建設業のERP・基幹システム|工事原価管理と工事別収支で先に決める5つのこと

建設業のERP・基幹システムは、製品を選ぶ前に「工事番号の切り方」「原価の費目」「実行予算と出来高の持ち方」「原価の締め方」「現場と本社の入力分担」の5つを決めておくと、候補の比較で迷いにくくなります。建設業の基幹システムの中心は工事原価管理と工事別収支で、この5つが決まっていないと、どの製品を入れても工事ごとの利益が見えないままになるためです。この記事では、中小建設会社が基幹システムを選ぶ前に決めておくことを、費目の対応表や工事別収支の例とあわせて、大手コンサルティングファーム出身の専門家の知見をもとに解説します。
- 建設業のERP・基幹システムが一般的なERPと違う点(比較表)
- 2024〜2025年の制度変更が、建設業の基幹システムに求めること
- 工事番号の切り方、原価の費目と完成工事原価報告書の対応表
- 実行予算・出来高・見込み原価で工事別収支を見る方法(数値例)
- 建設業向けパッケージ・汎用ERP・スクラッチの選び方の判定表
建設業のERP・基幹システムとは:一般的なERPと何が違うか
建設業のERP・基幹システムは、受注した工事ごとに予算・原価・請求・支払を管理し、会計まで一続きにつなぐ仕組みです。工事原価管理システム、建設業向け基幹システムとも呼ばれます。
国土交通省の調査では、建設業許可業者数は令和7年度末(2026年3月末)時点で483,823業者で、前年度から123業者(0.03%)増え、3年連続の増加となりました(2026年5月公表)。中小の建設会社では、会計ソフトと工事台帳のExcelを組み合わせて管理している会社も少なくありません。
一般的な製造業・卸売業向けのERPとの違いは、管理の単位が「品目」ではなく「工事」であることです。同じ製品を繰り返し売るのではなく、1件ごとに仕様も期間も違う工事を請け負い、数か月から数年かけて原価を積み上げます。
| 項目 | 一般的なERP(製造・卸売) | 建設業の基幹システム |
|---|---|---|
| 管理の単位 | 品目・受注番号 | 工事番号(追加・変更工事の枝番を含む) |
| 売上の計上 | 出荷・納品の都度 | 工事の完成時、または進捗に応じて計上(会計方針による) |
| 原価の集め方 | 品目ごとの標準原価・実際原価 | 工事ごとに材料費・労務費・外注費・経費を積み上げる |
| 予算 | 部門別の年度予算 | 工事ごとの実行予算(変更のたびに改訂) |
| 請求 | 締め日ごとの請求 | 出来高請求、前払金・中間金・完成時の精算 |
| 支払 | 仕入先への買掛金の支払 | 協力会社への出来高査定にもとづく支払 |
| 特有の勘定科目 | 売掛金、製品、仕掛品 | 完成工事未収入金、未成工事支出金、未成工事受入金 |
勘定科目の違いは、建設業法施行規則の様式(財務諸表)で定められた分類によるものです。国土交通省の告示では、未成工事支出金を「引渡しを完了していない工事に要した工事費」などとして整理しています。このため、汎用の会計ソフトやERPを使う場合も、科目と工事番号のひもづけを最初に設計しておく必要があります。
そもそも基幹システムがどの業務を指すのかは基幹システムとはで解説しています。
いま建設業の基幹システムが見直される理由:制度の変化
建設業では、2024年から2025年にかけて、現場の働き方と取引のルールが続けて変わりました。どれも、工事ごとの労務と原価を数字で示せることを求めるものです。
| 制度の変化 | 内容(公表資料より) | 基幹システムへの影響 |
|---|---|---|
| 時間外労働の上限規制(2024年4月から建設業に適用) | 原則月45時間・年360時間。特別条項でも年720時間以内など。災害の復旧・復興の事業は一部の規定が適用されない | 工事ごと・人ごとの労働時間の把握。勤怠と工事原価(労務費)のひもづけ |
| 改正建設業法の全面施行(2025年12月12日) | 著しく低い労務費等による見積りや変更依頼の禁止、受注者が著しく短い工期や原価に満たない額で契約することの禁止など | 見積の段階で労務費・材料費を分けて示し、原価を下回らないことを確認できる仕組み |
| 公共工事の入札金額の内訳明示(2025年12月12日から) | 入札金額の内訳として、材料費、労務費、法定福利費・安全衛生経費・建退共の掛金、その他の経費の記載が必要 | 見積・実行予算の費目を、この内訳に合わせて集計できること |
| 経営事項審査 | 経営規模の評価(X1)は工事種類別の年間平均完成工事高で行う | 完成工事高を工事種類(業種)別に集計できること |
※制度の詳細は、各出典の公表資料と所管の行政機関の最新情報で確認してください。
これらに共通するのは、見積・実行予算・実績の費目が同じ物差しでそろっていることが前提になっている点です。見積はExcel、実行予算は別のExcel、実績は会計ソフト、という状態では、労務費が原価を下回っていないかを工事ごとに示すのに手間がかかります。基幹システムを見直すときは、この費目の物差しを1本にすることが目的の1つになります。
経営事項審査の総合評定値(P)は「0.25×X1+0.15×X2+0.20×Y+0.25×Z+0.15×W」で計算され、工事種類別の完成工事高にもとづく経営規模(X1)の比重は25%です。公共工事を受注している会社では、経営事項審査の申請のたびに、完成工事高を工事種類別に集計し直す作業が発生します。工事マスタに工事種類を持たせ、完成時に自動で集計できるようにしておけば、決算後の申請準備の手間が減り、集計の誤りも防げます。入札金額の内訳明示への対応も同じで、見積の費目を最初から内訳の区分に合わせておくと、入札のたびに組み替える作業が要りません。
先に決めること1:工事番号の切り方
工事番号は、建設業の基幹システムで最も影響の大きいコードです。すべての原価・請求・支払がこの番号にひもづくため、後から変えるのは困難です。決めるのは次の4点です。
- 採番の単位:契約1件ごとか、工区・棟ごとか。同じ契約でも、工区ごとに利益を見たいなら工区ごとに番号を分けます。
- 追加・変更工事の扱い:本工事の枝番にするか、別番号にするか。枝番にすると本工事と合算した収支が見やすく、別番号にすると追加工事単体の採算が見やすくなります。
- 受注前の番号:見積・営業段階の案件にも仮番号を振るか。受注前の積算や現地調査の費用を後で工事に振り替えるなら、仮番号が必要です。
- 番号に意味を持たせるか:「年度+工事種類+連番」のように意味を持たせると読みやすい一方、工事種類の変更や年度またぎで番号と実態がずれます。意味は番号ではなく属性(項目)で持たせるのが基本です。
番号に意味を持たせると、工事種類が途中で変わったときに番号を振り直すかどうかで迷います。属性で持てば、経審用の工事種類別の集計も、部署別の集計も項目で切り替えられます。
※説明用の例です。
共同企業体(JV)の工事に参加する会社は、JV全体の原価を持つのか、自社の出資比率分だけを持つのかも決めておきます。幹事会社になることがあるなら、JV全体の収支と自社分の収支を両方見られる形が必要になります。
コード体系の考え方は、取引先コードや品目コードと共通です。詳しくはマスタデータ整備とコード体系の決め方で解説しています。
先に決めること2:原価の費目と完成工事原価報告書との対応
建設業の財務諸表には完成工事原価報告書があり、原価を材料費・労務費・外注費・経費の4つに分けて示します。国土交通省の告示では、経費を「材料費、労務費及び外注費以外の費用」とし、動力用水光熱費、機械等経費、設計費、労務管理費、租税公課、地代家賃、保険料、従業員給料手当、福利厚生費、通信交通費、交際費などを例示しています。
基幹システムの原価費目は、この4区分に漏れなく集計できるように作ります。そのうえで、現場の管理に必要な細かさまで分けます。
| 社内の原価費目(例) | 完成工事原価報告書の区分 | 入札金額の内訳との対応 | 入力のもと |
|---|---|---|---|
| 生コン・鉄筋・資材 | 材料費 | 材料費 | 仕入先の請求書、納品書 |
| 直用作業員の賃金 | 労務費 | 労務費 | 日報・勤怠 |
| 専門工事会社への発注(型枠、鉄筋工事など) | 外注費 | 材料費・労務費などに分けて把握 | 注文書、出来高査定 |
| 重機のリース・回送費 | 経費 | その他の経費 | リース会社の請求書 |
| 現場の法定福利費(直用分) | 経費(または労務費の付随費用として整理) | 法定福利費 | 給与計算からの配賦 |
| 安全対策費(保安設備、安全教育) | 経費 | 安全衛生経費 | 請求書、社内伝票 |
| 現場代理人の給与 | 経費(従業員給料手当) | その他の経費 | 給与計算からの配賦 |
※説明用の例です。どの費目をどの区分に入れるかは、会社の会計方針と顧問税理士の判断に従ってください。
ここで決めておきたいのは、外注費の中身をどこまで分けて持つかです。外注費は原価の大きな割合を占めることが多い一方、注文書が「一式」だと中身の労務費と材料費が見えません。改正建設業法で労務費の適正さが問われるようになった今、主要な協力会社との注文書は労務費・材料費の内訳つきで取り交わし、基幹システムでも内訳を持てるようにしておくと、見積と実績を同じ物差しで比べられます。
原価計算の考え方全般は原価管理システムの選び方で解説しています。
先に決めること3:実行予算と出来高の持ち方
工事別収支を見るには、請負金額と実績原価だけでは足りません。実行予算(いくらで仕上げるつもりか)と見込み原価(このまま進むと最終的にいくらかかるか)を持つことで、工事の途中で利益の悪化に気づけます。
次の表は、請負金額5,000万円の建築工事を、着工から4か月目に確認した例です。
| 費目 | 実行予算 | 実績原価(4か月目まで) | 残り見込み | 見込み原価 | 予算差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 材料費 | 1,200万円 | 800万円 | 450万円 | 1,250万円 | -50万円 |
| 労務費 | 500万円 | 300万円 | 230万円 | 530万円 | -30万円 |
| 外注費 | 2,100万円 | 1,100万円 | 1,100万円 | 2,200万円 | -100万円 |
| 経費 | 500万円 | 280万円 | 230万円 | 510万円 | -10万円 |
| 合計 | 4,300万円 | 2,480万円 | 2,010万円 | 4,490万円 | -190万円 |
※説明用の例です。見込みの粗利は、受注時の700万円(14%)から510万円(10.2%)に下がっています。
実績原価だけを見ると、4か月目の原価は予算の6割以下で、問題がないように見えます。ところが残り見込みを足すと、最終的に190万円の予算超過になることがわかります。外注費の超過は、追加工事として発注者と協議すべきものかもしれません。見込み原価を月に1回更新する仕組みがあれば、この協議を工事の途中で始められます。
この数字は、月1回の工事別収支の会議で使います。会議では全工事を説明させるのではなく、「見込み粗利率が実行予算より2ポイント以上下がった工事」「予算差が100万円を超えた工事」のように基準を決め、該当する工事だけを取り上げると短時間で済みます。基準に当てはまった工事は、原因(数量の増加、単価の上昇、手戻り、発注者都合の変更)と対策(追加請求の協議、工程の見直し)を記録しておくと、次の見積の精度も上がります。
実行予算と出来高について、基幹システムで決めておくことは次のとおりです。
- 実行予算の版管理:当初予算と変更後の予算を両方残すか。変更の理由(設計変更、追加工事、単価の変動)を記録するか。
- 残り見込みの入力者と頻度:現場代理人が月1回入力するのか、工務部が取りまとめるのか。
- 協力会社の出来高査定:協力会社からの出来高請求を査定し、承認した額を支払と原価に計上する流れを、システム上でどこまで持つか。
- 発注者への出来高請求:出来高に応じた請求と、前払金・中間金の精算をどう管理するか。
建設業の基幹システムの要件を聞くと、「工事台帳をシステムにしたい」という要望から始まることが多くあります。ただ、工事台帳を電子化するだけでは、過去の原価が見やすくなるだけで、利益の悪化には間に合いません。最初に確認したいのは、現場代理人が今どの時点で「この工事は厳しい」と気づいているかです。それが竣工間際なら、仕組みで変えるべきは台帳ではなく、見込み原価の更新の流れです。
もう1つ、実行予算を現場代理人が自分のExcelで持っている会社では、システムに予算を入れても二重管理になりがちです。システムの予算を正とし、Excelは廃止する、と経営が決めて伝えることが、仕組みを定着させる前提になります。
先に決めること4・5:原価の締め方と、現場・本社の入力分担
4. 原価の締め方
工事原価は、月末時点で「どの工事に、いくらかかったか」を確定させる締めの作業が必要です。決めておくのは次の3点です。
- 締めの基準日と確定日:例「毎月末締め、翌月10日に確定」。協力会社や仕入先の請求書が届く時期に合わせます。
- 請求書の届いていない原価の扱い:材料は届いているが請求書が来ていない場合、納品書ベースで計上するか、翌月に回すか。未計上が多いと、月次の工事別収支が実態より良く見えます。
- 共通費の配賦:複数の工事で使う重機や、工事部の共通経費を、どの基準(期間、作業時間、売上高)で工事に配るか。
締めの日程は、たとえば「月末締め→翌月5日までに協力会社の出来高査定→8日までに請求書の入力と照合→10日に工事別収支を確定→15日前後に収支会議」のように、誰がいつまでに何を終えるかを日付で並べておきます。どこか1か所が遅れると全体が後ろにずれるため、遅れやすい工程(請求書の回収など)には督促の担当者を置きます。
売上をいつ計上するか(完成時か、進捗に応じてか)も、締めと一体で決めます。どちらの方法を採るかは会計方針の問題なので、システムの要件を固める前に顧問税理士や監査人と確認しておきます。
5. 現場と本社の入力分担
建設業の基幹システムが定着するかどうかは、現場の入力負担で決まります。現場代理人は施工管理と書類作成で手一杯のことが多く、入力項目が増えると後回しになります。誰が、いつ、何を入力するかを、次のように分けて決めます。
- 現場代理人:日報(作業員・作業時間・作業内容)、残り見込み原価、出来高の確認
- 工務・積算:見積、実行予算の作成と改訂、協力会社の出来高査定
- 本社の経理・事務:仕入先・協力会社の請求書の入力と照合、支払、発注者への請求、月次の締め
現場の入力は、スマートフォンやタブレットで日報を入れると労務費と勤怠の両方に反映される、というように1回の入力で複数の用途に使える形にすると続きます。時間外労働の上限規制への対応で勤怠の把握が必要になった今、日報と勤怠を別々に入力させない設計が大事になります。
建設業の基幹システムの選び方:パッケージ・汎用ERP・スクラッチ
5つのことが決まったら、それを実現できる作り方を選びます。建設業では、大きく3つの選択肢があります。
建設業向けの工事原価管理パッケージ(クラウド含む)
一般的な土木・建築・設備工事で、業務の流れが業界標準に近い会社に向いています。確認したいのは、工事番号の枝番、実行予算の版管理、協力会社の出来高査定、経審用の工事種類別集計に標準機能で対応しているかと、会計ソフトとの連携方法です。標準機能に業務を合わせる前提で選ぶと、費用と期間を抑えやすくなります。
汎用ERPのプロジェクト管理機能を使う
建設以外の事業(製造、不動産、保守サービスなど)も持ち、会社全体を1つの仕組みで管理したい会社の選択肢です。建設業特有の勘定科目と完成工事原価報告書を出せるか、出来高請求や協力会社の査定にどれだけアドオンが必要かを確認します。アドオンが多くなるなら、建設部門だけ専用パッケージにして会計でつなぐ構成も比べます。
スクラッチ開発・ローコード
独自の積算方法や、工種別の歩掛管理など他社にない管理が競争力になっている会社で検討します。確認したいのは、保守を誰が担うか、様式や内訳の変更といった制度対応を誰がいつ行うかです。制度の変化が続く業界なので、作った後の改修費用まで含めて判断します。
※説明用の目安です。特定の製品の優劣を示すものではありません。
どの選択肢でも、デモを見る前に、自社の工事1件分のデータ(見積、実行予算、注文書、請求書、出来高)を用意して、その工事を流してもらうと、合う・合わないの判断が早くなります。追加工事が2回入った工事、協力会社の出来高が月ごとに変わった工事など、手間のかかった工事を選ぶのがコツです。
製品選定の評価軸のそろえ方はERPの比較ポイント、中小企業向けの選び方の全体像は中小企業のERPの選び方で解説しています。
建設業の基幹システム刷新の進め方
5つのことを決め、選択肢を比べる流れを、中小建設会社のプロジェクトとして並べると次のようになります。
- 現状の工事1件を追いかける
直近で竣工した工事を1件選び、見積から実行予算、発注、出来高査定、請求、入金、原価の締めまで、どの書類・どのExcel・どのソフトを通ったかを書き出します。転記の回数と、数字が食い違った箇所が改善の候補です。 - 目的と範囲を決める
「工事の途中で利益の悪化に気づく」「月次の締めを5営業日短くする」など、刷新後に変わるべき数字を経営と決めます。積算や勤怠まで範囲に入れるかもここで決めます。 - 5つのことを決める
工事番号、原価費目、実行予算と出来高、締め方、入力分担を、工務・現場・経理の代表者で決めます。決めた内容は要件定義書の前提になります。 - 選択肢を比べる
自社の工事1件分のデータで、パッケージ・汎用ERP・スクラッチの候補を比べます。見積の前提をそろえるため、決めた5つのことをRFPに書きます。 - 移行とテスト
進行中の工事をどの時点の残高で移すかを決めます。工事の途中で切り替える場合は、実行予算と実績原価の累計を移行し、新旧の工事別収支が一致するかを照合します。
製品を比べる前の10のチェックポイント
- 工事番号の採番単位(契約・工区・棟)が決まっている
- 追加・変更工事を枝番にするか別番号にするかが決まっている
- 受注前の案件に仮番号を振るか、振替のルールが決まっている
- 社内の原価費目が完成工事原価報告書の4区分に集計できる
- 主要な協力会社との注文書で、労務費・材料費の内訳を持つか決めている
- 実行予算の版管理と、変更理由の記録方法が決まっている
- 残り見込み原価を誰が月何回更新するかが決まっている
- 原価の締め日・確定日と、請求書未着分の扱いが決まっている
- 共通費の配賦基準と、売上計上の方法を税理士・監査人と確認している
- 現場代理人・工務・経理の入力分担と、Excelを廃止する範囲が決まっている
構想策定の進め方は基幹システムの構想策定とは、提案依頼書の書き方はRFPの書き方で解説しています。
よくある質問
建設業で会計ソフトとExcelの工事台帳から、基幹システムに移るべきタイミングはいつですか?
目安は、工事の件数が増えて月次の工事別収支を締めるのに数日以上かかるようになったとき、または工事の途中で利益の悪化に気づけず、竣工後に赤字がわかることが続いたときです。制度対応で労務費や工事種類別の集計を求められる場面が増えたことも、見直しのきっかけになります。
建設業向けのパッケージと汎用ERPは、どちらがよいですか?
一概には言えません。建設業以外の事業がなく、業務の流れが業界標準に近い会社は、建設業向けパッケージのほうが追加開発を抑えやすい傾向があります。複数の事業を1つの仕組みで管理したい場合は、汎用ERPも候補になります。自社の工事1件分のデータを流して比べるのが確実です。
工事原価管理システムを入れれば、改正建設業法への対応はできますか?
システムだけでは対応できません。見積書や注文書で労務費・材料費などの内訳を示す運用、協力会社との取り交わし方を決めたうえで、その内訳をシステムで持てるようにする必要があります。制度の詳細は国土交通省の公表資料で確認してください。
現場代理人がシステムに入力してくれません。どうすればよいですか?
入力の目的と負担を見直します。日報を入れれば勤怠と労務費の両方に反映されるなど、1回の入力で済む形にし、現場代理人が自分の工事の見込み利益をすぐ見られるようにすると、入力が自分の役に立つと感じてもらいやすくなります。あわせて、Excelでの二重管理をやめることを経営が明確にします。
基幹システム刷新の「つまずき」20選と回避策を、25項目のリスクチェックリストつきでまとめた資料です。工事原価管理の仕組みを見直す前の確認にも使えます。
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建設業のERP・基幹システムは、工事ごとの原価と収支を管理する仕組みです。製品を比べる前に、工事番号の切り方、原価の費目、実行予算と出来高の持ち方、原価の締め方、現場と本社の入力分担の5つを決めておくと、どの選択肢が自社に合うかがはっきりします。時間外労働の上限規制や改正建設業法で、労務費と原価を工事ごとに示す必要性は高まっています。見積・実行予算・実績を同じ費目でつなぐことを、刷新の目的の1つに置いてください。
自社の工事原価管理のどこから手をつければよいか迷う場合は、無料診断で現状の業務と課題を整理し、構想策定で決めるべきことを確認できます。
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