再下請負通知書とは、下請会社が請け負った工事をさらに別の会社へ出したとき(再下請)に、その相手の情報を元請会社へ知らせる書面です。施工体制台帳を作る工事で必要になり、建設業法第24条の8第2項と建設業法施行規則第14条の4に根拠があります。
出すのは「工事を再下請に出した下請会社」、出す先は「施工体制台帳を作る元請会社」です。再下請の契約を結んだら、遅滞なく提出します。全建統一様式では「様式第1号-甲 再下請負通知書(変更届)」がこれにあたります。
この記事では、記載事項と書き方、記入例、添付書類、提出の流れを順に解説します。後半では、契約書や業者情報から下書きを作るときに生成AIを使う方法も紹介します。
この記事でわかること
- 再下請負通知書が必要になる工事と、誰が誰に出すか
- 法令で決まっている記載事項と、様式の各欄の書き方
- 添付する契約書面の写しと、金額部分の扱い
- 提出から変更届までの流れと、よくあるミス
- 生成AIで下書きと記入チェックを楽にするプロンプト例
再下請負通知書の提出前チェック表とAIプロンプトをまとめました。
再下請負通知書とは:根拠と役割
元請会社が施工体制台帳を作るには、二次・三次の下請会社の情報も必要です。しかし、元請が直接契約していない会社の情報は、元請には見えません。そこで、再下請に出した下請会社に、相手の情報を元請へ知らせる義務が定められています。
法令上の位置づけ
- 建設業法第24条の8第2項:台帳を作る工事の下請負人は、請け負った工事を他の建設業を営む者に請け負わせたとき、元請(特定建設業者)に通知しなければならない
- 建設業法施行規則第14条の4:通知する事項、書面(再下請負通知書)で行うこと、契約書面の写しの添付などを定めている
国交省の通知の文例では、「他の建設業を営む者」に建設業の許可を受けていない者も含むと示されています。相手が許可のない専門業者でも、再下請負通知の対象になります。
誰が、誰に、いつ出すか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出す人 | 工事を再下請に出した下請会社(法令上は「再下請負通知人」) |
| 出す先 | 施工体制台帳を作る元請会社(法令上は「作成建設業者」) |
| 出す時期 | 再下請に出す都度、遅滞なく |
| 出し方 | 元請に直接出すのが原則。やむを得ない場合は注文者(直近上位の会社)経由も可 |
| 電子での提出 | 元請の承諾を得れば、電磁的方法での通知も可 |
提出場所は、元請が書面で知らせ、現場にも掲示することになっています(建設業法施行規則第14条の3)。全建統一様式では「様式第2号 施工体制台帳作成建設工事の通知」がこの書面です。安全書類全体の流れはグリーンファイル(安全書類)とはで整理しています。
再下請負通知書が必要になる工事とケース
再下請負通知書は、施工体制台帳を作る工事で必要になります。台帳の作成が必要な工事は次のとおりです。
| 工事の種類 | 施工体制台帳の作成が必要になる条件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 公共工事 | 元請が下請契約を結んだ場合(金額にかかわらず) | 入札契約適正化法第15条第1項 |
| 民間工事(建築一式以外) | 下請代金の総額が5,000万円以上 | 建設業法施行令第7条の4 |
| 民間工事(建築一式) | 下請代金の総額が8,000万円以上 | 建設業法施行令第7条の4 |
民間工事の金額は、2025年2月1日に引き上げられています。それ以前の資料では4,500万円(建築一式は7,000万円)と書かれていることがあるため注意しましょう。台帳の詳細は施工体制台帳の書き方と作成義務で解説しています。
ケース別:誰が出すか
元請をA社、一次下請をB社、二次下請をC社、三次下請をD社とした例です。※説明用の例です。
| ケース | 再下請負通知書を出す会社 | 書く相手 |
|---|---|---|
| B社がC社に工事を出した | B社 | C社の情報 |
| C社がD社に工事を出した | C社 | D社の情報 |
| B社がC社とE社の2社に出した | B社 | C社・E社それぞれの情報(相手ごとに作成) |
| B社が再下請に出していない | 法令上は不要 | 元請の指示で自社欄のみ提出を求められることがある |
国交省の作成例の様式には「自社に関する事項」の欄があります。再下請をしない場合も、元請によってはこの欄の提出を求めます。元請の指示を確認しましょう。
記載事項と書き方:欄ごとの記入例
記載事項は、建設業法施行規則第14条の4第1項で決まっています。国土交通省の作成例(Excel)の欄に沿って説明します。記入例は架空の会社です。※説明用の例です。
法令で決まっている記載事項
| 区分 | 主な記載事項 |
|---|---|
| 自社(再下請負通知人) | 商号・名称、住所、建設業許可番号(許可業者の場合) |
| 自社が請け負った工事 | 工事の名称、注文者の商号・名称、注文者との契約日 |
| 再下請先の会社 | 商号・名称、住所、許可番号と許可業種、健康保険等の加入状況 |
| 再下請先が請け負った工事 | 工事の名称・内容・工期、契約日、監督員・現場代理人、主任技術者(資格・専任か否か)、専門技術者 |
| 従事者・外国人 | 工事に従事する者に関する事項(作業員名簿)、一号特定技能外国人・外国人技能実習生の従事の状況 |
報告下請負業者(自社)の欄
- 直近上位の注文者名:自社に工事を発注した会社を書きます。例:一次下請なら元請名
- 会社名・事業者ID、代表者名、住所・電話番号:事業者IDはCCUSに登録している場合に書きます
- 元請名称・事業者ID:台帳を作る元請会社を書きます
自社に関する事項
- 工事名称及び工事内容、工期、注文者との契約日:自社が注文者と結んだ契約の内容を書きます。例:「○○ビル新築工事のうち 型枠工事」
- 建設業の許可:施工に必要な許可業種、大臣/知事、特定/一般、許可番号、許可(更新)年月日を書きます
- 健康保険等の加入状況:健康保険・厚生年金保険・雇用保険の「加入/未加入/適用除外」と、事業所整理記号等を書きます
- 現場代理人、主任技術者、安全衛生責任者など:氏名と、主任技術者の専任/非専任、資格内容を書きます
- 外国人の従事状況:一号特定技能外国人、外国人技能実習生の有無を書きます
再下請負関係(再下請先)の欄
再下請先の会社ごとに、自社欄と同じ項目を書きます。会社名・代表者名・住所、工事名称と内容、工期、契約日、許可、保険加入、現場代理人、主任技術者、安全衛生責任者などです。
これらは自社の手元にない情報も多いため、再下請先から聞き取って作る必要があります。国交省の通知でも、相手から必要事項を聴取すること等により作成するとされています。聞き取り用のシートを用意しておくと、やり取りが1回で済みます。
添付書類:契約書面の写し
再下請負通知書には、再下請先と結んだ請負契約の書面(建設業法第19条の書面)の写しを添付します(同規則第14条の4第3項)。
- 民間工事:請負代金の額の部分を除いた写しでかまいません
- 公共工事:請負代金の額の部分も記載されている必要があります
- 電子データ:スキャナで読み取った記録などで、写しに代えることができます
あわせて、再下請先の作業員名簿も求められるのが一般的です。書き方は作業員名簿の書き方で解説しています。
提出の流れと変更届
- 元請からの通知を確認する台帳を作る工事であること、再下請負通知書の提出場所が書かれた書面を受け取ります。現場の掲示も確認します。
- 再下請先と契約する建設業法第19条の書面(契約書・注文書と請書など)を取り交わします。
- 再下請先に通知書面の写しを渡す元請から受け取った書面を再下請先にも通知します。さらに下へ出す場合の義務を伝えるためです(同規則第14条の4第2項)。
- 再下請先から情報を集める許可、保険、技術者、作業員などの情報を聞き取ります。
- 再下請負通知書を作って提出する契約書面の写しを添えて、遅滞なく元請に出します。
- 変更があれば届け直す記載事項や契約書面に変更があったときは、変更の年月日を付記して届け直します(同規則第14条の5)。
変更届が必要になる例
| 変更の内容 | 対応の例 |
|---|---|
| 工期が延びた | 変更後の工期と変更日を書き、変更契約書面の写しを添付 |
| 主任技術者・現場代理人が交代した | 変更後の氏名・資格と変更日を書く |
| 新しい再下請先が加わった | その会社について再下請負通知書を追加で出す |
| 建設業許可を更新した | 許可(更新)年月日を書き換える |
届け出た情報は、元請の施工体制台帳や施工体系図に反映されます。施工体系図の作り方は施工体系図の書き方をご覧ください。
よくあるミスと防ぎ方
| よくあるミス | 防ぎ方 |
|---|---|
| 「直近上位の注文者」に元請を書いてしまう(二次以下の場合) | 自社に直接発注した会社を書く |
| 再下請先の許可業種が工事内容と合っていない | 許可通知書の写しで業種を確認する |
| 契約書面の写しを付け忘れる | 提出前チェック表に入れておく |
| 民間工事で金額を消さずに出してしまう | 元請の指示を確認し、必要に応じて金額部分を伏せる |
| 工期が注文者との契約の工期からはみ出している | 自社の工期と再下請先の工期を並べて確認する |
| 主任技術者の専任/非専任の記入漏れ | 技術者の配置を決めた時点で記入する |
AIで楽にする方法:下書きと矛盾チェック
再下請負通知書は、契約書・許可証・保険の情報を1枚にまとめる書類です。ChatGPTやClaudeなどの生成AIを使うと、集めた情報を様式の欄に振り分ける下書きと、日付や工期の矛盾チェックを楽にできます。
コピーして使えるプロンプト
あなたは建設会社の工務担当です。 次の情報から、再下請負通知書に転記するための一覧を作ってください。 【自社(報告下請負業者)】 ・会社名:【例:○○工業株式会社】 ・直近上位の注文者:【例:△△建設株式会社】 ・元請:【例:△△建設株式会社】 ・自社の工事名称・内容:【例:□□ビル新築工事のうち 型枠工事】 ・自社の工期:【例:2026年11月1日~2027年3月31日】 ・注文者との契約日:【例:2026年10月10日】 【再下請先】 ・会社名:【例:◇◇型枠】 ・工事内容:【例:3~5階の型枠組立・解体】 ・工期:【例:2026年12月1日~2027年2月28日】 ・契約日:【例:2026年11月15日】 ・許可:【例:知事 一般 大工工事業 第○○号】 ・保険:【例:健康保険 加入/厚生年金 加入/雇用保険 加入】 ・主任技術者:【例:氏名は伏せ字、専任/非専任、資格】 【出してほしいもの】 1. 様式の欄名と記入内容を対応させた表 2. 次の矛盾がないかの確認結果 ・再下請先の工期が自社の工期の範囲内か ・契約日が工期の開始日より前か ・許可業種が工事内容に合っていそうか(判断できない場合は要確認) 3. 不足している情報の一覧 推測で埋めず、不明な欄は「未記入(要確認)」としてください。
出力イメージ(例)
1. 転記用の一覧 欄名 記入内容 直近上位の注文者名 △△建設株式会社 元請名称 △△建設株式会社 自社の工期 2026年11月1日~2027年3月31日 再下請先 会社名 ◇◇型枠 再下請先 工期 2026年12月1日~2027年2月28日 再下請先 許可 知事 一般 大工工事業 第○○号 代表者名 未記入(要確認) 2. 矛盾チェック ・工期:再下請先の工期は自社の工期の範囲内です ・契約日:工期開始日より前です ・許可業種:型枠工事は大工工事業に含まれると考えられます(要確認) 3. 不足している情報 ・再下請先の代表者名、住所、事業所整理記号 ・現場代理人、安全衛生責任者の氏名 ※AIの出力は下書きです。許可業種の判断などは担当者が確認してください。
AIは、情報の振り分けや日付の比較に向いています。一方で、許可業種が工事に合っているかの最終判断や、相手の保険加入の事実確認はできません。許可通知書や保険の資料で、人が確認してください。個人名は伏せ字にして入力し、社内のルールは生成AIのセキュリティ対策を参考に決めましょう。業務別のプロンプトは建設業のプロンプト集にもまとめています。
注意
再下請負通知書の様式、提出方法、添付書類の範囲は元請や発注者によって異なる場合があります。元請の指定と、最新の法令・一次情報が優先です。この記事の記入例は説明用の例です。許可業種・保険加入・技術者の資格は、必ず原本や写しで確認してください。AIで作った下書きは、人が最終確認してから提出してください。
提出前チェックリスト
- 元請から「施工体制台帳を作成する工事」の通知を受け、提出場所を確認した
- 再下請先ごとに再下請負通知書を作った
- 直近上位の注文者名と元請名を正しく書いた
- 再下請先の許可業種・許可番号・更新日を許可通知書で確認した
- 健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況を書いた
- 主任技術者の氏名・資格・専任/非専任を書いた
- 再下請先の工期が自社の工期の範囲内になっている
- 契約書面の写しを添付した(民間工事は金額部分の扱いを確認した)
- 再下請先に、元請からの通知書面の写しを渡した
- 再下請先の作業員名簿もそろえた
よくある質問
再下請負通知書は誰が誰に提出しますか?
工事を再下請に出した下請会社が、施工体制台帳を作る元請会社に提出します。元請に直接出すのが原則ですが、やむを得ない場合は直近上位の注文者を経由して出すこともできます。
再下請をしていない場合も提出が必要ですか?
法令上の再下請負通知は、工事を別の会社に出したときに必要です。ただし、元請によっては自社の情報を記入した通知書の提出を求めることがあります。元請の指示に従ってください。
相手が建設業の許可を持っていない場合も必要ですか?
必要です。国交省の通知の文例では、再下請の相手に建設業の許可を受けていない者も含むと示されています。許可番号の欄は、許可業者でない場合は記載の対象外です。
契約書の写しの金額は消してもよいですか?
公共工事以外の工事では、請負代金の額の部分を除いた写しでかまいません。公共工事では金額の部分も記載されている必要があります。
再下請負通知書はメールや電子データで出せますか?
元請の承諾を得れば、電磁的方法で通知できます。契約書面の写しも、スキャナで読み取った記録などで代えることができます。具体的な方法は元請の指定に従います。
全建統一様式では何号ですか?
全建統一様式では「様式第1号-甲 再下請負通知書(変更届)」です。変更届も同じ様式を使います。国交省も作成例をExcelで公開しています。
まとめ
- 再下請負通知書は、再下請に出した下請会社が元請へ出す書面
- 根拠は建設業法第24条の8第2項と施行規則第14条の4
- 施工体制台帳を作る工事で、再下請に出す都度、遅滞なく提出する
- 再下請先の契約書面の写しを添付する(民間工事は金額部分を除いてよい)
- 変更があれば変更日を付けて届け直す
- AIは転記用の一覧づくりと矛盾チェックに使い、最終確認は人が行う
再下請負通知書の作成と確認を楽にしませんか
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参考・出典(2026年9月30日確認)
