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安全書類をAIとExcelで自動作成|施工体制台帳の転記をなくす手順

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執筆:建設AIシフト編集部(株式会社Digital&)
安全書類の転記をなくす

安全書類や施工体制台帳をAIとExcelで作るコツは、AIに書類を一から書かせることではありません。会社・技術者・作業員・機械の情報を1つのマスタ(台帳のExcel)に集め、そこから各様式へ転記する仕組みを作り、AIには転記の段取りと提出前の点検を任せます。こうすると、同じ会社名や保険の情報を何枚もの書類に手で書き写す作業がなくなります。

全建統一様式(全国建設業協会の書式集)では、会社名・許可番号・保険の加入状況・技術者名などが、再下請負通知書、下請負業者編成表、施工体制台帳、施工体系図、作業員名簿に繰り返し出てきます。転記の回数が多いほど、誤記と更新漏れが増えます。

この記事では、マスタの列設計、転記先の対応表、Excelでの組み方、Claude Codeで現場ごとの書類を一括作成・点検する指示文、個人情報の扱いまでを順に解説します。書類ごとの書き方はグリーンファイル(安全書類)とは、施工体制台帳とは、作業員名簿の書き方をあわせてご覧ください。

この記事でわかること

  • 安全書類の転記が減らない理由と、「1つのマスタから複数の様式へ」の考え方
  • 会社・現場・作業員・機械の4つのマスタの列設計
  • マスタの項目が全建統一様式のどの書類に転記されるかの対応表
  • Claude Codeで現場ごとの書類を一括作成し、提出前に点検する指示文
  • 作業員の個人情報をAIとマスタで扱うときのルール

安全書類の提出チェックリストと施工体制台帳の添付書類チェックリストを、テンプレート集にまとめました。

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安全書類の転記が減らない理由

安全書類の手間の大半は、書く内容を考えることではなく「同じ情報を別の様式に書き写すこと」です。たとえば、自社の建設業許可番号は、再下請負通知書にも下請負業者編成表にも書きます。主任技術者の名前は、再下請負通知書、施工体制台帳、施工体系図に出てきます。

転記が減らない会社には、次のような共通点があります。

  • 前の現場の書類をコピーして、書き換えて使っている(古い情報が残る)
  • 許可の更新や保険の変更を、書類ごとに直している(直し漏れが出る)
  • 元請ごとに様式が違い、同じ情報を別の形で入力し直している
  • 二次下請から届いた書類を、自社の書類に手で写している

解決策は、情報の「置き場所」を1か所にすることです。様式は出力先にすぎない、と考え方を切り替えます。AIはこの仕組みの上で、転記の段取りと点検を担当させると効果が出やすくなります。

まず確認:施工体制台帳の作成が必要な工事

仕組みづくりの前に、どの現場で台帳一式が必要になるかを確認しておきます。施工体制台帳の作成義務は、工事の種類と下請金額で決まります。

工事の種類 台帳の作成が必要になる条件 確認した一次情報
公共工事 下請契約を結んだ場合、下請契約の額にかかわらず作成 入札契約適正化法(関東地方整備局の解説資料で確認)
民間工事(建築一式以外) 元請の特定建設業者が結ぶ下請契約の総額が5,000万円以上 建設業法第24条の8、施行令(2025年2月1日施行の金額見直し)
民間工事(建築一式) 下請契約の総額が8,000万円以上 同上

金額は2025年2月1日に、4,500万円(建築一式7,000万円)から引き上げられました。古い資料の金額に注意してください。金額未満の民間工事でも、元請の安全管理の方針で一式の提出を求められることは多くあります。作成義務の詳しい考え方は施工体制台帳の書き方と作成義務で解説しています。

マスタの列設計:4つのシートに情報を集める

マスタは1つのExcelブックに、4つのシートを作るのがおすすめです。シートを分けるのは、更新のタイミングと担当者が違うからです。※列名と例は説明用です。元請の様式に合わせて足し引きしてください。

シート 主な列 1行の単位 更新のタイミング
会社マスタ 会社コード、正式名称、代表者、住所、電話、許可業種、許可番号(大臣・知事/特定・一般)、許可年月日、健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況と事業所整理記号等、CCUS事業者ID 1社(自社と協力会社) 許可更新・保険の変更時、年1回の棚卸し
技術者・責任者マスタ 社員番号、氏名、所属会社コード、資格(施工管理技士等)、資格番号、監理技術者資格者証の有無、安全衛生責任者・職長教育の修了 1人 資格取得・異動時
作業員マスタ 社員番号、氏名、ふりがな、生年月日、職種、保険の種類、建退共・中退共の別、雇入時教育・特別教育・技能講習・免許、資格の有効期限、CCUS技能者ID 1人 入社・講習修了・保険変更時
機械マスタ 機械コード、種類、型式、所有会社、自主検査・特定自主検査の実施日、運転者の資格 1台 点検実施時

これに加えて、現場ごとの情報(工事名、元請、工期、契約日、契約金額、配置する技術者、入場する作業員の社員番号、持込機械)を「現場シート」として1現場1枚で作ります。現場シートにはマスタの「コード」と「社員番号」だけを書き、名前や資格はマスタから引くようにします。

列を作るときの3つのルール

  • 1つのセルに1つの情報:「1級土木施工管理技士 第○号」は資格名と番号の2列に分ける
  • 日付は日付型で入れる:「R8.4.1」のような文字は期限切れの判定ができない
  • 選択肢は入力規則でそろえる:保険の種類(協会けんぽ、建設国保など)はドロップダウンにする

転記先の対応表:マスタの項目はどの様式に出てくるか

全建統一様式(改訂6版、令和6年10月)の主な様式について、マスタの項目がどこに転記されるかを整理しました。様式名は全国建設業協会の頒布ページで確認しています。欄の細かな名称と配置は、全建の「記載例及び解説」と元請の指定で確認してください。

マスタの項目 第1号-甲 再下請負通知書 第1号-乙 下請負業者編成表 第3号 施工体制台帳 第4号 災害防止協議会兼施工体系図 第5号 作業員名簿 第9号 移動式クレーン・車両系建設機械等使用届
会社名・住所・代表者 ○ ○ ○ ○(会社名) ○(会社名) ○
許可業種・許可番号 ○ ○ ○ − − −
社会保険の加入状況 ○ − ○ − ○(作業員ごと) −
主任技術者・専門技術者 ○ ○ ○ ○ (記号欄) −
安全衛生責任者・職長 ○ ○ − ○ (記号欄) −
工期・契約日・工事内容 ○ ○ ○ ○ − −
作業員の氏名・教育・資格 − − (作業員名簿として一部を構成) − ○ ○(運転者)
機械の種類・点検日 − − − − − ○

※○は転記が発生する目安です(説明用)。欄の有無は版・元請の独自様式で異なります【要確認】。

この表を自社用に作ること自体が、仕組みづくりの第一歩です。元請の様式を1枚ずつ見て、どの欄がマスタのどの列から来るかを書き込んでいきます。この「対応表」は、後でAIに転記を任せるときの指示書にもなります。

Excelでの組み方:マスタから様式へ転記する手順

AIを使う前に、Excelだけで転記の仕組みを作っておきます。AIはこの仕組みを作る手伝いと、点検に使います。

  1. 元請の様式を集めるよく取引する元請の様式(Excel)を集め、「様式」フォルダに置きます。紙やPDFしかない場合は、全建統一様式や国交省の作成例(Excel)を使ってよいか元請に確認します。
  2. マスタを作る前の章の4シートを作り、いま手元にある書類から情報を移します。最初の1回は手間がかかりますが、2現場目から転記が減ります。
  3. 現場シートを作る1現場1枚で、工事情報と、入場する人・会社・機械のコードを並べます。
  4. 様式に関数を入れる様式のコピーを作り、各欄にXLOOKUP関数(古い版ではVLOOKUP関数)を入れて、現場シートのコードからマスタの値を引きます。
  5. 期限切れを色で出す資格・講習・点検の有効期限が工期中に切れる行を、条件付き書式で色付けします。
  6. 提出用は値で保存する提出するファイルは「値の貼り付け」で関数を消し、マスタへのつながりを切ってから送ります。マスタの他の情報が相手に見えるのを防ぐためです。

関数そのものの作り方は建設業のExcel作業をAIで自動化で、ClaudeにExcelを読ませる設定はClaudeでExcel作業を効率化で解説しています。

AIで楽にする方法:Claude Codeで一括作成と提出前点検

現場が多い会社や、元請ごとに様式が違う会社では、関数を様式ごとに入れる作業そのものが負担になります。ここでClaude Codeが役立ちます。Claude Codeは、パソコンのフォルダにあるExcelを直接読み書きできるAIです。マスタと対応表と様式を渡し、現場ごとの書類を一括で作らせます。

指示文1:現場シートから様式一式を作る

フォルダは「マスタ」「様式」「現場」「出力」に分けます。作業を始める前に、マスタのコピーを使うこと、出力フォルダ以外を書き換えないことをCLAUDE.md(Claude Codeが毎回読む作業ルールのファイル)に書いておきます。

Claude Codeへの指示文(例)

現場/【K-2610_○○市立△△小学校改修】.xlsx の現場シートをもとに、
元請【○○建設】に提出する安全書類一式を出力フォルダに作ってください。

【使うファイル】
・マスタ/安全書類マスタ.xlsx(会社・技術者・作業員・機械の4シート)
・様式/【○○建設】/ にある元請指定の様式(Excel)
・様式/対応表.xlsx(様式の各欄とマスタの列の対応)

【ルール】
・マスタ・様式・現場フォルダのファイルは読むだけで、書き換えない
・値は必ずマスタから転記し、推測で埋めない。マスタにない項目は空欄のまま「要確認」に記録する
・対応表にない欄を見つけたら、作業を止めて質問する
・提出用ファイルは数式を残さず、値で保存する

【出力】
1. 出力/K-2610/ に様式ごとのファイル(再下請負通知書、下請負業者編成表、作業員名簿、持込機械の使用届)
2. 出力/K-2610/転記記録.xlsx(様式・欄・転記した値・元のマスタの列)
3. 出力/K-2610/要確認.xlsx(空欄、期限切れ、マスタ未登録)

まず作業計画と、対応表で不足している欄の一覧を見せてください。承認してから実行してください。

出力イメージ(例)

■ 作業計画
1. 現場シートから会社コード3社、作業員14名、機械2台を読み込み
2. 元請様式4種に、対応表のとおり転記
3. 期限切れ・空欄を要確認に記録
4. 値で保存して出力

■ 対応表で不足している欄(承認前に確認してください)
・作業員名簿「受入教育実施年月日」→ マスタに列がありません
  → 現場シートの「入場予定日」を使うか、空欄で出すか指示をください
・持込機械使用届「点検者氏名」→ 機械マスタに列がありません

(承認後)
■ 要確認(抜粋)
・作業員B:玉掛け技能講習の修了証の写しが未登録
・機械M-02:特定自主検査の実施日が工期中に1年を超えます
・協力会社C社:雇用保険の事業所番号が空欄

※件数・内容は説明用の例です【要確認】

ポイントは、AIに「推測で埋めない」「足りない欄は質問する」と明示することです。安全書類は、もっともらしい値で埋められると誤りに気づきにくい書類だからです。Claude Codeを業務で動かすときは、最初の数回は計画を承認してから実行する設定(プランモード)で使いましょう。

指示文2:提出前に一式を点検する

作成した書類や、二次下請から届いた書類の点検にも使えます。チャットのClaudeにファイルを添付する場合は、作業員の氏名・生年月日を伏せたコピーを使います。

コピーして使えるプロンプト

添付した安全書類一式(【再下請負通知書、作業員名簿、工事安全衛生計画書】)を、提出前に点検してください。
個人情報は「作業員A」などに置き換えてあります。

【工事の情報】工期:【2026年11月1日〜2027年2月28日】/書類の作成日:【2026年10月20日】
【点検してほしいこと】
1. 書類どうしで食い違う箇所(会社名、許可番号、工期、技術者名、安全衛生責任者)
2. 工期中に有効期限が切れる資格・講習・点検
3. 空欄の必須欄
4. 職長・安全衛生責任者の記号があるのに、職長教育の記載がない作業員
5. 日付の矛盾(作成日より後の教育日、工期外の入場日など)
【出力】「書類名/欄/内容/確認先」の表。判断できない点は推測せず「要確認」と書く

出力イメージ(例)

書類名           欄               内容                                   確認先
再下請負通知書    主任技術者        作業員名簿の記号と氏名が一致しない        自社工務
再下請負通知書    工期             11/1〜2/28と11/1〜3/31で食い違い         元請の注文書
作業員名簿        作業員D          職長の記号あり、職長教育の記載なし        本人の修了証
工事安全衛生計画書 作成日           空欄                                   作成者

※説明用の例です。点検結果は人が書類の原本・写しと照合してください。

AIが見つけられるのは「書類の中の矛盾と空欄」です。資格を本当に持っているか、保険に実際に加入しているかは判断できません。修了証や保険証の写しとの照合は、人が行います。

個人情報の扱い:マスタとAIのルール

マスタに情報を集めると、便利になる一方で、1つのファイルに個人情報が集中します。国交省は作業員名簿の作成例のページで、個人情報を様式の利用者が適切に扱う必要があると注意しています。マスタとAIの両方について、扱いのルールを決めておきます。

情報の区分 例 マスタでの扱い AIへの渡し方
会社の情報 会社名、許可番号、保険の加入状況 担当者が編集、閲覧は工務・安全担当 原則そのまま渡してよい(社内ルールに従う)
作業員の基本情報 氏名、生年月日、職種、保険の種類 編集者を限定し、変更履歴を残す チャットに渡すときは伏せ字にする。Claude Codeで扱う場合も会社の承認を得たフォルダと設定で行う
番号類 雇用保険の被保険者番号、免許の番号 必要な桁だけ保存する(作成例では雇用保険は下4けた) 渡さない
健康に関する情報 健康診断の結果、血圧など マスタに入れない。必要な場合も受診日など最小限にする 渡さない

個人情報保護委員会は、健康診断の結果は多くの場合「要配慮個人情報」にあたり、第三者に提供するには原則として本人の同意が必要だとしています。元請から健診結果の提出を求められたときは、提出の範囲と方法を元請に確認しましょう。会社としてのAI利用ルールは建設会社の生成AIセキュリティ対策とClaude Codeのセキュリティで解説しています。

注意

提出する書類の種類・様式・欄は、元請や発注者によって異なります。元請の指定と最新の一次情報が優先です。全建統一様式の版(2026年10月1日時点で改訂6版)と、欄の名称・配置は、全国建設業協会の記載例及び解説で確認してください。この記事の対応表と列設計は説明用の例です。AIが作成・点検した書類は、必ず人が原本・写しと照合してから提出してください。

提出前チェックリスト

  • 元請が指定する様式・版・提出方法(紙、Excel、クラウド)を確認した
  • マスタの許可番号・許可年月日が最新の許可証と一致している
  • 技術者・安全衛生責任者・職長の名前が、全書類で一致している
  • 工期中に期限が切れる資格・講習・機械の点検がない
  • 作業員名簿の教育・資格欄を、修了証の写しと照合した
  • 二次以下の会社の書類を回収し、自社の書類と食い違いがない
  • 提出用ファイルは値で保存し、マスタの他の情報が含まれていない
  • 健康診断の結果など、求められていない個人情報を添付していない
  • AIの「要確認」の項目を、人がすべて確認した

安全書類の自動作成のよくある質問

安全書類をAIだけで自動作成できますか?

AIだけに任せるのはおすすめしません。会社や作業員の情報はAIが知らないため、推測で埋めると誤りの原因になります。マスタに正しい情報を集め、AIには転記の段取りと点検を任せ、最後は人が確認する形が現実的です。

元請ごとに様式が違っても使えますか?

使えます。マスタは共通にし、元請ごとに「様式の欄とマスタの列の対応表」を作ります。様式が変わっても、対応表を直せば同じマスタから作れます。

グリーンサイトなどのクラウドサービスを使っている場合も意味がありますか?

元請がクラウドサービスを指定している現場では、そのサービスに登録した情報が使われます。紙・Excelの現場とクラウドの現場が混在する会社では、元になる情報を1か所のマスタで管理しておくと、どちらへの入力も楽になります。

施工体制台帳は小さな民間工事でも作る必要がありますか?

法令上の作成義務は、民間工事では元請の特定建設業者が結ぶ下請契約の総額が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上の場合です。公共工事は下請契約の額にかかわらず必要です。金額未満でも元請の方針で求められることがあるため、元請の指示に従ってください。

作業員の個人情報をClaudeに渡しても大丈夫ですか?

チャットで点検するだけなら、氏名や生年月日を伏せ字にしたコピーで十分です。Claude Codeで実データを扱う場合は、会社として利用するプランやデータの扱い、使うフォルダと権限を決め、承認を得てから行ってください。健康診断の結果などは渡さないでください。

まとめ

  • 安全書類の手間の大半は転記。情報を1つのマスタに集め、様式は出力先と考える
  • マスタは会社・技術者・作業員・機械の4シート+現場シートで作る
  • 「様式の欄とマスタの列の対応表」が、Excel関数にもAIへの指示にもなる
  • Claude Codeには「推測で埋めない」「足りない欄は質問」と指示し、計画を承認してから実行する
  • 健康情報はマスタにもAIにも入れない。最終確認は人が原本・写しで行う

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