人員配置表とは、工事(現場)ごと・週ごとに「必要な人」と「割り当てた人」を並べ、人の過不足を前もって見つけるための表です。建設会社では、社員の現場監督・技術者の配置と、職長・協力会社の職人の手配(人工)の2つを、同じ表で見られるようにしておくと、工程の山が重なる週を早く見つけられます。
人員配置表がないと、「来週、内装工が足りない」「専任が必要な現場の技術者を、別の現場と兼ねさせていた」といったことに、直前になって気づくことになります。特に、技術者の専任や兼任のルールは2024年12月と2025年2月に見直されており、工事ごとに確認する必要があります。
この記事では、人員配置表に入れる項目、実行予算と工程から必要な人工を出す方法、4つの現場の記入例、技術者の専任・兼任を確かめる表、配置表を毎週更新する手順を解説します。
この記事でわかること
- 人員配置表で見る2つのこと(社員の技術者の配置と、職人・協力会社の手配)
- 人員配置表に入れる10の項目
- 実行予算の人工と工程から、週ごとの必要人工を出す方法
- 4つの現場・4週間の記入例と、過不足の読み方
- 技術者の専任・兼任を確かめる表(2025年2月以降の金額)
出面の入力から人工と時間外を集計し、協力会社の支払明細と工事別の労務費までがつながるExcelテンプレート(記入例入り・空欄)と、解説資料をお届けします。
人員配置表とは|見る2つのこと
| 社員の技術者・現場監督の配置 | 職人・協力会社の手配 | |
|---|---|---|
| 見る単位 | 人(だれをどの現場に) | 人工(何人工を、どの協力会社に) |
| 見る期間 | 工事の着工から完成まで(月単位) | 1〜4週先(週単位) |
| 確かめること | 専任が必要な工事に専任で置けているか、兼任の条件を満たすか、時間外が上限に近い人に偏っていないか | 工程の山が重なる週に、職種ごとの人工が足りるか |
| 元になる情報 | 工事の請負代金の額・工事の種類、工期、技術者の資格 | 実行予算の人工、工程表、協力会社の手配の状況 |
どちらも、工事番号で見積・実行予算・工程・出面とつながっていると、毎週の更新が楽になります。人工の数え方は人工とは?、出面の記録は出面表とは?で解説しています。
人員配置表に入れる10の項目
| 項目 | 書き方 | 使い道 |
|---|---|---|
| 1. 工事番号・工事名 | 社内の工事番号と工事名 | 実行予算・出面とつなぐ |
| 2. 工期 | 着工日・完成予定日 | 技術者を置く期間を決める |
| 3. 請負代金の額(税込) | 変更契約後の金額 | 専任が必要かを判定する |
| 4. 工事の種類・施設 | 建築一式か専門工事か、事務所・倉庫など | 専任の金額の基準を選ぶ |
| 5. 配置する技術者 | 氏名・資格(種別まで)・専任か兼任か | 専任・兼任のルールを確かめる |
| 6. 職種 | とび工・普通作業員・内装工など | 職種ごとの過不足を見る |
| 7. 必要人工(週) | 実行予算の人工×その週の予定出来高率 | 不足を前もって見つける |
| 8. 手配済みの人工(週) | 協力会社に依頼し、受けてもらえた人工 | 必要人工と比べる |
| 9. 過不足 | 手配済み−必要 | マイナスの週から手を打つ |
| 10. メモ | 工程の前提、協力会社の都合 | 翌週の更新で見直す |
必要人工の出し方|実行予算と工程から
週ごとの必要人工は、勘で置くのではなく、実行予算で見込んだ工種ごとの人工を、工程表の予定に合わせて週に割り振って出します。
週ごとの必要人工の計算
その週の必要人工 = 工種の実行予算の人工 × その週の予定出来高率 例:B社 事務所改修の内装工事 実行予算の人工 120人工 11月第2週の予定出来高率 15% → 120 × 15% = 18人工(内装工)
工事が進んだら、残りの人工は「実行予算の人工−これまでの実績の人工」ではなく、残りの工事に必要な人工を現場代理人が見直した数で置き直します。実績の人工が計画より多い工種は、残りも多めにかかることが多いためです(工事が赤字になる原因のサイン3)。
記入例|4つの現場・11月の4週間
架空の建築会社の、11月の職人・協力会社の手配の例です。週は月曜〜土曜で数えています(祝日に作業するかは現場ごとの工程の前提によります)。※会社名・人工はすべて説明用の架空の例です。
| 現場(職種・協力会社) | 区分 | 第1週 11/2〜 |
第2週 11/9〜 |
第3週 11/16〜 |
第4週 11/23〜 |
|---|---|---|---|---|---|
| A社 倉庫新築 (とび工・K01 北斗工業) |
必要 | 24 | 24 | 20 | 12 |
| 手配済み | 24 | 20 | 20 | 12 | |
| 過不足 | 0 | ▲4 | 0 | 0 | |
| C社 工場耐震補強 (普通作業員・K02 南風建設) |
必要 | 18 | 18 | 12 | 6 |
| 手配済み | 18 | 18 | 18 | 6 | |
| 過不足 | 0 | 0 | +6 | 0 | |
| B社 事務所改修 (内装工・K03 西山内装) |
必要 | 15 | 18 | 18 | 15 |
| 手配済み | 15 | 15 | 18 | 15 | |
| 過不足 | 0 | ▲3 | 0 | 0 | |
| E社 店舗内装 (内装工・K03 西山内装) |
必要 | 0 | 6 | 12 | 12 |
| 手配済み | 0 | 6 | 6 | 12 | |
| 過不足 | 0 | 0 | ▲6 | 0 |
※単位は人工。過不足=手配済み−必要。
この表から、次のことが読み取れます。
- 内装工(K03 西山内装)は、第2週・第3週に2つの現場の山が重なっている。第2週は21人工、第3週は24人工までしか手配できておらず、第2週は3人工、第3週は6人工足りない
- A社 倉庫新築のとび工は、第2週に4人工足りない。K01に追加を頼むか、作業の順番を入れ替えられるかを現場代理人と確認する
- C社 工場耐震補強は、第3週に普通作業員が6人工余る。必要人工が減る週は、早めに協力会社に伝える
内装工の不足は、E社 店舗内装の工程を1週ずらせるか(発注者との協議が必要)、別の内装の協力会社に一部を頼むかを、2週間以上前の工程会議で決めるのが目安です。直前に気づくと、選べる手が少なくなります。
技術者の専任・兼任を確かめる表
建設業法では、すべての工事に主任技術者(一定の場合は監理技術者)を置く必要があり、公共性のある施設や多数の人が使う施設などの重要な工事で、請負代金の額が一定以上のものは、技術者を工事ごとに専任で置く必要があります。金額は2025年2月1日から次のとおりです。
| ルール | 金額の基準(建築一式工事) | 主な条件 |
|---|---|---|
| 技術者の専任が必要 | 請負代金の額 4,500万円以上(9,000万円以上) | 国・地方公共団体の施設のほか、学校・病院・事務所・共同住宅・工場・倉庫などの施設の工事(施行令第27条) |
| 専任特例1号(2現場の兼任) | 請負代金の額 1億円未満(2億円未満) | 2現場まで、移動はおおむね2時間以内、下請は3次まで、連絡員の配置、情報通信技術での施工体制の確認、人員配置計画書の作成・保存など(2024年12月13日から) |
| 営業所技術者等の兼任 | 請負代金の額 1億円未満(2億円未満) | その営業所で契約した工事の1現場まで。条件は専任特例1号とほぼ同じで、専任特例1号との併用はできない |
※金額は、消費税を含む請負代金の額で判定します(例えば和歌山県の専任特例の資料でも「請負金額(税込)」と示されています)。工事の途中で変更契約により基準を超えた場合は、それ以降は専任特例を使えません。
記入例の4つの元請工事を、この表で確かめると次のようになります。※工事の種類の区分と金額は説明用の架空の例です。
| 工事 | 工事の種類・施設 | 請負代金(税抜→税込) | 専任 | 配置(記入例) |
|---|---|---|---|---|
| A社 倉庫新築 | 建築一式・倉庫 | 180,000千円→198,000千円 | 必要(9,000万円以上) | 佐藤(1級建築施工管理技士)を専任。税込2億円未満のため、条件を満たせば専任特例1号で2現場の兼任も可能(変更契約で税込2億円以上になれば、それ以降は使えない) |
| B社 事務所改修 | 内装仕上工事・事務所 | 42,000千円→46,200千円 | 必要(4,500万円以上) | 鈴木(1級建築施工管理技士)を専任 |
| C社 工場耐震補強 | 建築一式・工場 | 65,000千円→71,500千円 | 不要(9,000万円未満) | 田中(1級建築施工管理技士)がE社と兼ねる |
| E社 店舗内装 | 内装仕上工事・店舗 | 18,000千円→19,800千円 | 不要(4,500万円未満) | 田中がC社と兼ねる |
B社 事務所改修は、税抜では4,500万円未満ですが、税込では4,500万円を超えるため専任が必要です。税抜の金額だけで台帳を作っていると、見落としやすい点です。工事の種類(建築一式かどうか)や施設の区分の判断に迷う場合は、許可行政庁や専門家に確認してください。法改正の全体は建設業法改正のポイントで解説しています。
時間外の上限とあわせて見る
技術者を兼任させる場合は、移動の時間も含めて労働時間が増えやすくなります。人員配置表に、社員ごとの今月の時間外と、年度の「月45時間超え」の回数を並べておくと、上限に近い人に現場が偏っていないかを、配置を決める前に確かめられます(建設業の勤怠管理で解説)。
人員配置表を毎週更新する5つの手順
- 工程会議の前日に、各現場の予定出来高を集める現場代理人が、4週先までの週ごとの予定出来高率と、工程の変更を入力する。
- 必要人工を計算する実行予算(見直し後)の人工×予定出来高率で、職種ごとの必要人工を出す。
- 手配済みの人工を入れる協力会社に依頼し、受けてもらえた人工を入れる。返事待ちのものは区別する。
- 過不足と技術者の配置を確認するマイナスの週と、専任・兼任の条件、時間外が上限に近い社員を、工程会議で確認する。
- 決めたことを記録する工程の入れ替え、協力会社への追加依頼、配置の変更を、メモ欄と工程表に残す。
AIで過不足のまとめと会議の論点を作る
AIは、人員配置表を読んで、不足が出ている週と職種、会議で決めるべきことを整理する作業に使えます。必要人工や過不足の計算はExcel(またはシステム)で行い、AIに計算させないのが原則です。
コピーして使えるプロンプト(人員配置表の論点整理)
あなたは建設会社の工事部長の補佐です。 次の表は、4週先までの人員配置表で、Excelで計算済みです。 数字は変更せず、計算もし直さないでください。 # お願いしたいこと 1. 過不足がマイナスの週を、職種・協力会社・現場ごとに一覧にする 2. 同じ協力会社で、複数の現場の不足が同じ週に重なっているものを挙げる 3. 過不足がプラス(余り)の週があれば、協力会社に早めに伝えるべきものとして挙げる 4. 工程会議で決めるべきことを、質問の形で1つずつ書く 5. 表に書かれていないことは推測で書かず【要確認】とする # 人員配置表(Excelから貼り付け) 【現場/職種/協力会社/週/必要人工/手配済みの人工/過不足/メモ】
実行予算の人工、工程、出面、技術者の資格と配置が工事番号でつながっていれば、人員配置表は毎週自動で更新できます。建設AIシフトの業務一元管理は、見積から支払までを工事番号で一元管理し、現場ごとの人の過不足や配置の状況も同じデータから見られるようにするオーダーメイドのシステムです。
AIやシステムに任せないこと
- 工程の入れ替えや、協力会社への追加依頼の判断(現場代理人と工事部長が決める)
- 技術者の専任・兼任の可否の最終判断(工事の内容と契約を確認して会社が決める)
- だれをどの現場に置くかの決定(本人の経験・負担・希望を見て決める)
注意
記入例の会社・社員・資格・人工・金額・工事の種類は、すべて説明用の架空の例です。技術者の配置の金額や条件は、2026年10月29日にe-Gov法令検索と国土交通省・自治体の公表資料で確認したものです。専任・兼任の可否は工事の内容や発注者の定めで変わるため、許可行政庁や専門家、公共工事では発注者の定めを確認してください。社員の情報をAIに入力する場合は、社内ルールと利用するサービスの規約を確認してください。
人員配置表のチェックリスト
- 工事番号ごとに、工期・請負代金の額(税込)・工事の種類を入れている
- 専任が必要な工事を、2025年2月以降の金額で判定している
- 兼任させる場合は、専任特例などの条件を満たすか確認している
- 必要人工を、実行予算の人工と予定出来高率から出している
- 4週先までの過不足を、職種・協力会社ごとに見ている
- 同じ協力会社の山が重なる週を、2週間以上前に見つけている
- 時間外が上限に近い社員に、現場が偏っていないか確認している
- 工程会議で決めたことを、配置表と工程表に残している
人員配置表でよくある質問
人員配置表とは何ですか?
工事(現場)ごと・週ごとに、必要な人と割り当てた人を並べ、人の過不足を前もって見つけるための表です。建設会社では、社員の技術者・現場監督の配置と、職人・協力会社の手配(人工)の両方を見ます。
必要な人数はどう出せばよいですか?
実行予算で見込んだ工種ごとの人工に、工程表から出したその週の予定出来高率を掛けて、週ごとの必要人工を出します。工事が進んだら、残りの人工は現場代理人が見直した数で置き直します。
技術者の専任が必要になる金額はいくらですか?
2025年2月1日から、請負代金の額が4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)の、公共性のある施設や多数の人が使う施設などの工事です。金額は税込で判定します。
専任が必要な工事でも、技術者が2つの現場を兼ねられますか?
請負代金の額が1億円未満(建築一式工事は2億円未満)で、移動がおおむね2時間以内、下請が3次まで、連絡員の配置、情報通信技術での施工体制の確認、人員配置計画書の作成などの条件を満たせば、専任特例1号により2現場まで兼任できます。
まとめ
- 人員配置表は、現場ごと・週ごとに必要な人と割り当てた人を並べ、過不足を前もって見つける表
- 社員の技術者の配置と、職人・協力会社の手配(人工)の両方を見る
- 必要人工は、実行予算の人工×予定出来高率で出す
- 専任は税込の請負代金で判定。4,500万円(建築一式9,000万円)以上で専任、1億円(同2億円)未満なら条件つきで兼任可
- 4週先まで毎週更新し、山が重なる週は2週間以上前に手を打つ
出面の記録を、人員の計画と原価に生かしませんか
「出面・人工の集計と協力会社の支払明細テンプレート」では、毎日の出面の入力から、人工と時間外の集計、締め日ごとの請求書の突き合わせ、支払明細、工事別の労務費までがつながるExcel(記入例入り・空欄の2ファイル)と、解説資料をお届けします。無料でダウンロードできます。
