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建設業の電子帳簿保存法対応|請求書・注文書の保存ルールと建設業法の保存期間

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執筆:建設AIシフト編集部(株式会社Digital&)
監修
監修:建設AIシフト 監修責任者

建設業の電子帳簿保存法対応で押さえるべきことは、メールのPDFや電子契約で受け取った(送った)請求書・注文書などのデータを、2024年1月以降は紙に印刷せず電子データのまま、改ざん防止・検索・すぐに表示できる状態のルールに沿って保存することです。そのうえで建設会社は、建設業法で決められた帳簿・図書の保存(5年・10年)も満たす必要があります。

建設会社には、協力会社からのPDFの請求書、電子契約の注文書・請書、資材のWeb発注、自社が送る請求書など、電子でやり取りする書類が増えています。一方で、紙で届く請求書や注文請書も残っており、「どれを、どの形で、いつまで、どこに保存するのか」が書類ごとにばらばらになりがちです。

この記事では、建設会社でよくある電子取引の例、電子取引データの保存の3つのルールと例外、建設業法の帳簿・図書の保存との関係、書類別の保存ルールの一覧、フォルダとファイル名の決め方を解説します。

この記事でわかること

  • 建設会社でよくある「電子取引」と、対象にならないもの
  • 電子取引データの保存の3つのルールと、検索の要件が不要になる場合・猶予措置
  • 建設業法の帳簿・営業に関する図書の保存期間(5年・10年)
  • 請求書・注文書・見積書など書類別の保存ルールの一覧
  • 工事番号と「日付・金額・取引先」を両立させるファイル名の決め方

協力会社との注文・締め・支払・控除のルールを、社内ルールとして文書にするための雛形(Word)と解説資料をお届けします。

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建設会社でよくある「電子取引」

電子帳簿保存法の「電子取引」とは、取引の情報(注文書・契約書・請求書・領収書・見積書などに書かれる情報)を、電子メール・クラウド・EDIなど電子でやり取りする取引のことです。受け取った側だけでなく、送った側にも保存の義務があります。

やり取り 電子取引にあたるか
協力会社からメールでPDFの請求書を受け取る あたる
電子契約サービスで注文書・注文請書を交わす あたる
自社の請求書をPDFでメール送付する あたる(送ったデータを保存)
資材をWebで発注し、領収書・納品書を画面やPDFで受け取る あたる
請求書の受け渡しにクラウドサービスを使う あたる
紙の請求書を郵送で受け取る あたらない(紙のまま保存。スキャンして電子で保存する方法は任意)

2024年1月1日以後の電子取引では、受け取ったデータを印刷した紙で保存することは、データの保存の代わりとして認められません。紙の請求書と電子の請求書が混ざっていても、電子で受け取ったものは電子で保存する必要があります。

電子取引データの保存の3つのルール

ルール 中身 専用のシステムがない場合の方法
1. 改ざんの防止 次のどれかで対応する:タイムスタンプを付ける/訂正・削除の履歴が残るシステムでやり取り・保存する/改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る 事務処理規程を定めて運用する(国税庁がひな形を公開している)
2. 検索できること 「日付・金額・取引先」で検索できる。日付・金額は範囲を指定して、2つ以上の項目を組み合わせて検索できる 規則的なファイル名を付けて1つのフォルダに集める、または索引簿(Excelの一覧)を作る
3. すぐに表示・出力できること パソコン・ディスプレイ・プリンタなどを備え、税務職員に求められたらすぐに画面や紙に出せる。システムの説明書なども備える 保存場所と操作の手順を、経理担当以外も分かるようにしておく

検索の要件が不要になる場合と猶予措置

  • 基準期間(2年前の事業年度)の売上高が5,000万円以下で、税務職員のデータのダウンロードの求めに応じられる場合は、検索の要件は不要
  • 税務職員のダウンロードの求めに応じられる場合は、日付・金額の範囲指定と、2つ以上の項目を組み合わせた検索の機能は不要(「日付・金額・取引先」で検索できることは必要)
  • 売上高にかかわらず、データを印刷した書面を日付と取引先ごとに整理して提示・提出でき、ダウンロードの求めにも応じられる場合も、検索の要件は不要
  • システムの整備が間に合わないなど、ルールどおりに保存できないことに相当の理由があり、ダウンロードの求めと、印刷した書面の提示・提出の求めに応じられる場合は、猶予措置としてルールどおりでない保存も認められる(システムが整っているのに、資金繰りや人手不足などの特段の事情なく保存していない場合は、相当の理由と認められない)

どの場合も、電子データそのものは消さずに保存する必要があります。猶予措置は「保存しなくてよい」という意味ではありません。

建設業法の帳簿・図書の保存

建設会社は、税法とは別に、建設業法でも営業所ごとに帳簿を備え、保存することが決められています(建設業法第40条の3、施行規則第26条・第28条)。

保存するもの 中身 保存期間
帳簿 営業所の代表者、注文者との請負契約(工事名・現場・契約日・注文者・完成検査と引渡しの日)、下請契約の内容など 引渡しから5年(発注者と結んだ住宅の新築工事は10年。注文者との請負契約に基づく債権債務が消滅した場合は、その消滅の時から)
帳簿の添付書類 契約書(建設業法第19条の書面)の写しなど 引渡しから5年(同上)
営業に関する図書 完成図、工事内容に関する発注者との打合せ記録、施工体系図、材料費等記載見積書、契約前の見積の内容に関する注文者との打合せ記録(会社の立場で対象が変わる) 引渡しから10年

営業に関する図書のうち、完成図と発注者との打合せ記録は発注者から直接請け負った元請が、施工体系図は施工体制台帳を作る元請が、自社が作成した材料費等記載見積書と見積の内容の打合せ記録は下請を含む建設業者が対象です。帳簿・添付書類・図書は、電子データ(電磁的記録)で保存し、必要なときに営業所で画面や紙にすぐ表示できれば、紙の代わりにできます(施行規則第26条第6項〜第8項)。

書類別の保存ルールの一覧

税法と建設業法の両方を見て、書類ごとに「受け取り方・保存の形・保存期間」を1つの表にしておくと、社内で迷いが減ります。次の表は記入例です。保存期間は、法人税法の原則(7年)と建設業法のうち長い方を目安にしています。

書類 主な受け取り方 保存の形 保存期間の目安 主な根拠
注文書・注文請書・契約書(紙) 郵送・手渡し 紙(スキャン保存は任意) 7年(工事の引渡しから5年より短くならないよう確認) 法人税法、建設業法(帳簿の添付書類)
電子契約の契約書・注文請書 電子契約サービス 電子データ 同上 電子帳簿保存法(電子取引)、建設業法
協力会社の請求書(PDF) メール 電子データ 7年 電子帳簿保存法(電子取引)、消費税法
自社が送った請求書(PDF) メールで送付 電子データ(送ったもの) 7年(適格請求書の写し) 電子帳簿保存法、消費税法
自社が作成した材料費等記載見積書(の写し) 自社作成・交付 紙または電子データ 10年(工事の引渡しから) 建設業法(営業に関する図書)
完成図・発注者との打合せ記録・施工体系図 自社作成・発注者から受領 紙または電子データ 10年(工事の引渡しから) 建設業法(営業に関する図書)
資材のWeb発注の領収書・納品書 Web画面・PDF 電子データ 7年 電子帳簿保存法(電子取引)

※法人の帳簿・書類の保存期間は原則7年で、欠損金が生じた事業年度は10年です。工事の引渡しの時期によっては、建設業法の期間(引渡しから5年・10年)の方が長くなることがあります。自社の保存期間は、顧問税理士と確認して決めてください。注文書・注文請書の扱いと電子契約の要件は注文請書とは?で解説しています。

フォルダとファイル名の決め方

建設会社では、書類を工事番号で探したい場面が多くあります。一方、電子帳簿保存法の検索は「日付・金額・取引先」です。ファイル名に両方を入れておくと、どちらの探し方にも対応できます。

ファイル名のルール(記入例)

日付(取引年月日または発行日)_金額(税込)_取引先_工事番号_書類の種類.pdf

例:20261023_3116740_南風建設_複数_請求書.pdf(2つの工事にまたがる請求書)
  20261105_1980000_東和電設_2026-014_注文請書.pdf(電子契約で交わした請書)
  • 日付は「20261023」のように8桁で、金額はカンマを付けずに書く(並べ替えと範囲の検索がしやすい)
  • 1つの請求書が複数の工事にまたがる場合は、工事番号の代わりに「複数」とし、内訳は索引簿に書く
  • 電子取引のデータは、取引年月(例:2026年10月)や取引先ごとのフォルダにまとめる。工事番号ごとのフォルダを使う場合も、ファイル名のルールは同じにする
  • 保存期間が終わるまで消さない。担当者の個人のメールボックスやパソコンだけに置かない

国税庁の例でも、「20210131_110000_㈱霞商店」のように、日付・金額・取引先をファイル名に入れて検索できるようにする方法が示されています。ファイル名を付けずにメールに残したままにすると、検索の要件を満たせず、担当者が替わったときに探せなくなります。

電子帳簿保存法に対応する6つの手順

  1. 電子でやり取りしている書類を洗い出す協力会社・資材の購入先・発注者ごとに、メール・電子契約・Webなど、どの書類を電子でやり取りしているかを一覧にする。
  2. 保存ルールの一覧を作る書類ごとに、保存の形・保存期間・保存場所を決める(上の表を参考に)。
  3. 改ざん防止の方法を決めるシステムを使わない場合は、事務処理規程を定め、社内で運用する。
  4. ファイル名と保存場所のルールを決める日付・金額・取引先(と工事番号)を入れたファイル名、または索引簿で検索できるようにする。
  5. 受け取りと保存の担当を決める現場代理人宛てに届いた請求書も、決まった窓口(共有のメールアドレスなど)に集める。
  6. 年に1回、保存の状態を点検するルールどおりに保存できているか、保存期間を過ぎたものの扱いを確認する。

AIでファイル名の付け直しと索引簿づくりを楽にする

AIは、届いた請求書の一覧から、ルールに沿ったファイル名の候補や索引簿の下書きを作る作業に使えます。日付・金額・取引先は、必ず元の請求書と照らし合わせて確認してから確定するのが原則です。

コピーして使えるプロンプト(ファイル名と索引簿の下書き)

あなたは建設会社の経理担当の補佐です。
添付した請求書(PDF)それぞれについて、次の表を作ってください。

# 列
元のファイル名/取引年月日/金額(税込)/取引先/工事番号/書類の種類/新しいファイル名の案

# ルール
・新しいファイル名は「日付8桁_金額(税込・カンマなし)_取引先_工事番号_書類の種類.pdf」とする
・工事番号が書かれていない、または複数の工事にまたがる場合は「複数」または【要確認】とする
・読み取れない文字や数字は推測せず【判読不可】とする
・金額の計算や合計はしない

請求書・注文書のデータを、取引先・工事番号・金額と一緒に1つの仕組みで管理すれば、保存と検索のルールを人の手に頼らずに守れます。建設AIシフトの業務一元管理は、見積から発注・請求・支払までを工事番号で一元管理し、関連する書類のデータもあわせて管理できるようにするオーダーメイドのシステムです。電子帳簿保存法の要件への対応は、要件定義の段階で確認しながら作ります。

AIやシステムに任せないこと

  • 保存期間・保存方法などの社内ルールの決定(顧問税理士と確認して決める)
  • 事務処理規程の制定と、訂正・削除の承認
  • 読み取った日付・金額・取引先の最終確認

注意

記入例の会社・金額・ファイル名・保存ルールは、すべて説明用の架空の例です。電子帳簿保存法の内容は国税庁、建設業法の帳簿・図書は e-Gov法令検索の公表内容を、2026年10月29日に確認したものです。保存期間や保存方法の判断は、顧問税理士などの専門家に確認してください。請求書の情報をAIに入力する場合は、社内ルールと利用するサービスの規約を確認してください。

電子帳簿保存法対応のチェックリスト

  • 電子でやり取りしている書類を、取引先ごとに一覧にしている
  • 電子で受け取った(送った)データを、印刷ではなくデータのまま保存している
  • 改ざん防止の方法(事務処理規程など)を決めて運用している
  • 日付・金額・取引先で検索できるファイル名か索引簿にしている
  • 検索の要件が不要になる場合にあたるかを確認している
  • 建設業法の帳簿(5年)と営業に関する図書(10年)の保存期間を把握している
  • 書類別の保存ルールの一覧を作り、社内で共有している
  • 現場宛てに届く請求書も、決まった窓口に集めている

建設業の電子帳簿保存法でよくある質問

メールで受け取った請求書を印刷して保存してもよいですか?

2024年1月1日以後の電子取引では、印刷した紙をデータの保存の代わりにすることは認められていません。電子データのまま、改ざん防止・検索・すぐに表示できる状態のルールに沿って保存します。

小さな建設会社でも、検索できるようにする必要がありますか?

基準期間(2年前の事業年度)の売上高が5,000万円以下で、税務職員のデータのダウンロードの求めに応じられる場合は、検索の要件は不要です。ただし、改ざん防止など他のルールは必要です。

建設業の帳簿や書類は何年保存しますか?

建設業法では、帳簿とその添付書類は工事の引渡しから5年(発注者と結んだ住宅の新築工事は10年)、完成図・施工体系図・材料費等記載見積書などの営業に関する図書は引渡しから10年です。税法上は、法人の帳簿・書類は原則7年(欠損金が生じた事業年度は10年)です。

紙で受け取った注文請書もスキャンしないといけませんか?

紙で受け取った書類は電子取引ではないため、紙のまま保存できます。スキャンして電子データで保存する方法(スキャナ保存)もありますが、任意で、行う場合は別のルールに沿う必要があります。

電子で送った請求書の控えも保存が必要ですか?

必要です。電子取引の保存は、受け取った側だけでなく送った側にも求められます。適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書の写しを7年間保存します。

まとめ

  • メールのPDF・電子契約・Web発注などの電子取引のデータは、2024年1月以降、電子のまま保存する
  • 保存のルールは、改ざん防止・検索・すぐに表示できることの3つ。売上高5,000万円以下などは検索の要件が不要
  • 建設業法でも、帳簿は引渡しから5年、営業に関する図書は10年の保存が必要
  • 書類別の保存ルールの一覧を作り、税法と建設業法の長い方を目安にする
  • ファイル名に「日付・金額・取引先」と工事番号を入れ、どちらでも探せるようにする

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