ERPのメリット・デメリット|導入して後悔する会社としない会社の違い

基礎知識公開日:
監修大手コンサルティングファーム出身/基幹システム刷新・業務改革の実務経験を持つ専門家
ERPのメリット・デメリット|導入して後悔する会社としない会社の違い

ERPのメリットは「データが1つになり、数字が早く正しく出ること」、デメリットは「業務をERPに合わせる手間と、合わせない場合の費用がかかること」に集約されます。導入して後悔するかどうかを分けるのは製品の良し悪しより、自社の業務をどこまで標準に合わせるかを、導入前に経営が決めているかどうかです。この記事では、ERPのメリット・デメリットを「効く条件」とセットで整理し、後悔する会社としない会社の違いを判定表と試算例で示します。

この記事でわかること
  • ERPのメリット5つ・デメリット5つと、それぞれが「効く条件」「重くなる条件」
  • メリットが出る会社と出ない会社を分ける8つの分かれ目(判定表)
  • 従業員120名の卸売業を例にした、ERPのメリットを時間と金額に直す試算の手順
  • 導入後に後悔する6つのパターンと、導入前に打てる予防策
  • 導入を決める前に確認したい10項目のチェックリスト

ERPのメリット・デメリットを一覧で見る

ERPのメリット・デメリットは、どの会社にも同じように出るわけではありません。同じ「データの一元化」でも、拠点が5つある会社と1つの会社では効き方がまったく違います。そこで、一般的に挙げられるメリット・デメリットを、効きやすい条件と効きにくい条件と一緒に並べました。

区分内容大きく出やすい会社小さくなりやすい会社
メリット1データの一元化(二重入力・転記がなくなる)受注・出荷・請求・会計で同じ取引を何度も入力しているすでに販売管理と会計が連携済み
メリット2経営数字の早期化(月次・粗利・在庫が早く出る)月次決算の確定に10営業日以上かかる取引数が少なく、今でも数日で締まる
メリット3業務の標準化・属人化の解消締め・請求・原価計算が特定の担当者頼み例外処理をやめる判断ができない
メリット4拠点・事業をまたいだ管理拠点・事業・グループ会社が複数拠点1つ・単一事業
メリット5内部統制・法令対応のしやすさ上場準備、金融機関への報告強化、インボイス・電子帳簿保存法への対応を見直したい現行の仕組みで対応が完了している
デメリット1初期費用と期間がかかる対象範囲を広く取り、全モジュールを一度に入れる範囲を絞って段階的に入れる
デメリット2業務をERPの標準に合わせる必要がある独自の商習慣・帳票・例外処理が多い業務が業界の一般的な流れに近い
デメリット3追加開発(アドオン)で費用と保守が膨らむ部門の要望をそのまま受け入れる標準機能に合わせる線引きを先に決める
デメリット4社内の負担(要件決め・テスト・データ準備)兼任の担当者しか置けない業務を知る人を一定期間プロジェクトに割ける
デメリット5特定の製品・ベンダーへの依存アドオンが多く、仕様が文書化されていない標準機能中心で、設計書・データを自社で持つ

この表から読み取れるのは、メリットとデメリットの多くは同じ根っこを持っているということです。標準化のメリットを取るには、業務を合わせるデメリットを受け入れる必要があります。両方を同時に避けようとすると、アドオンが増え、費用だけがかかる結果になりやすくなります。

ERPのメリット5つ:何がどう良くなるのか

メリット1:同じ取引を何度も入力しなくてよくなる

ERPでは、受注を登録すると出荷・売上・請求・仕訳までが同じデータでつながります。販売管理ソフトから会計ソフトへのCSV取込、Excelの在庫表への手入力、請求書の手修正といった作業がなくなります。効果を測るときは、1件の取引が会社の中で何回入力・転記されているかを数えます。

メリット2:経営の数字が早く、1つの出どころから出る

出荷や仕入の登録と同時に仕訳ができるため、月末にまとめて取り込む作業が減ります。得意先別・商品別の粗利や拠点別の在庫金額を、月次決算を待たずに確認できます。「経理の数字と営業の数字が違う」という会議が減るのも、このメリットです。

メリット3:業務が標準化され、担当者に依存しにくくなる

締め処理や請求の計算ルールが、担当者の頭の中やExcelのマクロではなく、システムの設定として残ります。担当者が異動・退職しても処理が止まりにくくなります。ただしこれは、ERPに合わせて業務を整理した場合に限ったメリットです。取引先ごとの特殊な計算をアドオンで作り込むと、ルールは残っても「なぜそうなっているか」を知る人がいなくなり、別の形の属人化が起きます。設定や計算ルールの理由を、運用手順書に一緒に残しておくことが大切です。

メリット4:拠点・事業をまたいで同じ基準で比べられる

拠点ごとに別のシステムやExcelで管理していると、拠点別の損益を比べるたびに集計方法をそろえる作業が発生します。ERPでは勘定科目・品目・取引先のコードが1つになるため、同じ基準で比べられます。M&Aや新拠点の立ち上げで、仕組みを横展開しやすくなる点も見逃せません。

メリット5:内部統制や法令対応を仕組みで支えられる

承認フロー、操作履歴、権限設定をシステムで管理できます。2023年10月に始まったインボイス制度や、2024年1月以降の電子帳簿保存法の電子取引データ保存への対応も、販売管理と会計が同じ仕組みの中にあれば、請求書の様式・税額計算・保存方法をまとめて見直せます。

ERPのデメリット5つ:どこで負担が重くなるのか

デメリット1:初期費用と導入期間がかかる

ライセンス・設定・データ移行・教育の費用に加え、社内の担当者の時間がかかります。クラウド型でも、設定とデータ移行の作業は残ります。費用の見方はERP・基幹システムの費用で、初期費用と5年分の運用費に分けて解説しています。

デメリット2:業務をERPの標準に合わせる必要がある

ERPパッケージは、多くの会社に共通する業務の流れを前提に作られています。取引先ごとに違う締め方、独自の帳票、例外的な値引き処理などは、運用を変えるか、追加開発で対応するかを決める必要があります。現場には「今までのやり方が使えない」という負担として現れます。

デメリット3:アドオンが増えると費用と保守が膨らむ

標準に合わない部分をすべて追加開発で埋めると、初期費用が増えるだけでなく、製品のバージョンアップのたびに改修とテストが必要になります。クラウド型では、追加開発できる範囲そのものが限られていることもあります。判断基準はERPのアドオンとはで詳しく扱っています。

デメリット4:社内の負担が想像以上に大きい

要件を決める会議、テストのシナリオ作りと実施、マスタデータの整理は、発注側にしかできない作業です。IPA「DX動向2025」では、DXを推進する人材の「量」について「やや不足している」「大幅に不足している」と答えた日本企業は合計85.1%で、2023年度調査と同様に大半の企業で不足していました。中小企業では、業務を知る人が日常業務と兼任でプロジェクトに入るのが普通で、ここが一番の制約になります。

デメリット5:特定の製品・ベンダーに依存しやすい

基幹業務のすべてを1つの製品に載せるため、乗り換えの難しさは個別システムより大きくなります。アドオンが多く、仕様が文書化されていない場合は、保守を任せられる会社が限られます。経済産業省の「DXレポート」(2018年)は、既存システムのブラックボックス状態を放置した場合のシナリオとして、維持管理費が高額化しIT予算の9割以上を占める恐れがあると指摘しました。ERPでも作り方を誤れば、同じ構図を自ら作ることになります。

見落とされがちなデメリット:稼働後にかかる手間

比較記事ではあまり触れられませんが、稼働後にも手間がかかります。クラウド型のERPでは、ベンダーが定期的に機能を更新します。更新の内容を確認し、自社の業務や帳票に影響がないかをテストする作業は、利用する側に残ります。オンプレミス型では、サーバーやOS、データベースの保守期限に合わせた更新を自社で計画しなければなりません。

もう1つは、組織や取引の変化に合わせた設定変更です。部署の新設、新しい取引条件、税率や法令の変更があるたびに、マスタや権限、帳票を見直します。「導入して終わり」ではなく、社内に設定を理解している管理者を1人は置く前提で、運用の体制と費用を見積もっておきます。

導入して後悔する会社としない会社の違い:8つの分かれ目

ERPのメリットを取れるかどうかは、製品を選ぶ前の準備で大半が決まります。後悔しない会社とする会社の違いを、8つの分かれ目で比べます。

分かれ目後悔しない会社後悔しやすい会社
1. 目的「月次を締め後5営業日で確定」など数字で決めている「業務効率化」「DX」など言葉だけ
2. 標準に合わせる方針標準機能に合わせることを原則にし、例外を決める基準がある「今のやり方ができること」が前提
3. 決める人業務領域ごとに決裁者がいて、経営が最終判断する会議で決まらず、持ち帰りが続く
4. 範囲効果が大きい業務から段階的に入れる全業務を一度に入れ替える
5. マスタ取引先・品目コードの統一を導入前に始める移行の直前にコードの重複に気づく
6. 社内体制業務を知る人の時間を、計画的にプロジェクトへ割いている担当者が日常業務の合間に対応する
7. 費用の見方5年間の総費用で比べる初期見積の安さで決める
8. 稼働後稼働後の改善と教育の予算・担当を決めている稼働した時点でプロジェクトを解散する

8つのうち、後悔しやすい側に3つ以上当てはまる場合は、製品選定を始める前に構想を固める段階に戻ることをおすすめします。特に2と3は、製品やベンダーを変えても解決しません。経営が決めることだからです。

分かれ目の表の使い方の例

従業員70名、工場1か所の樹脂成形メーカーで、この表を使って確認した場合を考えます。目的は「原価が見えるようにしたい」とだけ決まっていました(1は後悔しやすい側)。標準に合わせる方針は未定で、製造部長は「今の工程表のやり方は変えられない」と話しています(2も後悔しやすい側)。プロジェクトは総務課長が兼任で担当し、最終判断は社長がする予定です(3は後悔しない側、6は後悔しやすい側)。

この時点で後悔しやすい側が3つあり、製品選定の前に戻る段階です。この会社が最初にやるべきことは、「原価が見える」を「製品別の実際原価を翌月10日までに出す」のような数字の目的に直すこと、工程表のどこまでを標準機能に合わせるかを社長と製造部長で決めること、総務課長の時間を週に何時間プロジェクトに割くかを決めることの3つです。

※説明用の例です。

経済産業省が2025年5月に公表した「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」も、ユーザー企業が取るべき対策として、システムの可視化と内製化、上流人材の育成・確保とあわせて「現行踏襲の見直しと標準化」を挙げています。「今のやり方を、新しいシステムでそのまま再現する」発想を改めることが、後悔しないための出発点です。

コンサルタントの現場メモ:この言葉が出たら要注意

要件を決める場で「お客様の要望なので、この処理は変えられません」という言葉が出たら、本当に取引先が求めているのかを確認します。取引先の指定ではなく、過去の担当者が始めた社内の慣習であることも珍しくありません。取引先との約束なのか、社内の慣習なのかを分けるだけで、アドオンの候補は大きく減ります。

逆に、取引先の指定様式の請求書やEDIのように、本当に変えられないものもあります。それらは早めに一覧にし、標準機能で対応できるか、外付けの仕組みで対応するかを先に決めておきます。

試算例:ERPのメリットを時間と金額に直す

ERPのメリットは「効率化」「可視化」といった言葉で語られがちです。社内で導入を判断するには、時間と金額に直す必要があります。従業員120名、本社と物流センターの2拠点を持つ業務用食品の卸売業を例に、試算の手順を示します。

作業現状の時間導入後の想定考え方
受注データの会計への取込・照合月20時間(経理2名)月4時間仕訳が自動で作られ、照合は例外だけになる
在庫表の手入力・拠点間の突合せ月40時間(倉庫3名)月10時間入出庫登録と在庫が連動し、突合せは棚卸差異だけ
得意先別・商品別の粗利集計月16時間(営業管理1名)月2時間標準のレポートで出せる範囲に絞る
請求書の作成・修正月24時間(営業事務3名)月8時間締め日ごとの一括発行。手修正は特殊な取引先だけ
合計月100時間月24時間差は月76時間、年912時間

※説明用の例です。時間は仮の数字で、実際の効果は現行の運用・取引パターン・導入範囲によって変わります。

年912時間に、社内の時間単価を掛けると金額の目安になります。仮に1時間あたりの人件費を3,000円と置けば、年約274万円です。ここで大事なのは、この金額を5年分の総費用と比べることです。時間の削減だけで元が取れないことは珍しくありません。その場合は、次のような「時間に直しにくい効果」をどこまで評価するかを経営が判断します。

  • 月次決算が早まり、値上げや仕入先変更の判断が1か月早くなる
  • 在庫差異が拠点ごとに日次で分かり、廃棄や欠品が減る
  • 担当者が辞めても締め処理が止まらない
  • 新しい拠点を出すときに、同じ仕組みをそのまま使える

現状の時間はどう数えるか

試算の精度は、現状の時間をどう数えるかで決まります。担当者に「月に何時間くらいですか」と聞くだけでは、少なめにも多めにもぶれます。次のやり方で数えると、社内で説明しやすい数字になります。

  • 締め月を含む2週間に絞って、対象の作業にかかった時間を担当者ごとに記録してもらう
  • 作業を「入力」「転記・取込」「照合・突合せ」「修正・問い合わせ対応」に分けて記録する
  • 月末・月初に集中する作業は、通常の週と分けて数える
  • 記録できた作業だけで試算し、推測で数字を足さない

ERPで減りやすいのは「転記・取込」と「照合・突合せ」です。「入力」は減っても半分程度、「修正・問い合わせ対応」は運用ルールを変えない限り残ると見ておくと、過大な見積もりを避けられます。

試算の段階で大切なのは、効果を大きく見せることではなく、何が効果の前提になっているかを明らかにすることです。上の例なら「請求書の手修正は特殊な取引先だけにする」が前提です。この前提が崩れれば、効果も小さくなります。

ERP導入で後悔する6つのパターンと予防策

ERPを導入した会社が後悔する理由は、ある程度パターンが決まっています。症状・原因・予防策の順に並べます。

パターン1:稼働後もExcelが減らない
NGERPの標準レポートが現場の見たい形と違い、データを出してExcelで加工し直している。結局、Excelが原本になっている。
OK要件定義の段階で、会議で使う帳票・管理資料を一覧にし、標準レポートで出すもの、BIツールで作るもの、廃止するものに分けておく。

原因は、入力側の業務だけを要件にして、出力側(誰がどの数字を見るか)を決めていないことです。

パターン2:アドオンが膨らみ、バージョンアップできない
NG部門の要望をすべて追加開発で受け入れた結果、製品の更新のたびに改修費がかかり、古いバージョンのまま使い続けている。
OK「標準に合わせる」を原則にし、アドオンは売上や法令に直結するものに限る基準を決めて、ステアリングコミッティで1件ずつ判断する。

原因は、追加開発の判断を現場の担当者とベンダーの間で済ませていることです。

残りの4つは、原因と予防策を短くまとめます。

  • パターン3:稼働直前に数字が合わず延期。原因は、データ移行とマスタ整理を後回しにしたこと。予防策は、要件定義と並行してコードの統一と移行リハーサルの計画を始めること。
  • パターン4:現場が使わず、紙と並行運用が続く。原因は、テストと教育に現場の担当者が参加していないこと。予防策は、受入テストのシナリオを現場の担当者と一緒に作ること。
  • パターン5:見積もりの数倍の費用がかかる。原因は、要件が曖昧なまま契約し、追加要件が続くこと。予防策は、対象外の業務まで書いた要件定義書とRFPで見積もりの前提をそろえること。
  • パターン6:導入した人がいなくなり、誰も設定を分からない。原因は、設定内容や運用ルールが文書になっていないこと。予防策は、設計書・設定一覧・運用手順を納品物に含め、社内に管理者を置くこと。

要件の書き方は要件定義書の書き方、見積もりの前提をそろえる方法はRFPの書き方で解説しています。公表されている失敗事例をもとにした原因の分析はERP導入の失敗パターンも参考にしてください。

IPAの「ユーザのための要件定義ガイド 第2版」も、システム開発の遅延の過半は要件定義の失敗にあると言われていると紹介し、業務部門のユーザーが主体的に関わる必要性を説いています。6つのパターンの多くは、要件定義の段階で発注側が決めるべきことを決めていないことから始まっています。

デメリットを小さくするERP導入の進め方

ERPのデメリットは、なくすことはできませんが小さくすることはできます。次の順番で進めると、費用と社内負担の膨らみを抑えやすくなります。

  1. 目的と効果の前提を決める
    前章の試算のように、効果を時間と金額に直し、その前提(どの運用を変えるか)を経営と確認します。
  2. 範囲を絞る
    二重入力と転記が多い業務から始めます。販売・在庫・会計を先に、生産・人事はあとから、という段階導入も選択肢です。
  3. 標準に合わせる基準を決める
    「法令・取引先との契約・売上に直結するもの以外は標準に合わせる」など、アドオンを判断する基準を文書にします。
  4. マスタとデータ移行を早めに始める
    取引先・品目コードの重複と表記ゆれを、製品が決まる前から整理します。
  5. 5年総費用で比べて選ぶ
    初期費用だけでなく、ライセンス・保守・アドオンの改修・社内工数を含めて比較します。
  6. 稼働後の改善まで計画する
    稼働後3〜6か月の問い合わせ対応、追加教育、レポートの改善に、担当と予算を残しておきます。

このうち1〜3は、製品やベンダーが決まる前に社内だけで進められます。ここを固めてからベンダーに相談すると、提案の比較がしやすくなり、見積もりの前提も各社でそろいます。全体の手順は基幹システム導入の進め方で詳しく紹介しています。

ERP導入を決める前の10のチェックリスト

  • 刷新の目的が1〜3個に絞られ、数字で測れる形になっている
  • 同じ取引が社内で何回入力・転記されているかを数えた
  • メリットを時間と金額に直し、その前提条件を書き出した
  • 標準機能に合わせることを原則にし、例外を判断する基準がある
  • 取引先の指定で変えられない業務(請求書様式・EDIなど)を一覧にした
  • 業務領域ごとの決裁者と、最終判断をする経営者が決まっている
  • 業務を知る担当者の時間を、プロジェクトにどれだけ割けるか決めた
  • 取引先・品目コードの重複や表記ゆれを把握している
  • 5年間の総費用(ライセンス・保守・改修・社内工数)で予算の上限を置いた
  • 稼働後の改善・教育の担当と予算を確保している

よくある質問

ERPのデメリットで一番大きいものは何ですか?

費用より、業務をERPの標準に合わせる負担の方が大きくなりやすいです。合わせられない部分を追加開発で埋めると、初期費用だけでなく、更新のたびに改修費がかかります。どこまで合わせるかを導入前に経営が決めておくと、このデメリットは小さくできます。

中小企業でもERPのメリットは出ますか?

出ます。ただし従業員数より、同じ取引を何度も入力しているか、拠点が複数あるか、月次決算に時間がかかっているかで効果の大きさが決まります。取引パターンが単純で拠点が1つなら、会計ソフトと販売管理ソフトの連携で足りる場合もあります。

ERPを入れずに、今のシステムを改善する方がよい場合は?

現行システムの保守が当面続けられ、困っている業務が一部に限られる場合です。たとえば請求書の作成だけが負担なら、請求の仕組みだけを見直す方が早く安く済みます。判断に迷うときは、5年間の総費用と、今後の事業計画(拠点・事業の拡大)を並べて比べます。

導入後に後悔しないために、最初にやることは何ですか?

刷新の目的を数字で決め、標準機能に合わせる方針を経営として決めることです。製品のデモを見る前にこの2つが決まっていると、製品比較の軸がぶれず、追加開発も抑えやすくなります。

クラウドERPならデメリットは小さくなりますか?

サーバーの購入や保守、バージョンアップ作業の負担は小さくなります。一方で、追加開発できる範囲が限られる製品が多く、業務を標準に合わせる必要性はむしろ高まります。定期的な機能更新への対応も必要です。初期費用は抑えやすくなりますが、利用料が続くため、5年間の総費用で比べることが欠かせません。

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まとめ

ERPのメリット・デメリットは表裏一体です。データの一元化と標準化のメリットを取るには、業務をERPに合わせる負担を受け入れる必要があります。両方を避けようとするとアドオンが増え、費用と保守の負担だけが残ります。

導入して後悔しない会社は、目的を数字で決め、標準に合わせる方針と決める人を先に決めています。メリットを時間と金額に直し、その前提となる運用の変更まで社内で合意してから製品を選ぶと、ERPのデメリットは小さくできます。

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この記事の執筆・編集:基幹システム構築支援 編集部(株式会社Digital&)

中小企業の基幹システムの構想策定から導入・定着までを支援する「基幹システム構築支援」の編集部です。記事は、大手コンサルティングファーム出身/基幹システム刷新・業務改革の実務経験を持つ専門家の監修のもと、実務で得た知見と公的な資料をもとに作成しています。