建設工事のバーチャート工程表は、Excelの条件付き書式を使えば、開始日と日数を入れるだけで横棒が自動で塗られる形にできます。手で塗りつぶす方式より、工程変更のたびに塗り直す手間がなくなります。
必要な関数は、終了日を出す「WORKDAY.INTL」と、横棒を塗る判定式「AND」の2つが中心です。どちらもExcelの標準機能なので、追加のソフトは要りません。Googleスプレッドシートでもほぼ同じ手順で作れます。
この記事では、白紙のシートからバーチャート工程表テンプレートを作る手順を、セル番地と数式つきで説明します。後半では、生成AIで工程のたたき台を作る方法と、工程変更のときに日程を引き直す方法も紹介します。工程表の種類や書き方の基本は工程表とは?種類と書き方で解説しています。
この記事でわかること
- バーチャート工程表テンプレートのシート構成(どの列に何を入れるか)
- 休日を除いて終了日を自動計算する数式
- 条件付き書式で横棒・休日・今日の線を自動で塗る手順
- 予定と実績を上下2段で管理する方法
- AIで工程のたたき台を作り、変更時に引き直す方法
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Excelで作るバーチャート工程表の完成イメージ
まず、完成形をイメージしておきます。左側に作業の情報、右側に日付のマス目を並べます。開始日と日数を入れると、右側のマス目に横棒が自動で表示されます。
シートの列構成
| 列 | 項目 | 入れる内容 | 入力方法 |
|---|---|---|---|
| A | No | 作業の番号 | 手入力 |
| B | 作業名 | 足場組立、外壁塗装など | 手入力 |
| C | 区分 | 「予定」または「実績」 | 手入力(リストから選ぶと便利) |
| D | 開始日 | 作業を始める日 | 手入力 |
| E | 日数 | 作業日の数(休日を除く) | 手入力 |
| F | 終了日 | 休日を除いた終了日 | 数式で自動計算 |
| G | 担当・協力会社 | ○○塗装など | 手入力 |
| H列〜 | 日付のマス目 | 1列=1日 | 数式で自動表示 |
行は、1行目にタイトル、2行目に「月」、3行目に「日付」、4行目に「曜日」を置きます。5行目から作業を入れます。1つの作業につき「予定」と「実績」の2行を使います。
予定の下に実績を並べる形は、公共工事の工程管理でも使われます。九州地方整備局の「土木工事施工管理の手引き」では、計画工程の下段に赤書きで実施工程を記入し、対比するとしています。
用意するもの
- Excel(WORKDAY.INTL関数が使えるバージョン)またはGoogleスプレッドシート
- 作業の一覧と日数(協力会社への確認済みのもの)
- 祝日の一覧(内閣府が「国民の祝日」のCSVを公開しています)
- 会社の休日カレンダー(年末年始、夏季休暇など)
手順1:日付の見出しを自動で作る
日付の見出しを数式で作っておくと、着工日を変えるだけで全体がずれて表示されます。
- 基準日を入れるセルD2に「工程表の開始日」(例:2026/11/2)を入れます。
- 最初の日付を作るセルH3に「=$D$2」と入れます。
- 翌日以降を作るセルI3に「=H3+1」と入れ、右へ必要な日数分(例:120列)コピーします。
- 日だけ表示する3行目の表示形式を「ユーザー定義」で「d」にします。列幅は3前後に狭めます。
- 曜日を出すセルH4に「=TEXT(H3,”aaa”)」と入れて右へコピーします。「月」「火」のように表示されます。
- 月を出すセルH2に「=IF(OR(COLUMN()=8,DAY(H3)=1),TEXT(H3,”m月”),””)」と入れて右へコピーします。最初の列と毎月1日だけ月が表示されます。
表示タブの「ウィンドウ枠の固定」で、H5セルを基準に固定します。右や下にスクロールしても、作業名と日付が見えたままになります。
手順2:休日を除いて終了日を自動計算する
工程表では「日数」を作業日で数えることが多いです。土日や祝日をはさむと、カレンダー上の終了日は後ろにずれます。これを自動で計算するのがWORKDAY.INTL関数です。
祝日シートを用意する
- シートを追加するシート名を「祝日」にします。
- 日付を貼り付けるA列に祝日と会社の休日(年末年始など)の日付を縦に並べます。
- 名前を付けるA列の範囲を選び、名前ボックスに「祝日」と入力します。数式から「祝日」という名前で参照できます。
終了日の数式
セルF5に次の数式を入れ、下へコピーします。
F5セルの数式:=IF(OR(D5=””,E5=””),””,WORKDAY.INTL(D5,E5-1,”0000011″,祝日))
WORKDAY.INTLは「開始日から指定した作業日数だけ進めた日付」を返す関数です。開始日を1日目として数えるため、日数から1を引いています。表示形式は日付にしてください。
休日の指定(週末引数)の使い分け
| 現場の休み方 | 週末引数 | 意味 |
|---|---|---|
| 土日休み(週休2日) | “0000011” または 1 | 土曜・日曜を休日として除く |
| 日曜のみ休み | “0000001” または 11 | 日曜だけを休日として除く |
| 休工日を個別に決める | “0000000”+祝日シート | 曜日では除かず、祝日シートの日付だけ除く |
週末引数の文字列は、月曜から日曜までの7文字です。「1」が休日、「0」が稼働日を表します。例えば「0000011」は土日が休日です。第2・第4土曜のように不規則な休みは、祝日シートに日付を足して対応します。
週休2日を工程に組み込む考え方は、4週8休の進め方と工程の見直しで詳しく説明しています。
手順3:条件付き書式で横棒を自動で塗る
ここが工程表テンプレートの中心です。「その列の日付が、開始日から終了日の間なら色を塗る」というルールを、条件付き書式で設定します。
- 範囲を選ぶ日付のマス目全体(例:H5からDW200)を選びます。左上がH5になるように選ぶのがポイントです。
- ルールを作るホームタブの「条件付き書式」から「新しいルール」を開き、「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選びます。
- 予定の数式を入れる「=AND($C5=”予定”,H$3>=$D5,H$3<=$F5)」と入れ、書式で塗りつぶしを青系にします。
- 実績のルールを追加する同じ範囲に「=AND($C5=”実績”,H$3>=$D5,H$3<=$F5)」のルールを作り、赤やオレンジ系にします。
- 休日の色を追加する「=OR(WEEKDAY(H$3)=1,COUNTIF(祝日,H$3)>0)」で薄いグレーにします。日曜と祝日シートの日付が対象です。土曜も休みの現場は、OR( )の中に「WEEKDAY(H$3)=7」を足します。
- 今日の線を追加する「=H$3=TODAY()」で、左右の罫線を赤にします。今日がどこか、ひと目でわかります。
「$」の付け方が一番のつまずきポイント
条件付き書式の数式は、選んだ範囲の左上のセル(H5)を基準に書きます。「$」を付けた部分は固定され、付けない部分は各セルに合わせてずれます。
- H$3:日付は3行目に固定。列は右へずれる
- $D5・$F5:開始日と終了日はD列・F列に固定。行は下へずれる
- $C5:区分(予定・実績)はC列に固定
「$」を付け忘れると、横棒がずれたり、全部塗られたりします。うまく塗られないときは、まずここを確認してください。
ルールの順番を整える
複数のルールは、「ルールの管理」画面の上にあるものから優先されます。休日のグレーを横棒より上に置くと、休日は横棒の上でもグレーで表示されます。横棒を途切れず見せたい場合は、休日ルールを下に移します。
手順4:進捗率と使いやすさの工夫
基本の工程表ができたら、現場で使いやすくする工夫を足します。
進捗率の列を足す
G列の右に「進捗率」の列を足し、予定行に0〜100%を入れます。全体の出来高を確認したい場合は、工事費や数量で重み付けして合計します。曲線式(出来高曲線)との併用については工程表の種類の比較を参考にしてください。
入力ミスを防ぐ
- C列の区分は「データの入力規則」でリスト(予定,実績)にします。
- E列の日数は、1以上の整数だけ入るように入力規則を設定します。
- 開始日が空欄の行は、F列が空欄のまま表示されます(数式のIFで処理済み)。
作業の追加・並べ替え
行を挿入するときは、既存の行を2行(予定・実績)まとめてコピーして挿入します。数式と条件付き書式が引き継がれます。
Googleスプレッドシートで作る場合
Googleスプレッドシートでも、WORKDAY.INTLと同じ数式が使えます。条件付き書式は「表示形式」メニューの「条件付き書式」から、「カスタム数式」を選んで入力します。Googleのヘルプでは、条件付き書式の数式で別のシートを参照するにはINDIRECT関数を使うよう案内されています。休日の判定は「=COUNTIF(INDIRECT(“祝日!A:A”),H$3)>0」のように書きます。
スプレッドシートにすると、事務所と現場で同じ工程表を同時に見られます。共有範囲の設定には注意してください。
AIで工程のたたき台と変更時の引き直しをする方法
テンプレートができても、「作業の洗い出し」と「日数の見込み」は人の仕事として残ります。ここは生成AI(ChatGPTやClaudeなど)に下書きさせると早く進みます。
使い方1:作業一覧と日数のたたき台を作る
工事の条件を渡し、テンプレートの列(作業名・日数・先行作業)に合わせた表を出させます。出力をそのままExcelに貼り付けられる形式にするのがコツです。
コピーして使えるプロンプト
あなたは建設会社の工務担当です。次の工事の工程表のたたき台を作ってください。 【工事名】:【例:○○邸 木造2階建て新築工事】 【工事内容】:【例:基礎、建方、屋根、外装、内装、設備】 【着工日】:【例:2026/11/2】 【休日】:【例:日曜・祝日、12/29〜1/4】 【決まっている日】:【例:上棟は12/5で確定】 出力ルール: ・Excelに貼り付けられるよう、タブ区切りで出す ・列は「No、作業名、区分、開始日、日数」の順 ・区分はすべて「予定」とする ・日数は休日を除いた作業日で数える ・日数の根拠が弱いものは作業名の後ろに【要確認】を付ける ・準備工、検査、後片付けも入れる ・最後に、確認が必要な事項を箇条書きで出す
出力イメージ(例)
1 準備工・地縄張り 予定 2026/11/2 2 2 基礎工事【要確認】 予定 2026/11/4 15 3 土台敷き 予定 2026/11/21 2 4 建方・上棟 予定 2026/12/5 2 … 確認が必要な事項: ・基礎の養生期間を何日取るか ・上棟日前後の天候予備日
※出力はイメージです。日数・日付はAIが仮に置いたもので、実際の工事にそのまま使えません。
使い方2:工程変更のときに日程を引き直す
雨天や材料の遅れで工程が変わったら、Excelの表をコピーしてAIに渡します。影響する作業と新しい開始日を出させ、D列(開始日)だけを書き換えます。終了日と横棒は数式で自動的に更新されます。
コピーして使えるプロンプト
次の工程表(タブ区切り)について、工程変更の影響を整理してください。 【変更内容】:【例:No.5 外壁下地が雨天で3日遅れた】 【休日】:【例:日曜・祝日】 【守りたい日】:【例:足場解体は1/20まで】 工程表: 【ここにExcelの表を貼り付け】 出力ルール: 1. 影響を受ける作業のNoと理由 2. 変更後の開始日の案(表形式) 3. 守りたい日に間に合わない場合の対策案を2つ 4. 協力会社への日程変更の連絡文(200字程度)
AIに数式そのものを作らせることもできます。「H5から右の範囲で、開始日から終了日の間を塗る条件付き書式の数式を作って」と頼むと、式の案と説明が返ってきます。Excel作業の自動化の例は建設業のExcel作業をAIで自動化にまとめています。
AIにできないこと・人が確認すること
- 曜日や祝日の日付を取り違えることがあります。日付は必ずExcelの計算結果で確かめます。
- 自社や協力会社の実際の歩掛り・人員は、AIは知りません。
- 発注者との協議事項や近隣との約束は、入力しない限り反映されません。
- 工程の決定と、協力会社・発注者との合意は人が行います。
注意
発注者や元請が工程表の様式・作成方法を指定している場合は、その指定が優先です。公共工事では、発注者の様式や最新の仕様書を確認してください。この記事の数値・日付・工程はすべて説明用の例です。AIの出力は下書きとして扱い、最終確認は人が行ってください。工事名や個人名など、社外に出せない情報をAIに入力する際は社内ルールに従ってください。
工程表テンプレートの完成チェックリスト
- D2の開始日を変えると、日付の見出しがすべてずれる
- 祝日シートに今年と来年の祝日、会社の休日を入れた
- F列の終了日が、休日を除いた日付になっている
- 予定は青、実績は赤など、色で区別できる
- 日曜・祝日がグレーで表示される
- 今日の列に赤い線が出る
- 行を追加しても、横棒が正しく塗られる
- 印刷したとき、作業名と日付が各ページに出る
- 協力会社に配る版と、社内用の版を分けるか決めた
工程表とあわせて提出する施工計画書の書き方は施工計画書とは?書き方と記載項目、日々の実績の記録には作業日報テンプレートと書き方もご覧ください。
工程表テンプレート(Excel)に関するよくある質問
Excelで工程表を作るのにマクロは必要ですか?
必要ありません。この記事の方法は、WORKDAY.INTL関数と条件付き書式だけで作れます。マクロを使わないので、社内のセキュリティ設定でも使いやすい形です。
横棒がずれて表示されるのはなぜですか?
条件付き書式の数式の「$」の付け方が原因のことが多いです。日付はH$3のように行を固定し、開始日と終了日は$D5、$F5のように列を固定します。また、範囲を選ぶときに左上のセルがH5になっているか確認してください。
土曜は隔週で稼働する場合はどうすればよいですか?
週末引数を日曜のみ休み(”0000001″)にし、休む土曜日の日付を祝日シートに追加します。こうすると、決めた土曜だけが休日として除かれます。
Googleスプレッドシートでも同じ工程表を作れますか?
作れます。WORKDAY.INTLと条件付き書式の「カスタム数式」が使えます。別シートの祝日一覧を参照する場合は、INDIRECT関数を使います。
工程表の日数はカレンダーの日数と作業日のどちらで数えますか?
社内でどちらかに統一すれば問題ありません。この記事のテンプレートは作業日で数え、終了日を休日を除いて計算します。発注者の様式に指定がある場合は、その指定に合わせてください。
工程表をAIに全部作ってもらえますか?
作業の一覧や日数のたたき台はAIで作れます。ただし歩掛りや現場条件、休日の日付を誤ることがあるため、人が確認して仕上げる前提で使ってください。
まとめ
- Excelのバーチャート工程表は、WORKDAY.INTLと条件付き書式で自動化できます。
- 横棒の数式は「=AND($C5=”予定”,H$3>=$D5,H$3<=$F5)」が基本です。「$」の位置に注意します。
- 祝日シートに名前を付けると、休日を除いた終了日の計算と、休日の色付けが同時にできます。
- 予定と実績を上下2段で並べると、遅れがひと目でわかります。
- 作業の洗い出しと変更時の引き直しはAIで下書きし、人が確認して確定します。
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