共同作業に強みを持つツールです。クラウドベースであるため、関係者が同時にアクセスし、リアルタイムで情報を更新・編集できるのが最大の特徴です。組織図の作成と管理を、複数の担当者で分担して行いたい場合に非常に有効です。
Googleスプレッドシートには、組織図を作成するための専用テンプレートが用意されています。また、セルの結合や図形描画機能を駆使して、オリジナルの組織図を一から作成することも可能です。最大のメリットは、何と言ってもその共同編集機能と、無料で利用できる手軽さでしょう。URLを共有するだけで、関係者はいつでも最新版の組織図にアクセスできます。コメント機能を使えば、修正依頼や確認作業もスムーズに行えます。ただし、デザインの自由度はMicrosoftのSmartArtや専門ツールに比べて低く、視覚的に凝ったデザインにするのは難しいというデメリットがあります。また、手動での更新が必要なため、大規模な組織では管理が煩雑になりがちです。リモートワーク中心のチームや、複数の拠点で組織図を共有・管理したい企業に向いているツールと言えます。
Canva:デザイン性の高い組織図を簡単に作成
Canvaは、デザインの知識がない人でも、プロ並みのグラフィックを作成できるオンラインデザインツールです。組織図に関しても、豊富でおしゃれなテンプレートが多数用意されており、デザイン性の高い組織図を手軽に作成したい場合に最適です。特に、社外向けの会社案内や採用サイトに掲載する、企業のブランドイメージを反映した組織図を作成するのに向いています。
Canvaの魅力は、ドラッグ&ドロップの直感的な操作で、フォントや色、アイコンなどを自由自在にカスタマイズできる点です。企業のロゴを挿入したり、従業員の顔写真をスタイリッシュに配置したりと、オリジナリティあふれる組織図を作成できます。作成したデザインは、画像ファイルとしてだけでなく、PDFやPowerPoint形式でエクスポートすることも可能です。一方で、あくまでデザインツールであるため、組織図のロジックを自動で生成する機能はありません。基本的には手作業での作成・更新となり、人事情報との連携もできません。そのため、組織の正確性や管理の効率性よりも、デザイン性を重視する場合におすすめのツールです。スタートアップ企業が投資家向けに作成するピッチ資料や、企業の採用ブランディングを強化したい場合に活用できるでしょう。
人事管理システム:入退社情報と連動して自動更新
人事管理システム(タレントマネジメントシステム)は、従業員の詳細な人事情報と連携し、組織図を自動で生成・更新する機能を持つ専門的なシステムです。従業員数が多い大企業や、組織改編が頻繁に行われる成長企業にとって、最も効率的で正確な組織図管理を実現するソリューションと言えます。
このタイプの最大のメリットは、人事データベースへの情報入力(入社、退社、異動など)を行うだけで、組織図が自動的に最新の状態に保たれることです。手作業による更新漏れやミスを防ぎ、常に正確な組織情報を全社で共有できます。また、単なる組織図としてだけでなく、従業員のスキルや経歴、評価といった詳細な人事情報と紐づけて分析できる「タレントマネジメント」のツールとしても活用できます。これにより、戦略的な人材配置や後継者育成計画の策定に役立てることが可能です。デメリットとしては、導入や運用にコストがかかる点が挙げられます。また、システムの導入や定着には、ある程度の時間と労力が必要です。しかし、組織図の管理にかかる工数を大幅に削減し、人事業務全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進できるため、長期的に見れば大きな投資対効果が期待できるでしょう。
組織図テンプレートの活用方法と入手先
ゼロから組織図を作成するのは大変ですが、テンプレートを活用すれば、時間と手間を大幅に削減できます。ここでは、無料で利用できるテンプレートの入手先と、それぞれのツールのテンプレート活用法、そして自社に合ったテンプレートを選ぶ際のポイントを解説します。
無料で使えるテンプレートサイト
インターネット上には、組織図のテンプレートを無料で提供しているウェブサイトが数多く存在します。これらのサイトを活用すれば、PowerPointやExcel、Word形式の基本的なテンプレートを簡単にダウンロードできます。
- Canva:デザイン性の高いテンプレートが豊富に揃っています。アカウントを登録すれば、ブラウザ上で直接編集し、画像やPDFとしてダウンロードできます。
- Lucidchart:組織図作成に特化したツールで、無料プランでも基本的なテンプレートを利用できます。ドラッグ&ドロップで直感的に操作できるのが特徴です。
- Microsoft Create:Microsoftが公式に提供しているテンプレートサイトです。PowerPointやWordで使える、シンプルで実用的な組織図テンプレートが見つかります。
これらのサイトで「組織図」「Organization Chart」と検索し、自社のイメージに合ったデザインのテンプレートを探してみましょう。ダウンロードしたテンプレートをベースに、自社の情報に合わせてカスタマイズするのが効率的です。
Microsoft Officeのテンプレート活用法
多くのビジネスパーソンが日常的に使用しているMicrosoft Office(PowerPoint, Word, Excel)にも、組織図のテンプレートが標準で搭載されています。特にPowerPointの「SmartArt」機能は、簡単に見栄えの良い組織図を作成できるためおすすめです。
- 挿入タブを開く:PowerPointまたはWordを開き、上部メニューから「挿入」タブをクリックします。
- SmartArtを選択:「SmartArt」アイコンをクリックすると、図形の選択画面が表示されます。
- 階層構造を選択:左側のメニューから「階層構造」を選び、好みの組織図レイアウト(例:「組織図」)を選択して「OK」をクリックします。
- テキストを入力:表示された図形の「テキスト」部分に、役職や氏名を入力していきます。Enterキーで新しい図形を追加したり、Tabキーで階層を下げたりと、直感的に編集できます。
SmartArtを使えば、テキストを入力するだけで自動的にレイアウトが調整されるため、デザインの知識がなくてもバランスの取れた組織図を短時間で作成できます。
Canvaのテンプレートを使ったデザイン作成
デザイン性を重視するなら、Canvaのテンプレートが最適です。採用サイトや会社案内に掲載するような、企業のブランドイメージを反映した組織図を作成するのに向いています。
- Canvaにログイン:Canvaのウェブサイトにアクセスし、アカウントにログインします。
- テンプレートを検索:検索窓に「組織図」と入力し、表示された豊富なテンプレートの中から好みのデザインを選びます。
- カスタマイズ:テキスト、色、フォント、アイコンなどを、自社のブランドガイドラインに合わせて自由に変更します。会社のロゴや従業員の顔写真をアップロードして追加することも可能です。
- ダウンロード:完成したデザインは、画面右上の「共有」ボタンから、PNG、JPG、PDFなどの形式でダウンロードできます。
Canvaを使えば、まるでデザイナーが作成したかのような、プロフェッショナルな組織図を誰でも簡単に作成できます。
業種別・規模別のテンプレート選び方
テンプレートを選ぶ際は、自社の業種や規模を考慮することが重要です。例えば、スタートアップやIT企業であれば、階層が少なく、役割の変更に柔軟に対応できるフラット型のシンプルなテンプレートが適しています。一方、製造業や金融機関など、部門が多く階層が深い大企業であれば、部署ごとの関係性が明確にわかる階層型の詳細なテンプレートを選ぶと良いでしょう。
また、社内向けなのか社外向けなのかという目的によっても、選ぶべきテンプレートは変わります。社内向けであれば、顔写真や連絡先を入れられるような、情報量の多い実用的なテンプレートが便利です。社外向けであれば、企業の信頼性や専門性を示すために、シンプルで洗練されたデザインのテンプレートを選ぶのが効果的です。多くのテンプレートを比較検討し、自社の目的と文化に最も合ったものを見つけましょう。
組織図を英語で作成する方法

グローバル化が進む現代において、海外の取引先や投資家、外国籍の従業員に向けて、英語版の組織図を用意する必要性が高まっています。ここでは、組織図を英語で作成する際の基本的な用語や表記方法、そしてグローバル企業で実際に使われている作成のポイントを解説します。
Organization ChartとOrg Chartの使い分け
組織図を英語で表現する際、最も一般的な用語は「Organization Chart」です。これは正式名称であり、公式な文書やコーポレートサイトで使用されることが多い表現です。一方、略語として「Org Chart」という表現もビジネスシーンでは頻繁に使われます。こちらは、社内のカジュアルなコミュニケーションやプレゼンテーション資料などで使われることが多い、親しみやすい表現です。
基本的には、どちらを使っても意味は同じですが、公式な場面や外部向けの資料では「Organization Chart」、社内向けや日常的な会話では「Org Chart」と使い分けるのが一般的です。また、「Organizational Chart」という表現も見かけますが、これも「Organization Chart」と同義です。自社のコミュニケーションスタイルや相手に合わせて、適切な表現を選びましょう。
英語での部署名表記例
組織図を英語で作成する際に最も重要なのは、部署名や役職名を正確に英訳することです。以下に、日本企業でよく使われる部署名の英語表記例を示します。
| 日本語の部署名 | 英語表記 |
| 営業部 | Sales Department / Sales Division |
| マーケティング部 | Marketing Department |
| 人事部 | Human Resources (HR) Department |
| 総務部 | General Affairs Department |
| 経理部 | Accounting Department / Finance Department |
| 開発部 | Development Department / R&D (Research and Development) |
| 製造部 | Manufacturing Department / Production Department |
| 品質管理部 | Quality Control (QC) Department / Quality Assurance (QA) |
| 情報システム部 | Information Systems Department / IT Department |
| 法務部 | Legal Department |
| 広報部 | Public Relations (PR) Department |
役職についても、以下のような英語表記が一般的です。
| 日本語の役職 | 英語表記 |
| 代表取締役社長 | President and CEO (Chief Executive Officer) |
| 取締役 | Director / Board Member |
| 専務取締役 | Senior Managing Director |
| 常務取締役 | Managing Director |
| 執行役員 | Executive Officer |
| 部長 | General Manager / Department Manager |
| 次長 | Deputy General Manager |
| 課長 | Manager / Section Manager |
| 係長 | Supervisor / Assistant Manager |
| 主任 | Chief / Senior Staff |
注意すべき点は、日本企業の役職体系と欧米企業の役職体系は必ずしも一致しないということです。例えば、日本の「部長」は英語では「General Manager」と訳されることが多いですが、欧米企業の「General Manager」は日本の「事業部長」に近い権限を持つこともあります。自社の役職が海外でどのように理解されるかを考慮し、必要に応じて補足説明を加えることも検討しましょう。
グローバル企業での組織図作成のポイント
グローバルに事業を展開する企業では、国や地域をまたいだ複雑な組織構造を、わかりやすく示す必要があります。その際のポイントをいくつか紹介します。
まず、地域別の組織構造を明確にすることが重要です。例えば、「Asia Pacific Region」「Europe Region」「Americas Region」といった地域別の統括組織を設け、その下に各国の現地法人を配置するような構造を明示します。これにより、グローバルな指揮命令系統が一目でわかるようになります。
次に、時差や言語の違いを考慮した連絡先情報の記載も大切です。各拠点の責任者の連絡先だけでなく、勤務時間帯や使用言語を明記しておくと、円滑なコミュニケーションに役立ちます。
また、文化的な違いに配慮したデザインも意識しましょう。例えば、色の使い方には文化的な意味合いがあります。赤色は中国では縁起が良いとされますが、欧米では警告の意味を持つこともあります。グローバルに公開する組織図では、特定の文化に偏らない、ニュートラルなデザインを心がけることが望ましいでしょう。
見やすい組織図を作るための実践的なポイント

組織図は、ただ作成するだけでは不十分です。誰が見ても理解しやすく、実際に活用される組織図にするためには、いくつかの実践的なポイントを押さえる必要があります。ここでは、組織図の品質を高めるための4つのポイントを解説します。
デザインの統一性を保つ
見やすい組織図を作成する上で、デザインの統一性は非常に重要です。フォントの種類やサイズ、色使い、図形の大きさなどがバラバラだと、視覚的に混乱を招き、情報が伝わりにくくなってしまいます。具体的には、以下のような点に注意しましょう。
- フォント:使用するフォントは1〜2種類に統一します。役職名と氏名でフォントを変えるのは良いですが、それ以上増やすと煩雑になります。
- 色:部署ごとに色分けする場合は、色の数を絞り、コーポレートカラーを基調とするなど、統一感のある配色を心がけます。
- 図形:役職レベルによって図形の大きさを変える場合は、その規則性を明確にします。例えば、「役員は大きな四角形、部長は中サイズ、課長は小サイズ」といった具合です。
デザインの統一性を保つことで、組織図全体がプロフェッショナルで信頼性の高い印象を与えるだけでなく、情報の階層性や関係性が直感的に理解しやすくなります。
必要な情報を過不足なく記載する
組織図に記載する情報は、多すぎても少なすぎても良くありません。目的に応じて、必要な情報を過不足なく記載することが重要です。
例えば、社内向けの組織図であれば、部署名、役職、氏名に加えて、内線番号やメールアドレス、顔写真といった連絡を取るために必要な情報を記載すると便利です。一方で、社外向けの組織図に従業員の個人情報を詳細に記載するのは、プライバシーの観点から適切ではありません。役員や主要な部署の責任者の情報に留めるべきでしょう。
また、情報を詰め込みすぎると、図が複雑になり、かえって見にくくなってしまいます。「この情報は本当に必要か」「別の資料で補完できないか」と常に自問自答し、シンプルで理解しやすい組織図を目指しましょう。
更新のタイミングと担当者を明確にする
組織図は、作成した時点から情報が古くなっていくものです。そのため、更新のタイミングと担当者を明確に定め、常に最新の状態を保つ仕組みを作ることが不可欠です。更新のタイミングとしては、以下のようなケースが考えられます。
- 定期更新:毎月1日、四半期ごとの初日など、定期的に見直すタイミングを決めます。
- イベント更新:組織改編、役員人事、大規模な人事異動など、組織構造に大きな変更があった際に更新します。
- 随時更新:新入社員の入社や退職があった際に、その都度更新します。
更新の担当者は、人事部門が担うのが一般的ですが、各部署の責任者に情報提供を依頼するプロセスも明確にしておく必要があります。更新作業が属人化しないよう、マニュアルを整備し、複数人が対応できる体制を構築しましょう。
レイアウトは変更に対応しやすい設計にする
組織は常に変化するものです。そのため、組織図のレイアウトは、将来的な変更に柔軟に対応できるような設計にしておくことが重要です。
例えば、部署が増える可能性を見越して、余白を多めに取っておく、あるいは、人員が増えても図が崩れないよう、拡張性の高いツールやフォーマットを選ぶといった工夫が考えられます。PowerPointのSmartArtやGoogleスプレッドシートなど、簡単に図形を追加・削除できるツールを使うのも効果的です。
また、組織図を画像ファイルとして保存するだけでなく、編集可能な元データ(PowerPointファイルやスプレッドシートなど)も必ず保管しておきましょう。元データがないと、変更のたびに一から作り直すことになり、大きな手間がかかってしまいます。
組織図作成でよくある失敗例と回避方法
組織図を作成・運用する過程では、多くの企業が共通して陥りやすい失敗パターンがあります。ここでは、代表的な4つの失敗例と、それを回避するための具体的な方法を解説します。事前にこれらのリスクを理解しておくことで、より実用的で価値のある組織図を作成できるでしょう。
失敗例1:更新されず実態と乖離してしまう
組織図作成における最も多い失敗は、作成後に更新されず、実際の組織構造と乖離してしまうことです。人事異動や組織改編があったにもかかわらず、組織図が古いままだと、誰も信頼せず、活用されなくなってしまいます。
回避方法:「組織図の作り方」のステップ5で解説したように、更新の責任者とタイミングを明確に定めルール化することが重要です。例えば、「人事異動の発令と同時に、人事部が組織図を更新し、全社にアナウンスする」といったプロセスを業務フローに組み込みましょう。また、更新作業を簡単にするために、編集しやすいツールを選ぶことも効果的です。人事管理システムと連携すれば、自動で更新される仕組みを構築できます。
失敗例2:複雑すぎて誰も理解できない
組織構造が複雑な企業では、それを忠実に再現しようとするあまり、組織図が複雑すぎて、誰も理解できないという失敗に陥ることがあります。特に、マトリックス型組織で、複数のレポートラインを全て記載しようとすると、線が交差し、非常に見にくい図になってしまいます。
回避方法:組織図の目的を再確認し、本当に必要な情報だけを記載することを心がけましょう。例えば、全社の組織図では部署レベルまでとし、各部署の詳細な構成は別の資料で補完するといった、階層的な情報提供が有効です。また、複雑な組織構造を持つ場合は、「経営層向け」「管理職向け」「一般社員向け」といった、対象者ごとに異なる粒度の組織図を複数用意するのも良い方法です。
失敗例3:作成目的が曖昧で活用されない
「とりあえず組織図を作っておこう」と、明確な目的がないまま作成してしまうと、誰にとっても価値のない、活用されない組織図になってしまいます。作成すること自体が目的化し、作成後は誰も見ないという状態に陥りがちです。
回避方法:組織図を作成する前に、「誰が」「何のために」「どのように使うのか」という目的を明確にすることが最も重要です。例えば、「新入社員が入社後1週間で、全社の部署構成と主要メンバーを把握できるようにする」という具体的な目的があれば、それに必要な情報や見せ方が自ずと決まってきます。目的が明確であれば、作成後の活用方法も具体的に計画でき、組織図が実際に役立つツールとなります。
失敗例4:現場の意見を反映せず形骸化する
人事部門や経営層だけで組織図を作成し、現場の意見を全く反映しないと、実態とかけ離れた、形式だけの組織図になってしまうことがあります。特に、実際の業務における協力関係や、非公式なレポートラインが組織図に反映されていないと、現場からは「使えない」と判断されてしまいます。
回避方法:組織図を作成する際には、各部署の責任者や現場のメンバーにヒアリングを行い、実際の業務フローや協力関係を把握することが重要です。また、組織図の初稿ができた段階で、関係者にレビューを依頼し、フィードバックを反映するプロセスを設けましょう。現場の声を取り入れることで、実態に即した、本当に役立つ組織図を作成できます。
採用活動における組織図の活用方法

組織図は、社内の業務効率化だけでなく、採用活動においても非常に有効なツールです。候補者に対して会社の構造やキャリアパスを視覚的に示すことで、入社後のイメージを具体的に持ってもらいやすくなります。ここでは、採用領域における組織図の具体的な活用方法を解説します。
候補者への説明資料として組織図を活用する
採用面接や会社説明会の場で、組織図を候補者に提示することは、企業理解を深め、入社意欲を高める上で非常に効果的です。特に、中途採用の候補者は、自分がどの部署に配属され、誰と一緒に働くのかを具体的に知りたいと考えています。
組織図を見せながら、「あなたが入社すると、この〇〇部に配属され、△△部長の下で働くことになります」「将来的には、このようなキャリアパスを歩むことができます」と説明することで、候補者は入社後の働き方を具体的にイメージできます。これにより、入社後のミスマッチを防ぎ、早期離職のリスクを低減できるでしょう。
また、組織図を通じて、会社の成長性や事業の多様性をアピールすることも可能です。「現在はこの3つの事業部がありますが、来年には新規事業部を立ち上げる予定です」といった情報を共有することで、候補者に成長企業であることを印象づけることができます。
採用計画と組織図を連動させる
組織図は、採用計画を立てる際の重要な基礎資料としても活用できます。現在の組織構成を可視化することで、どの部署が人員不足なのか、どのポジションを強化すべきなのかが明確になります。
例えば、組織図を見ながら、「営業部は現在10名だが、今期の売上目標を達成するには15名必要だ。したがって、営業職を5名採用しよう」といった具体的な採用計画を立てることができます。また、「マネージャー層が不足しているため、管理職候補を重点的に採用しよう」といった、質的な採用戦略の検討にも役立ちます。
さらに、組織図に将来の組織構想(例えば、新規事業部の設立予定など)を書き込むことで、中長期的な採用計画を立てることも可能です。組織図を単なる現状把握のツールではなく、未来の組織を設計するための戦略的なツールとして活用しましょう。
組織図を使った採用戦略の立て方
組織図を活用することで、より戦略的な採用活動を展開できます。例えば、競合他社の組織図を分析することで、業界のトレンドや、自社に不足している機能を発見できます。競合が「データサイエンス部」を新設しているのであれば、自社でもデータ分析人材の採用を検討すべきかもしれません。
また、採用広報の一環として、組織図を採用サイトに掲載することも効果的です。透明性の高い情報開示は、候補者からの信頼を獲得し、応募意欲を高めます。特に、各部署の役割や、そこで働く社員のインタビューと組み合わせて掲載することで、候補者は自分が働くイメージをより具体的に持つことができるでしょう。
組織図は、単に「今の会社の姿」を示すだけでなく、「未来の会社の姿」を描き、それを実現するための人材を獲得するための、強力な採用ツールなのです。
成長フェーズに応じた組織図の変化と採用計画
企業の成長フェーズによって、最適な組織構造は変化します。それに伴い、組織図の形も変わり、必要な人材も変わってきます。この関係性を理解することは、戦略的な採用活動を行う上で非常に重要です。
創業期・シード期では、少人数で多くの役割を兼任するため、組織図は非常にシンプルなフラット型になります。この時期に必要な人材は、何でもこなせるゼネラリストや、創業メンバーとして会社を一緒に作り上げる情熱を持った人材です。
成長期・拡大期に入ると、事業が拡大し、部署が増え、階層型の組織図へと移行していきます。この時期には、各機能のスペシャリスト(営業、マーケティング、開発など)や、チームをマネジメントできる管理職候補の採用が重要になります。
成熟期になると、組織構造はさらに複雑化し、事業部制やマトリックス型を採用することもあります。この時期には、高度な専門性を持つ人材や、複雑な組織をマネジメントできる経営幹部候補の採用が求められます。このように、組織図の変化を見据えながら、先を見越した採用計画を立てることで、企業の持続的な成長を人材面から支えることができるのです。
組織図を採用広報や採用計画にどう連動させるかは、自社の状況によって最適解が変わります。設計にお悩みでしたら、採用トラストへご相談いただけますと幸いです。
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よくある質問(FAQ)

組織図に関して、多くの方が疑問に思う点をまとめました。ここでは、よくある質問とその回答を紹介します。
Q1:組織図の更新頻度はどのくらいが適切ですか?
A:組織図の更新頻度は、企業の規模や組織変更の頻度によって異なりますが、一般的には月次または四半期ごとの定期更新が推奨されます。ただし、役員人事や大規模な組織改編があった場合は、その都度速やかに更新すべきです。人事異動が頻繁な企業では、人事管理システムと連携して自動更新する仕組みを導入することで、常に最新の状態を保つことができます。更新のタイミングをルール化し、責任者を明確にすることが、陳腐化を防ぐ鍵となります。
Q2:誰が組織図を作成・管理すべきですか?
A:組織図の作成・管理は、人事部門が担当するのが一般的です。人事部門は、従業員の入退社や異動といった人事情報を一元管理しているため、最も正確かつ迅速に組織図を更新できる立場にあります。ただし、各部署の詳細な情報については、各部署の責任者に情報提供を依頼する必要があります。また、更新作業が属人化しないよう、複数の担当者が対応できる体制を構築し、マニュアルを整備しておくことが重要です。
Q3:小規模企業でも組織図は必要ですか?
A:はい、小規模企業でも組織図は有用です。従業員が少ない段階では、全員が顔見知りで、誰が何をしているかを把握しやすいため、組織図の必要性を感じにくいかもしれません。しかし、新しいメンバーが加わった際のオンボーディングや、外部のステークホルダーに会社の体制を説明する際には、組織図があると非常に便利です。また、組織図を作成するプロセスで、役割分担や責任範囲を明確にすることができ、組織の成長基盤を整える効果もあります。シンプルなフラット型の組織図から始めてみることをおすすめします。
Q4:組織図と組織体制の違いは何ですか?
A:「組織体制」は、企業の組織構造や運営の仕組み全体を指す概念であり、「組織図」は、その組織体制を視覚的に表現した図です。つまり、組織体制という実態があり、それを図式化したものが組織図という関係になります。組織体制には、部署の役割分担、指揮命令系統、意思決定プロセス、権限委譲のルールなど、様々な要素が含まれます。組織図は、その中でも特に「誰がどこに所属し、誰に報告するか」という構造的な側面を、わかりやすく可視化したツールと言えるでしょう。
Q5:組織図を社外に公開すべきですか?
A:社外への公開は、企業の方針や目的によって判断すべきです。上場企業や、透明性を重視する企業では、コーポレートサイトに組織図を掲載し、ガバナンス体制や経営の健全性をアピールすることが一般的です。また、採用活動において、候補者に会社の構造を理解してもらうために、採用サイトに掲載するのも効果的です。一方で、詳細な組織情報を公開することは、競合他社に自社の戦略を知られるリスクもあります。公開する場合は、役員や主要部署の情報に留め、従業員の個人情報は含めないなど、公開範囲を慎重に検討しましょう。
Q6:組織図作成にどのくらいの時間がかかりますか?
A:組織図の作成にかかる時間は、企業の規模や組織の複雑さ、使用するツールによって大きく異なります。小規模企業であれば、PowerPointのSmartArtやCanvaのテンプレートを使って、数時間で作成できるでしょう。一方、従業員数が数百人を超える大企業で、詳細な情報を含む組織図を一から作成する場合は、情報収集から完成まで数週間かかることもあります。初回作成には時間がかかりますが、一度作成してしまえば、その後の更新は比較的短時間で済みます。人事管理システムと連携すれば、更新作業を大幅に効率化できます。
まとめ:組織図で経営効率を高め採用力を強化しよう

本記事では、組織図の基本的な定義から、作成するメリット、具体的な作り方、テンプレートの活用法、英語での作成方法、そして失敗例と回避方法まで、幅広く解説してきました。
組織図は、単に「会社の構造を図にしたもの」ではありません。それは、指揮命令系統を明確にし、人材配置を最適化し、部署間の連携を促進し、組織の健全性を内外にアピールする、経営における重要な戦略ツールです。
特に、採用活動においては、候補者に対して会社の魅力を伝え、入社後のキャリアパスを具体的にイメージしてもらうための強力な武器となります。組織図を効果的に活用することで、採用競争力を高め、優秀な人材を獲得することができるでしょう。
組織図の作成は、決して難しいものではありません。本記事で紹介した5つのステップに沿って、目的を明確にし、適切なツールを選び、定期的に更新する仕組みを作れば、誰でも実用的な組織図を作成・運用できます。
もし、組織図の作成や、それに伴う組織設計、さらには採用戦略の立案にお悩みでしたら、採用トラストにご相談いただけますと幸いです。貴社の採用ターゲットや組織課題に合わせて、成果につながる採用施策を一緒に設計いたします。ぜひ、本記事を参考に、あなたの会社に最適な組織図を作成し、組織の成長と採用力の強化に役立ててください。
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