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案件管理をExcelで続ける限界と、システムに移すタイミング|判定チェック10問

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執筆:建設AIシフト編集部(株式会社Digital&)
監修
監修:建設AIシフト 監修責任者

建設会社の案件管理は、Excelでも十分に始められます。1案件(1工事)1行の一覧に、状態・金額・時期・担当を入れておけば、工事が十数件までなら、受注の見込みから完成までを1枚で見渡せます。一方で、工事の数や入力する人が増えると、ファイルの版が分かれる、数式が壊れる、転記のたびに数字がずれる、といった限界が見えてきます。

大切なのは、「Excelかシステムか」を早く決めることではなく、今のExcelで何が起きていれば、移す時期なのかを判断できることです。限界が来る前に、Excelのまま改善できることも多くあります。

この記事では、建設会社の案件管理表(工事一覧)をExcelで作るときの列と数式、Excelで続けるための5つの工夫、Excelの限界が出る7つのサイン、システムに移すかどうかの判定チェック(10問)と、移すときの手順を解説します。

この記事でわかること

  • 建設会社の案件管理表(1工事1行の工事一覧)の列と数式
  • Excelで案件管理を続けるための5つの工夫
  • Excelの限界が出る7つのサイン
  • システムに移すかどうかの判定チェック10問と、点数の目安
  • Excelからシステムに移すときの手順と注意点

1工事1行の工事一覧から、工事別と会社全体の予実まで自動で集計するExcelシート(記入例入り・空欄)と、19ページの解説資料をお届けします。

工事一覧と年度予実のExcelシートをダウンロード

建設会社の案件管理表の作り方|1工事1行

案件管理表の基本は、1工事(1案件)を1行にすることです。受注前の見込み案件も同じ表に入れ、状態の列で区別します。工事ごとにシートを分けたり、月ごとにファイルを分けたりすると、集計や検索のたびに手間がかかります。

列 項目 入力のルール
A 工事番号 年-連番(例:2026-014)。変更工事は枝番(2026-014-1)。見込み案件は「見込-01」
B・C 工事名・発注者 発注者名は一覧(マスタ)から選ぶ。表記をそろえる
D 状態 見込み/受注済/施工中/完成 から選ぶ(入力規則のリスト)
E 確度 A(受注済み)/B(内示あり)/C(見積提出中)
F・G 受注(予定)月・完成(予定)月 月初の日付で入れる(例:2026/10/1)
H 請負金額(税抜) 見込み案件は見積金額
I 実行予算原価 当初の金額で固定する
J・K 累計発生原価・残工事の見込み 毎月の締めのあとに更新する
L 着地見込みの粗利率 =(H-J-K)/H
M・N 担当・メモ(差異の理由) 理由は事実を1〜2行で書く

この表があれば、完成予定月ごとに請負金額と着地の粗利を合計するだけで、会社全体の売上(完成工事高)と粗利の見込みが出ます。工事ごとの予算・実績・見込みの比べ方は予実管理とは?、粗利率の見方は粗利率とは?で解説しています。

Excelで案件管理を続けるための5つの工夫

Excelの限界の多くは、作り方で先に防げます。システムを考える前に、次の5つを試してみてください。

  1. 入力する欄と計算する欄を分ける入力欄は色を付け、計算する列は保護する。数式を上書きされる事故がなくなる。
  2. 入力規則のリストを使う状態・確度・担当・発注者は、一覧から選ぶ形にする。表記のぶれがなくなり、集計が正しくなる。
  3. 「テーブル」にする一覧をExcelのテーブルにすると、行を足しても数式と書式が自動で広がり、集計の範囲がずれない。
  4. 1つのファイルを1か所に置く共有のフォルダ(クラウドのストレージなど)に1つだけ置き、メールで送り合わない。コピーを作らない。
  5. 更新の日と担当を決める締めのあと、だれが・いつまでに・どの列を更新するかを決める。更新日の列を作っておく。

この5つで、工事が十数件・入力する人が2〜3人の会社なら、Excelのままでも十分に回せることが多くあります。

Excelの限界が出る7つのサイン

工夫をしても、次のようなことが起き始めたら、Excelの限界が近づいています。

サイン 起きていること
1. 「最新版はどれ?」と聞かれる ファイルのコピーが増え、どれが正しいか分からない
2. 同じ数字を2回以上入力している 見積・実行予算・注文書・工事台帳・請求書に、同じ金額を手で写している
3. 締めに7営業日以上かかる 請求書・日報・発注の数字を集めて転記するのに時間がかかる
4. 数式が壊れていたことに後から気づく 行の削除や上書きで集計が合わなくなっても、すぐには分からない
5. だれが変えたか分からない 金額や状態が変わっていても、変更の履歴と理由が残っていない
6. 見せたくない数字まで見えてしまう 協力会社や現場に共有したいが、原価や粗利も一緒に見えてしまう
7. 1人しか表の中身が分からない マクロや複雑な数式を作った人が休むと、締めが止まる

Excelは、共有の環境で複数の人が同時に編集することもできますが、入力の重複・変更の履歴・見せる範囲・承認の流れを細かく管理するのは得意ではありません。これらが毎月の負担や数字のずれにつながっているなら、仕組みを見直す時期です。

システムに移すかどうかの判定チェック10問

次の10問のうち、当てはまるものを数えてください。

No 質問
1 施工中の工事が、同時に15件以上ある
2 案件管理表に入力・更新する人が4人以上いる
3 同じ金額を、見積・予算・注文書・台帳・請求書のうち3か所以上に手で入力している
4 月の締めから、工事ごとの原価が出るまで7営業日以上かかる
5 この1年で、ファイルの版の違いや数式の壊れで数字を直したことがある
6 現場から日報や出面をExcelに入力しにくく、紙から転記している
7 協力会社の締め日が2種類以上あり、支払の集計に時間がかかる
8 工事ごとの着地見込みや、会社全体の今期の着地が、決算まで分からない
9 見る人によって、見せる数字の範囲を分けたい(協力会社・現場・経営など)
10 表の仕組みを分かっている人が1人しかいない
当てはまった数 目安
0〜3 Excelで続けられる段階。上の「5つの工夫」で作り方を整える
4〜6 Excelを整えながら、要件の整理を始める段階。困りごとが大きい業務から仕組みにすることを検討する
7〜10 システムへの移行を具体的に検討する段階。業務の流れ・帳票・締め日・計算式を書き出し、候補を比べる

点数の目安は、移す・移さないを決めるためのものではなく、どこから手をつけるかを決めるための材料です。当てはまった質問が、そのままシステムに求める要件の候補になります。

Excelからシステムに移すときの手順

  1. 要件を整理する当てはまった質問を、システムに求める要件の文に直し、「必須」「あったらよい」に分ける(原価管理ソフトを比べる前に決めることで解説)。
  2. 今のExcelを掃除する工事番号の重複、発注者・協力会社の表記のぶれ、空欄の行を直す。移すデータがきれいでないと、システムでも数字が合わない。
  3. 移すデータの範囲を決める施工中・受注済み・見込みの工事だけを移し、完成した工事は過去のExcelとして残す、などの線を引く。
  4. 切り替えの月を決める月の締めに合わせて切り替え、それ以降はExcelを読み取り専用にする。二重の運用を長引かせない。
  5. 最初の締めを一緒にやる切り替えた最初の月の締めは、Excelの数字と見比べて、ずれがないかを確認する。

どの種類のシステムを選ぶかは工事管理システムとは?、会計まで含めた段階的な導入の進め方は建設業のERP・基幹システムとは?で解説しています。

AIでExcelの案件管理を補う

システムに移す前でも、AIを使うとExcelの負担を減らせる部分があります。たとえば、案件管理表を読ませて、更新されていない工事や、着地の粗利率が下がった工事を一覧にする、といった使い方です。計算はExcelで行い、AIには計算済みの表を読ませるのが原則です。

コピーして使えるプロンプト(案件管理表の点検)

あなたは建設会社の工事部長の補佐です。
次の表は、案件管理表(1工事1行)をExcelから貼り付けたものです。
数字は変更せず、計算もし直さずに、表の値をそのまま使ってください。

# お願いしたいこと
1. 「更新日」が今日から30日以上前の工事を挙げる
2. 状態が「施工中」なのに、累計発生原価が空欄の工事を挙げる
3. 着地見込みの粗利率が、実行予算の粗利率より2ポイント以上低い工事を挙げる
4. 完成予定月が過ぎているのに、状態が「完成」になっていない工事を挙げる
5. 表に書かれていない理由は推測で書かず【要確認】とする

# 案件管理表(Excelから貼り付け)
【工事番号/工事名/状態/完成予定月/請負金額/実行予算の粗利率/着地見込みの粗利率/累計発生原価/担当/更新日】

建設AIシフトの業務一元管理は、今の案件管理表やExcelの帳票を出発点に、必要な業務から工事番号でつなぐオーダーメイドのシステムです。今のExcelの列や計算式をそのまま要件として引き継げます。

注意

判定チェックの質問と点数の目安は、一般的な考え方を示したもので、会社の状況によって判断は変わります。記入例の工事番号・金額は説明用の架空の例です。社内の案件情報をAIに入力する場合は、社内ルールと利用するサービスの規約を確認してください。

案件管理表のチェックリスト

  • 1工事1行で、受注前の見込み案件も同じ表に入れている
  • 工事番号の付け方(枝番・変更工事)を決めている
  • 状態・確度・担当・発注者は、一覧から選ぶ形にしている
  • 入力する欄と計算する欄を分け、数式を保護している
  • ファイルは1か所に1つだけ置き、コピーを作っていない
  • 締めのあと、だれが・いつまでに・どの列を更新するかを決めている
  • 更新日の列があり、古い工事が分かる
  • 判定チェックで当てはまった質問を、要件の候補として書き出した

案件管理とExcelでよくある質問

案件管理はExcelでできますか?

できます。1工事1行の一覧に、状態・確度・受注月・完成月・金額・原価・担当を入れ、入力規則とテーブルを使って作れば、工事が十数件・入力する人が2〜3人までの会社なら十分に回せることが多くあります。

Excelの案件管理の限界は何ですか?

ファイルの版が分かれる、同じ数字を何度も入力する、数式が壊れても気づきにくい、変更の履歴が残らない、見せる範囲を分けにくい、表の仕組みが特定の人に依存する、といった点です。工事や入力する人が増えるほど、締めの負担や数字のずれにつながります。

システムに移すタイミングはいつですか?

この記事の判定チェック10問で7問以上当てはまる場合は、移行を具体的に検討する段階です。4〜6問ならExcelを整えながら要件の整理を始め、困りごとが大きい業務から仕組みにすることを検討します。

Excelからシステムに移すとき、何から始めればよいですか?

要件の整理と、今のExcelの掃除(工事番号の重複や表記のぶれを直す)から始めます。移すデータの範囲と切り替えの月を決め、最初の締めはExcelの数字と見比べて確認します。

まとめ

  • 案件管理表は1工事1行。見込み案件も同じ表に入れ、状態の列で区別する
  • 入力と計算の欄を分ける、入力規則、テーブル、1か所に1ファイル、更新の担当と日、の5つでExcelは長く使える
  • 版の分かれ・入力の重複・締めの遅れ・履歴と権限の不足・特定の人への依存が、限界のサイン
  • 判定チェック10問で、どこから手をつけるかを決める。当てはまった質問が要件の候補になる
  • 移すときは、要件の整理・Excelの掃除・移す範囲と切り替えの月を決めてから

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