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出来高とは?建設工事の計算方法と出来形との違い|出来高払い・累計曲線・Excelテンプレート

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執筆:建設AIシフト編集部(株式会社Digital&)
監修
監修:建設AIシフト 監修責任者

建設工事の出来高とは、ある時点までにできあがった工事の部分を、契約金額に換算した額のことです。「請負代金1億8,000万円の工事で、今月末までに7,200万円分ができた」なら、累計出来高は7,200万円、出来高率は40%です。出来高は、工事の途中で代金の一部を受け取る出来高払い(部分払)の請求額の元になり、工程の遅れや原価の超過を見つける物差しにもなります。

ただし、出来高の測り方や請求額の計算式は、会社や契約によってばらばらになりがちです。進捗率を担当者の感覚で決めている、今月分だけを足していて累計が合わない、前払金を差し引く式が契約書と違う、といったことが起きやすい分野です。

この記事では、架空の倉庫新築工事(請負代金180,000千円・前払金20%)の10月締めの数字を使って、出来形との違い、工種別の計算方法、標準約款ごとの部分払の式、出来高累計曲線の読み方までを解説します。同じ工事は予実管理とは?の記入例にも登場します。工事全体の原価の締め方は建設業の原価管理のやり方で解説しています。

この記事でわかること

  • 出来高の意味と、出来形・出来高率・出来高調書などの関連用語
  • 出来高を「工種ごとの契約金額×累計の進捗率」で計算する方法と、進捗率の測り方
  • 出来高払い(部分払)の請求額の計算式が、公共・民間・下請の標準約款で違うこと
  • 締めから入金までの出来高請求の流れと、協力会社の出来高査定
  • 出来高累計曲線(Sカーブ)で、工程の遅れと原価の先行を見つける読み方

この記事の計算をそのまま入れたExcelテンプレート(記入例入り・空欄の2ファイル)と、解説資料をセットでお届けします。

出来高計算・請求テンプレートをダウンロード

出来高とは|工事の進み具合を金額で表したもの

出来高(できだか)は、工事の進み具合を金額で表した数字です。契約の工事全体を100としたとき、締め日の時点でどこまでできたかを、請負代金内訳書の金額を使って金額に直します。累計の出来高を請負代金額で割ったものが出来高率(進捗率)です。

現場では、出来高を数量の意味で使うこともあります(「今日の掘削の出来高は120m³」など)。この記事では、請求や管理に使う金額の出来高を扱います。

用語 意味 記入例(10月締め)
累計出来高 着工から締め日までにできた部分の金額 72,000千円
出来高率 累計出来高÷請負代金額 40.0%
今回の出来高 今月の累計出来高−前月の累計出来高 24,322千円
出来高払い(部分払) 工事の完成前に、出来高に応じて代金の一部を支払う(受け取る)こと 契約で「毎月」と定めた例
出来高請求 出来高払いを受けるための請求 今回請求額 17,512千円(税抜)
出来高調書 工種ごとの前回まで・今回・累計の出来高をまとめた内訳表 請求書に添える
出来高査定 注文者(発注者・元請)が、申告された出来高を確認して認めること 協力会社の請求を元請が確認

株の出来高・給与の出来高払いとの違い

「出来高」は、ほかの分野でも使われる言葉です。株式の出来高は、売買が成立した株数のことで、建設工事の出来高とは関係がありません。給与の「出来高払制」は、仕事の量に応じて賃金を払う仕組みで、労働基準法第27条は、出来高払制などで使用する労働者に、労働時間に応じた一定額の賃金を保障するよう定めています。この記事の「出来高払い」は、工事の請負代金の支払い方法のことです。

出来形と出来高の違い

出来形(できがた)と出来高は、よく混同されます。違いは、出来形は「できあがったもの」、出来高は「それを金額にしたもの」という点です。

出来形 出来高
意味 施工してできあがった部分そのもの できあがった部分を契約金額に換算した額(または数量)
見るもの 形・寸法・位置・数量(設計図書どおりか) 金額・出来高率
単位 m・m²・m³・本・箇所など 円・%
主な場面 出来形管理(品質・検査)、出来形の確認(部分払の前提) 部分払の請求、工程管理、原価との比較

標準約款では、部分払の対象を「出来形部分」や工事現場に搬入した工事材料に相応する請負代金相当額と書いています。つまり、まず出来形(できた部分)を確認し、それを請負代金内訳書の金額で評価したものが出来高、という順番です。検査や確認を受けていない部分は、原則として出来高払いの対象になりません。

出来高の計算方法|工種ごとに「契約金額×累計の進捗率」

出来高は、工事全体の進み具合を1つの%で見積もるのではなく、工種ごとに計算して合計します。工種によって金額の重みが大きく違うからです。

出来高の計算式

工種の累計出来高 = 工種の契約金額 × 締め日時点の累計進捗率
累計出来高    = 工種の累計出来高の合計
出来高率     = 累計出来高 ÷ 請負代金額
今回の出来高   = 今月の累計出来高 − 前月の累計出来高
  1. 工種と金額を決める発注者に出した請負代金内訳書(見積内訳)の工種と金額を使います。内訳の合計は請負代金額と一致させます。
  2. 工種ごとに測り方を決める数量・作業の完了・期間など、着工前に決めて発注者とも共有します(下の表)。
  3. 締め日に累計の進捗率を測る今月増えた分ではなく、着工からの累計で記録します。
  4. 合計して前月と比べる今回の出来高は、累計どうしの差で出します。

進捗率の測り方(工種別の例)

測り方 向いている工種 例 注意点
数量の割合 土工・コンクリート・仕上げ・外構など 打設済み 420m³÷全体 600m³=70% 設計数量と実数量の差が大きいときは、数量の根拠を残す
重量・部材数の割合 鉄骨・鉄筋・プレキャスト部材 建方済みの部材重量÷全体重量 工場で製作中の部材を含めるかは契約による
作業の完了割合 設備・建具など、工程が段階に分かれる工種 配管・機器据付・試運転を 40・40・20 で配分 配分を着工前に決め、途中で変えない
期間の按分 仮設・諸経費など、工期全体にかかる費用 工期12か月のうち3か月経過=25% 工期が延びたときの扱いを決めておく
直接工事に合わせる 諸経費(現場管理費など) 直接工事の累計出来高÷直接工事の契約金額 仮設・諸経費を除いた工種で計算する

やってはいけないのは、使った原価の割合(予算消化率)をそのまま出来高率にすることです。原価が予算を超えて進んでいても出来高が同じだけ増えたように見え、原価の超過が隠れてしまいます。原価の消化率は、出来高率と比べるための数字です(後の「出来高累計曲線」で説明します)。

計算例|A社 倉庫新築工事の10月締め

記入例の工事は、鉄骨造平屋の倉庫新築工事です。請負代金額180,000千円(税抜)、2026年6月契約、7月着工、2027年6月完成予定で、毎月末締めで部分払を請求します。10月末の工種別の出来高は次のとおりです。※説明用の架空の例です(単位:千円・税抜)。

工種 契約金額 前月までの累計率 10月末の累計率 前月までの出来高 今回の出来高 累計出来高
仮設工事 9,000 30.0% 40.0% 2,700 900 3,600
土工・地業工事 14,000 100.0% 100.0% 14,000 0 14,000
基礎・躯体工事 21,000 100.0% 100.0% 21,000 0 21,000
鉄骨工事 52,000 15.0% 55.0% 7,800 20,800 28,600
屋根・外壁工事 30,000 0.0% 6.0% 0 1,800 1,800
電気設備工事 12,000 5.0% 5.0% 600 0 600
諸経費 6,000 26.3% 40.0% 1,578 822 2,400
その他5工種(建具・内装・床・機械設備・外構) 36,000 0.0% 0.0% 0 0 0
合計 180,000 26.5% 40.0% 47,678 24,322 72,000

10月は鉄骨の建方が進み、鉄骨工事だけで今回の出来高の大半(20,800千円)を占めています。仮設は仮設計画の項目ごとの完了割合で測り、諸経費は直接工事(仮設と諸経費を除く工種)の出来高率に合わせています(10月は66,000÷165,000=40.0%)。

「今回の出来高」は累計の差で出す

毎月の表には、今月増えた分ではなく累計の進捗率を入れます。今月分だけを足していくと、入力の漏れや二重計上があっても気づけず、前月までの請求額と合わなくなります。累計で持っておけば、今回の出来高は「今月の累計−前月の累計」で必ず計算でき、発注者の確認で率が下がったときも、翌月の今回分がマイナスになって表に現れます。

出来高払い(部分払)とは|請求額の式は約款で違う

出来高払いは、工事の完成を待たずに、出来高に応じて請負代金の一部を受け取る支払い方法です。標準約款では「部分払」と呼びます。工期の長い工事では、材料費や協力会社への支払いが先に出ていくため、出来高払いがないと元請の資金繰りが苦しくなります。

支払いの方法は契約で決めます。中央建設業審議会が作成する標準約款のうち、民間の小規模工事向けの民間(乙)は「契約成立時○割、部分払第1回○割…」のように回数と割合を契約書で決める形です。これに対して、公共工事、民間(甲)、下請の約款は、確認を受けた出来形部分などに相応する金額に一定の率を掛けて部分払の額を出す形です。主な違いは次のとおりです。

公共工事標準請負契約約款(第38条) 民間建設工事標準請負契約約款(甲)(第28条) 建設工事標準下請契約約款(第32条)
対象 出来形部分、搬入済みの工事材料(製造工場等にある工場製品を含める場合あり)。検査に合格したもの等 検査に合格した出来形部分、検査済の工事材料・建築設備の機器 出来形部分、搬入した工事材料(工場製品を含める場合あり)。監督員の検査に合格したもの
率 請負代金相当額の十分の○以内(記入例は九) 契約書に別段の定めがなければ十分の九 十分の○以内(○は九以上)
前払金があるときの式 部分払金≦相当額×(○/10−前払金額/請負代金額) 請求額≒相当額×9/10×(請負代金額−前払金額)/請負代金額 請求額=相当額×(請負代金額−受領済前払金額)/請負代金額×○/10
2回目以降 既に部分払の対象となった相当額を控除 契約書の記載例は「既支払額を控除」 既に部分払の対象となった相当額を控除
手続・期限 確認の請求から14日以内に検査、部分払の請求から14日以内に支払。請求回数の上限あり 監理者の審査を経て、支払請求締切日までに請求 確認を求め、契約書の定めにより支払

表のとおり、前払金を差し引く式が「率から前払金の割合を引く」型と「率に(1−前払金の割合)を掛ける」型の2つに分かれます。前払金20%・率9/10なら、前者の係数は0.9−0.2=0.70、後者は0.9×0.8=0.72です。どちらを使うかは、実際の契約書と約款で確認します。

計算例|10月の請求額

記入例の工事は、契約時に前払金36,000千円(請負代金額の20%)を受け取り、民間(甲)と同じ型の式(率9/10)で毎月部分払を請求する契約です。係数は0.9×(1−36,000÷180,000)=0.72です。※説明用の架空の例です(単位:千円・税抜)。

10月の部分払の計算

部分払の対象額(累計)= 累計出来高 72,000 × 0.72 = 51,840
前月までの請求額の累計 = 6,916 + 13,036 + 14,376 = 34,328
今回請求額(税抜)   = 51,840 − 34,328 = 17,512
消費税(10%)     = 1,751
今回請求額(税込)   = 19,263

※千円未満を四捨五入して表示しています。円単位では、今回請求額(税抜)17,511,840円、消費税1,751,184円、税込19,263,024円です。

締め月 累計出来高 出来高率 部分払の対象額(累計) 今回請求額(税抜)
2026年7月 9,606 5.3% 6,916 6,916
2026年8月 27,712 15.4% 19,953 13,036
2026年9月 47,678 26.5% 34,328 14,376
2026年10月 72,000 40.0% 51,840 17,512

同じ出来高でも、公共型の式(係数0.70)なら10月の部分払の対象額(累計)は50,400千円で、1,440千円少なくなります。今回請求額も、前月までを同じ式で計算した場合は17,025千円です(各月の累計に0.70を掛けて差を取った額)。

完成のときに残る額も式で変わる

部分払で受け取れない分は、完成引渡しのときに受け取ります。出来高100%まで部分払を受けた場合、記入例の工事では次のようになります。

式の型 前払金 部分払の合計(出来高100%) 完成引渡しのときの残り
民間(甲)・下請型(0.9×0.8=0.72) 36,000 129,600 14,400(請負代金額の8%)
公共型(0.9−0.2=0.70) 36,000 126,000 18,000(請負代金額の10%)

公共型は前払金を各回の部分払から全額回収していく形で、完成まで請負代金額の10%が残ります。民間(甲)・下請型は前払金を受け取った分を差し引いたうえで率を掛けるため、残りは10%×(1−前払金の割合)=8%です。資金繰りの計画では、この残りが入るのは完成引渡しの後であることも織り込んでおきます。

注意

表と計算例は、中央建設業審議会の標準約款(2026年10月29日に国土交通省の掲載ページで確認)の条文を要約したものです。部分払の率・回数・式・端数の扱いは、個々の契約書の定めが優先します。公共工事は発注者ごとの契約書・要領によります。中間前払金、変更契約による前払金の追加、部分引渡しは、この記事の計算に含めていません。

出来高請求の流れ|締めから入金まで

出来高請求は、毎月同じ日程で回すと、遅れも漏れも減ります。月末締め・翌月請求の会社の一例です。

  1. 締め日(月末)現場代理人が、工種ごとの累計の進捗率を測る。数量の根拠(打設伝票・搬入記録・工事写真)を残す。
  2. 締め後2営業日出来高調書(工種別の前回まで・今回・累計)を作り、工事部長が前月との差を確認する。
  3. 締め後3〜5営業日発注者・監理者に確認(検査・審査)を依頼する。確認で率が変わったら、確認後の率に直す。
  4. 確認後経理が、確認後の出来高で部分払の請求書を作る。請求書には出来高調書を添える。
  5. 入金後入金額を請求額と照合し、未入金・減額があれば理由を記録する。
  6. 協力会社への支払協力会社から出来高の請求を受け、同じ測り方で査定して支払う。

協力会社の出来高査定と支払期限

元請は、協力会社から受けた出来高の請求を査定する立場でもあります。発注者に対して使う測り方と、協力会社を査定する測り方をそろえると、「発注者には55%で請求したのに、協力会社には60%で払っていた」といったずれが起きにくくなります。

建設業法第24条の3は、元請負人が出来形部分に対する支払いや完成後の支払いを受けたときは、その支払いの対象となった工事を施工した下請負人に、相応する下請代金を支払いを受けた日から1か月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならないと定めています。発注者からの入金日と、協力会社への支払日を同じ表で管理しておくと、期限を守れているかが分かります。工事ごとの外注費の記録のしかたは工事台帳とは?で解説しています。

出来高累計曲線(Sカーブ)で工程と原価を見る

出来高累計曲線は、横軸に工期、縦軸に累計の出来高率をとったグラフです。工事は、始めは準備や基礎で進みがゆっくりで、中盤に躯体や鉄骨で大きく進み、終盤は仕上げや検査でまたゆっくりになるため、計画の線はS字になります。そのためSカーブとも呼ばれます。計画の線の上下に許容できる範囲を描いたものは、形からバナナ曲線と呼ばれ、施工管理の工程管理で使われます。計画の線の元になる工程表の作り方は工程表とは?で解説しています。

記入例の工事の計画と実績を並べると、次のようになります。原価消化率(累計発生原価÷当初の実行予算原価)も同じグラフに入れています。

0%20%40%60%80%100%7月8月9月10月11月12月1月2月3月4月5月6月10月締め原価消化率 46.0%出来高 40.0%(計画 38.0%)計画の累計出来高率実績の累計出来高率原価消化率
A社 倉庫新築工事の出来高累計曲線(説明用の架空の例)
締め月 計画の累計出来高率 実績の累計出来高率 計画との差 原価消化率 原価消化率−出来高率
2026年7月 5.0% 5.3% +0.3 5.4% +0.1
2026年8月 14.0% 15.4% +1.4 16.3% +0.9
2026年9月 27.0% 26.5% ▲0.5 28.5% +2.0
2026年10月 38.0% 40.0% +2.0 46.0% +6.0

※差の単位はポイントです。原価消化率の分母は当初の実行予算原価151,200千円です。

この曲線から読み取る2つのこと

  • 工程は計画より少し前倒し:10月の実績40.0%は計画38.0%を2.0ポイント上回っています。鉄骨の建方が前倒しで進んだためです。9月は0.5ポイント下回っていましたが、10月に追いつきました。
  • 原価が出来高より先に進んでいる:原価消化率46.0%は出来高率40.0%を6.0ポイント上回り、差は月を追って広がっています。材料の先行搬入だけなら翌月以降に差は縮みますが、この工事では鉄骨の単価上昇と基礎の追加補強が原因で、完成時の原価そのものが増える見込みです。予実管理の記事では、この工事を粗利率が当初より2.5ポイント下がる「要対策」の工事として扱っています。

なお、出来高(請求のための進み具合)と、会計で工事進行基準などにより収益を計上するときの「進捗度」は、測り方が同じとは限りません。会計の進捗度は原価の発生割合で見積もる方法がよく使われます。決算や税務の数字は、顧問税理士と決めた社内の基準に従ってください。

出来高管理でよくある5つのミスと対策

よくあるミス 起きること 対策
原価の消化率を出来高率にしている 原価の超過が隠れる。請求が原価に引っぱられて過大になる 出来高は工種ごとの数量・作業の完了で測り、原価消化率とは別に比べる
今月分だけを足している 累計が前月までの請求と合わない。二重計上に気づけない 累計の進捗率で記録し、今回分は累計の差で出す
変更・追加工事を合意前に混ぜる 確認で減額され、翌月の請求がマイナスになる 変更契約が済むまでは別の行で管理し、合意後に内訳と請負代金額を直す
搬入した材料の扱いを決めていない 材料を入れる・入れないが月によって変わる 約款・契約書で対象になる材料(検査済の工事材料など)を確認し、着工前に決める
前払金を差し引く式が契約と違う 請求額が毎回ずれ、完成時の残金も合わない 最初の請求の前に、契約書の式でテンプレートの係数を確かめる

Excelの出来高計算・請求テンプレートの作り方

ダウンロードできるテンプレートは、次の6シートでできています。黄色のセルに入力すると、白いセルが数式で計算されます。テンプレートは円単位で、記入例はこの記事と同じ工事の数字です(記事では千円単位で表示しています)。

シート 入れるもの 出てくるもの
使い方 — 手順、計算式、注意点
設定 請負代金額・前払金・部分払の率・計算式の型(民間・下請型/公共型)・消費税率・最初の月・今回の請求月 部分払の係数、完成時に残る額の目安
出来高内訳 工種・契約金額・進捗の測り方、毎月の累計進捗率、計画の累計出来高率 月ごとの累計出来高と出来高率、内訳合計のチェック
請求計算 累計発生原価・実行予算原価(任意) 部分払の対象額、今回請求額(税抜・税込)、原価消化率とのずれ、請求済みの合計
出来高調書 —(設定シートの請求月を表示) 工種別の前回まで・今回・累計・残りと、今回の請求額
出来高曲線 — 計画・実績の累計出来高率と原価消化率の折れ線

テンプレートの主な数式

累計出来高(出来高内訳の合計行):
=SUMPRODUCT(ROUNDDOWN(ROUND($C$5:$C$34*E5:E34,6),0))
 ※C列=工種の契約金額、E列=その月の累計進捗率

部分払の係数(設定シート):
=IF(B10="公共型", B9/10-B8/B7, B9/10*(1-B8/B7))
 ※B7=請負代金額、B8=前払金、B9=部分払の率(十分の○の○)

今回請求額(請求計算シート):
=ROUNDDOWN(累計出来高×係数)−前月までの請求額の累計

累計の進捗率が前月より下がったセルはオレンジ、100%を超えたセルは赤で表示し、今回請求額がマイナスになった月や、原価消化率が出来高率を5ポイント以上上回った月にも色が付きます。毎月確認すべき点が、表を開いたときに目に入るようにしています。

AIとシステムで出来高管理を楽にする

出来高管理でAIが役立つのは、計算済みの表を読んで、前月との違いや確認すべき点を文章にする作業です。進捗率の判断と計算はExcel(またはシステム)で行い、AIに数字を計算させないのが原則です。ChatGPTでもClaudeでも使える書き方にしています。

コピーして使えるプロンプト(出来高の確認メモ)

あなたは建設会社の工事部で、毎月の出来高請求の確認を手伝うアシスタントです。
次の表は、今月の締め後にExcelで計算済みの出来高調書と請求計算です。
数字は変更せず、計算もし直さずに、表の値をそのまま使ってください。

# お願いしたいこと
1. 今回の出来高が大きい工種を上から3つ挙げ、前月からの累計率の変化を書く
2. 累計率が前月より下がった工種、100%を超えた工種があれば挙げる
3. 計画の累計出来高率との差と、原価消化率−出来高率の値を書き、
   前月から差が広がったか縮んだかを1行で書く
4. 発注者に確認(査定)を依頼する前に、現場代理人に聞くべきことを
   質問の形で3つまで書く
5. 表に書かれていない原因は推測で書かず【要確認】とする

# 出来高調書(Excelから貼り付け)
【工種/契約金額/前回までの累計率/今回の累計率/今回の出来高/累計出来高】

# 請求計算(直近3か月)
【締め月/累計出来高率/計画の累計出来高率/今回請求額/原価消化率】

出力イメージ(例)

■今回の出来高が大きい工種
・鉄骨工事 20,800千円(累計率 15.0%→55.0%)
・屋根・外壁工事 1,800千円(0.0%→6.0%)
・仮設工事 900千円(30.0%→40.0%)
■累計率の異常
・前月より下がった工種、100%を超えた工種はなし
■計画・原価との比較
・累計出来高率 40.0%、計画 38.0%(+2.0ポイント)
・原価消化率−出来高率 +6.0ポイント(9月 +2.0 から拡大)
■現場代理人に聞くこと
・鉄骨55%の根拠(建方済みの部材重量)は、搬入記録・写真と合っているか?
・原価の先行のうち、搬入済みで未施工の材料はいくらか?【要確認】
・屋根・外壁の6%は、どの範囲の施工か?

Excelで続ける場合も、工事が増えると、見積の内訳から出来高内訳への転記、協力会社の請求との突き合わせ、原価との比較に手間がかかります。見積の内訳と出来高の表が別々で合わない、発注者への請求と協力会社への支払いを別の担当が別の表で管理している、といった状態になったら、工事番号で見積・出来高・請求・原価・支払いをつなぐ仕組み(システム)を検討する目安です。建設AIシフトの業務一元管理は、自社の業務の流れに合わせて、見積から出来高・請求・支払までを工事番号で一元管理するオーダーメイドのシステムです。

AIやシステムに任せないこと

  • 工種ごとの進捗率の判断(現場を見ている現場代理人が決め、根拠を残す)
  • 契約書・約款の支払条件の解釈(部分払の対象・率・式は契約書で確認する)
  • 協力会社の出来高査定と、発注者との変更協議の判断

注意

記入例の工事・数値、締めの日程、出力イメージは、すべて説明用の架空の例です。法令と標準約款は2026年10月29日時点で、e-Govと国土交通省の掲載ページで確認した内容です。実際の請求は個々の契約書の定めに従ってください。取引先名や金額をAIに入力する場合は、社内ルールと利用するサービスの規約を確認してください。

毎月の出来高チェックリスト

  • 出来高内訳の工種と金額の合計が、請負代金額(変更契約後)と一致している
  • 工種ごとの進捗の測り方を、着工前に決めて発注者と共有した
  • 締め日の累計の進捗率を入れた(今月分ではなく累計)
  • 数量の根拠(伝票・搬入記録・写真)を残した
  • 累計率が前月より下がった工種、100%を超えた工種がない(あれば理由を記録した)
  • 変更・追加工事は、合意前の分を出来高に混ぜていない
  • 部分払の係数が、契約書の率と前払金を差し引く式に合っている
  • 発注者・監理者の確認(査定)後の率で請求した
  • 計画の累計出来高率と比べ、遅れの理由を確認した
  • 原価消化率と出来高率を比べ、ずれの理由を確認した
  • 協力会社の出来高を同じ測り方で査定し、支払期限を確認した

出来高でよくある質問

出来高とは何ですか?

建設工事の出来高は、ある時点までにできあがった工事の部分を、契約金額に換算した額です。工種ごとに「契約金額×累計の進捗率」を計算して合計し、請負代金額で割ったものを出来高率といいます。

出来形と出来高の違いは何ですか?

出来形は施工してできあがった部分そのもの(形・寸法・数量)で、出来高はそれを契約金額に換算した額です。出来形を確認し、請負代金内訳書の金額で評価したものが出来高になります。

出来高払いとは何ですか?

工事の完成を待たずに、出来高に応じて請負代金の一部を受け取る支払い方法です。標準約款では部分払と呼びます。率や回数、前払金を差し引く式は契約書で決めます。

出来高払いは何割まで請求できますか?

標準約款では、民間(甲)は契約書に別段の定めがなければ請負代金相当額の十分の九、公共工事は十分の○以内(記入例は九)、下請は十分の○以内(○は九以上)としています。実際の率は個々の契約書で確認してください。

前払金を受け取っているときの出来高請求の計算方法は?

約款によって式が違います。公共工事の約款は「相当額×(率−前払金の割合)」、民間(甲)と下請の約款は「相当額×率×(1−前払金の割合)」の形です。前払金20%・率9/10なら係数は0.70と0.72になります。2回目以降は、累計で計算した額から前回までの請求額を差し引きます。

出来高累計曲線とは何ですか?

横軸に工期、縦軸に累計の出来高率をとったグラフで、計画の線がS字になることからSカーブとも呼ばれます。計画と実績を比べると工程の遅れが、原価消化率と並べると原価の先行が分かります。

協力会社への出来高の支払期限はありますか?

建設業法第24条の3により、元請負人は出来形部分に対する支払いなどを受けたときは、相応する下請代金を、支払いを受けた日から1か月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければなりません。

まとめ

  • 出来高は、できあがった部分(出来形)を契約金額に換算した額。累計出来高÷請負代金額が出来高率
  • 出来高は工種ごとに「契約金額×累計の進捗率」で計算して合計し、今回分は累計の差で出す
  • 原価の消化率を出来高率に使わない。2つを比べて原価の先行を見つける
  • 部分払の率と前払金を差し引く式は約款・契約書で違う(係数0.70と0.72の例)。最初の請求の前に確かめる
  • 出来高累計曲線で、計画との差(工程)と原価消化率との差(原価)を毎月見る

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