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介護の人手不足はなぜ続くのか?原因・現状データと今すぐできる対策
「求人を出しても応募が来ない」「採用してもすぐ辞めてしまう」——そんな悩みを抱える採用担当者は少なくありません。介護の人手不足は少子高齢化という構造的問題が根本原因であり、個別施設の努力だけでは解消できない側面があります。本記事では最新データをもとに原因を整理し、採用担当者が今日から実践できる具体的な対策を解説します。
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介護の人手不足の現状——「やばい」を数字で確認する

「介護の人手不足はやばい」という声は現場でよく聞かれますが、実際のデータはどうなっているのでしょうか。感覚ではなく、公的機関の統計をもとに現状を正確に把握することが、効果的な対策の出発点です。
有効求人倍率3.97倍、全産業平均の3.4倍
2025年3月時点の介護関係職種の有効求人倍率は3.97倍に達しており、全職業平均(1.16倍)の約3.4倍という高水準です 。これは、介護職1人を採用するために約4つの求人が競合している状態を意味します。他業界と同じ採用手法では太刀打ちできない構造が、すでに出来上がっているのです。
訪問介護では81.4%が「人手不足」と回答
人手不足の深刻さはサービス形態によって大きく異なります。
| サービス形態 | 人手不足と回答した割合 |
|---|---|
| 訪問介護 | 81.4% |
| 特別養護老人ホーム | 68.7% |
| 通所介護 | 61.2% |
(出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査結果の概要について」)
特に訪問介護は、移動時間の多さ・孤独な作業環境・担い手の高齢化(平均年齢54.2歳)が重なり、業界内でも突出した人手不足状態にあります。「施設が回らない」という声が絶えない背景には、こうした数字があります。
2040年には57万人が不足する未来
厚生労働省の推計では、2026年度に約240万人、2040年度に約272万人の介護職員が必要とされています 。2022年度の実績(215万人)と比較すると、2040年度には約57万人の不足が見込まれます。問題は現在進行形であり、今後さらに深刻化することが確実視されています。
出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」
介護業界が慢性的に人手不足な4つの原因

介護業界の人手不足は、複数の構造的要因が複雑に絡み合っています。「給料を少し上げれば解決する」「求人を増やせばいい」といった単純な対策では根本的な解決には至りません。
原因①:少子高齢化による「需要増×供給減」の構造
内閣府「令和6年版高齢社会白書」によると、2023年10月時点で65歳以上人口は3,623万人、高齢化率は29.1% 。一方で2023年の出生数は75万8,631人と過去最少を更新しました。高齢者(介護の需要者)は増え続け、若い世代(介護の担い手)は減り続けるという「需要増×供給減」の構造は、政策だけでは短期間に解消できない本質的な問題です。
原因②:全産業平均より低い賃金水準
介護職員の平均年収は約364万円で、全産業平均(478万円)より約114万円低い水準にあります (厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」)。勤続15年以上でも平均年収は395万円にとどまり、「長く働いても報われない」という感覚が離職を促進しています。なお、2024年度には処遇改善加算が一本化(「介護職員等処遇改善加算」)され、2024年度2.5%・2025年度2.0%のベースアップが実施されており、賃金水準は改善傾向にあります (厚生労働省「介護職員等処遇改善加算について」)。
原因③:身体的・精神的負担と「3K」イメージ
「きつい・汚い・危険」という「3K」のイメージが根強く残っており、職業選択の段階で敬遠される傾向があります。介護労働実態調査では「身体的負担が大きい(腰痛や体力への不安)」が悩みの上位に挙げられています 。近年は介護ロボットやICTツールの普及により身体的負担を軽減できる環境が整いつつあるため、「3K」のイメージと実態の乖離を求職者に正確に伝えることが採用担当者の重要な役割です。
原因④:離職を生む職場環境の悪循環
介護職員が離職する最大の理由は「職場の人間関係」です。人手が足りない → 一人ひとりの負担が増える → 余裕がなくなり人間関係が悪化する → さらに離職が増える。この悪循環が、多くの介護施設で繰り返されています。
「介護の人手不足は嘘」「当たり前」——よくある疑問に答える

「介護の人手不足は誇張されているのでは?」「なのに改善されないのはなぜ?」という疑問を持つ方も多くいます。データをもとに正確に答えます。
実は、介護職員の離職率は13.1%(2023年度)で、全産業平均の15.4%を下回っています 。「介護は離職率が高い」というイメージは、必ずしも現在の実態と一致しません。では、なぜ人手不足が解消されないのでしょうか。答えは「離職率の改善よりも、採用数の絶対的な不足」にあります。増え続ける介護需要に対して、新規入職者の絶対数が足りていないのです。
処遇改善や採用活動を行っているにもかかわらず人手不足が続く理由は、需要の増加スピードが対策の効果を上回っているからです。要介護認定者数は年々増加(2023年度:705万人)する一方、介護職員数は2023年に統計開始以来初の前年割れ(212.6万人)を記録しました。対策を打っていても「焼け石に水」に感じる現場の感覚は、このデータが裏付けています。
介護の人手不足はこれからどうなるのか

2025年、団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となりました(「2025年問題」)。さらにその先には「2040年問題」が待ち受けています。2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢者人口がピークを迎えます。同時に現役世代が激減するため、需給ギャップは2025年問題をはるかに上回る規模になると予測されています。
人手不足を放置した場合、施設には倒産リスク(スタッフの離職連鎖によるサービス継続困難)とケアの質の低下(一人当たり担当利用者数の増加による丁寧なケアの困難化)という2つの深刻なリスクが生じます。
どの対策から着手すべきかは、施設ごとの応募導線と選考体制を見てから決めると無駄がありません。
採用担当者が今すぐ取り組める5つの対策

対策①:求人票に「離職率・残業・将来性」を数字で示す
「アットホームな職場です」といった抽象的な表現は、今日の求職者には響きません。効果的な求人票には、以下の3要素を具体的な数字で示すことが重要です。
- 離職率: 「直近3年間の離職率〇%」と明示。業界平均(13.1%)より低い場合は積極的にアピール
- 残業時間: 「月平均残業時間〇時間」という具体的な数字でワークライフバランスを訴求
- 将来性: 「入社〇年でリーダー職へ」「資格取得費用全額補助」など具体的な道筋を示す
対策②:処遇改善加算を最大活用して賃金水準を引き上げる
2024年度に一本化された「介護職員等処遇改善加算」を最上位区分(加算Ⅰ)で取得することで、職員一人あたり月額数万円の賃上げが可能になります 。求人票や採用広報で「この施設は国の制度を活用して積極的に賃上げをしている」というメッセージを発信することで、求職者との差別化につながります。
対策③:ICT・介護ロボット導入で「働きやすい現場」をつくる
| ツール | 主な効果 |
|---|---|
| 介護記録のデジタル化 | 手書き転記の削減、残業時間の短縮 |
| 見守りセンサー | 夜間巡回の効率化、夜勤スタッフの負担軽減 |
| 移乗支援ロボット | 腰痛リスクの低減、長期的な定着率向上 |
厚生労働省の補助金制度も活用できるため、初期投資のハードルを下げることが可能です。
対策④:外国人材(特定技能)の戦略的受け入れ
2025年4月からは特定技能外国人が訪問系サービスにも従事できるようになりました。受け入れを成功させるポイントは受け入れ体制の整備です。やさしい日本語でのマニュアル作成、定期的な個別面談、キャリアアップの道筋の提示が、外国人スタッフの定着率向上に直結します。
対策⑤:採用代行の活用で採用効率を最大化する
求人票の作成から応募者管理、面接、内定フォローまで、採用活動には多くの工数と専門知識が必要です。採用代行(RPO)を活用することで、採用のプロフェッショナルに業務を委託し、採用効率を大幅に向上させることができます。「求人を出しても応募が来ない」「採用担当者の工数が不足している」「採用コストが高いのに採用数が伸びない」という状況では、採用代行の導入を検討する価値があります。
専任の採用担当を置かずに採用を回す体制づくりについて、具体的にご相談いただけます。
【支援事例】専任人事ゼロで多職種・大量採用を実現した介護事業者
株式会社ideinでは、ナーシングホームの新規立ち上げに伴い、看護師を含む複数職種を短期間で確保する必要がありました。ただし当時は採用を専任で担う部署や担当者がおらず、広報課や管理職が兼任で対応している状態で、採用全体をリードする役割が定まっていませんでした。
さらに、人材紹介会社に依存する方法では1名採用するごとに紹介料が発生し、採用人数が増えるほどコスト面で続かなくなります。同社の課題は「人が足りない」ことではなく、専任人事が不在のまま、多職種・多人数の採用をコストを抑えて進めるという構造的な難しさにありました。
そこで同社は、候補者の紹介を受けるのではなく、採用活動そのものを一緒に組み立てて運用・改善する伴走型の支援を選びました。求人広告の改善だけでなく、ホームページや採用導線まで含めて採用全体を見直し、現状把握と進捗管理を外部視点で回す体制へ切り替えたことが転換点になっています。専任人事がいない施設ほど、採用手法の追加より先に「誰が採用を回すのか」を設計することが効果的です。
【チェックリスト】あなたの施設の人手不足度を診断する
以下の項目に当てはまるものが多いほど、人手不足リスクが高い状態です。
| チェック項目 | □ |
|---|---|
| 求人を出しても月に1件以下しか応募が来ない | □ |
| 採用してから6ヶ月以内に辞める人が多い | □ |
| 求人票に「離職率」「残業時間」を明記していない | □ |
| 処遇改善加算の最上位区分(加算Ⅰ)を取得していない | □ |
| 介護記録がまだ手書き・紙ベースで行われている | □ |
| 外国人材の受け入れを検討したことがない | □ |
| 採用活動を採用担当者1人に任せきりにしている | □ |
0〜2個: 採用基盤は整っています。さらなる強化を目指しましょう。
3〜4個: 改善余地があります。優先度の高い項目から着手してください。
5〜7個: 採用戦略の抜本的な見直しが必要です。専門家への相談を検討してください。
よくある質問(FAQ)

Q1. 介護の人手不足はいつ頃解消されますか?
A1. 少子高齢化という構造的問題が根本原因であるため、短期間での解消は困難です。
厚生労働省の推計では2040年度に約57万人の不足が見込まれており、長期的な課題として取り組む必要があります。個別施設レベルでは、戦略的な採用・定着施策によって他施設との差別化が可能です。
Q2. 介護の人手不足は「嘘」という意見もありますが、実際はどうですか?
A2. 「嘘」ではありません。
有効求人倍率3.97倍(全産業平均の3.4倍)、訪問介護での人手不足感81.4%というデータが示すように、介護業界の人手不足は実態を伴う深刻な問題です。ただし「離職率が高い」というイメージは現在の実態(13.1%、全産業平均以下)と乖離している部分もあります。
Q3. 小規模な介護施設でも採用代行は使えますか?
A3. はい、利用できます。
むしろ採用担当者が兼任で少ない小規模施設ほど、専門家のサポートが効果的です。採用代行サービスによっては、施設の規模や予算に合わせたプランを用意しているところもあります。
Q4. 処遇改善加算を取得すれば採用に有利になりますか?
A4. 加算の取得自体よりも、「加算を活用して賃金を上げている」という事実を求職者に伝えることが重要です。求人票や採用広報に具体的な賃金水準と処遇改善加算の活用状況を明記することで、求職者の応募意欲を高めることができます。
Q5. 外国人材を受け入れる際の注意点は何ですか?
A5. 在留資格の確認、日本語能力に合わせた研修内容の設計、文化的背景への理解が重要です。
2025年4月から特定技能外国人が訪問系サービスにも従事できるようになったため、訪問介護事業所でも積極的な活用が可能になっています。
まとめ:介護人手不足は「構造的問題」だからこそ戦略的採用が必要

「人手不足は業界全体の問題だから仕方がない」という諦めは、採用活動の停滞を招きます。構造的な問題だからこそ、戦略的に取り組む施設が採用競争で優位に立てます。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 現状 | 有効求人倍率3.97倍、訪問介護81.4%が人手不足、2040年に57万人不足 |
| 主な原因 | 少子高齢化・低賃金・身体的負担・職場環境の悪循環 |
| よくある誤解 | 離職率は全産業平均以下(13.1%)、給料は処遇改善加算で改善中 |
| 今後の見通し | 2025年問題・2040年問題でさらに深刻化 |
| 今すぐできる対策 | 求人票改革・処遇改善加算活用・ICT導入・外国人材・採用代行 |
人手不足の解消には、採用手法の追加よりも採用体制の設計が効きます。介護業界の採用支援実績をもとにご提案します。
