ECにおけるカゴ落ちとは?原因と対策について

2025年5月20日 更新日2025年6月16日
ECにおけるカゴ落ちとは?原因と対策について

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カゴ落ちとは?その影響と重要性

カゴ落ちとは、ECサイトでユーザーが商品をカートに入れたにもかかわらず、購入せずに離脱してしまうことを指します。

この現象はEC事業者にとって深刻な問題であり、売上機会の損失に直結します。実際、カゴ落ち率の平均は約69.9%(Baymard Institute調査)とされ、10人中7人が購入に至っていません。

カゴ落ちが発生する主な原因

これらの課題を改善すれば、売上向上の大きなチャンスにつながります。たとえば、送料無料ラインの設定、決済方法の充実、購入フローの簡素化などが有効です。

カゴ落ちはECサイトのコンバージョン率を大きく左右するため、しっかりと対策を講じることが不可欠です。

カゴ落ちが起こる11の原因

カゴ落ちはさまざまな要因で発生しますが、大きく分けて11の主な原因があります。

  1. 送料や手数料が高い → 想定より高額だと購入をやめる
  2. アカウント作成が必須 → 登録の手間で離脱
  3. 配送が遅い → すぐに欲しい人が諦める
  4. 決済手段が少ない → 好きな支払い方法がないと購入しない
  5. サイトのエラー・動作の遅さ → フリーズすると信頼を失う
  6. 購入プロセスが長い → 手間がかかると途中でやめる
  7. セキュリティ面の不安 → 個人情報の安全性が気になる
  8. 購入前に合計金額が不明 → 追加費用が最後に判明すると不信感
  9. 返品ポリシーが不明確 → 返品条件が不安で購入を躊躇
  10. クレジットカードが拒否される → 別の支払い方法がなければ離脱
  11. 単なるサイト閲覧 → 購入意思がなく離脱

カゴ落ちを防ぐ対策

追加費用(送料・手数料)を下げる

ECサイトで商品を購入する際、送料や手数料が想定以上に高いと、ユーザーは購入をためらい、カゴ落ちの原因になります。特に、購入画面で初めて追加費用が判明すると、予想外のコストに驚き、そのまま離脱してしまうことが多いです。これを防ぐためには、送料無料の閾値を設定したり、送料を商品価格に組み込むなどの工夫が有効です。また、商品ページに送料を明記することで、ユーザーに事前に認識してもらうことも重要です。加えて、手数料がかかる場合は、可能な限り無料オプションを提供するか、コストを抑える施策を検討しましょう。送料の負担が少なければ、ユーザーは購入を決断しやすくなり、カゴ落ちの防止につながります。

会員登録を簡単にする・不要にする

購入時に会員登録を求められると、ユーザーの負担が増え、カゴ落ちの原因になります。特に、会員登録の手続きが長かったり、個人情報の入力項目が多すぎると、途中で離脱する可能性が高まります。理想的なのは、ゲスト購入を可能にすることです。会員登録が必須の場合は、GoogleやSNSのアカウントと連携して、数クリックで登録できる仕組みを整えましょう。また、登録時に特典(初回購入割引や送料無料など)を付与することで、登録のハードルを下げることも効果的です。会員登録の手間を減らすことは、スムーズな購買体験につながり、結果的に売上向上に寄与します。

購入フローを簡潔にする

購入までのプロセスが長く、入力項目が多すぎると、ユーザーはストレスを感じ、途中で離脱してしまいます。スムーズな購入体験を提供するために、必要な情報を最小限にし、入力の手間を減らす工夫が重要です。例えば、一度登録した情報を自動入力できる機能や、ワンクリック購入機能を導入すると、利便性が向上します。また、ステップごとに進行状況を表示することで、ユーザーに完了までの見通しを持たせることも有効です。モバイルユーザーの増加に伴い、スマートフォンでも操作しやすいUI/UXを設計することもポイントです。購入フローを最適化することで、離脱率を下げ、売上アップにつなげることができます。

事前に購入金額の合計を明示する

ユーザーが購入手続きを進めるうえで、最も気になるのは「最終的な支払額」です。カートに入れる段階で合計金額が明示されていないと、決済直前に予想以上の金額になって驚き、購入をやめることがあります。これを防ぐためには、商品ページやカート画面で送料や手数料を含めた合計金額を表示することが重要です。また、クーポンや割引適用後の価格をリアルタイムで更新する仕組みを取り入れることで、ユーザーの安心感を高められます。価格の透明性を確保することで、カゴ落ちを抑え、購入完了率を向上させることが可能です。

セキュリティ対策の明示

ECサイトで購入する際、多くのユーザーが気にするのは「安全性」です。特に、個人情報やクレジットカード情報を入力する場面で、セキュリティ対策が不十分に見えると、カゴ落ちのリスクが高まります。これを防ぐためには、SSL証明書の導入や、セキュリティ対策の実施を明示することが重要です。例えば、「当サイトはSSL暗号化通信を採用しています」「クレジットカード情報は安全に保護されています」といった説明を掲載することで、ユーザーの不安を解消できます。また、第三者認証マーク(例:PCI DSS、トラストマーク)を表示することも信頼性向上に有効です。

配送オプションの拡充

配送の選択肢が少ないと、ユーザーのニーズに合わず、カゴ落ちにつながります。例えば、急ぎで商品を必要としているのに、配送日数が長いと判断した場合、購入を諦める可能性が高いです。これを防ぐために、配送オプションを充実させることが重要です。具体的には、即日配送・翌日配送の選択肢を追加したり、配送時間指定やコンビニ受け取りを可能にすることが効果的です。また、配送状況をリアルタイムで確認できる機能を導入することで、ユーザーの不安を減らすこともできます。

サイトのエラー・速度改善

サイトの動作が遅い、決済時にエラーが発生するなどの技術的な問題は、ユーザーにとって大きなストレスとなり、カゴ落ちの原因になります。特に、決済画面でフリーズしたり、エラーが起きると、そのまま購入を断念するケースが多く見られます。これを防ぐためには、定期的なサイトのメンテナンスを実施し、サーバーの負荷対策を行うことが重要です。また、ページの表示速度を高速化するために、不要なスクリプトを削除し、画像を圧縮するなどの工夫をすると、ユーザー体験が向上します。

多様な決済手段の導入

ECサイトでの購入をスムーズに進めるためには、ユーザーが好む決済手段を選べることが重要です。特に、クレジットカード以外の支払い方法を求める顧客も多く、これを提供することで幅広い層に対応できます。コンビニ決済や銀行振込、電子マネー、QRコード決済など、さまざまな選択肢を提供することで、ユーザーは自分に合った方法で安心して購入できるようになります。また、分割払いや後払いオプションを導入することで、顧客の購買ハードルを下げ、購入意欲を高めることができます。決済手段を多様化することで、ECサイトの利便性が向上し、カゴ落ち率を下げる効果が期待できます。加えて、選択肢を明示的に表示することで、ユーザーが迷わず支払いを進めやすくなります。

返品ポリシーの明確化

返品ポリシーが不明確だと、ユーザーは購入時に不安を感じ、カゴ落ちを引き起こす原因となります。特に、洋服や化粧品など、サイズや色味に関する不安を抱えた商品を購入する際は、返品条件がわかりやすく提示されていることが重要です。返品可能な期間や返送料の負担、返金方法などの詳細を明記し、ユーザーに安心感を与えることが必要です。返品ポリシーは、ECサイトにおける信頼性を高め、顧客の購買意欲を向上させるための重要な要素です。また、返品プロセスを簡単にすることで、さらにユーザーの満足度を高め、リピーターを獲得することも可能です。返品ポリシーをページ内で目立つ位置に配置し、アクセスしやすくすることが効果的です。

カゴ落ちメールを活用する

カゴ落ちメールは、ECサイトにおける重要なリマーケティング手段の一つです。商品をカートに入れたものの購入を完了しなかったユーザーに対して、リマインダーとしてメールを送ることで、再度購入を促すことができます。カゴ落ちメールの内容には、顧客に特別感を与えるために限定クーポンを添付したり、在庫の残り状況を知らせることが効果的です。特に、限定クーポンを活用することで、購入意欲を刺激することができます。また、カゴ落ちメールはタイミングが重要で、カートを放置してから数時間後や翌日に送ることで、まだ購入意欲が残っている顧客に再アプローチすることが可能です。さらに、メール内で商品の詳細や特徴を再確認させ、顧客が再度購入を決定しやすいように誘導することがカゴ落ち防止につながります。

まとめ

カゴ落ちはECサイトにおいて避けられない現象ですが、適切な対策を講じることで売上の向上につなげることが可能です。主な原因として、送料の高さや決済手段の不足、購入フローの複雑さが挙げられますが、これらを改善することでユーザーの購買意欲を高められます。具体的には、送料無料の設定や決済オプションの拡充、購入プロセスの簡素化が効果的です。また、カゴ落ちメールやクーポン施策を活用することで、離脱したユーザーの再購入を促すことも重要です。カゴ落ち対策を総合的に実施し、ECサイトのコンバージョン率向上を目指しましょう。

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