基幹システムの構想策定とは|グランドデザインの作り方と構想書8項目

構想策定・要件定義公開日:
監修大手コンサルティングファーム出身/基幹システム刷新・業務改革の実務経験を持つ専門家
基幹システムの構想策定とは|グランドデザインの作り方と構想書8項目

基幹システムの構想策定とは、要件定義に入る前に、なぜ刷新するのか(目的)、どこまで変えるのか(範囲)、どの順番で進めるのか(ロードマップ)、どのくらいの予算枠で考えるのかを経営として決める工程です。成果物は、この4つを1冊にまとめたグランドデザイン(構想書)です。この記事では、構想書に入れる8つの項目、進め方の6ステップ、作り方の方針を決める判定表を、架空の会社の記入例つきで解説します。

この記事でわかること
  • 構想策定と要件定義の違い(決める人・粒度・成果物の比較表)
  • グランドデザイン(構想書)に入れる8項目と、それぞれの記入例
  • 構想策定の進め方6ステップと、経営者が出るべき場面
  • 業務ごとに「パッケージ・スクラッチ・現行継続」を決める判定表
  • 従業員150名の食品製造業を例にした3段階のロードマップ

基幹システムの構想策定とは:要件定義との違い

構想策定は、基幹システム刷新の最初の工程です。システムの細かな機能を決める前に、経営の課題と、システムで解決する範囲を結びつけることが目的です。グランドデザイン、システム構想、システム化計画と呼ばれることもあります。

要件定義との関係は、契約のひな形を見るとよくわかります。IPAと経済産業省が公開している「情報システム・モデル取引・契約書」の第14条は、要件定義の工程を、発注者が作成した「情報システム構想書、システム化計画書等」に基づいて、発注者による要件定義書の作成をベンダーが支援する業務として定めています。同契約書の解説では、システム化計画書を作ってステークホルダの合意を得たうえで経営層の承認を受け、要件定義に進む流れが示されています。つまり、構想書は要件定義の入力であり、発注者が用意するものという位置づけです。

比較の観点構想策定要件定義
答える問いなぜ・どこまで・どの順で・いくらの枠で刷新するか新しいシステムで具体的に何を実現するか
決める人経営者・役員業務領域ごとの決裁者
粒度業務領域(販売・生産・会計など)単位機能・帳票・データ項目の単位
主な成果物構想書(目的、成功指標、範囲、作り方の方針、ロードマップ、予算枠、体制)要件定義書(機能要件一覧、業務フロー、非機能要件、移行要件)
決まると次にできること製品やベンダーの候補を絞る、要件定義の範囲を決める開発・導入の正式な見積もりを取る
省いたときに起きること要件定義で目的と範囲の議論が蒸し返され、終わらない見積もりの前提が各社でばらばらになる

JUASの「企業IT動向調査報告書2026」では、システム企画(システム化構想策定)を「ほぼ内製」「内製が多い」とした企業が合わせて70.9%でした。工程の中で最も内製の割合が高く、構想は自社で描くものと考えられていることがわかります。同じ調査では、品質・予算・工期の悪化に影響している工程として「システム企画」を挙げた割合が、工期について前年度より7.6ポイント増えています。上流で決めきれなかったことが、後工程の遅れにつながっている様子がうかがえます。

反対に、構想策定で決めなくてよいこともはっきりさせておきます。画面の項目、帳票のレイアウト、細かな計算ルール、製品の最終決定は、要件定義や製品選定で決めることです。構想の段階でここに踏み込むと、全体の方向を決める前に時間を使い切ってしまいます。「この論点は構想で決めるのか、要件定義で決めるのか」を会議のたびに確認すると、議論が散らばりません。

刷新全体の流れのなかで構想策定がどこにあたるかは、基幹システム導入の進め方で全体像を確認できます。

なぜ中小企業こそ構想策定が必要なのか

「中小企業なのに構想まで必要か」と聞かれることがあります。むしろ、人も予算も限られる中小企業ほど、最初に方向を決めておく効果が大きいといえます。

中小企業庁の「中小企業白書2024年版」によると、デジタル化の取組段階が「紙や口頭による業務が中心」(段階1)または「デジタルツールを利用した業務環境へ移行している」(段階2)の企業は、2023年時点で合わせて66.2%でした。「デジタル化によるビジネスモデルの変革や競争力強化に取り組んでいる」(段階4)企業は6.9%です。多くの企業にとって、基幹システムの刷新は「部分的なIT化」から「全社のデータをつなぐ」段階への移行になります。範囲が全社に広がるからこそ、どこから手をつけるかの全体図が必要です。

中小企業基盤整備機構の「中小企業のDX推進に関する調査」(2023年)では、DXに取り組むうえでの課題として「ITに関わる人材が足りない」が28.1%、「予算の確保が難しい」が24.9%でした。「DX推進に関わる人材が足りない」も27.2%で、人材面の課題が上位を占めます。従業員20人以下の企業に限ると「何を始めたらよいかわからない」が27.7%にのぼります。構想策定は、まさにこの「何から始めるか」を決める工程です。

経済産業省が2025年5月に公表した「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」も、ユーザー企業に対して、現行の仕組みをそのまま引き継ぐ「現行踏襲」を見直し、標準化への対応を検討することを求めています。あわせて、経営層が自分事として強くコミットし、トップダウンで進めることを求めています。現行踏襲を見直すかどうかは、現場の担当者には決められません。経営として方針を決める場が構想策定です。

きっかけが「現行システムの保守が終わる」という外部の事情であっても、構想策定は省かないほうが安全です。期限に追われて同じ仕組みを新しい環境に載せ替えるだけでは、転記や二重入力といった今の困りごとがそのまま残り、数年後に再び刷新を検討することになりかねません。

「基幹システム」という言葉の範囲そのものがあいまいな場合は、基幹システムとはで整理しておくと議論が早くなります。

グランドデザイン(構想書)に入れる8項目

中小企業の構想書は、次の8項目で足ります。分厚い資料は必要ありません。経営者が1時間で読み、判断できる分量を目安にします。

項目書くこと記入例(※説明用の例です)
1. 背景と課題今の業務とシステムで起きている問題を、事実と数字で受注から出荷指示まで3回転記している。月次決算の確定に10営業日かかる。現行システムの保守が2年後に終わる
2. 目的刷新で実現したい経営上の変化製品別の採算を月次で把握し、値上げ交渉と品目の見直しに使う
3. 成功指標刷新後に変わっているべき数字と期限稼働1年後に、月次決算の確定を5営業日に。受注入力の工数を半分に
4. 対象範囲と対象外対象の業務・拠点・会社。やらないこと販売・購買・在庫・原価を対象。給与と勤怠は現行を継続。子会社は第2段階
5. 将来の業務とデータの姿主要業務の流れと、どのデータを一元化するか受注データを起点に、出荷・請求・原価までを同じ品目コードでつなぐ
6. 作り方の方針業務ごとにパッケージ・スクラッチ・現行継続のどれにするか販売・会計はパッケージの標準に合わせる。製造指図は独自性が高いため個別に検討
7. ロードマップと予算枠段階ごとの範囲・時期・費用の幅第1段階は販売・在庫(1年)、第2段階で原価(半年)。5年総額の上限を設定
8. 体制とルール責任者、決裁者、会議体、意思決定のルール責任者は管理担当役員。領域ごとの決裁者を部長級から選ぶ。月1回の経営報告

構成は、1枚目に8項目の要約を置き、2枚目以降に各項目の詳細を続ける形が読みやすくなります。経営会議では1枚目だけで議論し、詳細は質問が出たときに開くという使い方ができます。

このうち、構想策定でしか決められないのが2〜4と7です。目的と範囲と予算枠は、後工程で変えると影響が大きいため、経営者が明示的に承認します。5と6は、要件定義で詳しくしていく前提で、方向性を決めれば十分です。

構想策定の進め方6ステップ

構想策定は、中小企業の基幹システムなら1.5〜3か月程度を目安に計画します。長くかけすぎると、現状調査の資料ばかりが増えて判断が先送りになります。次の6ステップで進めます。

  1. 経営者へのインタビュー
    3〜5年後の事業の姿、今いちばん困っていること、刷新に期待することを経営者から直接聞きます。ここで出た言葉が、目的と成功指標の原案になります。
  2. 現状の把握
    部門ごとに業務の流れ、使っているシステムとExcel、困りごとを聞き取ります。この段階では細部に入らず、部署をまたぐ転記や二重入力がどこにあるかを押さえます。現状把握の手法はAs-Is/To-Beの進め方で解説しています。
  3. 課題の整理と目的の確定
    集めた困りごとを、原因でまとめ直します。「入力が多い」「数字が合わない」の根っこが、コードの不統一や部門ごとのシステムの分断にあることが見えてきます。そのうえで目的と成功指標を経営者と確定します。
  4. 範囲と作り方の方針
    対象の業務と対象外を決め、業務ごとにパッケージ・スクラッチ・現行継続の方針を仮決めします。判定の考え方は次の章で紹介します。
  5. ロードマップと予算枠
    一度に入れるか段階的に入れるかを決め、段階ごとの範囲・時期・費用の幅を置きます。費用の考え方はERP・基幹システムの費用を参考にしてください。
  6. 経営承認と体制づくり
    構想書を経営会議で承認し、プロジェクト責任者と決裁者、会議体を決めます。ここから要件定義に入ります。

※期間は従業員30〜300名程度の企業での目安です。拠点数や対象範囲によって前後します。

現状把握で集めておく資料

ステップ2では、聞き取りの前に次の資料を集めておくと、短い時間で全体像がつかめます。

  • システムの一覧:使っているシステム、導入年、保守の契約先と期限、年間の保守費用
  • Excelと紙の一覧:システムの外で管理している台帳、集計表、手書きの伝票
  • 帳票の現物:見積書、受注伝票、納品書、請求書、作業指示書など
  • コードの一覧:品目・取引先・部門のコードと、その付け方のルール
  • 業務量:月別の受注件数・出荷件数・請求件数、締め日ごとの残業時間
  • 過去の検討資料:以前にシステム刷新を検討して見送った経緯があれば、その理由

とくに「システムの一覧」の保守期限は、ロードマップの動かせない日付になります。期限から逆算して、構想策定に使える時間も決まります。

経営者が出るべき場面は、ステップ1、3、5、6の4回です。とくにステップ3の目的の確定を担当者任せにすると、後工程で「社長がそんなことを望んでいたとは知らなかった」が起きます。

目的と成功指標の決め方

構想書の中で最も書き直しが多いのが目的です。「業務効率化」「DXの推進」「全体最適」といった言葉は、誰も反対しない代わりに、何も決めていません。目的は、判断に使える形で書きます。

例1:目的の書き方(※説明用の例です)
NG基幹システムを刷新し、業務の効率化と全体最適を図る。
OK製品別・取引先別の採算を月次で把握できるようにし、毎年の価格改定交渉と、不採算品目の見直しに使う。そのために、受注から原価までを同じ品目コードでつなぐ。

OKの書き方なら、「この機能は目的に必要か」を判断できます。品目コードの統一が範囲に入ることも、ここから決まります。

例2:成功指標の書き方(※説明用の例です)
NG業務時間を削減し、生産性を向上させる。
OK稼働1年後に、①月次決算の確定を10営業日から5営業日へ、②受注1件あたりの入力時間を半分へ、③在庫の差異(帳簿と実地)を半期ごとの棚卸で確認し、前年より縮小する。

数字と期限と測り方をそろえます。今の数字を測っていない場合は、構想策定の間に一度測っておきます。

目的の候補を出すための3つの問い

目的がなかなか言葉にならないときは、経営者に次の3つを聞きます。答えの中に、システムで解決すべきことが含まれています。

  • 今、毎月の経営会議で見たいのに見られない数字は何か:製品別の粗利、取引先別の採算、工場別の稼働率など
  • 3年後に事業がどう変わっていると困るか:取引先の増加、拠点の追加、EC販売の拡大など、今の仕組みでは回らなくなる変化
  • 人が辞めたら止まる業務はどれか:特定の担当者しか分からない計算や締めの作業

1つ目からは「見える化」の目的、2つ目からは「拡張」の目的、3つ目からは「属人化の解消」の目的が出てきます。どれを最優先にするかで、範囲もロードマップも変わります。

成功指標は3〜5個に絞ります。多すぎると、要件定義で「どれを優先するか」の基準として使えなくなります。

作り方の方針を決める判定表:パッケージ・スクラッチ・現行継続

構想策定では、業務ごとに作り方の方針を仮決めします。すべてを同じ作り方にする必要はありません。業務の性質によって分けるのが現実的です。

業務の性質典型的な業務方針の目安確認すること
どの会社でもやり方がほぼ同じ会計、債権債務、購買の基本処理パッケージの標準機能に業務を合わせる法改正への対応が製品側で行われるか
業界ごとの型がある卸売の掛率・締め請求、建設の工事台帳業界向けのパッケージを候補にする自社の取引条件がどこまで標準で扱えるか
自社の強みに直結する独自の生産計画、特殊な見積・配合計算個別開発(スクラッチ)や追加開発を検討本当に強みか、単なる慣習かを経営者と確認
今の仕組みで困っていない給与、勤怠、一部の専用ツール現行を継続し、データ連携だけを決める保守の期限と、連携の方法
頻度が低い・件数が少ない年数回の特殊な取引、例外的な返品システム化せず運用で対応する担当者が替わっても回る手順書があるか

※判定は目安です。実際には製品の機能、費用、社内の体制を合わせて判断します。

判定で迷ったときは、次の3つの問いで考えます。

  • その業務のやり方を変えたら、顧客は離れるか:離れないなら、標準に合わせる候補です。
  • そのやり方を説明できる人は社内に何人いるか:1人しかいないなら、作り込むより業務の標準化が先です。
  • 5年後もそのやり方を続けているか:続けない見込みなら、作り込む費用は回収できません。

この表で一番議論になるのは「自社の強みに直結する」の行です。「うちの業務は特殊だから」という声は多くの会社で出ますが、それが顧客に選ばれる理由なのか、長年の慣習なのかで扱いは変わります。前者なら作る価値があり、後者ならパッケージに合わせて業務を変える候補です。それぞれの作り方の特徴は、ERPパッケージとはとスクラッチ開発とはで比較しています。

ロードマップと予算枠の置き方

ロードマップは、刷新をどの順番で、どのくらいの期間で進めるかの計画です。中小企業では、一度にすべてを入れ替えるより、データの起点になる業務から段階的に進めるほうが、社内の負荷とリスクを抑えられます。

次は、従業員150名、2工場の食品製造業を例にしたロードマップです。現行は販売管理と生産管理が別々のシステムで、原価はExcelで計算しています。

段階期間の目安範囲この段階で得たい効果
第0段階:構想策定2か月目的・範囲・方針・ロードマップ・予算枠の決定経営承認、要件定義の範囲確定
第1段階:販売・在庫・購買要件定義から稼働まで約12か月受注〜出荷〜請求、仕入、在庫。品目・取引先コードの統一転記の解消、在庫数の一元化
第2段階:生産・原価約8か月製造指図、実績収集、製品別原価製品別採算の月次把握
第3段階:分析・周辺約4か月経営ダッシュボード、取引先とのデータ連携価格改定・品目見直しへの活用

※説明用の例です。期間は業務の複雑さや製品によって大きく変わります。

この例で販売・在庫を先にしているのは、受注データと品目コードが、生産や原価のすべての起点になるからです。順番を逆にして原価から始めると、元になる販売・在庫のデータが整っていないため、精度の高い原価が出せません。

一括導入か段階導入かの判断

段階導入が向いているのは、社内の推進役が少ない、業務ごとに準備の進み具合が違う、現行システムの保守期限に余裕がある、といった場合です。反対に、次のような場合は一括導入を検討します。

  • 販売と生産のデータが密接につながり、片方だけ新しくすると二重入力が増える
  • 現行システムの保守期限が近く、段階を分ける時間がない
  • 段階ごとに旧システムとの一時的な連携を作る費用が、一括導入の追加の負荷を上回る

どちらを選んでも、段階の切れ目では「旧システムと新システムが並ぶ期間のデータの持ち方」を構想の段階で決めておきます。ここを後回しにすると、移行の計画が立てられません。

予算は、構想策定の段階では「上限の枠」として置きます。正式な見積もりは要件定義のあとでしか出ませんが、枠がないと、要件定義で範囲が際限なく広がります。枠は初期費用だけでなく、5年程度の保守・利用料まで含めた総額で考えます。古いシステムの入れ替えタイミングの考え方は基幹システムのリプレイスでも解説しています。

構想策定でつまずくパターンと確認チェックリスト

コンサルタントの現場メモ

構想策定で危ないのは、製品のデモから入ることです。構想が固まる前に製品を見ると、その製品でできることが目的にすり替わります。「この製品なら在庫が見える」は手段であって、目的ではありません。製品を見るのは、目的と範囲が決まってからにします。

もう一つは、構想書を担当者が書き、経営者は最後に押印するだけという進め方です。この形だと、要件定義で優先順位が割れたときに、構想書が判断の拠り所になりません。目的と成功指標の章だけは、経営者自身の言葉で書いてもらうか、少なくとも経営者が赤を入れる時間を取ります。

もう一つよくあるのが、範囲を広げすぎるパターンです。構想策定で各部門の困りごとを聞くと、「ついでに勤怠も」「営業日報も」と対象が膨らみます。すべてを第1段階に入れると、要件定義も移行も重くなり、稼働が遅れます。困りごとは一覧にして残しつつ、目的と成功指標に効くものから段階に割り振り、残りは「第2段階以降の候補」として明記しておきます。対象外を明記することは、要望を切り捨てることではなく、順番を決めることです。

構想書を確定する前に、次の10項目を確認します。

  • 目的が「判断に使える形」で書かれ、経営者が自分の言葉で説明できる
  • 成功指標が3〜5個に絞られ、今の数字と目標値、期限がある
  • 対象範囲と、対象外の業務・拠点・会社が明記されている
  • 部署をまたぐ転記・二重入力の箇所が洗い出されている
  • 品目・取引先などのコードを統一するかどうかの方針がある
  • 業務ごとの作り方の方針(パッケージ・スクラッチ・現行継続)が仮決めされている
  • 現行システムの保守期限など、動かせない日付が書かれている
  • 段階ごとの範囲・時期と、5年程度の総額の上限が置かれている
  • プロジェクト責任者と、領域ごとの決裁者の候補が決まっている
  • 構想書が経営会議で承認され、要件定義に進む条件が決まっている

体制と会議体の作り方はステアリングコミッティとはで、構想のあとの進め方は要件定義の進め方で詳しく解説しています。

よくある質問

構想策定とグランドデザインは同じものですか?

ほぼ同じ意味で使われます。基幹システムの文脈では、刷新の目的・範囲・作り方の方針・ロードマップ・予算枠をまとめた全体設計をグランドデザインと呼び、それを作る工程を構想策定と呼ぶことが多いです。呼び方より、目的と範囲と予算枠を経営が承認しているかが大事です。

構想策定にはどのくらいの期間がかかりますか?

従業員30〜300名程度の企業なら、1.5〜3か月程度が目安です。経営者へのインタビュー、現状の把握、目的と範囲の確定、作り方の方針、ロードマップと予算枠、経営承認の順で進めます。拠点や事業部ごとに業務が大きく違う場合は長くなります。

構想策定はベンダーに任せてもよいですか?

整理や資料の作成は外部に任せられますが、目的・範囲・予算枠の判断は経営者にしかできません。また、特定の製品を扱うベンダーに構想策定を任せると、その製品が前提の構想になりやすい点に注意が必要です。製品に中立な立場の支援を受けるか、複数の選択肢を比べた根拠を構想書に残すようにします。

IT戦略を持っていない中小企業でも構想策定はできますか?

できます。文書になったIT戦略がなくても、経営者が考えている3〜5年後の事業の姿があれば、それを出発点にできます。構想策定の中で、経営者へのインタビューから目的と成功指標を言葉にしていけば、構想書そのものが基幹システムについてのIT戦略の役割を果たします。

構想策定を飛ばして、いきなり要件定義から始めるとどうなりますか?

要件定義の会議で「そもそも何のために刷新するのか」「この業務は対象か」という議論が繰り返され、機能の検討が進まなくなりがちです。目的と範囲がはっきりしている小規模な入れ替えなら構想策定を短くできますが、全社の業務にかかわる刷新では省かないほうが結果的に早く進みます。

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この記事で紹介した構想書の8項目、進め方の6ステップ、要件定義へのつなぎ方をまとめた資料です。社内での検討や経営会議の資料づくりにお使いください。

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まとめ

基幹システムの構想策定は、要件定義の前に、目的・範囲・ロードマップ・予算枠を経営として決める工程です。成果物のグランドデザインは、背景と課題、目的、成功指標、範囲、将来の業務とデータの姿、作り方の方針、ロードマップと予算枠、体制の8項目で足ります。

押さえたいのは、目的を判断に使える形で書くこと、業務の性質に応じて作り方を分けること、データの起点になる業務から段階的に進めることの3点です。ここが固まっていれば、要件定義は「決めたことを具体にする」作業になり、迷いが大きく減ります。

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構想策定・要件定義の進め方ガイド

何から決めるか、成果物、週ごとのスケジュール例

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この記事の執筆・編集:基幹システム構築支援 編集部(株式会社Digital&)

中小企業の基幹システムの構想策定から導入・定着までを支援する「基幹システム構築支援」の編集部です。記事は、大手コンサルティングファーム出身/基幹システム刷新・業務改革の実務経験を持つ専門家の監修のもと、実務で得た知見と公的な資料をもとに作成しています。