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建設業法改正のポイント【2025年】|中小建設会社が見直すべき契約・書類

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執筆:建設AIシフト編集部(株式会社Digital&)
建設業法改正のポイント

近年の建設業法改正で中小建設会社が押さえるべきなのは、令和6年法律第49号による改正です。正式名称は「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」で、2024年6月14日に公布されました。品確法の改正とあわせて「第三次・担い手3法」と呼ばれています。

改正の柱は「処遇改善」「資材高騰による労務費へのしわ寄せ防止」「働き方改革と生産性向上」の3つです。施行は2024年9月1日、2024年12月13日、2025年12月12日の3段階で、2025年12月12日に完全施行されました。

この記事では、2026年9月30日時点で国土交通省の資料とe-Gov法令検索の条文を確認し、改正のポイントを整理します。そのうえで、中小建設会社が見直すべき契約書・見積書・社内書類を具体的に示します。

この記事でわかること

  • 建設業法改正(令和6年法律第49号)の3段階の施行日と主な内容
  • 労務費・見積り・原価割れ契約・工期に関する新しい禁止ルール
  • 資材高騰時の「おそれ情報」の通知と変更協議の流れ
  • ICT活用による現場技術者の専任緩和の要件
  • 中小建設会社が見直すべき契約・書類と、AIでの点検方法

見積書や契約書の点検に使えるテンプレートとプロンプトをまとめました。

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建設業法改正の全体像と施行日

国土交通省は、改正の背景として担い手の減少を挙げています。同省の資料では、建設業就業者は1997年(平成9年)の685万人から2024年(令和6年)は477万人に減りました。賃金は全産業より低く、労働時間は長い状況です。

もう1つの背景は、請負契約の商慣行です。総価一式の契約や重層下請の構造の中で、労務費(賃金の原資)が削られやすいことが問題視されてきました。改正はこれらに対応するものです。

施行日 主な内容
2024年9月1日 国土交通大臣の調査権限の付与、中央建設業審議会が「労務費に関する基準」を作成する権限など
2024年12月13日 資材高騰などの「おそれ情報」の通知義務と変更協議、請負代金の変更方法の契約書記載、ICT活用による現場管理の効率化、現場技術者の専任義務の合理化など
2025年12月12日 著しく低い労務費等による見積り・見積り変更依頼の禁止、受注者の原価割れ契約の禁止、受注者の著しく短い工期での契約の禁止など(完全施行)

2025年12月2日には、中央建設業審議会で「労務費に関する基準」が作成され、実施が勧告されました。基準の中身は標準労務費(労務費に関する基準)の解説で詳しく説明しています。

ポイント1:処遇改善と労務費のルール

処遇確保の努力義務(第25条の27)

建設業者は、労働者の知識・技能などの公正な評価にもとづく適正な賃金の支払いなど、処遇を確保する措置を効果的に行うよう努めなければなりません。国は取組状況を調査・公表します。

著しく低い労務費等による見積りの禁止(第20条)

建設業者は、材料費等記載見積書を作成するよう努めます。工事の種別ごとの材料費・労務費などの内訳と、工程ごとの作業・準備に必要な日数を記載した見積書です。見積書に記載する材料費等は、通常必要と認められる額を著しく下回ってはなりません。

内訳明示の対象となる「材料費等」は、国土交通省の資料で5つに整理されています。材料費、労務費、法定福利費の事業主負担分、安全衛生経費、建設業退職金共済制度の掛金です。

注文者側も、見積書の内容を考慮するよう努め、材料費等を著しく下回る額への変更を求めてはなりません。違反した発注者が一定規模以上の契約を結んだ場合、国土交通大臣等が勧告できます。建設業法施行令では、この規模を500万円(建築一式工事は1,500万円)と定めています。

原価割れ契約の禁止を受注者にも(第19条の3)

これまで、通常必要と認められる原価に満たない金額での契約は注文者側だけが禁止されていました。改正後は、建設業者(受注者)も、正当な理由がある場合を除き原価割れの契約を結べません。

正当な理由は建設業法施行規則で3つに限定されています。自ら保有する低廉な資材を使える場合、先端的な技術などで原価を低減できる場合、緊急の必要その他やむを得ない事情がある場合です。

見積書の保存

国土交通省の「『労務費に関する基準』の運用方針」は、見積書の保存にも触れています。当初見積書と最終見積書は、請負契約書と同様に目的物の引渡しから10年間保存するとしています。見積書を紙やメールに散らばらせない運用が必要です。

ポイント2:資材高騰による労務費へのしわ寄せ防止

2024年12月13日から、資材価格の高騰などのリスクを契約前に共有し、発生時に協議するルールが始まりました。

  1. 契約前:おそれ情報を通知する受注者は、主要な資材の供給不足や価格高騰などのおそれがあると認めるときは、契約締結までに注文者へ通知します(第20条の2第2項)。根拠情報(報道、資材業者の発表、公的な統計など)もあわせて伝えます。
  2. 契約時:変更方法を契約書に書く資材高騰に伴う請負代金や工期の「変更方法」が契約書の記載事項として明確化されました。
  3. 契約後:変更協議を申し出る通知した事象が実際に起きた場合、受注者は契約の定めに従い、工期や請負代金の変更協議を申し出ることができます(第20条の2第3項)。
  4. 注文者:誠実に協議に応じる注文者は、根拠を欠く場合など正当な理由がある場合を除き、誠実に協議に応じるよう努めます(第20条の2第4項)。国土交通省の資料では、公共工事の発注者は誠実に協議に応じる義務があるとしています。

国土交通省は、通知は見積書の交付時などにあわせて行い、通知書面やメールを双方で保存しておくことが望ましいとしています。

ポイント3:働き方改革(工期のルール)

通常必要と認められる期間に比べて著しく短い工期での契約は、これまで注文者だけが禁止されていました。改正後は、受注者である建設業者も禁止されます(第19条の5第2項)。

「通常必要と認められる期間」を考える目安として、中央建設業審議会の「工期に関する基準」(2024年3月27日決定)があります。猛暑による不稼働、時間外労働規制、行政への申請期間などを考慮して工期を設定することが求められます。時間外労働の上限規制の内容は建設業の2024年問題の解説、週休2日の進め方は4週8休の解説をご覧ください。

ポイント4:ICT活用と現場技術者の専任緩和

主任技術者・監理技術者は、請負代金が一定額以上の工事では現場ごとに専任が必要です。建設業法施行令第27条では、この金額を4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上と定めています。

2024年12月13日からは、ICTの活用などの要件を満たせば、専任が必要な現場でも兼任できる制度ができました。国土交通省の説明資料と施行令をもとに、要件を整理します。

要件 専任現場の兼任(第26条第3項第1号) 営業所技術者等の現場兼務(第26条の5)
請負金額 1億円未満(建築一式工事は2億円未満) 1億円未満(建築一式工事は2億円未満)
兼任できる数 2現場以下 1現場
距離 1日で巡回可能かつ移動時間が概ね2時間以内 営業所と現場が1日で巡回可能かつ移動時間が概ね2時間以内
下請次数 3次まで 3次まで
その他 連絡員の配置、施工体制を確認できる情報通信技術の措置、人員の配置を示す計画書の作成・保存、現場状況を確認する情報通信機器の設置

運用の詳細は「監理技術者制度運用マニュアル」に記載されています。人員の配置を示す計画書は、国土交通省のサイトに参考様式(Excel)が掲載されています。

公共工事の発注者への施工体制台帳の提出義務も合理化されました。国土交通省の資料では、ICTの活用で施工体制を確認できれば提出を省略できると説明しています。台帳の作り方は施工体制台帳の書き方で解説しています。

中小建設会社が見直すべき契約・書類

改正の内容を実務に落とすと、見直す書類は次のとおりです。自社が元請になる場合と下請になる場合の両方で確認してください。

書類 見直しのポイント 関係する規定
見積書 材料費・労務費・法定福利費(事業主負担分)・安全衛生経費・建退共掛金を内訳明示できる様式にする。工程ごとの作業と日数も書ける欄を設ける 第20条第1項・第2項
見積書の保管ルール 当初見積書と最終見積書を契約書とセットで10年間保存する 運用方針(方針9)
請負契約書・注文書・請書 資材高騰時の請負代金・工期の変更方法の条項があるか確認する 第19条
おそれ情報の通知書 見積書の交付時に使う通知文のひな形を用意し、根拠情報を添付する 第20条の2
下請への注文書・見積依頼 著しく低い労務費等への変更依頼になっていないか、見積期間を十分とっているか確認する 第20条第3項・第6項
工程表 工期の根拠(休日、天候、申請期間など)を説明できるようにする 第19条の5
技術者配置の計画書 兼任制度を使う場合は人員の配置を示す計画書を作成・保存する 第26条第3項、第26条の5

法定福利費を見積書に明示する方法は法定福利費の計算方法と見積書への書き方、見積書全体の作り方は建設業の見積書の書き方で解説しています。

見直しの進め方

  1. いま使っている書式を集める見積書、契約書、注文書・請書、見積依頼書の最新版を1か所に集めます。
  2. 改正ポイントと照らし合わせる上の表をチェック項目にして、足りない欄や条項を洗い出します。
  3. ひな形を直す内訳欄、変更方法の条項、おそれ情報の通知文などを追加します。契約条項は顧問弁護士などの専門家に確認してもらいます。
  4. 保存ルールを決める見積書と契約書を工事ごとにまとめて保存するフォルダ構成と、保存期間を決めます。
  5. 社内と協力会社に共有する営業・工務・現場の担当者と、主な協力会社に新しい書式と運用を伝えます。

AIで契約・書類の見直しを楽にする方法

書式の点検や通知文の下書きは、生成AI(ChatGPTやClaudeなど)が得意な作業です。法的な判断はできませんが、「チェック項目に照らして抜けを探す」「定型文のたたき台を作る」には使えます。

コピーして使えるプロンプト

あなたは建設会社の工務・契約事務を補佐するアシスタントです。
以下の【見積書の項目一覧】と【契約書(注文書)の条項】を、
2024年改正建設業法の実務ポイントに照らして点検し、抜けている項目を表で示してください。

# 点検の観点
1. 見積書に、材料費・労務費・法定福利費(事業主負担分)・安全衛生経費・
   建退共掛金を分けて書く欄があるか
2. 見積書に、工程ごとの作業と必要日数を書く欄があるか
3. 契約書に、資材価格の変動に伴う請負代金・工期の変更方法の定めがあるか
4. 見積書・契約書の保存方法(期間・場所)が決まっているか

# 出力形式
| 観点 | 現状(あり/なし/不明) | 該当箇所 | 追加・修正の案 |
最後に「法的な判断が必要な点」を箇条書きで分けて示してください。

# 見積書の項目一覧
【例:工事名/工種/数量/単価/金額/諸経費/合計】

# 契約書(注文書)の条項
【例:第1条 工事内容、第2条 請負代金、第3条 工期、第4条 支払条件……】

出力イメージ(例)

| 観点 | 現状 | 該当箇所 | 追加・修正の案 |
| 1 内訳明示 | なし | 単価・金額のみ | 工種ごとに「材料費」「労務費」列を追加。
  法定福利費・安全衛生経費・建退共掛金を別行で明示 |
| 2 工程と日数 | なし | ― | 「工程」「作業内容」「必要日数」の表を別紙で添付 |
| 3 変更方法 | 不明 | 第2条に「協議のうえ変更」とのみ記載 |
  資材価格の変動時の変更方法(算定の考え方)を具体的に記載する案 |
| 4 保存 | なし | ― | 当初・最終見積書を契約書と同じフォルダで保存するルールを追加 |

法的な判断が必要な点
・変更方法の条項の具体的な文言(顧問弁護士に確認)

※説明用の例です。

おそれ情報の通知文も、「工事名」「資材名」「根拠情報(新聞記事や資材業者の価格改定通知など)」を渡せば、下書きを作れます。ただし、根拠情報そのものはAIに作らせず、実際の資料を人が集めて添付してください。

書類の点検や下書きを、自社の書式や既存のExcel・クラウドツールに合わせて仕組みにするのが建設AIシフトです。改正対応で増えた事務をどこまで減らせるかは、無料診断でお伝えしています。

注意

この記事は2026年9月30日時点で確認した国土交通省の資料とe-Gov法令検索の条文をもとにした一般的な解説です。個別の契約条項の有効性や違反の該当性は、国土交通省・許可行政庁の最新情報、または弁護士などの専門家に確認してください。公共工事では、発注者の指定・最新の仕様書や契約約款が優先です。

AIの出力は下書きや点検の補助です。法令や金額の最終確認は必ず人が行ってください。

提出前・契約前のチェックリスト

  • 見積書で、材料費・労務費・法定福利費(事業主負担分)・安全衛生経費・建退共掛金を分けて示している
  • 見積書に、工程ごとの作業と必要日数を示している
  • 見積りの労務費が、通常必要と認められる額を著しく下回っていない
  • 資材高騰などのおそれがある場合、契約前に根拠情報を添えて通知した
  • 契約書に、資材高騰時の請負代金・工期の変更方法が書かれている
  • 工期が、休日・天候・申請期間などを考慮した根拠のある日数になっている
  • 当初見積書と最終見積書を契約書とセットで保存した
  • 技術者の兼任制度を使う場合、要件と計画書の作成を確認した

建設業法改正のよくある質問

建設業法改正(2025年12月施行)で何が変わりましたか?

2025年12月12日の完全施行で、著しく低い労務費等による見積りや見積り変更依頼が禁止されました。受注者による原価割れ契約と、受注者による著しく短い工期での契約も禁止されています。違反した建設業者は指導・監督、発注者は勧告・公表の対象になります。

小規模な工事にも適用されますか?

見積りや契約に関するルールは、工事の規模にかかわらず建設工事の請負契約に関係します。ただし、見積り変更依頼に違反した発注者への勧告には金額の下限があります。施行令では、通常必要と認められる費用が500万円(建築一式工事は1,500万円)以上の契約としています。

見積書はどのくらいの期間保存すればよいですか?

国土交通省の運用方針では、見積書が取り交わされた場合、当初見積書と最終見積書を目的物の引渡しから10年間保存するとしています。請負契約書と同じ扱いです。

資材が値上がりしたら必ず請負代金を変更してもらえますか?

必ず変更されるわけではありません。契約前におそれ情報を通知していれば、実際に高騰したときに変更協議を申し出ることができ、注文者は誠実に協議に応じるよう努めます。協議の結果として変更額が決まります。

監理技術者は複数の現場を兼任できるようになりましたか?

要件を満たせば兼任できます。請負金額が1億円未満(建築一式工事は2億円未満)、兼任は2現場以下、移動時間が概ね2時間以内、下請次数3次までなどの条件があります。ICTによる現場確認や人員配置の計画書も必要です。

まとめ

  • 令和6年法律第49号の改正建設業法は、2024年9月、2024年12月、2025年12月の3段階で施行されました
  • 労務費等の内訳を明示した見積書が取引の前提になり、著しく低い労務費等での見積り・値下げ依頼は禁止されました
  • 資材高騰は「契約前に通知し、契約書に変更方法を書き、発生時に協議する」流れになりました
  • ICT活用を条件に、現場技術者の兼任が認められる範囲が広がりました
  • 見積書・契約書・通知文・保存ルールの見直しが必要です。点検と下書きはAIでも効率化できます

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