実行予算とは、工事を受注したあとに「この工事を、実際にいくらの原価で施工するか」を工種・費目ごとに決めた社内の予算です。発注者に出す見積が「売値」の根拠なら、実行予算は「仕入れと施工にかける原価」の計画です。現場代理人が発注や工程を決めるときの目安になり、完成時にどれだけ利益が残るかを左右します。
作り方の基本は、見積の内訳を「誰に・何を・いくらで頼むか」という発注の単位に組み替え、協力会社の見積や自社の実績単価で金額を入れ直すことです。そこに現場の経費を足し、利益が残るかを確かめてから承認します。
この記事では、見積との違い、実行予算の構成(工種と費目)、作成手順、記入例を説明用の数字で示します。完工後に予算と実績の差を分析するときの指示文も紹介します。計算はExcelで行い、AIには組み替えの下書きと差異の原因整理を任せる進め方です。工事中の月次の原価管理は建設業の原価管理のやり方で解説しています。
この記事でわかること
- 実行予算とは何か、見積・工事台帳との違い
- 実行予算の構成(工種×費目)と、費目の分け方
- 見積の内訳から実行予算を作る7つの手順と承認のルール
- 外構工事を例にした実行予算の記入例(説明用)
- 見積から実行予算への組み替えと、完工後の差異分析をAIで楽にする指示文
実行予算の作り方、予実管理の表、差異分析の指示文を1冊にまとめました。
実行予算とは|工事ごとの「原価の計画」
実行予算は法律で様式が決まった書類ではありません。呼び方も「実行予算書」「工事予算」「目標原価」など会社ごとに異なります。それでも、中小の建設会社でも作る意味は大きく、主な役割は次の3つです。
- 利益の確保:受注した金額のうち、原価にいくら使えるかを先に決める
- 発注の基準:協力会社や資材の発注額が予算内かを、発注のたびに確かめられる
- 振り返りの材料:完成後に予算と実績を比べ、次の見積の精度を上げる
実行予算がない工事では、原価が増えていても完成して請求書がそろうまで気づけません。月の途中で「この工種は予算の8割を使った」とわかれば、残りの発注で調整できます。
受注者にも「原価割れ契約の禁止」が適用されている
国土交通省の資料によると、2025年12月12日に完全施行された改正建設業法で、原価割れ契約の禁止が受注者にも広がりました。建設業法第19条の3第2項は、正当な理由がある場合を除き、建設業者が通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金とする契約を結んではならないとしています。
受注の前後に、工事に必要な原価をきちんと積み上げておくことは、利益のためだけでなく、法令を守る面でも意味があります。見積段階の原価の積み上げを、そのまま実行予算の出発点にすると二度手間が減ります。改正の全体像は建設業法改正のポイント、労務費の考え方は標準労務費とはで解説しています。
実行予算と見積の違い
実行予算と見積は、同じ工事の金額を扱いますが、目的も相手も違います。
| 比べる点 | 見積(見積書) | 実行予算 |
|---|---|---|
| 目的 | 請負金額を決め、発注者に提示する | 原価の上限を決め、施工中の管理に使う |
| 作る時期 | 受注前 | 受注後、着工前(遅くとも主要な発注の前) |
| 見せる相手 | 発注者・元請(社外) | 社内(経営者、工事部、現場代理人) |
| 金額の中身 | 原価+利益(共通費・一般管理費等を含む) | 原価のみ(利益は請負金額との差として確認) |
| 項目の単位 | 発注者に説明しやすい工種・数量・単価 | 発注先・発注単位ごと(誰にいくら頼むか) |
| 単価の根拠 | 積算基準、過去実績、市況 | 協力会社の見積、自社の実績単価、決まった仕入価格 |
| 変更の扱い | 変更契約にあわせて変更見積を出す | 当初予算を残したまま、改訂版を作る |
見積書の作り方は建設業の見積書の書き方、見積の前提になる数量の拾い出しは積算とはをご覧ください。実際にかかった原価を記録する工事台帳は、実行予算と対になる「実績の台帳」です。
実行予算の構成|工種と費目の2つの軸
実行予算は、縦に「工種」、横に「費目」を並べた表で作ると管理しやすくなります。工種は現場の作業のまとまり、費目は原価の性質です。
費目は決算書の4区分にそろえる
建設業の決算書類(完成工事原価報告書)では、工事原価を材料費・労務費・外注費・経費の4つに分けます。実行予算も同じ4区分にしておくと、工事台帳や決算の数字と比べやすくなります。
| 費目 | 実行予算に入れるもの(例) | 予算の根拠 | 迷いやすい点 |
|---|---|---|---|
| 材料費 | 生コン、砕石、鉄筋、フェンス、縁石、配管材 | 仕入先の見積、数量×実績単価 | 材工一式で専門業者に頼むものは外注費に入れる |
| 労務費 | 自社で直接雇用している作業員の賃金 | 必要人工×自社の日額単価 | 大部分が労務の下請契約を労務費に入れるかは社内基準で統一 |
| 外注費 | 専門工事業者への材工発注(舗装、解体、塗装など) | 協力会社の見積 | 見積の有効期限と、含まれる範囲(運搬・処分など)を確認 |
| 経費 | 重機・仮設材のリース、産廃処分費、現場従業員の給料、保険料、通信交通費 | リース単価×期間、処分量×単価、人数×月数 | 本社の一般管理費は工事原価に入れない |
4区分の定義と工事台帳での記録の仕方は、工事台帳とはで国土交通省の告示をもとに解説しています。
工種は「発注の単位」で切る
見積では「土工事」「舗装工事」のように、発注者が理解しやすい単位で工種を分けます。実行予算では、同じ工種でも発注先が分かれるなら行を分けます。例えば「解体・撤去」を解体業者への外注と、産廃処分の経費に分けておくと、どちらが予算を超えたかがすぐにわかります。
実行予算の作り方|7つの手順
- 見積の内訳と契約条件を確認する最終見積の内訳書、契約書、図面、特記仕様書を集めます。見積後に変わった数量や条件があれば、ここで反映します。
- 施工計画を決める工法、工程、使う重機、自社で施工する範囲と外注する範囲を決めます。これで労務費と外注費の分け方が決まります。
- 見積の内訳を発注単位に組み替える見積の各行を「どの協力会社・仕入先に、何を頼むか」に組み替えます。材工一式の行を、材料の仕入れと施工の外注に分けることもあります。
- 協力会社・仕入先の見積を取り、単価を入れる主要な外注と材料は見積を取ります。見積が出る前の行は、自社の実績単価で仮置きし「仮」と印をつけます。
- 現場の経費を積み上げるリース、産廃処分、現場従業員の人件費、保険料、仮設電気・水道などを期間と数量から積み上げます。抜けやすい費目なので、過去工事の経費の明細を見ながら確認します。
- 利益と予備費を確認する請負金額から実行予算の合計を引き、粗利と粗利率を出します。社内の目標を下回る場合は、施工方法や発注先を見直します。不確定な要素が多い工事では、予備費の行を設ける会社もあります。
- 承認し、現場と共有する工事部長や経営者が承認し、版番号と日付をつけて保存します。現場代理人がいつでも見られる場所に置きます。
承認のルールを決めておく
実行予算は、作ったあとに「変えてよい条件」が決まっていないと形だけになります。次のような社内ルールを決めておきましょう。※説明用の例です。
- 着工前、主要な外注を発注する前に承認を受ける
- 予算を超える発注は、超える前に工事部長の承認を受ける
- 変更契約や大きな設計変更があったら、改訂版を作る(当初版は消さない)
- 粗利率が社内の目安を下回る見込みになったら、経営者に報告する
実行予算の記入例(外構・駐車場改修工事)
駐車場の舗装改修とフェンス設置を行う工事を例にした実行予算です。※説明用の例です。金額・工種はすべて架空です。
| 工種 | 材料費 | 労務費 | 外注費 | 経費 | 合計 | 主な内容・根拠 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 仮設工事 | 0 | 60,000 | 0 | 180,000 | 240,000 | 仮囲い・保安設備リース、自社作業員2人工 |
| 解体・撤去工事 | 0 | 0 | 650,000 | 420,000 | 1,070,000 | 既存舗装撤去(解体業者見積)、産廃処分費 |
| 土工事 | 380,000 | 0 | 720,000 | 250,000 | 1,350,000 | 路盤砕石、掘削・整地(外注)、重機リース |
| 舗装工事 | 0 | 0 | 2,100,000 | 0 | 2,100,000 | アスファルト舗装(舗装業者 材工見積) |
| 外構付帯工事 | 690,000 | 240,000 | 300,000 | 0 | 1,230,000 | フェンス・縁石(材料仕入)、自社施工8人工、区画線(外注) |
| 現場経費 | 0 | 0 | 0 | 530,000 | 530,000 | 現場従業員の給料手当、保険料、通信交通費 |
| 合計 | 1,070,000 | 300,000 | 3,770,000 | 1,380,000 | 6,520,000 | — |
請負金額(税抜)を8,200,000円とすると、予定粗利は1,680,000円、粗利率は約20.5%です。金額の単位は円、税抜です。
見積から実行予算への組み替えの例
見積の行と実行予算の行は、1対1になりません。組み替えの例を示します。※説明用の例です。
| 見積の項目 | 実行予算での扱い | 発注先・根拠 |
|---|---|---|
| 既存舗装撤去・処分 一式 | 「解体業者への外注」と「産廃処分費(経費)」の2行に分ける | 解体業者の見積/処分場の単価×想定量 |
| アスファルト舗装 ○○㎡ | 舗装業者への材工外注1行にまとめる | 舗装業者の見積(材料・施工・運搬込みか確認) |
| フェンス設置 ○○m | 「フェンス材料(材料費)」と「自社施工(労務費)」に分ける | 仕入先見積/必要人工×自社単価 |
| 共通仮設費・現場管理費 | 仮設工事と現場経費に、中身ごとに積み上げ直す | リース単価×期間、人数×月数 |
公共建築工事の積算基準では、工事費を直接工事費と共通費(共通仮設費・現場管理費・一般管理費等)に分けています。実行予算では、このうち一般管理費等は本社の費用なので工事原価に入れず、共通仮設費と現場管理費は中身ごとに積み上げ直すのが一般的です。
実行予算を原価管理に活かす|予実管理の3つの場面
実行予算は、作ったあとに実績と比べて初めて役に立ちます。比べる場面は大きく3つです。
| 場面 | 見るもの | 誰が | やること |
|---|---|---|---|
| 発注のとき | 発注額と、その行の予算残 | 現場代理人 | 予算を超える発注は事前に承認を取る |
| 月次の締め | 発生した原価、出来高、完成までの見込み | 現場代理人・工事部長 | 超えそうな工種の原因と対策を決める |
| 完成後の振り返り | 工種・費目ごとの予算と実績の差 | 工事部・積算担当 | 差の原因を記録し、次の見積・実行予算の単価に反映する |
月次の締め方や管理表の列の作り方は、建設業の原価管理のやり方で詳しく解説しています。この記事では、完成後の振り返りでのAIの使い方を紹介します。
AIで楽にする方法|組み替えの下書きと差異分析
実行予算の作業で、AIが役立つのは「見積の行を発注単位に組み替える下書き」と「予算と実績の差の原因を整理する作業」です。金額の計算はExcelで行い、AIには計算させません。チャットの文章で出た合計は根拠を追いにくく、誤りにも気づきにくいためです。ChatGPTでもClaudeでも使える書き方にしています。
1. 見積の内訳から実行予算の下書きを作る
コピーして使えるプロンプト
あなたは建設会社の工事部で実行予算を作る担当者の補佐です。 次の【見積内訳】と【施工の条件】をもとに、実行予算の行の下書きを作ってください。 # 出力する列 工種/内容/費目(材料費・労務費・外注費・経費)/発注先の種類/数量/単位/根拠にする資料/確認事項 # ルール - 見積の1行を、発注先や費目が違うものは複数行に分ける - 材料と施工をまとめて専門業者に頼むものは外注費とする - 金額と単価の列は作らない(Excelで入力する) - 見積にない費用でも、施工の条件から必要そうな経費(リース、処分費、現場の人件費など)は 「候補」として挙げ、確認事項に理由を書く - 判断できない点は「要確認」とする # 施工の条件 【例:自社作業員2名で仮設とフェンス施工。舗装・解体・区画線は外注。工期6週間。重機はリース】 # 見積内訳 【見積の工種・項目・数量・単位を貼り付け(金額は貼らなくてよい)】
出力イメージ(例)
| 工種 | 内容 | 費目 | 発注先の種類 | 数量 | 単位 | 根拠 | 確認事項 | | 解体・撤去 | 既存舗装撤去 | 外注費 | 解体業者 | ○○ | ㎡ | 業者見積 | 運搬を含むか | | 解体・撤去 | アスファルト殻処分 | 経費 | 処分場 | 要確認 | t | 処分単価表 | 発生量の換算方法 | | 外構付帯 | フェンス材料 | 材料費 | 仕入先 | ○○ | m | 仕入先見積 | 基礎ブロックを含むか | | 外構付帯 | フェンス施工 | 労務費 | 自社 | 要確認 | 人工 | 過去実績 | 必要人工 | | 仮設(候補) | 保安設備リース | 経費 | リース会社 | 6 | 週 | リース単価 | 見積に記載なし。必要か要確認 | ※数量は見積の値。「要確認」は見積から判断できない項目です。
2. 完成後の予算と実績の差を分析する
完成後の振り返りでは、差額と差異率をExcelで計算した表をAIに渡し、原因の候補と次回への反映点を整理させます。
コピーして使えるプロンプト
あなたは建設会社の原価管理を手伝うアシスタントです。 次の表は、完成した工事の実行予算と実績を工種別に比べたものです。 差額と差異率はExcelで計算済みです。数字は変更せず、そのまま使ってください。 # お願いしたいこと 1. 差額の大きい順に工種を並べ、原因の候補を挙げる(メモに書かれた事実と、推測を分けて書く) 2. 次の見積・実行予算で見直すべき単価・数量・費目を挙げる 3. 現場代理人に確認すべき質問を3つ作る 4. 自分で計算し直さない。計算が必要な点は「Excelで確認」と書く # 工事の概要 【例:駐車場改修、工期6週間、請負8,200,000円(税抜)】 # 予実の表(Excelで計算済み) 【工種/予算/実績/差額/差異率】 # 現場のメモ 【例:既存舗装の下に想定外のコンクリート版あり。処分量が増えた。フェンス基礎の追加1日】
入力する表の例です。※説明用の例です。
| 工種 | 予算 | 実績 | 差額 | 差異率 |
|---|---|---|---|---|
| 仮設工事 | 240,000 | 260,000 | +20,000 | +8.3% |
| 解体・撤去工事 | 1,070,000 | 1,240,000 | +170,000 | +15.9% |
| 土工事 | 1,350,000 | 1,330,000 | −20,000 | −1.5% |
| 舗装工事 | 2,100,000 | 2,100,000 | 0 | 0.0% |
| 外構付帯工事 | 1,230,000 | 1,310,000 | +80,000 | +6.5% |
| 現場経費 | 530,000 | 560,000 | +30,000 | +5.7% |
| 合計 | 6,520,000 | 6,800,000 | +280,000 | +4.3% |
出力イメージ(例)
■差額の大きい工種と原因の候補 1. 解体・撤去工事 +170,000円(+15.9%) 事実:既存舗装の下に想定外のコンクリート版があり、処分量が増えた(メモより) 推測:撤去の手間が増え、外注費も増えた可能性【要確認】 2. 外構付帯工事 +80,000円(+6.5%) 事実:フェンス基礎の追加作業が1日あった(メモより) 3. 現場経費 +30,000円、仮設工事 +20,000円 推測:作業日数の延長に伴うリース・人件費の増加【要確認】 ■次の見積・実行予算で見直す点 ・既存舗装の撤去では、下地の確認(試掘・図面)を見積条件に入れる ・処分費は「想定外の発生材は別途精算」と見積条件に明記するか検討 ・フェンス基礎の人工の実績を、次回の歩掛の参考にする(Excelで確認) ■現場代理人への質問 1. コンクリート版の処分量と、追加費用の内訳は? 2. 発注者と変更契約の協議はしたか? 3. 工期は何日延びたか? ※説明用のイメージです。
3. Claude Codeで過去工事の予実をまとめて振り返る
完成工事の予実ファイルが数十件たまったら、Claude Codeに一括で集計させると、工種ごとの予算超過の傾向が見えます。Claude Codeはパソコンのフォルダにあるファイルを読み、表を作れるAIです。
コピーして使えるプロンプト(Claude Codeへの指示)
「完工_予実」フォルダに、工事ごとの実行予算と実績のExcelがあります(1工事1ファイル)。 各ファイルの「予実」シートに、工種/費目/予算/実績の列があります。 1. すべてのファイルを読み、1行=1工事×1工種の表にまとめて「予実一覧.xlsx」に保存する (元のファイルは変更しない) 2. 差額と差異率はExcelの数式で列に入れる 3. 工種ごとに、工事件数・差異率の平均・予算を超えた工事の件数を集計したシートを作る 4. 工種名の表記ゆれ(例:「解体撤去」と「解体・撤去」)は対応表を別シートに出し、 統一してよいか私に確認してから統一する 5. 最後に、読み込んだファイル数と、列が見つからなかったファイルを報告する
出力イメージ(例)
予実一覧.xlsx を作成しました(元ファイルは変更していません)。 読み込み:32ファイル/列が見つからない:1ファイル(2025-011.xlsx)【要確認】 工種名の表記ゆれ(統一してよいか確認してください) ・「解体撤去」「解体・撤去」「撤去工」→「解体・撤去工事」 工種別の傾向(シート「工種別」) | 工種 | 件数 | 差異率の平均 | 予算超過の件数 | | 解体・撤去工事 | 14 | +9.8% | 10 | | 舗装工事 | 18 | +0.6% | 5 | ※数値は説明用のイメージです。
Excelの集計を楽にする方法はClaudeでExcel作業を効率化、見積の下書きは見積書をAIで作る方法でも紹介しています。
AIに任せないこと
- 単価の決定と、実行予算の承認(協力会社の見積と経営判断が根拠)
- 金額の計算(Excelの数式で行い、根拠を残す)
- 差異の原因の確定(現場代理人の事実確認が必要。AIの推測は候補にとどめる)
- 労務費と外注費の区分の最終判断(社内基準と税理士の助言に従う)
注意
記入例と出力イメージの金額・工種はすべて説明用の架空の数字です。実行予算の様式や承認の手順は会社ごとに異なります。費目の区分や会計処理は、自社の基準と顧問税理士の助言に従ってください。建設業法の内容は2026年10月1日時点で国土交通省の公表資料を確認したもので、条文は最新の法令で確認してください。取引先名や単価をAIに入力する場合は、社内ルールと利用するサービスの規約を確認してください。
実行予算 承認前チェックリスト
- 最終見積・契約書・図面・特記仕様書の条件を反映した
- 自社施工と外注の範囲を決め、労務費と外注費を分けた
- 見積の行を発注単位に組み替え、発注先ごとに行が分かれている
- 主要な外注と材料は、協力会社・仕入先の見積で単価を入れた
- 仮置きの単価に「仮」の印をつけた
- リース・処分費・現場の人件費など、経費の抜けを過去工事と照合した
- 粗利と粗利率を確認し、社内の目安と比べた
- 版番号・作成日・承認者を記録し、現場代理人と共有した
実行予算でよくある質問
実行予算と見積の違いは何ですか?
見積は受注前に発注者へ出す金額で、原価に利益や一般管理費等を含みます。実行予算は受注後に作る社内の原価計画で、発注先ごとに「いくらで施工するか」を決めたものです。目的・相手・単位が違います。
実行予算はいつ作ればいいですか?
受注後、着工前に作るのが基本です。遅くとも主要な協力会社や資材を発注する前には承認しておきます。発注後に作ると、予算が実績の後追いになり、管理に使えません。
実行予算の作成は義務ですか?
実行予算という名前の書類を作る法令上の義務や決まった様式はありません。ただし、改正建設業法では受注者にも原価割れ契約の禁止が適用されているため、工事に必要な原価を把握しておくことは重要です。
実行予算の粗利率はどれくらいが目安ですか?
業種、工事の規模、元請か下請かで大きく変わるため、一律の目安はありません。自社の過去の完成工事の粗利率と、一般管理費をまかなえる水準を基準に、社内の目安を決めるのが確実です。
工事中に設計変更があったら実行予算はどうしますか?
当初の実行予算は消さずに残し、変更内容を反映した改訂版を作ります。版番号と日付をつけておくと、完成後に「当初の見込み違い」と「変更による増減」を分けて振り返れます。
実行予算をAIに作らせてもいいですか?
行の組み替えや経費の抜けの指摘など、下書きには使えます。単価の決定、金額の計算、承認は人とExcelで行ってください。AIは最新の単価を知らず、文章で出した金額は根拠を追いにくいためです。
まとめ
- 実行予算は、受注後に工種・費目ごとに決める社内の原価計画
- 見積は社外向けの売値の根拠、実行予算は発注と管理のための原価の上限
- 費目は材料費・労務費・外注費・経費の4区分、工種は発注の単位で切る
- 見積の行を発注単位に組み替え、協力会社の見積で単価を入れ、経費を積み上げて承認する
- AIは組み替えの下書きと差異の原因整理に使い、計算はExcel、判断は人が行う
実行予算の作り方から予実管理まで、Excel+AIで仕組みにしませんか
「実行予算・原価管理 Excel+AIガイド」では、実行予算の作り方、予算と実績を比べる表の作り方、月次の差異分析に使える指示文をまとめています。自社の工事に合わせて使える形で、無料でダウンロードできます。
