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採用担当者向け生成AI研修の作り方|定着するカリキュラム例

「社員に生成AIを使ってほしいが、研修をしても結局だれも使っていない」。採用担当を兼務する総務・人事の方から、こうした声をよく聞きます。一般的なAI研修は操作説明で終わりがちです。採用業務には個人情報と公正な選考がからむため、そのままでは現場で使いにくいのです。

この記事では、採用担当者向けに生成AI研修を組み立てる方法を、4回・合計12時間のカリキュラム例で紹介します。演習でそのまま使える指示文と出力例、AIに任せない線引き、研修後30日の定着策、助成金を使う場合の確認点までまとめました。

目次 隠す

採用担当者向けの生成AI研修が「一般的なAI研修」では定着しにくい理由

まず、企業の生成AI活用がどの段階にあるのかを確認します。総務省の令和8年版情報通信白書では、生成AIを「積極的に活用する方針」または「領域を限定して利用する方針」と答えた日本企業は68.9%でした。規模別では大企業74.0%、中小企業58.1%です。

一方で、生成AIの「組織的な取組はない」と答えた企業は27.0%あり、中小企業で特に高い傾向とされています。方針はあっても、業務の中にどう組み込むかが決まっていない会社が多いことがわかります。

出典:令和8年版 情報通信白書「生成AIの活用方針等」(総務省・2026年)/令和8年版 情報通信白書「組織的な取組状況」(総務省・2026年)

帝国データバンクの調査でも、懸念・課題の上位は「情報の正確性」50.4%、「専門人材・ノウハウ不足」41.3%、「生成AIを活用すべき業務の範囲」40.0%でした。生成AIを活用している企業に悪影響を尋ねた設問では、「使いこなせる社員と使いこなせない社員の間で能力・成果の格差が拡大」を挙げた企業も18.8%あります。

出典:生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)(帝国データバンク・2026年5月14日)

つまり課題は「ツールがない」ことではありません。「どの業務に、どこまで使ってよいか」が社内で共有されていないことです。採用業務は、この線引きが特に重要な領域です。

採用業務には個人情報と公正な選考がからむ

採用担当者が扱う情報の多くは、応募者の氏名や経歴などの個人情報です。個人情報保護委員会は、生成AIサービスに個人情報を含む指示文を入力する場合、利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認するよう注意喚起しています。

あわせて、本人の同意なく入力した個人データが応答の出力以外の目的で扱われる場合、法の規定に違反する可能性があるとも示しています。研修で「便利な使い方」だけを教えると、こうした入力のリスクが抜け落ちます。

出典:生成AIサービスの利用に関する注意喚起等(個人情報保護委員会・2023年6月2日)

一般的なAI研修と採用担当向け研修の違い

両者の違いを整理すると、次のようになります。採用担当向けの研修は、題材とルールを最初から自社の採用業務に合わせる点が特徴です。

比較項目一般的なAI研修採用担当向けの研修
題材議事録・企画書など汎用的なもの求人原稿、応募者連絡、面接記録など自社の採用業務
ゴールAIの操作に慣れる採用業務の下書きをAIで作る型を残す
入力ルール一般論として説明応募者の氏名・連絡先を入れない、応募者IDで扱うなど具体的に決める
確認の観点誤りがないか誤り+労働条件の明示漏れ+選考の公正さ
研修後各自に任せる指示文集と確認表を共有し、月1回見直す

研修を作る前に決める3つのこと

研修の中身を考える前に、目的・対象業務・最低限のルールの3つを決めます。ここを飛ばすと、研修が「AIの面白い使い方の紹介」で終わってしまいます。

1. 研修のゴールは「使える人」より「残る型」

中小企業では、採用担当が1人か2人ということも珍しくありません。担当者の異動や退職で、せっかくの使い方が消えてしまうこともあります。そこで研修のゴールは、「指示文」「入力してよい情報」「確認表」の3点セットを社内に残すことに置きます。

ゴールを成果物で決めておくと、研修後に「何ができたか」を確認しやすくなります。受講者の感想だけで終わらせないための工夫です。

全社員に共通する基礎知識は、経済産業省の「デジタルスキル標準」が参考になります。全てのビジネスパーソン向けの「DXリテラシー標準」と、DXを推進する人材向けの「DX推進スキル標準」の2つで構成されています。

2023年8月のver.1.1で、生成AIの登場を踏まえた学習項目例などが追加されました。2026年4月にはver.2.0が公表されています。基礎はこの標準を参考にし、採用担当向けの部分は自社の業務に寄せて作ると、内容の偏りを防げます。

出典:デジタルスキル標準(経済産業省・ver.2.0は2026年4月公表)

2. 対象業務を絞る

採用業務は、求人づくりから入社前フォローまで幅広くあります。最初の研修では、文章の下書きが多く、判断を伴わない作業に絞るのが現実的です。採用業務の流れを見直す考え方は、人事の効率化を実現する方法でも紹介しています。

業務AIに頼める下書き人が確認することAIに入力しない情報
求人原稿仕事内容の言い換え、見出し案労働条件の正確さ、誇張がないか社外秘の賃金テーブル
応募者連絡日程調整・リマインドの文面日時・場所・宛先の正確さ応募者の氏名・電話番号・メールアドレス
面接準備職務に関する質問案適性・能力に関係ない質問がないか応募書類の原本
面接記録メモの整形・要点の箇条書き発言の意図がゆがんでいないか氏名(応募者IDに置き換える)
社内報告週次の進捗メモ数字の転記ミス個人を特定できる組み合わせ情報

3. 研修より先に最低限のルールを決める

ルールは完璧でなくてかまいません。研修初日までに、少なくとも次の4つを紙1枚で決めておきます。

  • 使ってよいAIサービスと、使う画面(会社で契約したものに限る等)
  • 入力しない情報(応募者の氏名・連絡先・応募書類の原本など)と、応募者IDでの置き換え方
  • AIの出力をそのまま送らない・公開しない(人が読んで直してから使う)
  • 合否や点数づけをAIにさせない

ルールの詳しい作り方は、研修の第1回で受講者と一緒に確認する形にすると、納得感が高まります。

採用担当者向け生成AI研修のカリキュラム例(4回・合計12時間)

採用担当者向け生成AI研修のカリキュラム例。4回・合計12時間で、ルール確認から指示文集づくりまで進める

ここからは、採用担当者2〜5名程度の中小企業を想定したカリキュラム例です。1回3時間を4回、2週間おきに実施します。間の2週間で実際の業務に使い、次の回で持ち寄る流れにすると定着しやすくなります。

回テーマ時間主な内容演習持ち帰り課題・成果物
第1回ルールと基本操作3時間生成AIの得意・不得意、誤った内容を出すことがある点、入力してはいけない情報自社の求人1件の材料を整理し、AIに見出し案を出させる入力ルール1枚(案)
第2回求人原稿と採用広報3時間材料シートの作り方、労働条件の明示漏れの確認求人原稿の下書きと、人による修正求人原稿の指示文3本
第3回応募者対応と面接準備3時間連絡文の型、面接質問の作り方と避ける質問日程調整メール、職務に関する質問案の作成連絡文の指示文5本、質問案のチェック表
第4回記録・振り返りと定着3時間面接メモの整形、週次報告、研修後の運用ルール応募者IDで面接メモを整形する指示文集・確認表の完成版

各回の前半60分は説明、後半120分は自社の業務を題材にした演習にあてます。説明を短くし、手を動かす時間を長く取るのがポイントです。

第1回:ルールと基本操作

最初に、生成AIはもっともらしい誤りを出すことがある点を体験してもらいます。たとえば、自社の創業年や所在地をAIに尋ね、答えが合っているか確認します。誤りを一度見ると、「AIの出力は人が確認する」というルールの意味が伝わりやすくなります。

後半では、入力してよい情報と入れてはいけない情報を、実際の採用書類を見ながら仕分けます。この仕分け結果が、第1回の成果物である入力ルール案になります。

第2回:求人原稿と採用広報

求人原稿は、AIに丸投げすると誇張や事実と違う表現が混ざりやすい業務です。研修では、先に人が「材料シート」を作り、AIには言い換えと構成だけを頼む流れを練習します。賃金や就業時間などの労働条件は、AIの出力に頼らず原本と照らし合わせます。

第3回:応募者対応と面接準備

応募者への連絡文は、型を決めると効果が出やすい業務です。連絡文の基本形は、応募者対応メールの書き方も参考になります。面接質問は、職務に必要な能力を確かめる質問に絞り、本籍や家族など適性と関係ない事項を聞かないかを人が点検します。

第4回:記録・振り返りと定着

最終回では、面接メモの整形と週次報告の下書きを扱います。面接メモは氏名を応募者IDに置き換えてから入力します。最後の60分で、研修で作った指示文を1つの指示文集にまとめ、だれが管理するかを決めます。

研修の進め方や、採用業務ごとの指示文テンプレートは、無料資料『採用業務のAI化 導入ガイド』にまとめています。社内研修の台本づくりにもお使いください。

研修で使う演習用の指示文と出力例

ここでは、カリキュラムの演習でそのまま使える指示文を3つ紹介します。〔 〕の部分を自社の内容に置き換えてください。出力例は説明用に作ったもので、実在の企業や人物とは関係ありません。

演習1:求人原稿の材料を整理し、見出し案を出す

指示文の例

あなたは中小企業の採用担当者のアシスタントです。
以下の材料をもとに、求人原稿の「仕事内容」の見出し案を5つ出してください。

条件:
・材料に書かれていない事実(給与、待遇、実績など)は追加しない
・「業界No.1」「必ず」などの誇張表現は使わない
・1案は25字以内
・最後に、材料だけでは判断できず確認が必要な点を箇条書きで挙げる

材料:
・職種:〔ルート営業〕
・顧客:〔県内の工務店 約40社〕
・1日の流れ:〔午前は既存顧客を3〜4件訪問、午後は見積作成〕
・入社後の教育:〔先輩に3か月同行〕
・この仕事のやりがい(社員の声):〔顔なじみの職人さんに頼られる〕

出力例(※説明用の例です)

【見出し案】
1. 県内の工務店40社を回る、顔なじみのルート営業
2. 午前は訪問、午後は見積。リズムが決まった営業職
3. 先輩と3か月同行してから独り立ちできます
4. 職人さんに頼られる、地域密着の営業の仕事
5. 新規開拓より、今のお客様との関係づくりが中心です

【確認が必要な点】
・「新規開拓より既存顧客が中心」は事実か(材料に明記なし)
・訪問は社用車か、自家用車か
・見積作成に使うソフトや、必要なPCスキルの程度

確認が必要な点をAIに挙げさせると、人がどこを見ればよいかがはっきりします。研修では、5案のうち採用する案と直す箇所を受講者に選んでもらいます。

演習2:日程調整メールの下書き

指示文の例

応募者に一次面接の日程候補を伝えるメールの下書きを作ってください。

条件:
・宛名は「〔応募者ID:A-0123〕様」と書く(氏名は入れない。送信前に人が差し替える)
・候補日時は3つ。以下の日時をそのまま使い、変更しない
 〔10月20日(火)14:00〜〕〔10月21日(水)10:00〜〕〔10月23日(金)16:00〜〕
・所要時間は〔約45分〕、場所は〔本社2階 会議室〕
・返信期限は〔10月16日(金)〕
・都合が合わない場合の連絡方法も書く
・200〜300字、です・ます調

出力例(※説明用の例です)

件名:一次面接の日程についてのご連絡(〇〇株式会社)

A-0123様

このたびは〇〇株式会社の求人にご応募いただき、ありがとうございます。
一次面接の日程として、以下の候補をご用意しました。

・10月20日(火)14:00〜
・10月21日(水)10:00〜
・10月23日(金)16:00〜

所要時間は約45分、場所は本社2階の会議室です。
ご都合のよい日時を、10月16日(金)までにこのメールへご返信ください。
いずれも難しい場合は、ご都合のよい曜日や時間帯をお知らせいただければ調整いたします。

〇〇株式会社 採用担当

この演習では、日時の転記ミスがないかを人が見比べます。送信前に「A-0123様」を実際の氏名に差し替える手順も、研修で一度やってみせると定着します。

演習3:面接メモを評価シートの形に整える

指示文の例

以下は一次面接の手書きメモを文字に起こしたものです。
評価シートの項目ごとに、面接官の発言・応募者の発言を整理してください。

条件:
・応募者は「A-0123」と表記する
・メモに書かれていないことは補わない
・評価や点数はつけない(判断は面接官が行う)
・項目:①これまでの業務経験 ②当社の仕事との接点 ③応募者からの質問 ④次回確認すること

メモ:
〔前職 住宅設備の卸 5年 営業事務→2年前から外回り。担当30社。見積ソフト使える。
 当社を知ったのは取引先経由。転居なし。残業 月20hくらいまでなら。
 質問:同行期間の評価はどうするか。次回:運転経験の確認〕

出力例(※説明用の例です)

【A-0123 一次面接メモ(整理)】
①これまでの業務経験
・住宅設備の卸売会社に5年在籍。営業事務を経て、2年前から外回りの営業を担当
・担当顧客は30社。見積ソフトの操作経験あり

②当社の仕事との接点
・当社を知ったきっかけは取引先経由
・転居は伴わない
・残業は月20時間程度までであれば可能との発言

③応募者からの質問
・同行期間中の評価方法について

④次回確認すること
・運転経験

整形したメモを評価シートにどう落とし込むかは、面接シートの作り方もあわせてご覧ください。評価はあくまで面接官が行い、AIの出力は記録の整理にとどめます。

AIに任せないこと・人が確認すること(研修で重点的に扱う線引き)

研修でいちばん時間をかけて伝えたいのが、AIに任せない領域です。ヨビコムのAI採用支援でも「下書きはAI、送る・決めるのは人」を基本にしています。研修では次の表を配り、受講者と読み合わせます。

AIに任せないこと理由代わりに人がやること
応募者の合否・点数づけ判断の根拠を説明できず、公正な選考を確かめにくい面接官が評価基準に沿って判断し、理由を記録する
応募者の氏名・連絡先・応募書類原本の入力個人情報の扱いが利用目的の範囲を超えるおそれがある応募者IDに置き換えてから入力する
求人媒体の管理画面の操作誤掲載や誤送信が起きたときに止めにくい掲載・送信ボタンは人が押す
労働条件の数字の作成AIがもっともらしい誤りを出すことがある賃金・時間・休日は原本から人が転記する
応募者への送信宛先・日時の誤りがそのまま届く人が読み、差し替えてから送る

「AIが作ったから正しい」ではなく「人が確認したから送れる」という順番を、受講者全員の共通認識にすることが研修の目的です。

また、面接官としてのスキルはAIでは代わりになりません。質問の深め方や評価のそろえ方は、面接官トレーニングとして別に扱うのがおすすめです。

研修を定着させる運用の仕組み(研修後30日)

研修の効果は、終わった翌日から薄れていきます。研修後30日間に、次の3つの仕組みを回すと定着しやすくなります。

  1. 指示文集を共有フォルダに1つだけ置く(個人のメモに散らさない)
  2. 週1回15分、「今週AIで下書きした業務」と「直した箇所」を共有する
  3. 月末に、指示文集の不要なものを削り、よく使うものを先頭に並べ替える

共有の場では、うまくいった例より「直した箇所」を話してもらうのがコツです。どこで誤りが出やすいかが社内の知恵として残ります。

効果の測り方

効果は、作業時間と修正の手間で見ます。たとえば「求人原稿1本の下書き時間」「日程調整メール1通の作成時間」を研修前後で記録します。数字は大まかでかまいません。記録を残すことで、次にどの業務へ広げるかを判断しやすくなります。

研修実施前チェックリスト

研修を始める前に、次の項目を確認してください。

  • □ 研修のゴール(指示文集・入力ルール・確認表)を成果物として決めた
  • □ 研修で使うAIサービスを決め、受講者全員が使える状態にした
  • □ 入力しない情報と、応募者IDへの置き換え方を紙1枚にまとめた
  • □ 演習の題材として、自社の求人・連絡文・面接メモ(個人情報を除いたもの)を用意した
  • □ 合否や点数づけをAIにさせないことを、研修の冒頭で伝える段取りにした
  • □ 研修後の指示文集の管理者を決めた
  • □ 研修前の作業時間を、対象業務ごとに記録した
  • □ 研修後30日の共有の場(週1回15分)を予定に入れた

研修費用に助成金を使う場合の確認ポイント(令和8年度)

社外の研修を使う場合、厚生労働省の「人材開発支援助成金」が選択肢になることがあります。ここでは、DX化に関する訓練を対象に含む「事業展開等リスキリング支援コース」について、2026年10月時点で公式資料から確認できた内容を紹介します。

同コースは、令和4年度から令和8年度までの期間限定の助成金として創設されたと案内されています。主な要件と助成内容は次のとおりです。

項目公式資料の内容(令和8年度)
訓練の要件訓練時間数が10時間以上、OFF-JT(通常業務と区別して行う訓練)であること、職務に関連した訓練であること など
助成率(中小企業)経費助成75%、賃金助成は1人1時間あたり1,000円
経費助成の限度額(中小企業)受講者1人あたり、10時間以上100時間未満は30万円
eラーニング等経費助成のみで賃金助成は対象外。中小企業の限度額は15万円
計画届の提出訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に管轄の労働局へ
事前準備職業能力開発推進者の選任、事業内職業能力開発計画の策定と周知

出典:人材開発支援助成金(厚生労働省)/事業展開等リスキリング支援コースのご案内 リーフレット(厚生労働省・令和8年4月8日版)/事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)(厚生労働省・令和8年8月3日版)

令和8年8月3日以降は「汎用的なプロンプト研修」が対象外に

特に注意したいのが、令和8年8月3日からの変更点です。DX化に関する訓練でも、職務に間接的に必要な知識や、職種を問わず共通して必要な内容は対象外になりました。

厚生労働省の資料では、「生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練」が助成対象外の例として示されています。一方、営業担当者が生成AIで商品提案書の構成案を作る方法を学ぶ訓練は、具体的な業務に直結するため対象の例とされています。

また、eラーニングによる訓練は、同じ労働者について1年度に1回までと変更されました(令和8年8月3日以降に提出された計画届が対象)。

出典:事業展開等リスキリング支援コース 令和8年8月3日からの変更点(厚生労働省)/事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)(厚生労働省・令和8年8月3日版)

この記事で紹介したような、自社の採用業務に直結する研修は考え方として近いといえます。ただし、対象になるかは訓練の内容や対象者によって判断されます。計画を立てる前に、カリキュラム案を持って管轄の労働局に確認してください。

申請手続きは社会保険労務士または労働局へ

厚生労働省の資料には、助成金の申請手続き業務は社会保険労務士の独占業務であると明記されています。ヨビコムでは助成金の申請代行は行っていません。申請を検討する場合は、社会保険労務士または管轄の労働局にご相談ください。

また、資料ではAIツールの導入費用は研修費用の対象経費ではないことも示されています。研修とツール契約は、費用を分けて考えておきましょう。

ヨビコムを運営するDigital&の研修設計例:職種に合わせた全6回・12時間のカリキュラム

ヨビコムを運営する株式会社Digital&では、企業向けの生成AI研修として、受講者の職種と実際の業務に合わせたカリキュラムの設計を進めています。地方の建設関連企業向けに設計している例を紹介します。採用担当者向けの研修を作るときにも、考え方はそのまま使えます。

職種別の生成AI研修の設計例と、1回の研修をデモ、演習、確認・修正で組み立てる流れを示した図
対象職種研修で扱う業務の例
施工管理職日報、打合せ記録、施工計画書、工事写真の整理
積算・営業職顧客情報の整理、見積の説明書、提案書、施工事例の文章
工事事務職各種書類の整理、不備の確認、データの照合、提出資料の作成

1コースは全6回・計12時間で、毎回「Claudeを使ったデモ」「実務を想定した演習」「出力内容の確認と修正」を組み合わせます。AIの出力をそのまま使わず、確認して直すところまでを演習に入れるのがポイントです。

また、実務の情報をAIに入力するリスクを考え、演習には架空のデータを使う設計にしています。採用担当者向けの研修なら、実在の応募者情報ではなく、架空の応募者プロフィールで演習するのが安全です。採用業務向けには、個人情報の扱い、公正な選考、AIによる評価のリスク、求人原稿や画像の利用上の注意点をまとめた手引きも作っています。

なお、ここで紹介しているのは設計中のカリキュラムの例で、研修の実施社数などの実績を示すものではありません。

採用担当者向け生成AI研修に関するよくある質問

Q1. 採用担当が1人しかいなくても研修は必要ですか?

1人でも、入力ルールと指示文集を形にしておく価値はあります。担当者が休んだり替わったりしたときに、使い方を引き継げるからです。外部講師を呼ばず、この記事のカリキュラムを1人で4回に分けて進める方法もあります。

Q2. 研修にはどのAIサービスを使えばよいですか?

ChatGPT、Claude、Gemini、Microsoft Copilotなど、どれでも演習は可能です。大切なのは、会社として使うサービスを1つに決め、入力した内容の扱い(学習に使われるかなど)を契約内容で確認しておくことです。仕様や料金は変わるため、導入時に各社の公式情報を確認してください。

Q3. 研修は社内でやるべきですか、外部に頼むべきですか?

基本操作は社内でも教えられます。一方、入力ルールや選考の公正さに関わる部分は、採用実務に詳しい外部の支援を使うと抜け漏れを防ぎやすくなります。どちらの場合も、題材は自社の採用業務にしてください。

Q4. AIで作った求人原稿をそのまま掲載してもよいですか?

そのまま掲載するのは避けてください。生成AIは事実と違う内容を書くことがあります。特に賃金や就業時間などの労働条件は、人が原本と照らし合わせてから掲載します。

Q5. 研修の効果が出ているかはどう判断しますか?

対象業務ごとに、研修前後の作業時間と、AIの下書きから直した量を記録して比べます。あわせて、指示文集が更新され続けているかも確認します。更新が止まっていたら、共有の場を見直す合図です。

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まとめ|採用担当向けAI研修は「自社の業務」と「線引き」から作る

採用担当者向けの生成AI研修は、一般的な操作研修では定着しにくいものです。題材を自社の採用業務にし、入力してよい情報とAIに任せないことを最初に決めることが出発点になります。

カリキュラムは4回・合計12時間を目安に、説明より演習の時間を長く取ります。研修のゴールは、指示文集・入力ルール・確認表の3点を社内に残すことです。研修後30日の共有の仕組みまで含めて計画すると、担当者が替わっても使い方が残ります。

助成金を使う場合は、令和8年8月3日以降の変更点に注意し、計画前に管轄の労働局へ確認してください。まずは、自社の求人1件を題材に、演習1の指示文を試してみることから始めてみましょう。

ヨビコムでは、採用業務のAI化の進め方や、研修で使う指示文・ルールづくりのご相談を受け付けています。

ヨビコム
この記事の執筆・編集:ヨビコム編集部(株式会社Digital&)

中小企業・地方企業の採用代行(RPO)を行うヨビコムの編集部です。飲食・建設・不動産・製造業・介護などの採用支援で得た知見をもとに、採用担当者の実務に役立つ情報をお届けしています。

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