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工事請求書の書き方|出来高・完成・分割の請求と記載事項、部分払の計算例

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執筆:建設AIシフト編集部(株式会社Digital&)
監修
監修:建設AIシフト 監修責任者

工事請求書の書き方のポイントは、インボイス制度で必要な6つの記載事項に加えて、「契約金額」「前回までの請求の累計」「今回の請求額」「請求後の残額」を書き、相手が契約と出来高に照らして金額を確かめられるようにすることです。建設工事の請求は、前払金・出来高(部分払)・完成時の精算と、1つの工事で何回にも分かれるため、毎回の請求が契約全体のどこに当たるかを示す必要があります。

請求書に今回の金額しか書かれていないと、受け取った側は前回までの請求書を探し、契約書と出来高調書を並べて計算し直すことになります。確認に時間がかかれば、支払の手続きも遅れます。

この記事では、工事請求書の3つの型、記載事項、出来高(部分払)の請求の記入例と計算、完成時の精算と分割請求の例、印紙税と消費税の端数処理、送付と保存の注意点を解説します。

この記事でわかること

  • 工事請求書の3つの型(前払金・出来高・完成時の精算)と分割請求
  • インボイスの6つの記載事項と、工事の請求で加えたい項目
  • 出来高(部分払)の請求額の計算と、請求書の記入例
  • 完成時の精算(変更契約を含む)と、定額の分割請求の例
  • 請求書・領収書の印紙税、消費税の端数処理、送付と保存

工程ごとの金額×進捗から出来高を出し、前月までの請求を差し引いた今月分の請求額まで計算できるExcelテンプレート(記入例入り・空欄)と、解説資料をお届けします。

出来高・出来高請求テンプレートをダウンロード

工事請求書の3つの型と分割請求

型 請求する時期 請求額の決め方 添える書類
前払金(前金払) 契約の後、着工前など契約で決めた時期 契約で決めた額(請負代金額の○%など) 契約書の写しなど、相手が求めるもの
出来高(部分払) 毎月の締め日など契約で決めた時期 出来形部分(と検査に合格した搬入済みの材料)に相応する額に、契約で決めた率と前払金の割合を考慮した係数を掛けて累計の対象額を出し、前回までの部分払の累計を差し引く 出来高調書(工種別の前回まで・今回・累計)
完成時の精算 完成検査に合格し、引き渡すとき 変更契約後の請負代金額から、前払金と部分払の累計を差し引く 完成検査の記録、変更契約書の写しなど

このほか、住宅や小規模な工事では、「契約時○%・中間時○%・完成時○%」のように定額で分けて請求する契約もあります。どの型でも、請求の時期と額の決め方は契約書(約款)で決まります。民法では、特約がなければ請負の報酬は目的物の引渡しと同時に支払うものとされているため(第633条)、前払金や部分払を受けるには、契約でその定めをしておく必要があります。

工事請求書の記載事項

請求書を出す側が適格請求書発行事業者の場合は、インボイスの6つの記載事項が必要です。工事の請求では、それに加えて契約と出来高に関する項目を書きます。

項目 書き方 インボイスの記載事項
1. 発行者・登録番号 会社名・住所・連絡先、登録番号(T+13桁) ○
2. 宛先 注文者の名称 ○
3. 発行日・請求番号 発行日と通し番号
4. 取引の年月日・期間 出来高の締め日、引渡し日など ○
5. 工事名・工事番号・契約日 契約書どおりの工事名と、契約の日付・番号 ○(取引内容)
6. 請求の種類 前払金/第○回 出来高/完成時の精算
7. 契約金額 変更契約後の請負代金額(税抜・消費税・税込)
8. 前回までの請求の累計 前払金と部分払の累計
9. 今回の請求額と消費税 税率ごとの合計額、適用税率、消費税額 ○
10. 請求後の残額 契約金額−(前回までの累計+今回)
11. 振込先・支払期日 口座、契約で決めた支払日
12. 添付書類 出来高調書、検査の記録など

インボイスの記載事項は、①発行者の氏名または名称と登録番号、②取引年月日、③取引内容、④税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率、⑤税率ごとに区分した消費税額等、⑥受け取る事業者の氏名または名称です。協力会社が常用(人工)で請求する場合の書き方は常用(人工)請求書の書き方で解説しています。

出来高(部分払)の請求額の計算

国土交通省が示す「民間建設工事標準請負契約約款(甲)」や「建設工事標準下請契約約款」では、部分払の請求額を、出来形部分と検査に合格した搬入済みの工事材料に相応する請負代金相当額の「10分の○以内」とし、○には9以上の数字を入れることとしています。前払金を受け取っている場合は、次の式で計算します。

部分払の請求額(前払金を受け取っている場合)

部分払の対象額(累計)= 出来形部分などに相応する請負代金相当額
             ×(請負代金額 − 受領済みの前払金)÷ 請負代金額 × ○/10
今回の請求額      = 部分払の対象額(累計)− 前回までの部分払の累計

率(○/10)や支払の時期は、契約書で決めます。発注者との契約が標準約款と違う形になっていることもあるため、必ず自社の契約書で確認してください。出来高そのものの測り方は出来高とは?で解説しています。

記入例|A社 倉庫新築 10月分の出来高請求

架空の元請「株式会社サンプル建設」が、注文者「A社」に出す10月分の出来高請求の例です。契約時に前払金36,000,000円(請負代金額の20%)を受け取り、率は9/10で毎月部分払を請求する契約です。係数は0.9×(1−36,000,000÷180,000,000)=0.72です。※会社名・金額はすべて説明用の架空の例です。

項目 金額・内容
宛先 A社 御中(架空)
発行者・登録番号 株式会社サンプル建設(架空)/T0000000000000(記入例用の架空の番号)
工事名・工事番号 A社 倉庫新築工事(工事番号2026-014)/2026年6月契約
請求の種類・締め日 出来高請求(部分払)10月分/2026年10月31日締め
契約金額 180,000,000円(消費税18,000,000円、税込198,000,000円)
累計出来高(出来高率) 72,000,000円(40.0%)※出来高調書のとおり
部分払の対象額(累計) 72,000,000円×0.72=51,840,000円
前払金(受領済み) 36,000,000円
前回までの部分払の累計 34,328,160円
今回の請求額(10%対象) 17,511,840円
消費税(10%) 1,751,184円
今回の請求額(税込) 19,263,024円
請求後の残額(税抜) 180,000,000−36,000,000−51,840,000=92,160,000円
支払期日 契約書のとおり(例:2026年11月30日)

請求後の残額を書いておくと、受け取った側は「前払金+部分払の累計+残額=契約金額」で、請求の全体が合っているかをすぐに確かめられます。残額は、今後の部分払と完成時の精算で受け取る額です。

完成時の精算と分割請求の例

完成時の精算

完成時の請求は、変更契約を反映した最終の請負代金額から、それまでに受け取った額を差し引いて出します。

完成時の精算額

完成時の請求額 = 変更契約後の請負代金額 − 前払金 − 部分払の累計

例(説明用の架空の数字・税抜)
 変更契約後の請負代金額 180,000,000+追加工事3,600,000=183,600,000円
 前払金          36,000,000円
 部分払の累計       118,800,000円
 完成時の請求額      183,600,000−36,000,000−118,800,000=28,800,000円

追加・変更工事の代金は、変更契約を交わしてから請求に入れるのが原則です。指示を受けただけで金額が決まっていない追加工事を請求書に入れると、相手の確認で止まり、全体の支払が遅れる原因になります(工事が赤字になる原因で、追加・変更の協議の進め方を解説しています)。

定額の分割請求

工期が短い工事や小規模な工事では、契約時・中間・完成時に定額で分けて請求することもあります。

E社 店舗内装(請負代金18,000,000円・税抜) 割合 請求額(税抜) 消費税(10%) 請求額(税込)
契約時 30% 5,400,000円 540,000円 5,940,000円
中間(内装下地の完了時) 40% 7,200,000円 720,000円 7,920,000円
完成・引渡し時 30% 5,400,000円 540,000円 5,940,000円
合計 100% 18,000,000円 1,800,000円 19,800,000円

※説明用の架空の例です。中間の請求の時期は「○月○日」より「内装下地の完了時」のように工程の区切りで決めておくと、工程が遅れたときの扱いで揉めにくくなります。

印紙税と消費税の端数処理

書類 印紙税
請求書 課税文書にあたらないため不要
領収書(売上代金の受取書・第17号文書) 受取金額5万円未満は非課税。5万円以上100万円以下200円、100万円超200万円以下400円、200万円超300万円以下600円、300万円超500万円以下1,000円、500万円超1,000万円以下2,000円(1,000万円超は国税庁の一覧表を参照)
電子データで送った領収書 電磁的記録は課税文書にあたらないため不要

領収書に消費税額等を区分して書くと、税抜の金額で印紙税の区分を判定します。振込で受け取り、領収書を発行しない取引も多くあります。工事の契約書(注文請書)の印紙税は注文請書とは?で解説しています。

適格請求書の消費税額の1円未満の端数は、1枚の請求書につき、税率ごとに1回処理します。工種ごとや明細の行ごとに消費税を計算して合計する方法は認められていません。上の記入例では、今回の請求額17,511,840円に対して1回だけ消費税を計算しています。

送付と保存の注意点

  • 請求書をPDFでメール送付した場合、送った側も、送ったデータ(または写し)を電子帳簿保存法のルールに沿って保存する必要がある(建設業の電子帳簿保存法対応で解説)
  • 適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書の写しを7年間保存する
  • 工事ごとの請求の累計は、工事台帳と突き合わせておく(工事台帳とは?)

AIで請求書の下書きと点検をする

AIは、請求書の文面の下書きや、契約書・出来高調書と請求書の項目が合っているかの点検に使えます。請求額や消費税の計算はExcel(またはシステム)で行い、AIに計算させないのが原則です。

コピーして使えるプロンプト(工事請求書の点検)

あなたは建設会社の経理担当の補佐です。
次の「契約の情報」「出来高調書の合計」「請求書の文面」を照らし合わせてください。
数字は変更せず、計算もし直さないでください。

# お願いしたいこと
1. 請求書に次の項目があるかを、ある/なしの表にする
   発行者・登録番号・宛先・発行日・取引の年月日・工事名・工事番号・請求の種類・
   契約金額・前回までの請求の累計・今回の請求額・適用税率・消費税額・請求後の残額・
   振込先・支払期日・添付書類
2. 請求書の工事名・契約金額・累計出来高が、契約の情報と出来高調書の値と一致しているかを確認する
3. 一致しない項目は、どちらに何と書かれているかを並べる
4. 判断できないものは推測で書かず【要確認】とする

# 契約の情報
【工事名/工事番号/契約日/請負代金額(変更後)/前払金/部分払の率/支払の条件】
# 出来高調書の合計
【締め日/累計出来高/出来高率】
# 請求書の文面
【ここに貼り付け】

契約・出来高・請求・入金が工事番号でつながっていれば、前回までの累計や残額は毎回自動で計算でき、請求書と工事台帳の数字も一致します。建設AIシフトの業務一元管理は、見積から請求・入金・支払までを工事番号で一元管理するオーダーメイドのシステムです。

AIやシステムに任せないこと

  • 出来高の査定と、注文者との出来高の確認(現場代理人と注文者が行う)
  • 追加・変更工事の金額の協議と、変更契約
  • 請求額の最終確認と発行の承認

注意

記入例の会社・番号・金額・割合は、すべて説明用の架空の例です。標準約款は国土交通省、インボイス・印紙税は国税庁、民法と建設業法はe-Gov法令検索の公表内容を、2026年10月29日に確認したものです。請求の時期・率・支払の条件は、個々の契約書で確認してください。会計・税務の判断は顧問税理士に確認してください。請求書の情報をAIに入力する場合は、社内ルールと利用するサービスの規約を確認してください。

工事請求書のチェックリスト

  • 請求の時期・率・支払の条件を、契約書(約款)で確認している
  • インボイスの6つの記載事項がそろっている(登録している場合)
  • 工事名・工事番号・契約日を、契約書どおりに書いている
  • 契約金額・前回までの累計・今回の請求額・請求後の残額を書いている
  • 出来高の請求には、出来高調書を添えている
  • 追加・変更工事は、変更契約を交わしてから請求に入れている
  • 消費税の端数処理を、請求書1枚・税率ごとに1回にしている
  • 送った請求書のデータ(写し)を、電子帳簿保存法のルールで保存している

工事請求書でよくある質問

工事請求書には何を書けばよいですか?

インボイスの6つの記載事項(発行者と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの合計額と適用税率、消費税額、宛先)に加えて、工事名・工事番号・契約日、請求の種類、契約金額、前回までの請求の累計、今回の請求額、請求後の残額、振込先と支払期日を書き、出来高の請求には出来高調書を添えます。

出来高請求の金額はどう計算しますか?

出来形部分などに相応する請負代金相当額に、契約で決めた率(標準約款では10分の9以上)を掛け、前払金を受け取っている場合は前払金の割合も考慮して部分払の対象額(累計)を出し、前回までの部分払の累計を差し引きます。率や式は契約書で確認してください。

工事の請求書に印紙は必要ですか?

請求書は印紙税の課税文書にあたらないため、印紙は不要です。代金を受け取って紙の領収書を出す場合は、受取金額が5万円以上なら、金額に応じた印紙が必要です。電子データで送った領収書には印紙税はかかりません。

追加工事の代金は、いつ請求すればよいですか?

追加・変更の内容と金額を注文者と協議し、変更契約を交わしてから請求に入れるのが原則です。金額が決まっていない追加工事を請求書に入れると、確認で止まり、全体の支払が遅れる原因になります。

まとめ

  • 工事請求書は、前払金・出来高(部分払)・完成時の精算の3つの型と、定額の分割請求がある
  • インボイスの記載事項に加え、契約金額・前回までの累計・今回の請求額・残額を書く
  • 出来高の請求額は、契約で決めた率と前払金の扱いで計算し、出来高調書を添える
  • 追加・変更工事は、変更契約の後に請求する
  • 請求書に印紙は不要。消費税の端数処理は請求書1枚・税率ごとに1回

出来高から請求額までを、毎月同じ表で計算しませんか

「出来高・出来高請求テンプレート」では、工程ごとの金額×進捗から出来高を出し、前払金と前月までの請求を差し引いた今月分の請求額まで計算できるExcel(記入例入り・空欄)と、解説資料をお届けします。無料でダウンロードできます。

出来高・出来高請求テンプレートをダウンロード