フィットアンドギャップ分析とは|ERP導入での進め方とギャップの埋め方5パターン

構想策定・要件定義公開日:
監修大手コンサルティングファーム出身/基幹システム刷新・業務改革の実務経験を持つ専門家
フィットアンドギャップ分析とは|ERP導入での進め方とギャップの埋め方5パターン

フィットアンドギャップ分析は、自社の業務要件とERPなどの標準機能を1件ずつ突き合わせ、合わない部分(ギャップ)ごとに「誰が・どう埋めるか」を決める作業です。成否を分けるのは、判定そのものより、ギャップを埋める方法を5つのパターンから選び、アドオン(追加開発)を最後の手段にできるかどうかです。この記事では、フィットアンドギャップ分析の進め方、Fit&Gap一覧の記入例、ギャップの埋め方を、大手コンサルティングファーム出身の専門家の知見をもとに解説します。

この記事でわかること
  • フィットアンドギャップ分析を「企画・計画」と「要件定義」の2回に分けて行う理由
  • Fit・条件付きFit・Gapの3段階の判定基準
  • Fit&Gap一覧の記入例(金属加工業・従業員150名、8件)
  • ギャップの埋め方5パターンと、費用・保守への影響
  • どのパターンを選ぶかを決める重みづけ表

フィットアンドギャップ分析とは:標準機能との差を「対応方針」に変える作業

フィットアンドギャップ分析(Fit&Gap分析、フィットギャップ分析)は、導入を検討しているパッケージ製品やERPの標準機能が、自社の業務要件にどこまで合うか(Fit)、どこが合わないか(Gap)を調べる作業です。IPA(情報処理推進機構)の「システム再構築を成功に導くユーザガイド 第2版」(2018年)は、これを「現行の要件や仕様とパッケージ製品の標準機能を比較して適合度を調査し、適合しない要件や仕様については、実現の方針を検討する」作業として説明しています。

ポイントは後半の「実現の方針を検討する」です。合う・合わないの判定表を作るだけでは、分析は半分しか終わっていません。ギャップの1件ずつに、業務を変えるのか、設定で吸収するのか、追加開発するのかを決め、費用と判断者まで決めて初めて、見積もりと計画に使える成果物になります。

なぜここまで丁寧に行うのか。経済産業省の「DXレポート」(2018年)は、国内には「汎用パッケージでもカスタマイズを好むユーザ企業が多い」と指摘しています。同レポートの「DX推進システムガイドライン」の骨子案でも、「過剰なカスタマイズは、メンテナンスやバージョンアップ時のコスト増」につながる失敗ケースとして挙げられています。フィットアンドギャップ分析は、そのカスタマイズを導入前に必要な分だけに絞り込むための工程です。

導入の途中で要件が動くことも、費用が膨らむ大きな原因です。JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)の「企業IT動向調査報告書2026」では、システム開発の予算が予定どおりにならなかった要因(複数回答)として、「想定以上の現行業務・システムの複雑さ」が51.4%、「計画時の考慮不足」が51.0%、「仕様変更の多発」が48.6%と、3つが並んで高い割合でした。標準機能との差と現行業務の例外を導入前に洗い出し、埋め方まで決めておけば、設計や開発の途中で「やはり今のやり方でないと困る」という変更が出る余地を小さくできます。

分析の前提になるのは、自社の業務がどうなっていて、どう変えたいかの整理です。As-Is/To-Beで将来の業務を決め、業務フローで例外処理まで洗い出してから分析に入ると、判定がぶれません。

フィットアンドギャップ分析の進め方

分析は「企画・計画」と「要件定義」の2回行う

IPAの同ガイドは、Fit&Gap分析を企画・計画工程と要件定義工程のそれぞれで行うとしています。企画・計画の段階では製品を決め、計画と概算見積もりを出すために分析し、要件定義の段階ではその結果をもとに設計に向けた内容を詰めます。2回の違いを整理すると次のとおりです。

項目1回目:企画・計画(製品選定)2回目:要件定義(導入決定後)
目的製品を選び、ギャップの規模から概算費用を出すギャップごとの対応方式と設計の前提を決める
対象主要業務と、自社の特徴的な処理対象範囲のすべての業務要件と非機能要件
方法候補製品のデモ、資料での確認、シナリオでの実演検証環境での操作確認、設定値の検討
判定の精度「おそらく標準で可能」程度で可設定値や画面まで確認して確定
成果物製品別のFit&Gap概要、ギャップの件数と規模Fit&Gap一覧(対応方針・判断者つき)、アドオン一覧

1回目を省くと、どうなるか。同ガイドは、企画・計画の段階で十分に調べずに進め、要件定義の段階で精緻に分析した結果、カスタマイズやアドオンの規模が膨らんで期間やコストが超過するケースは多い、と注意を促しています。製品を選ぶ前の比較の進め方はERPの比較ポイントで解説しています。

6つのステップ

  1. 対象業務と要件の一覧を用意する
    To-Beの業務フローと、そこから抜き出した業務要件を一覧にします。1行に1つの要件を、「誰が・何をすると・どうなる」の形で書きます。
  2. 標準の業務の流れを把握する
    候補製品が想定している標準の業務プロセスを、資料やデモで確認します。自社の要件を1件ずつ聞く前に、製品の「普通の流れ」を先に見ておくと、判定が速くなります。
  3. 自社のシナリオで実演してもらう
    受注から請求まで、自社の実データに近いシナリオ(得意先・品目・数量・例外)を渡し、その流れで操作を見せてもらいます。
  4. 要件ごとに判定する
    Fit・条件付きFit・Gapの3段階で判定し、判定の根拠(確認した画面、設定、資料)を記録します。
  5. ギャップの対応方針を決める
    ギャップごとに5つのパターンから埋め方を選び、概算の費用と、決める人を書きます。
  6. 決裁者と合意する
    アドオンにするもの、業務を変えるものを一覧にし、決裁者が承認します。承認した一覧が見積もりと要件定義書の前提になります。

実演に使うシナリオの作り方

ステップ3のシナリオは、判定の精度を左右します。製品のデモ用データで見せてもらうと、自社の条件で動くかどうかがわかりません。シナリオには、次のような自社の具体的な条件を入れて、事前にベンダーへ渡します。

  • 得意先:締め日が20日の会社と末日の会社、掛率が違う2社、指定の納品書を求める1社
  • 品目:ロット管理する材料、ロット管理しない消耗品、外注加工を経る製品
  • 流れ:受注→一部欠品で分納→出荷→途中で数量変更→返品1件→締め請求→入金(振込手数料を差し引いて入金)

※説明用の例です。シナリオは主要業務ごとに1〜2本、例外を必ず含めて作ります。

同じシナリオを複数の候補製品に渡すと、製品どうしの比較にもそのまま使えます。シナリオがばらばらだと、ある製品では見せてもらえた例外が、別の製品では確認されていない、ということが起きます。

判定の基準:Fit・条件付きFit・Gapの3段階

判定を「Fit」と「Gap」の2つにすると、中間のものがどちらかに無理に寄せられます。実務では次の3段階に分けると、後工程での手戻りが減ります。

  • Fit:標準機能のまま、設定(マスタやパラメータ)だけで要件を満たせる。業務のやり方も変わらない。
  • 条件付きFit:標準機能で満たせるが、業務のやり方・帳票・タイミングのいずれかを変える必要がある。変えることに現場の合意が要る。
  • Gap:標準機能と設定では満たせない。アドオン、別製品、運用での対応などの方針を決める必要がある。

このうち、後で問題になりやすいのは条件付きFitです。判定表では「Fit」に見えるため、現場への説明が後回しになり、テストの段階で「今のやり方と違う」と差し戻されます。条件付きFitには、何を変えるのかを1行で書き、業務部門の責任者の確認をとっておきます。

デモで判定するときの注意

デモで「その機能はあります」と言われても、それだけでFitにはしません。確認したいのは、機能の有無ではなく、自社のデータと例外で業務が回るかどうかです。次の3点を確かめてから判定します。

  • 自社のデータで動くか:得意先別の掛率、締め日が2種類ある請求、ロット別の在庫など、自社の条件で操作を見せてもらう。
  • 例外の流れが通るか:数量変更、分納、返品、締め後の受注といった例外を、正常な流れと同じ画面で見せてもらう。
  • 標準機能か、追加の開発か:デモの画面が標準機能なのか、デモ用に作り込んだものなのか、別売りのオプションなのかを確認する。

記入例:Fit&Gap一覧

判定と対応方針は、1つの一覧にまとめます。次の表は、従業員150名・2工場の金属加工業が、販売・在庫・生産・会計を対象にERPを検討した場合の一覧の抜粋です。

ID業務要件判定対応パターン判断のメモ
SD-03得意先ごとに締め日(20日・末日)を持ち、締め日ごとに請求書をまとめて発行するFit設定得意先マスタの締め日設定で対応
SD-07得意先別の掛率で単価を決めるFit設定価格条件の設定で対応。掛率の登録は移行時に整理
SD-11大口得意先3社の指定様式で納品書を出すGap業務を変える→不成立なら帳票追加標準様式で可か3社と交渉。要件定義の締め切りまでに結論
MM-04工場間の在庫移動を、出庫と入庫の2段階で記録する条件付きFit業務を変える標準は移動伝票1枚で処理。入庫確認を受け入れ側の作業に変更
PP-02受注ごとに製造指図を作り、指図別に原価を集計するFit設定個別原価の設定で対応。配賦基準は経理と決定
PP-06熱処理を外注した場合の、外注先への支給品と戻り品の管理条件付きFit運用で対応標準の外注加工機能で管理可能。戻り品の検査記録は現行の紙を継続
QM-01得意先指定のミルシート(材料証明書)を出荷品と紐づけて保管するGap周辺ツール・連携文書管理ツールに保管し、出荷番号で紐づけ
FI-05工場別・製品群別の月次損益を出すGapアドオン(帳票)経営会議で毎月使用。標準の分析機能で代替できないか2回目の分析で再確認

※説明用の例です。実際の一覧には、概算工数、判断者、判断日、関連する業務フローの番号も加えます。

一覧のつくりで押さえたいのは、判定と対応パターンを別の列にすることです。「Gap=アドオン」と決めつけず、Gapの行ごとに埋め方を選びます。表の8件のうち、Gapは3件ですが、アドオンになったのは1件だけで、残りは業務の変更と周辺ツールで対応しています。

一覧に持たせる列

Fit&Gap一覧は、要件定義からテストまで使い続ける台帳です。最初から次の列を用意しておくと、途中で作り直さずに済みます。

  • 識別:要件ID、関連する業務フローの番号、業務領域
  • 中身:業務要件、優先度(必須/あれば/後回し)、件数や頻度
  • 判定:Fit・条件付きFit・Gap、判定の根拠(確認した画面・資料・日付)
  • 対応:対応パターン、変わる業務の内容、概算工数
  • 決定:判断者、判断日、状態(検討中/決定/保留)

とくに「状態」の列は欠かせません。保留のまま要件定義が終わったギャップは、設計の段階で問題になりやすくなります。要件定義の締め切りの前に、保留の行がゼロになっているかを確認します。

ギャップの埋め方5パターン

IPAの同ガイドは、標準機能で実現できない要件・仕様について、「パッケージが提供する機能を用いた開発で実現」「アドオン開発で実現」「システムを利用しないオペレータ操作などの運用対処により実現」「現行から要件・仕様を変更し、パッケージ標準機能に合わせる」という対応方針を挙げています。これに、中小企業でよく使う「周辺ツール・別製品との連携」を加え、選ぶ順に並べると次の5パターンになります。

順パターン内容向いているケース費用・保守への影響
1業務を標準に合わせる業務のやり方・帳票・タイミングを製品の標準に変える社内の慣習だけが理由の処理開発費はかからない。社内の調整と教育が必要
2設定で吸収するマスタ、パラメータ、画面項目の表示設定などで対応する製品が想定している範囲のバリエーション小さい。設定内容の記録が必要
3運用で対応するシステムの外で、手作業や既存の仕組みで処理する頻度が低い例外、件数の少ない特殊処理開発費はかからない。手作業の手順書と担当が必要
4周辺ツール・別製品と連携する文書管理、帳票ツール、ワークフローなどを組み合わせるERPの守備範囲の外にある業務中程度。連携の保守と、製品ごとの契約が必要
5アドオン開発で作る製品の外付けで機能を開発する他社との違いを生む処理、法令・契約上避けられない処理大きい。バージョンアップのたびに影響の確認とテストが必要

※順番は選ぶときの検討順で、説明用に整理したものです。製品の拡張方式によって、2と5の間に「製品が用意した拡張の仕組みで作る」段階が入ることがあります。

製品の拡張の仕組みについては、ベンダーの方針も参考になります。たとえばSAPは、導入方法論「SAP Activate」の探索(Explore)フェーズで、標準のベストプラクティスを使ったFit-to-Standardワークショップを行い、差分の設定要件やギャップをバックログに記録するとしています。さらにギャップへの対応では、標準の採用や製品内の拡張機能をまず検討し、それで足りない場合に拡張開発を行う考え方を示しています。標準に業務を合わせる考え方は、Fit to Standardで詳しく解説しています。

パターン3の「運用で対応する」は、費用がかからないぶん安易に選ばれがちです。選ぶときは、誰がどの手順で処理するかを手順書にし、件数の上限を決めておきます。たとえば「返品の検査記録は紙で続ける。月20件を超えたらシステム化を再検討する」のように書いておくと、稼働後に手作業が膨らんだときの見直しのきっかけになります。運用対応が積み重なると、稼働後に新しいExcel台帳がいくつも生まれ、刷新前と同じ状態に戻ってしまいます。

アドオンを選んだ場合の費用の見方と、カスタマイズとの違いはERPのアドオンとはを参照してください。

どのパターンを選ぶか:判断の重みづけ表

ギャップの埋め方を会議で1件ずつ話し合うと、声の大きい部門の要望が通りやすくなります。判断の基準を先に決め、点数で並べてから議論すると、結論がぶれにくくなります。次の5つの観点で、各ギャップを1〜3点で採点します。

観点重み3点2点1点
法令・契約上の必要性×3法令や契約で処理が決まっている取引先との取り決めがある社内の慣習だけ
競争力への影響×3他社との違いを生んでいる顧客満足に影響する社内の効率だけに関係
頻度・件数×2毎日発生する月に数回年に数回
代替手段の有無×2運用や設定での代替がない手間はかかるが代替できる簡単に代替できる
業務を変えたときの影響×1複数部門・社外に影響する1部門の中で収まる担当者の作業が変わるだけ

※観点と重みは説明用の例です。自社の刷新の目的に合わせて調整します。

合計点は11点〜33点の範囲になります。たとえば、25点以上はアドオンや別製品を検討、18〜24点は設定・周辺ツール・運用を優先して検討、17点以下は業務を標準に合わせる、のように線を引いておきます。先ほどの例で言えば、「大口得意先3社の指定様式の納品書」は、契約上の取り決め(2点×3)、顧客満足への影響(2点×3)、毎日発生(3点×2)、代替は手間がかかる(2点×2)、社外に影響(3点×1)で合計25点となり、まず交渉、不成立ならアドオンという判断を裏づけます。

コンサルタントの現場メモ

フィットアンドギャップ分析で危ないのは、ギャップの件数だけを見て「ギャップが少ないから、この製品がいちばん合っている」と結論を出すことです。件数が少なくても、1件のギャップが受注や原価計算の根幹に関わるなら、その1件のほうが重くなります。製品を比べるときは、件数ではなく、上の表で25点以上になるギャップがいくつあり、それをどう埋めるかで比べます。また、ギャップの判定をベンダーだけに任せると、売りたい製品に有利な判定に寄りがちです。判定の根拠になった画面や資料を、発注側でも確認しておきます。

見落としやすい3つの領域:非機能・帳票・連携

フィットアンドギャップ分析は、画面と業務機能に目が行きがちです。次の3つの領域は、意識して一覧に入れないと漏れます。

非機能要件

IPAの同ガイドは、業務運用を現行どおり実現できるかについては十分に分析したものの、非機能面の分析が足りず、将来の顧客数の増加を見据えると性能要件を満たせないことがシステムテストで判明したトラブル事例を紹介しています。この事例では、処理方法を見直して設計からやり直すことになり、スケジュールが遅れ、保守コストも増えました。月末の請求処理にかかる時間、同時に使う人数、データの保存期間なども、要件として一覧に載せて判定します。非機能要件の決め方は非機能要件とはで解説しています。

帳票

帳票は、標準の様式で出せるかどうかに加えて、「誰がその帳票を何に使っているか」まで確認します。IPAの同ガイドには、財務帳票だけをアドオンで作り、ほかは標準機能に合わせる方針だったのに、ユーザテストの段階で画面確認などの運用も現行どおりにしたいという要望が出て、追加のアドオン開発が必要になった事例も載っています。帳票のギャップは、その前後の画面と業務の流れとセットで判定します。

外部との連携

同ガイドは、パッケージに置き換えることで、外部システムとのインターフェースが変わるかどうかも確認するよう求めています。外部のシステムが変更を受け入れられない場合、アドオンで対応する必要が出るためです。中小企業では、得意先とのEDI、銀行の振込データ、会計事務所とのデータのやり取りが該当します。

例:判定のメモの書き方
NG判定:Fit(デモで確認済み)
OK判定:条件付きFit。標準の在庫移動伝票で処理可能(検証環境の移動登録画面で確認)。ただし入庫確認は受け入れ工場の作業に変わるため、製造部長の合意を要する。

判定の根拠と、変わる業務、合意が要る相手を書いておくと、要件定義やテストの段階で判定を見直すときに迷いません。

フィットアンドギャップ分析の10のチェックポイント

  • To-Beの業務フローと業務要件の一覧をもとに分析している
  • 製品の標準の業務の流れを、要件の確認より先に把握している
  • 自社のデータと例外を含むシナリオで実演してもらっている
  • 判定がFit・条件付きFit・Gapの3段階で、根拠が記録されている
  • 条件付きFitに、変える業務と合意をとる相手が書かれている
  • Gapごとに5つのパターンから埋め方を選び、アドオンを最後に検討している
  • 重みづけ表など、判断の基準を先に決めている
  • 非機能要件、帳票、外部連携も一覧に入っている
  • 企画・計画と要件定義の2回に分けて分析している
  • アドオンにするもの、業務を変えるものを決裁者が承認している

よくある質問

フィットアンドギャップ分析は、発注側とベンダーのどちらが行うものですか?

製品の機能を説明し、判定の材料を出すのはベンダーの役割です。一方で、条件付きFitやGapを業務の変更で埋めるか、費用をかけて開発するかを決めるのは発注側です。判定の作業をベンダーに任せても、対応方針の判断は発注側に残します。

Fit率(適合率)が何%なら、その製品を選んでよいですか?

一律の基準はありません。適合率は要件の書き方や粒度で大きく変わるため、製品どうしを比べる数字としては不安定です。比べるなら、重要度の高いギャップがいくつあり、それぞれどのパターンで埋めるか、その費用はいくらかを並べます。

フィットアンドギャップ分析には、どのくらいの期間がかかりますか?

対象範囲と製品の数によって変わります。期間を延ばさないためには、要件の一覧と業務フローを分析の前に揃えておくこと、判定の会議ごとに「どの業務を判定するか」を決めておくことが効果的です。準備が整っていないまま始めると、デモのたびに要件の確認から始めることになり、時間がかかります。

Fit to Standardとフィットアンドギャップ分析は、何が違いますか?

フィットアンドギャップ分析は、要件と標準機能を突き合わせて差を洗い出す「作業」です。Fit to Standardは、標準機能に業務を合わせることを原則とし、アドオンを例外とする「方針」です。Fit to Standardの方針をとる場合も、どこを合わせ、どこを例外にするかを決めるために、フィットアンドギャップ分析を行います。

重要なギャップが多すぎる場合は、どうすればよいですか?

まず、ギャップの原因が製品にあるのか、要件にあるのかを分けます。要件が現行のやり方をそのまま書いたものなら、To-Beに戻って業務を変えられないかを検討します。それでも重要なギャップが多く残るなら、その製品が自社の業種や規模に合っていない可能性があります。別の製品や、フルスクラッチとパッケージの組み合わせなど、作り方そのものを比べ直す判断も必要になります。

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まとめ

フィットアンドギャップ分析は、合う・合わないを判定する作業ではなく、ギャップごとに埋め方と判断者を決める作業です。企画・計画と要件定義の2回に分けて行い、判定はFit・条件付きFit・Gapの3段階にする。ギャップは「業務を合わせる→設定→運用→周辺ツール→アドオン」の順に埋め方を検討し、重みづけ表で優先度を決める。この流れを押さえると、アドオンを必要な分だけに絞り、見積もりのぶれを小さくできます。要件定義書へのまとめ方は要件定義書の書き方を参照してください。

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この記事の執筆・編集:基幹システム構築支援 編集部(株式会社Digital&)

中小企業の基幹システムの構想策定から導入・定着までを支援する「基幹システム構築支援」の編集部です。記事は、大手コンサルティングファーム出身/基幹システム刷新・業務改革の実務経験を持つ専門家の監修のもと、実務で得た知見と公的な資料をもとに作成しています。