採用に関するお役立ち情報
採用代行とAIの使い分け|外部・AI・社内に残す業務の分け方
「採用代行に頼むか、AIで効率化するか」で迷っていませんか。採用担当が1人、または総務と兼務の会社では、どちらも魅力的に見えます。一方で、全部を外部に任せると社内にノウハウが残らず、AIに任せすぎると応募者対応や個人情報の扱いが心配になります。
この記事では、採用業務を1つずつ「社内に残す」「AIに任せる」「外部に任せる」に振り分ける表を示し、振り分けの基準を解説します。採用代行を使うときに知っておきたい職業安定法の委託募集のルールや、個人情報の扱いも、法令と厚生労働省の資料で確認した内容をもとに整理しました。そのまま使える指示文と出力例、導入前のチェックリストも載せています。
採用代行とAIは「代わりにできること」が違う
採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)は、採用業務の一部または全部を外部の会社に任せる仕組みです。基本的な内容や種類は採用代行(RPO)とはで詳しく解説しています。
採用代行とAIは、どちらも「採用担当の手を空ける」手段です。ただ、代わりにできることの性質が違います。採用代行は人が動くので、応募者とのやり取りや媒体の運用など、判断を伴う作業も引き受けられます。AIは文章や表を速く作れますが、送信や判断の責任は持てません。
| 比べる点 | 採用代行(外部の人) | AI(生成AIなど) | 社内の担当者 |
|---|---|---|---|
| 得意なこと | 媒体運用、応募者対応、日程調整など、量が多く手順が決まった実務 | 下書き、要約、集計、書き漏れの指摘 | 採用基準・合否・条件の決定、現場との調整 |
| 判断できること | 契約で決めた範囲の実務上の判断 | 判断はさせない(案を出すまで) | 最終的な判断のすべて |
| 応募者との接点 | 持てる(契約と法令の範囲で) | 持たせない(下書きまで) | 持つ |
| 費用の形 | 月額や成果報酬など(契約による) | AIサービスの利用料 | 人件費 |
| 向く場面 | 応募が多い時期、媒体運用のノウハウがないとき | 毎週くり返す文章・集計の作業 | 会社の方針にかかわること |
| 注意点 | 委託募集の手続き、個人情報の委託先管理 | 個人情報の入力、規約、出力の確認 | 担当者の負担の偏り |
費用感は契約によって大きく変わるため、相場は採用代行の料金相場で確認してください。この記事では費用よりも、「どの業務をどこに置くか」に絞って考えます。
採用代行は「人の手」を、AIは「下書きと整理の時間」を減らすものと考えると、使い分けの軸が見えてきます。どちらも、会社としての判断までは代わってくれません。
業務×(社内/AI/外部)の振り分け表

採用の主な業務16項目を、社内・AI・外部の3つに振り分けた目安です。◎は主に担う、○は一部を担う、△は必要に応じて補助する、×は任せないことを表します。
| 業務 | 社内に残す | AIに任せる(下書き・整理) | 外部(採用代行)に任せる |
|---|---|---|---|
| 採用計画(人数・時期・予算) | ◎ 決定する | ○ 過去の応募数・採用数の集計 | ○ 計画づくりの助言 |
| 求める人物像・採用基準 | ◎ 決定する | ○ 現場ヒアリングの要約 | ○ 言語化の支援 |
| 労働条件の決定 | ◎ 決定し、文書で渡す | × 任せない | × 任せない |
| 求人原稿の作成 | ○ 最終確認 | ◎ 下書きと書き漏れの指摘 | ◎ 媒体ごとの原稿作成 |
| 求人媒体の選定・運用 | ○ 予算の承認 | ○ 数字の集計 | ◎ 運用と改善 |
| 媒体への掲載・更新の操作 | ○ どちらかが担当 | × 任せない | ○ 契約で範囲を決める |
| スカウトの送信 | ○ 送る相手の条件を決める | ○ 文面の型・件名案 | ◎ 送信作業(委託募集の確認が必要) |
| 応募受付・一次連絡 | △ 例外対応 | ○ 連絡文の下書き | ◎ 連絡の実務 |
| 面接の日程調整 | ○ 面接官の予定を出す | ○ 候補日時の整理 | ◎ 応募者との調整 |
| 書類選考 | ◎ 通過の判断 | ○ 要件と記載の対応表(応募者IDで) | ○ 基準に沿った確認の補助 |
| 面接 | ◎ 質問と評価 | ○ 質問案・同意を得た記録の要約 | ○ 面接官トレーニング |
| 合否の決定 | ◎ 決定する | × 任せない | × 任せない |
| 内定の連絡・条件の提示 | ◎ 条件を伝える | ○ 文面の下書き | △ 連絡の補助(条件の交渉は社内) |
| 内定者フォロー | ◎ 関係づくり | ○ 連絡文・案内文の下書き | ○ 連絡の実務 |
| 採用の数字の振り返り | ◎ 改善策を決める | ◎ 集計とレポートの下書き | ○ 分析と提案 |
| 採用広報(記事・SNS) | ○ 素材の提供と確認 | ○ 記事・投稿の下書き | ○ 取材・制作 |
表を見ると、社内に残るのは「決めること」、AIに向くのは「下書きと集計」、外部に向くのは「量の多い実務」だとわかります。労働条件と合否の決定は、AIにも外部にも任せない業務です。
表の使い方
- 表を自社の業務に合わせて書きかえる(行を足す・消す)
- 今の担当者の名前を、業務ごとに書き込む
- 担当者の負担が大きい行に印をつける
- 印をつけた行を、AIか外部に移せるかを検討する
- 移した行は「人が確認すること」を1行で書き添える
最初から全部を振り分ける必要はありません。負担が大きく、手順が決まっている業務から1つずつ移していくと、失敗しても影響が小さく済みます。
「AIと外部の両方に○」の業務はどう分けるか
求人原稿の作成や日程調整のように、AIと外部の両方に○がつく業務もあります。この場合は、AIが下書きと整理を担い、外部の担当者がそれを確認して実行する、という順番にすると無駄がありません。外部に頼む場合も、AIの使い方のルールを契約時に確認しておきます。
振り分けを決める4つの基準
表は目安です。自社に合わせて振り分けを変えるときは、次の4つの基準で判断します。
| 基準 | 確認すること | 結論の目安 |
|---|---|---|
| 1. 判断の重さ | その業務に、会社としての判断や責任が含まれるか | 含まれるなら社内に残す |
| 2. 応募者との接点 | 応募者に直接届く連絡や操作があるか | あるならAIは下書きまで。送信は社内か外部の人 |
| 3. 量と波 | 応募が集中する時期に、量が大きく増えるか | 増えるなら外部に任せる候補 |
| 4. ノウハウの蓄積 | 社内に経験を残したい業務か | 残したいなら社内で担い、AIで負担を減らす |
基準1:判断の重さ
厚生労働省は「公正な採用選考の基本」で、応募者の適性・能力に基づいた基準で採用選考を行うことを基本としています。面接では、質問項目と評価基準をあらかじめ決め、客観的で公平な評価を心がけるよう求めています。
採用基準を決めること、合否を決めることは、この「公正な採用選考」の中心にある判断です。外部やAIに意見を求めることはあっても、決める責任は社内に残す必要があります。
基準2:応募者との接点
応募者への連絡は、会社の印象を左右します。外部に任せる場合は、連絡文の型と、例外が起きたときに社内へ確認する手順を決めておきます。AIを使う場合は、下書きまでにとどめ、送信は人が行います。
基準3:量と波
年に数回だけ応募が集中する会社では、繁忙期だけ外部に任せる方法もあります。毎週ほぼ同じ量の作業がある場合は、AIで下書きを作る仕組みを整えたほうが、費用を抑えやすくなります。
基準4:ノウハウの蓄積
面接の進め方や、自社に合う人の見極め方は、社内に残したいノウハウです。こうした業務は、外部に丸ごと任せるのではなく、社内で担いながらAIで記録や整理の負担を減らします。採用代行が向く会社・向かない会社の特徴は採用代行に向いている企業の特徴も参考にしてください。
採用代行を使う前に知っておきたい法律のルール
採用代行を使うときに見落とされやすいのが、職業安定法の「委託募集」のルールです。どんな業務を任せるかによって、許可や届出が必要になる場合があります。ここでは条文と厚生労働省の「募集・求人業務取扱要領」で確認した内容を整理します。
委託募集とは:外部に「募集」をさせる形態
職業安定法第4条第5項は「労働者の募集」を定義しています。労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘することです。
そのうえで第36条は、社員(被用者)以外の者に募集をさせる場合のルールを定めています。報酬を与えて募集に従事させるときは、厚生労働大臣の許可が必要です(第1項)。その報酬の額も、あらかじめ認可を受けます(第2項)。報酬を与えずに従事させる場合は、届出が必要です(第3項)。
出典:職業安定法 第4条・第5条の5・第36条(e-Gov法令検索)
厚生労働省の要領は、委託募集を「労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして労働者の募集に従事させる形態」と説明しています。また、募集従事者を「応募を勧誘する行為を行う者」としています。つまり、自社の社員ではない採用代行の担当者が応募を勧誘する場合は、委託募集にあたり得るということです。
出典:募集・求人業務取扱要領(厚生労働省職業安定局、令和7年6月)/募集・求人業務取扱要領 掲載ページ(厚生労働省)
許可・届出の手続きの要点
要領で確認できた手続きの要点は次のとおりです。
| 項目 | 要領で確認できた内容 |
|---|---|
| 報酬を与える場合 | 許可が必要。報酬の額も認可を受ける |
| 報酬を与えない場合 | 届出が必要。届出の有効期間は最長1年 |
| 許可の窓口 | 自県外募集で、1つの都道府県からの募集人員が30人以上、または募集人員の総数が100人以上のものは厚生労働大臣。それ以外は都道府県労働局長 |
| 申請する人 | 募集主(採用する会社)。募集受託者が代わりに手続きすることもできる |
| 申請の期限 | 労働局長の許可は募集を開始する月の14日前まで、大臣の許可は21日前まで、届出は10日前まで |
| 募集の期間 | 許可基準では、募集の期間が1年を超えないこと |
| 報酬の認可基準 | 報酬が、支払われた賃金額の100分の50(同じ人が1年を超えて雇用される場合は1年間の賃金額の100分の50)を超えるときは、経費が特に高額となる特段の事情がある場合を除き認可しない |
| 報告 | 募集主は毎年度「労働者募集報告」を作成し、翌年度の4月末日までに労働局長に提出する(募集受託者が代わって作成・提出してもよい) |
出典:募集・求人業務取扱要領(厚生労働省職業安定局、令和7年6月)
職業紹介事業の許可を持つ会社に任せる場合
要領は、事業として反復継続して労働者の募集を受託する場合は、職業紹介の実態に該当することが通常だとしています。そのため、職業紹介事業の許可を持つ人材スカウト型の事業者に募集を委託する場合は、その事業者に求人を申し込んだものと解するのが適当としています。この場合、委託募集の許可は基本的には不要です。
また要領では、企業グループ内の別の会社の委託を受けて募集を行う場合など、別の法人格を持つ募集主の委託を受ける場合も委託募集にあたるとしています。
出典:募集・求人業務取扱要領(厚生労働省職業安定局、令和7年6月)
どの業務が「募集に従事」にあたるかは、契約内容と実際の業務で判断されます。今回確認した要領では、日程調整などの事務作業だけを任せる場合の扱いを明示した記載は確認できませんでした。判断に迷う場合は、契約前に採用代行会社に手続きの考え方を確認し、必要に応じて事業所を管轄する都道府県労働局に相談しましょう。
応募者の個人情報を外部に預けるとき
採用代行に応募者の情報を渡す場合、個人情報保護法のルールもかかわります。同法第27条第5項第1号は、委託に伴う提供の扱いを定めています。利用目的の達成に必要な範囲内で個人データの取扱いを委託する場合、委託先は第三者に該当しません。一方で第25条は、委託する側に、委託先に対する必要かつ適切な監督を求めています。
出典:個人情報の保護に関する法律 第25条・第27条(e-Gov法令検索)
職業安定法第5条の5は、労働者の募集を行う者と募集受託者の両方に適用されます。どちらも、業務の目的の達成に必要な範囲内で応募者の個人情報を収集・保管・使用しなければなりません。委託契約では、預ける情報の範囲、保管の方法、契約終了時の扱いを決めておきます。
出典:職業安定法 第4条・第5条の5・第36条(e-Gov法令検索)
AIを使うときに社内と外部で決めておくルール
自社でAIを使う場合も、AIを使う採用代行に任せる場合も、決めておくべきルールは共通です。ここでは3つに絞って整理します。
ルール1:応募者の氏名・連絡先をAIに入れない
個人情報保護委員会は2023年6月2日に、生成AIサービスの利用について注意喚起を出しています。個人情報を含む指示を入力する場合は、利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認するよう求めています。また、提供事業者がその個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう求めています。
出典:生成AIサービスの利用に関する注意喚起等(個人情報保護委員会、2023年6月2日)
実務では、応募一覧を「応募者ID・氏名・連絡先」の表と、「応募者ID・職種・選考段階」の表に分けます。AIに渡すのは後者だけにすると、確認の手間が大きく減ります。外部に任せる場合は、採用代行会社がAIをどう使い、何を入力しているかを契約前に確認します。
ルール2:求人媒体の管理画面をAIに操作させない
Indeedの利用規約(2026年9月30日最終更新)は、採用企業のアカウントを業務利用のためのものとしています。そのうえで、アカウント上のすべての活動に採用企業が責任を負うと定めています。また、すべての利用者に適用される規則として、Indeedの書面による明示的な許可なしに、ボットやAI、エージェント型AIなどの自動化されたシステムでサイトにアクセスすることを禁じています。
出典:Indeed 利用規約(Indeed、2026年9月30日最終更新)
ほかの媒体も規約の内容はそれぞれ異なります。利用中の媒体ごとに規約を確認し、はっきりしない場合はAIに操作させないのが安全です。外部に媒体の操作を任せる場合も、誰のアカウントで、どの範囲を操作するかを書面で決めておきます。
ルール3:合否・点数づけをAIにさせない
Indeedの同じ規約では、Indeedが提供する要約やスコアなどを採用判断の唯一の要因として使わないことを採用企業に求めています。AIの点数は根拠を説明しにくく、公正な選考の観点からも、判断は人が行う必要があります。AIには、募集要件と書類の記載の対応表づくりまでを任せます。
外部・AI・社内で分担したあとは、応募数や選考の通過率などの数字を毎月見て、分担がうまく回っているかを確認します。数字の集計と振り返りの手順、表のテンプレートは、無料資料『AIで回す採用の数字管理』にまとめています。
そのまま使える指示文と出力例
ここでは、業務の振り分けと採用代行の検討に使える指示文を3つ紹介します。ChatGPT、Claude、Gemini、Microsoft Copilotなど、ふだん使っているAIサービスに貼り付けて使えます。応募者の氏名や連絡先は入れないでください。
例1:自社の採用業務を社内・AI・外部に振り分ける
前の章の振り分け表を、自社の業務に合わせて作り直すための指示文です。会社の状況と業務一覧を書きかえて使います。
指示文の例
あなたは中小企業の採用業務の分担を整理するアシスタントです。 当社は従業員40名で、採用担当は総務との兼務1名です。 以下の採用業務を「社内に残す」「AIに任せる(下書き・整理)」「外部に任せる」のどこに置くべきか、表にしてください。 条件: ・労働条件の決定、合否の決定は「社内に残す」にしてください ・AIは下書きと整理まで。応募者への送信や求人媒体の操作はAIに割り当てないでください ・外部に任せる業務で、応募を勧誘する行為を含むものには「委託募集の確認」と注記してください ・表の列は「業務」「置き場所」「理由」「人が確認すること」の4つにしてください 【業務一覧】 ・求人原稿の作成 ・求人媒体の運用 ・応募者への一次連絡 ・面接の日程調整 ・書類選考 ・合否の決定 ・月次の数字の集計
出力例(※説明用の例です)
| 業務 | 置き場所 | 理由 | 人が確認すること | |---|---|---|---| | 求人原稿の作成 | AI(下書き)→社内 | 下書きはAIで速く作れる。労働条件の正確さは社内でしか確認できない | 賃金・労働時間などの記載 | | 求人媒体の運用 | 外部(委託募集の確認) | 運用ノウハウが必要で、作業量が多い | 月次の数字と予算 | | 応募者への一次連絡 | 外部(委託募集の確認) | 連絡の量が多く、早さが大切 | 連絡文の型、例外時の社内連絡 | | 面接の日程調整 | AI(整理)→外部 | 候補日時の整理はAI、調整の連絡は人 | 面接官の予定との重なり | | 書類選考 | 社内(AIは対応表づくり) | 通過の判断は採用基準に基づき社内で行う | 判断の理由の記録 | | 合否の決定 | 社内に残す | 会社としての判断と責任がある | 評価シートとの整合 | | 月次の数字の集計 | AI(集計)→社内 | やり直しがきく社内作業 | 数字が媒体の画面と合っているか |
出力は「たたき台」です。特に「外部」に置いた業務は、法令の手続きと費用を確認してから決めます。
例2:採用代行に相談する前の「依頼範囲メモ」を作る
採用代行会社と打ち合わせをする前に、依頼したいことと社内に残すことを整理しておくと、見積もりや提案を比べやすくなります。比較の観点は採用代行の比較ガイドも参考になります。
指示文の例
採用代行会社に業務を依頼するための「依頼範囲メモ」の下書きを作ってください。 相手と打ち合わせをする前の、当社内の整理用です。 【当社の状況】 ・製造業、従業員60名、採用担当は兼務1名 ・募集職種:製造スタッフ(正社員)2名 ・使っている媒体:求人検索エンジン1つ、ハローワーク ・困っていること:応募への返信が遅れる、面接日程の調整に時間がかかる 【メモに入れる項目】 1.依頼したい業務と、依頼しない業務 2.当社が決めること(判断を残す業務) 3.応募者の個人情報の扱いで確認したいこと 4.AIの使い方で確認したいこと 5.打ち合わせで質問すること(5つ) 法令の判断はしないでください。確認が必要な点は「確認する」と書いてください。
出力例(※説明用の例です)
【依頼範囲メモ(社内用・下書き)】 1.依頼したい業務/依頼しない業務 ・依頼したい:応募者への一次連絡、面接日程の調整、媒体の数字の月次報告 ・依頼しない:労働条件の決定、書類選考の判断、合否の決定、内定条件の提示 2.当社が決めること ・採用基準と評価シートの項目 ・書類選考と面接の合否 ・内定の条件と通知の時期 3.個人情報の扱いで確認したいこと ・応募者情報を預ける範囲と保管場所 ・契約終了時の情報の返却・削除の方法 ・社内で情報を扱う担当者の範囲 4.AIの使い方で確認したいこと ・AIに入力する情報(氏名・連絡先を入れていないか) ・使っているAIサービスと、入力内容が学習に使われる設定か ・AIが送信や媒体の操作をしていないか 5.打ち合わせで質問すること ① 一次連絡は、応募から何時間以内に送ってもらえるか ② 委託募集の許可・届出の手続きをどう考えているか(確認する) ③ 職業紹介事業の許可の有無(確認する) ④ 例外が起きたときに、誰にどう連絡が来るか ⑤ 月次報告に入る数字の項目
例3:分担後の数字から、見直す点を出す
分担を決めたら、毎月の数字で効果を確かめます。AIに集計と下書きを任せ、見直しの判断は社内で行います。
指示文の例
以下は、採用業務を社内・AI・外部で分担してから3か月間の記録です(数字は当社の記録)。 分担を見直すべき点を、次の形式でまとめてください。 ・うまくいっている点(2つ) ・見直す点(2つ)と、その理由 ・来月試すこと(1つ) 条件:数字から言えないことは書かないでください。合否や個人の評価には触れないでください。 【記録】 7月:応募18件/一次連絡までの平均12時間/面接実施6件/担当者の採用業務 月20時間 8月:応募22件/一次連絡までの平均5時間/面接実施9件/担当者の採用業務 月14時間 9月:応募15件/一次連絡までの平均4時間/面接実施4件/担当者の採用業務 月12時間 メモ:9月は日程調整の連絡の行き違いが2件あった
出力例(※説明用の例です)
【うまくいっている点】 ・一次連絡までの平均時間が、7月の12時間から9月は4時間に短くなっています。 ・担当者の採用業務の時間が、月20時間から月12時間に減っています。 【見直す点】 ・9月は応募15件に対して面接実施が4件と、7・8月より少なくなっています。応募から面接までのどこで止まっているかは、この記録だけでは分かりません。選考段階ごとの件数を記録に加える必要があります。 ・日程調整の行き違いが2件ありました。外部とAIと社内の間で、面接官の予定の更新が伝わる手順を確認する必要があります。 【来月試すこと】 ・面接官の空き枠を週1回、決まった曜日に外部の担当者へ共有し、行き違いが減るかを見ます。
例3のように「数字から言えないことは書かない」と指示しておくと、AIが根拠のない原因を書くのを防ぎやすくなります。それでも出力は人が読み、元の記録と数字が合っているかを確認します。
採用代行・AIを使い始める前のチェックリスト
採用代行を契約する前、またはAIを採用業務で使い始める前に、次の項目を確認します。
社内で決めておくこと
- □ 業務ごとの置き場所(社内/AI/外部)を表にした
- □ 労働条件と合否の決定は社内に残すと決めた
- □ 採用基準と評価シートの項目を社内で決めた
- □ AIに入力してよい情報と、入力してはいけない情報を決めた
- □ 応募者IDで扱う手順を決めた
- □ 利用中の求人媒体の規約で、外部サービスや自動化ツールの扱いを確認した
採用代行会社に確認すること
- □ 委託募集の許可・届出の手続きをどう考えているか
- □ 職業紹介事業の許可を持っているか(持っている場合は許可番号)
- □ 預ける個人情報の範囲、保管方法、契約終了時の返却・削除の方法
- □ AIを使う場合、何を入力し、どのサービスを使っているか
- □ 求人媒体の操作は誰のアカウントで、どの範囲で行うか
- □ 例外が起きたときの社内への連絡方法と期限
- □ 月次報告に入る数字の項目
AIに任せないこと/人が確認すること
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| AIに任せないこと | 労働条件と合否の決定、点数づけ・順位づけ、応募者への送信、求人媒体の管理画面の操作 |
| 人が確認すること | 労働条件の記載、宛先と日時、数字が元データと合っているか、外部の担当者が契約の範囲で動いているか |
よくある質問(FAQ)
Q1. AIが進めば、採用代行は不要になりますか?
下書きや集計など、AIで減らせる作業は増えています。ただ、応募者との連絡や媒体の運用など、人が実行し責任を持つ実務は残ります。AIで減らせる作業はAIに移し、量の多い実務は外部、判断は社内、と分けて考えるのが現実的です。
Q2. 採用代行に頼むと、どんな場合でも委託募集の許可が必要ですか?
任せる業務の内容と契約の形によって変わります。職業安定法第36条は、社員以外の者に報酬を与えて募集に従事させる場合に許可を求めています。一方、厚生労働省の要領では、職業紹介事業の許可を持つ人材スカウト型の事業者に募集を委託する場合は、委託募集の許可は基本的に不要とされています。契約前に採用代行会社に確認し、迷う場合は都道府県労働局に相談してください。
Q3. 応募者の情報を採用代行会社に渡しても大丈夫ですか?
個人情報保護法では、利用目的の達成に必要な範囲内で取扱いを委託する場合、委託先は第三者に該当しないとされています。ただし、委託する側には委託先を監督する義務があります。預ける範囲、保管方法、契約終了時の扱いを契約で決めておきましょう。
Q4. 採用代行会社がAIを使っている場合、何を確認すればよいですか?
AIに入力している情報、使っているAIサービス、入力内容が学習に使われる設定かどうか、AIが送信や媒体の操作をしていないかを確認します。氏名や連絡先をAIに入れていないかは、特に確認しておきたい点です。
Q5. まず何から始めればよいですか?
この記事の振り分け表を自社の業務に合わせて書きかえ、今の担当者の名前を書き込むところから始めます。負担が大きく、手順が決まっている業務を1つ選び、AIか外部に移してみてください。
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まとめ|「決めること」は社内に残し、AIと外部で手を空ける
採用代行とAIは、どちらも採用担当の負担を減らす手段ですが、代わりにできることが違います。採用代行は量の多い実務を、AIは下書きと整理を担い、労働条件と合否の決定は社内に残すのが基本の分け方です。
採用代行を使う場合は、職業安定法の委託募集のルールと、個人情報の委託先の管理を確認しておきます。AIを使う場合は、応募者の氏名・連絡先を入れない、媒体の管理画面を操作させない、合否や点数づけをさせない、の3つを社内と外部の共通ルールにします。
まずは振り分け表を自社の業務に合わせて作り直し、負担の大きい業務を1つ移すところから始めてみてください。
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中小企業・地方企業の採用代行(RPO)を行うヨビコムの編集部です。飲食・建設・不動産・製造業・介護などの採用支援で得た知見をもとに、採用担当者の実務に役立つ情報をお届けしています。
