ECサイト補助金の選び方|2026年の3制度の補助額と申請の流れ
INDEX目次
自社ECに補助金を使いたいが、どの制度が当てはまるのか判断できないという地方メーカーは少なくありません。2026年10月時点で、自社ECの構築費に充てやすいのは小規模事業者持続化補助金で、受発注や在庫管理の効率化にはデジタル化・AI導入補助金が向いていると考えられます。本記事では、3つの制度の補助額と対象経費、申請から販売開始までの流れ、補助金を使ったあとの売り方までを整理します。
この記事でわかること
- 補助金の前提(後払い・審査あり・交付決定前の発注は対象外)
- 2026年10月時点で押さえる3制度の補助額と対象経費
- 事業の段階別に制度を選ぶ判断フロー
- 持続化補助金を使う場合のスケジュールと自己負担の計算例
- 交付決定前の着手など、よくある失敗と申請前のチェックリスト
補助金を使うかどうかも含めて、自社ECの進め方を一度整理したい場合はご相談ください。ものがたりコマースでは、補助金の活用を含めたEC事業の立ち上げから運用まで、伴走してご支援しています。
ECサイト補助金とは|「サイト代を出す制度」ではなく「販路を広げる計画」を支える制度

ECサイト補助金という名前の単独の制度はありません。国や自治体の補助金のうち、ECサイトの構築費やEC運営に使うシステムの導入費を補助対象経費として認めているものを、まとめてそう呼んでいます。
ここで押さえておきたいのは、どの制度も「ECサイトを作ること」そのものではなく、「販路を広げて売上や生産性を上げる計画」にお金を出している点です。この前提がずれると、申請書の書き方も、制度の選び方もずれていきます。
補助金は「後払い・審査あり・交付決定前の発注は対象外」
補助金を検討する前に、3つの仕組みを理解しておく必要があります。どれも、資金計画とスケジュールに直結する話です。
- 後払い:制作費や広告費はいったん自社で全額を支払い、実績報告と確定検査のあとに補助金が振り込まれます
- 審査あり:要件を満たしても、審査の結果によって不採択や減額になる場合があります
- 交付決定前の発注は対象外:採択通知が届いただけでは契約できず、「交付決定通知書」に書かれた日以降の発注・契約・支払いだけが対象です
小規模事業者持続化補助金の公募要領でも、補助事業の遂行には自己負担が必要で補助金は後払いであること、交付決定日より前の発注・契約・支出は補助対象外であることが明記されています(出典:小規模事業者持続化補助金事務局「小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(第8版)」p.1・p.24, 2026年)。
たとえば、制作会社から「年内に着手すれば春の商戦に間に合う」と言われて先に契約してしまうと、その費用は補助の対象から外れます。補助金を使う場合は、交付決定の日を起点に制作スケジュールを逆算することが、最初の分かれ目になります。
2026年10月時点で押さえる3つの制度の全体像
地方メーカーが自社ECに関連して検討しやすい国の制度は、次の3つです。用途がそれぞれ違うため、まず「何にお金を使いたいのか」で当たりをつけます。

| 制度 | EC関連で主に使える用途 | 補助上限 | 補助率 | 直近の締切 |
|---|---|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠) | ECサイト構築を含む販路開拓 | 50万円(特例の上乗せで最大250万円) | 2/3(賃金引上げ特例の赤字事業者は3/4) | 第20回:2026年12月15日17:00 |
| デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠) | 登録済みITツールの導入(受発注・在庫・顧客管理など) | 5万円〜150万円未満(1プロセス以上)、150万円〜450万円(4プロセス以上) | 1/2以内(条件により2/3以内) | 6次:2026年10月30日17:00 |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 新製品・新市場への進出、輸出体制の強化に伴う設備投資 | 枠と従業員規模に応じて750万円〜7,000万円 | 枠により1/2〜2/3 | 第1回:2026年10月30日18:00 |
出典:小規模事業者持続化補助金事務局「第20回公募 公募要領(第8版)」p.3・p.7、中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)」p.16、デジタル化・AI導入補助金2026「事業スケジュール」、独立行政法人中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)」p.6〜9(いずれも2026年)
ECサイトの構築費に直接充てやすいのは持続化補助金、EC運営の裏側の効率化にはデジタル化・AI導入補助金、という役割分担で考えると整理しやすくなります。なお、事業再構築補助金は新規の公募を終えているため、最新の検討対象からは外して構いません。

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持続化補助金は、従業員20人以下の製造業など、小規模事業者が経営計画に沿って行う販路開拓を支える制度です。ECサイトの開発・構築費は「ウェブサイト関連費」として補助対象に含まれており、地方メーカーにとって最も現実的な選択肢になりやすい制度です。
対象になる事業者と補助額
対象は、常時使用する従業員が製造業その他で20人以下、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)で5人以下の小規模事業者です。会社役員や同居の親族従業員は、この人数に含まれません。補助上限は50万円で、インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円、両方を満たすと200万円が上乗せされます(出典:小規模事業者持続化補助金事務局「第20回公募 公募要領(第8版)」p.4・p.7, 2026年)。
水産加工のメーカーであれば、加点の仕組みも確認しておきたいところです。第20回公募では、ALPS処理水の処分に伴う風評影響を受けて新たな販路開拓に取り組む、北海道から千葉県までの太平洋沿岸部に所在する水産仲買業者・水産加工業者が「東日本大震災加点」の対象になっています。また、地域資源を活用して地域外へ販売する計画は「地方創生型加点(地域資源型)」の対象です(出典:同 公募要領 p.34・p.36, 2026年)。
たとえば、宮城県沿岸で干物や加工品をつくり、これまで地元の土産物店と楽天への出店で売ってきた会社が、首都圏の個人客に直接届ける自社ECを立ち上げる計画は、こうした加点の趣旨と重なります。従業員20人以下の地方メーカーであれば、まず持続化補助金から検討するのが現実的です。
ウェブサイト関連費は「上限30万円・単独申請不可」
第20回公募で最も注意したいのが、ウェブサイト関連費の扱いです。ECサイトの開発・構築・更新・改修・運用の費用はこの経費区分に入りますが、ウェブサイト関連費だけでは申請できず、補助金交付申請額の上限は30万円(税込)とされています(出典:小規模事業者持続化補助金事務局「第20回公募 公募要領(第8版)」p.14, 2026年)。
以前の公募回を前提にした解説では上限の考え方が異なる場合があるため、申請する回の公募要領で確認してください。
ECサイトに関連する費用のうち、公募要領で対象・対象外とされている主な例は次のとおりです。
- 対象の例:商品販売のためのウェブサイト作成や更新、掲載する宣材写真の制作、商品を販売するための画像・動画の作成、効果や作業内容が明確なSEO対策
- 対象外の例:既に導入しているソフトウェアの更新料、補助事業期間内に運用に至らなかったホームページ・ランディングページ
一方で、第20回ではインターネット広告やSNS広告が「広報費」の対象として例示されています(上限30万円・単独申請不可、出典:同 公募要領 p.13)。サイトの構築費だけでなく、公開後に人を呼ぶ広告費や展示会出展費と組み合わせて計画を組むことが、この制度の使い方の基本になります。
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)でEC運営を効率化する場合

デジタル化・AI導入補助金は、2026年から「IT導入補助金」の名称を改めた制度です。「IT導入補助金 ecサイト」で調べて、ECサイトの制作費に使えると考える方もいますが、対象の考え方は持続化補助金とかなり違います。
対象は「事務局に登録されたITツール」に限られる
この補助金の補助対象経費は、IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用です。申請もIT導入支援事業者と共同で行う仕組みで、市販のソフトウェアやサービスなら何でも対象になるわけではありません(出典:中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)」p.4・p.14, 2026年)。
通常枠では、ソフトウェアが「顧客対応・販売支援」「決済・債権債務・資金回収」「供給・在庫・物流」などの業務プロセスを1つ以上持っている必要があります。補助額は1プロセス以上で5万円〜150万円未満、4プロセス以上で150万円〜450万円以下、補助率は原則1/2以内です(出典:同 公募要領 p.14〜16)。
そのため、自社のデザインでECサイトを一からつくる制作費を、この補助金で自由にまかなうことは難しいと考えられます。導入したいツールが登録されているかを、申請前に「ITツール検索」で確認することが出発点です。
受発注・在庫・顧客管理など「EC運営の裏側」に効く
EC事業でこの補助金が力を発揮しやすいのは、注文が増えたあとに出てくる裏側の業務です。楽天と自社ECの在庫を手作業で合わせている、贈答品の注文をFAXと電話で受けて手書きで伝票を作っている、といった場合は、次のようなツールが導入の候補になります。
- 複数の売り場の受注と在庫をまとめて管理するシステム
- インボイスに対応した受発注・会計ソフト
- 購入履歴をもとに顧客を分析し、販促につなげるCRM
ただし、2026年10月9日に公表された第7次公募回以降の公募要領では、1人当たり給与支給総額の向上に関する申請要件が追加されています。150万円以上を申請する場合は、1人当たり給与支給総額の引上げに加えて、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にする計画も申請要件となり、未達の場合は補助金の返還を求められることがあります(出典:同 公募要領 p.8〜11, 2026年)。
現在受付中の6次締切は2026年10月30日17:00で、交付決定は12月10日の予定です。7次締切以降の日程は事務局サイトで順次公表されます。賃上げの計画まで含めて実行できるかを、申請の前に社内で決めておく必要があります。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は「EC化」だけでは対象になりにくい

「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は、2026年度に新設された補助金です。従来の「中小企業新事業進出補助金」や「ものづくり補助金」とは別の制度として公募されているため、過去の公募要領と混同しないよう注意が必要です。補助額が大きいぶん、目的と要件もはっきりしています。
3つの枠と補助上限
第1回公募では、次の3つの枠が設けられています。応募締切は2026年10月30日18:00です(出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)」p.6〜9, 2026年)。
- 革新的新製品・サービス枠:従業員規模に応じて上限750万円〜2,500万円。補助率は中小企業1/2、小規模事業者・再生事業者2/3
- 新事業進出枠:上限2,500万円〜7,000万円。補助率1/2(地域別最低賃金引上げ特例の適用時は2/3)
- グローバル枠:上限2,500万円〜7,000万円。補助率2/3
どの枠も、技術的な革新性のある製品・サービスの開発、既存事業とは異なる新市場への進出、輸出に向けた国内体制の強化に伴う「設備投資」を支援するものです(出典:中小企業庁「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募要領を公開しました」, 2026年)。既存商品をネットで売り始めるだけの計画は、この補助金の趣旨とは合いにくいと考えられます。
EC事業者が検討できるのは「新商品+設備投資+新しい売り先」がそろう場合
この補助金が視野に入るのは、ECが計画の一部にすぎない場合です。たとえば、新しい加工設備を入れて常温保存できる新商品を開発し、首都圏の個人客や海外の飲食店に向けて直販する、といった計画が考えられます。
この場合、ECサイトは「新商品を届ける売り場」として計画に入りますが、審査の中心は設備投資と新事業そのものです。数千万円規模の事業費を後払いで立て替える資金計画や、数年にわたる付加価値額・賃金の目標も求められます。
専任の担当者がいない会社が、ECの立ち上げだけを目的にこの補助金を選ぶのは負担が大きいと考えられます。まずは持続化補助金で自社ECを立ち上げ、売れる手応えを確かめてから大きな投資を検討する、という順番のほうが無理がありません。
ECサイト補助金の選び方|事業の段階別の判断フロー

3つの制度は、どれが優れているかではなく、事業の段階と使い道で選ぶものです。自社の状況を次の分岐に当てはめてみてください。
- 自社ECをこれから立ち上げたい、またはリニューアルしたい → 従業員20人以下(製造業)なら小規模事業者持続化補助金を検討
- 自社ECやモールの注文は入っているが、受注・在庫・発送の手作業が限界 → デジタル化・AI導入補助金で登録ツールの導入を検討
- 新商品の開発や輸出に向けた設備投資を計画しており、ECはその売り場の一つ → 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金を検討
- 国の制度の要件に合わない、または少額で早く始めたい → 都道府県・市町村の独自制度を確認
自治体の制度は、ECサイトの開設費やモールへの出店費を対象にしたものもあり、地域ごとに内容が大きく違います。中小機構が運営するJ-Net21「支援情報ヘッドライン」で、地域と分野を絞って探すと効率よく見つけられます。補助金以外の論点も含めて全体を見渡したい場合は、補助金・制度に関する記事一覧もあわせてご覧ください。
どの制度が自社に合うか判断がつかない場合は、計画の段階からご相談いただけます。ものがたりコマースでは、補助金の活用を含めたEC事業の立ち上げから運用まで、伴走してご支援しています。
持続化補助金を使った場合のスケジュールと費用の目安

ここでは、持続化補助金の第20回公募を使って自社ECを立ち上げる場合を例に、時間とお金の流れを具体的に示します。
申請から販売開始までのスケジュール
第20回公募の日程は次のとおりです。ECサイトの制作を始められるのは交付決定後なので、実際に販売を始めるのは2027年の春以降になると考えられます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2026年10月〜 | GビズIDプライムの取得(書類で申請する場合は審査に時間がかかる)、経営計画の検討、制作会社からの見積取得 |
| 2026年11月5日 | 申請受付開始 |
| 2026年12月4日 | 商工会・商工会議所への事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 |
| 2026年12月15日17:00 | 申請受付締切 |
| 2027年3月頃 | 採択発表(予定) |
| 採択から概ね1〜2か月 | 見積書の提出を経て交付決定。ここから制作会社と契約・制作開始 |
| 2028年3月31日まで | ECサイト公開、広告・展示会などの実施、支払い完了 |
| 2028年4月10日まで | 実績報告書の提出(事業終了から30日以内のほうが早ければその日まで) |
| 事業終了から1年後 | 事業効果および賃金引上げ等状況報告の提出 |
出典:小規模事業者持続化補助金事務局「第20回公募 公募要領(第8版)」p.3・p.23・p.24, 2026年
様式4の発行受付締切は申請締切より11日早く、ここを逃すと申請できません。商工会・商工会議所との面談や計画の確認にも時間がかかるため、11月中に相談を始めておくと安心です。
費用と自己負担の計算例
補助額は「対象経費×補助率」と「補助上限」のいずれか低いほうで決まります。特例を使わない通常枠(上限50万円・補助率2/3)で、ECサイトの構築と展示会出展を組み合わせた場合を計算します。金額はいずれも説明用の仮の数字です。
| 経費区分 | 内容 | 対象経費 | 補助額の計算 |
|---|---|---|---|
| ウェブサイト関連費 | Shopifyでの自社EC構築、商品写真の撮影 | 45万円 | 45万円×2/3=30万円(上限30万円の範囲内) |
| 展示会等出展費 | 首都圏の食品展示会への出展料・運搬費 | 30万円 | 30万円×2/3=20万円 |
| 合計 | - | 75万円 | 50万円(補助上限50万円と一致) |
この例では補助金は50万円、自己負担は25万円です。ただし、後払いのため、補助事業期間中は75万円を自社で立て替える資金が必要です。課税事業者の場合、消費税分は補助対象経費から除いて計算します。
構築費が60万円に増えても、ウェブサイト関連費の補助額は30万円で頭打ちです。構築費を膨らませるより、公開後の広告に予算を回すほうが売上に結びつきやすいと考えられます。
補助金でECサイトをつくるときのよくある失敗と注意点

補助金は審査を通ることがゴールではありません。ここでは、公募要領の規定をもとに、避けたい失敗と申請前に確認したい点をまとめます。
失敗1:交付決定の前に契約・着手してしまう
取り返しがつかないのがこの失敗です。採択の連絡を受けた段階で「もう大丈夫」と考えて制作会社に発注したり、着手金を振り込んだりすると、その費用は補助の対象外になります。
補助事業の期間中に支払いが終わっていない費用も対象外です。分割払いやクレジットカードの場合も、引き落としが期間内に完了している必要があります。また、1取引10万円(税抜き)を超える現金払いは認められていません(出典:小規模事業者持続化補助金事務局「第20回公募 公募要領(第8版)」p.19〜21, 2026年)。
制作会社にも補助金の利用を最初に伝え、契約日・請求日・支払日が交付決定日より後になるように段取りを組んでもらうことが大切です。見積の依頼は交付決定前でも構いませんが、発注・契約・支払いは交付決定後と覚えておいてください。
失敗2:「サイトを作ること」が目的の計画書になる
持続化補助金の審査では、補助事業によって売上高・売上総利益が増える見込みを、客観的なデータや根拠とともに示すことが求められています(出典:同 公募要領 p.7・p.33, 2026年)。「自社ECがないので作りたい」だけでは、計画として弱くなります。
たとえば、「楽天の購入者のうち、ギフト需要の高い40〜60代の首都圏在住者に、自社ECで年2回の贈答シーズンに向けた詰め合わせを直販する」と書けば、誰に・何を・いつ売るかが具体的になります。
持続化補助金は、小規模事業者が自ら自社の経営を見つめ直し、経営計画を策定したうえで行う販路開拓を支援する制度です。事業者自らが検討した形跡がない場合は、評価に関わらず不採択・交付決定取消になると公募要領に明記されており(同 p.1)、第三者の支援を受けた場合はその相手方と金額の記載も必要です。
申請前のチェックリスト
申請に進む前に、次の項目を社内で確認してください。1つでも「いいえ」がある場合は、申請の時期や計画を見直す余地があります。
- 従業員数(役員・同居の親族を除く)が、業種ごとの小規模事業者の基準に収まっているか
- GビズIDプライムを取得済み、または取得手続きを始めているか
- ECサイトの費用に加えて、広告・展示会・新商品開発など、組み合わせる経費が決まっているか
- 総事業費を交付決定から補助金入金まで立て替えられる資金があるか
- 補助事業期間内にECサイトを公開し、実際に販売を始められる段取りがあるか
- 公開後に商品登録・写真の差し替え・受注対応を担う社内の担当者が決まっているか
- 過去に持続化補助金を受けた場合、事業効果報告を提出済みで再申請の制限期間を過ぎているか
「公開後に誰が運用するか」が決まっていないと、補助金で作ったサイトが止まってしまいます。補助事業期間内に運用に至らなかったホームページは、補助の対象からも外れます(同 p.14)。
チェックリストで「いいえ」が残った項目の進め方も含めて、申請前の段階からものがたりコマースにご相談いただけます。ものがたりコマースでは、補助金の申請前の計画づくりから公開後の運用まで、伴走してご支援しています。
補助金でECサイトを作ったあと、どう売るか

補助金で賄えるのは、立ち上げの一部の費用にすぎません。売上をつくるのは公開したあとの運用であり、ここで差がつきます。
効果報告で問われる「1年後の売上」から逆算する
持続化補助金では、補助事業の終了から1年後に「事業効果および賃金引上げ等状況報告」を提出する必要があります。審査の段階でも、事業効果報告の時点で売上高・売上総利益が補助事業終了時より増えることが見込める事業であることが要件とされています(出典:小規模事業者持続化補助金事務局「第20回公募 公募要領(第8版)」p.7・p.26, 2026年)。
つまり、補助金は「サイトを公開した日」ではなく「公開から1年後の売上」を見ています。申請前に、公開後1年間の販促カレンダーと、月ごとの売上の目安を決めておくと、計画書の説得力も上がり、公開後に迷う時間も減ります。
食品のECは市場自体が大きく、経済産業省の調査では、2025年の物販系BtoC-ECのうち「食品、飲料、酒類」は3兆3,332億円と、分野別で最も大きい規模でした(出典:経済産業省「令和7年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」, 2026年)。一方で、売り場が大きいほど、贈答の時期や旬に合わせて「選ばれる理由」を発信し続けなければ埋もれてしまいます。
モールと自社ECの役割を分け、社内で更新できる形にする
楽天やAmazonにすでに出店しているメーカーの場合、自社ECでモールと同じ商品を同じ値段で並べるだけでは、お客様が自社ECで買う理由がありません。役割は次のように分けて考えます。
- モール:探している人に見つけてもらう場所
- 自社EC:作り手の背景や旬の話を伝え、リピーターや贈答客との関係を深める場所
補助金の採択や公開日をゴールにして、公開後の更新担当を決めずにおくと、サイトを更新する人がいなくなります。制作会社に丸ごと任せた結果、商品の入れ替えや写真の差し替えを社内でできず、旬の時期に情報が更新されないサイトになってしまうのです。
ものがたりコマースでは、売り場はShopifyまたはMakeShop、作り手の背景を伝える読みものはWordPressという構成を基本にしています。どちらのカートも、商品登録や在庫の更新を社内の担当者が管理画面から行えるため、EC専任がいない会社でも運用を続けやすいからです。補助金の計画の段階から「公開後に社内で回せる仕組み」まで設計しておくことが、補助金を売上につなげる近道です。
水産・海産物のEC運営については水産・海産物のEC記事で、ECの立ち上げ全体の進め方は専任者ゼロの地方メーカーのためのEC事業のはじめ方ガイドで詳しく解説しています。補助金の申請だけでなく公開後の運用までまとめて相談したい場合は、ものがたりコマースの支援内容と料金をご覧ください。
ECサイト補助金に関するよくある質問

Q1. ECサイトの制作費だけで持続化補助金に申請できますか。
A. できません。第20回公募では、ウェブサイト関連費のみによる申請は認められておらず、展示会出展費や新商品開発費、機械装置等費など、ほかの経費と一緒に申請する必要があります。ウェブサイト関連費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です(出典:小規模事業者持続化補助金事務局「第20回公募 公募要領(第8版)」p.14, 2026年)。
Q2. 楽天やAmazonの出店費用は補助対象になりますか。
A. 持続化補助金では、売上高や販売数量に応じて課金される経費や、インターネットショッピングの決済手数料は補助対象外と明記されています(同 p.20)。月額の出店料などは計画との関係で判断が分かれる可能性があるため、申請前に地域の商工会・商工会議所や補助金事務局に確認してください。
Q3. デジタル化・AI導入補助金(IT導入補助金)でShopifyのECサイトを作れますか。
A. 補助対象は事務局に登録されたITツールに限られるため、使いたいサービスやアプリが登録されているかを「ITツール検索」で確認するところから始めます。自社のデザインでサイトを一からつくる制作費は、この補助金ではまかないにくいと考えられます(出典:中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)」p.14, 2026年)。
Q4. 申請書の作成をすべて外部に任せることはできますか。
A. 持続化補助金は、事業者自らが経営計画を検討することが前提で、社外の代理人だけで商工会・商工会議所に相談や様式4の発行依頼を行うことはできません(同 p.22)。デジタル化・AI導入補助金でも、補助金の申請・報告に係る申請代行費は補助対象外です(出典:同 公募要領(通常枠)p.15)。外部の支援を受ける場合も、計画の中身は社内で説明できる状態にしておく必要があります。
まとめ|ECサイト補助金は「公開後1年の売り方」まで決めてから選ぶ

2026年10月時点で、地方メーカーが自社ECに関連して検討しやすい国の制度は次の3つです。
- 小規模事業者持続化補助金:自社ECの構築費に充てやすい。第20回はウェブサイト関連費の上限30万円・単独申請不可、申請締切は2026年12月15日
- デジタル化・AI導入補助金:登録済みITツールで受発注・在庫・顧客管理を効率化する用途向け。6次締切は2026年10月30日
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金:新商品や輸出に向けた設備投資が中心で、ECの立ち上げだけでは対象になりにくい
どの制度も後払いで、交付決定前の発注は対象外です。補助金の採択はスタート地点にすぎず、公開後に社内で更新し続けられる体制と、1年後の売上につながる販促の計画まで描いてから申請することで、補助金が「作って終わり」になるのを防げます。ECの立ち上げ全体の流れは、EC事業の始め方・構築に関する記事でも整理しています。
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