BtoB ECサイト参入のポイント

BtoB ECサイト参入のポイント

BtoBのEC化は、「ネットでも売る」ことではなく、受注業務そのものを作り替える取り組みです。電話・FAX・メールで受けている注文をシステムに移すことで、営業と事務の時間が空き、その時間を新規開拓に回せるようになります。

本レポートは、商社・卸売業がBtoB ECサイトを導入する際の検討順序と、既存顧客・営業体制との整合の取り方を整理したものです。

このレポートでわかること

  • BtoB ECがBtoC ECと決定的に異なる点
  • 導入で実際に削減できる業務と、削減できない業務
  • 既存顧客と営業担当の反発をどう避けるか
  • システム選定で確認すべき機能要件
  • 段階導入の進め方と、社内定着のポイント

BtoB ECはBtoCと何が違うか

同じECという名称でも、要件はまったく異なります。BtoC向けの仕組みをそのまま持ち込むと機能しません

項目BtoC ECBtoB EC
価格全員同じ取引先ごとに異なる
決済都度決済掛売り・締め請求
商品表示誰でも閲覧可取引先ごとに出し分け
発注単位1個からロット・ケース単位
利用者個人担当者が複数、承認フローあり
重視される点購入体験再注文の速さと正確さ

BtoB ECで最も重要な機能は「前回と同じ注文を素早く繰り返せること」です。新しい商品を探させることより、定期発注の手間をどれだけ減らせるかが評価を決めます。

導入で何が変わるか

BtoB ECの効果は売上より、業務時間の削減に現れます。

削減できない業務

仕様の相談、価格交渉、トラブル対応、新規開拓は、EC化しても人が担う領域として残ります。ECは「定型の受注」を引き受け、人は「非定型の対応」に集中するという分担になります。

公開されている事例では、受注処理と在庫管理の自動化により業務効率が約20%向上、売上が約15%増加したケースが報告されています。売上増は、空いた時間を新規開拓に充てられたことによるものです。

既存顧客と営業の反発を避ける

BtoB EC導入で最も多い失敗は、システムの問題ではなく使われないことです。原因は既存顧客と営業担当の双方にあります。

  1. 営業担当にとっての利点を先に示す「担当を外される」と受け取られると協力が得られません。事務作業が減り、訪問と提案に時間を使えるようになると伝えてください。
  2. 既存の発注方法を急に止めないFAX・電話を残しつつ、ECのほうが便利だと感じてもらう期間を設けます。
  3. 使い方の説明を担当者経由で行う顧客の担当者は日々の業務が変わることに抵抗があります。営業担当が直接説明するほうが定着します。
  4. よく注文する商品を初期登録しておくログインして最初に見る画面が空だと使われません。過去の注文履歴を反映しておいてください。
  5. 利用状況を確認し、使っていない顧客に接触する導入率を月次で確認し、未利用先には個別に理由を聞きます。

「ECに移行してください」と通知するだけでは移行は進みません。移行そのものを営業活動として設計してください。

システム選定で確認すること

機能の多さではなく、自社の取引条件を再現できるかで選定します。

基幹システムとの連携が最も難易度が高い部分です。ここを後回しにすると、EC受注を手で基幹に入力し直すという本末転倒な運用になります。

段階導入と社内定着

全取引先を一斉に移行させる必要はありません。段階的に広げるほうが、問題を小さく発見できます

  1. 対象を絞って試験導入する発注頻度が高く、関係の良い数社から始めます。
  2. 運用上の問題を洗い出す価格設定の漏れ、在庫表示のずれ、承認フローの不具合などを、規模が小さいうちに解消します。
  3. 社内の運用手順を確定するEC受注をどう処理するか、例外時に誰が対応するかを文書化します。
  4. 対象を段階的に広げる取引額の大きい先、発注頻度の高い先から順に拡大します。
  5. 導入率と業務時間を測るEC経由の受注比率と、受注処理にかかる時間の変化を月次で確認します。
社内教育

システムを入れても、社内で使い方を知っているのが一人だけという状態はリスクです。複数名が操作と設定を行える状態を、導入時に整えてください。

レポート試し読み

レポートの構成

内容
BtoB ECサイト参入の基本ガイド市場分析と競争優位性を確保するためのステップ
商社経営者向け:業務効率化のメリット業務自動化と顧客対応迅速化の具体例
卸売業者が成功するための活用術新規顧客開拓と取引先との関係強化
営業担当者が押さえておくべき利用法データ活用によるターゲティングと提案
マーケティング担当者向け戦略検索対策と個別提案による成約率向上
デジタル化推進担当者が知るべきポイントクラウド活用とセキュリティ強化
企画営業部門リーダーのための導入ステッププロジェクト管理と社内教育の重要性

この資料を読むメリット

こんな方におすすめ

次のような課題をお持ちの経営者・責任者に向けた内容です。

まとめ

BtoB ECで最も重要なのは「前回と同じ注文を素早く繰り返せること」です。BtoC向けの発想では機能しません。

効果は売上より業務時間の削減に現れます。空いた時間を新規開拓に振り向けて初めて売上に転換します。

導入の失敗要因はシステムではなく使われないことです。移行そのものを営業活動として設計してください。

よくある質問

営業担当が反発しないか心配です

「担当が不要になる」と受け取られないよう、事務作業が減り訪問と提案に時間を使えるようになるという利点を先に共有してください。導入の説明も営業担当経由で行うほうが定着します。

電話やFAXでの受注はやめるべきですか

急に止めることは推奨しません。並行して運用しながら、ECのほうが便利だと感じてもらう期間を設けてください。強制すると取引そのものが他社に流れるリスクがあります。

基幹システムとの連携は必須ですか

必須ではありませんが、連携しない場合はEC受注を手で基幹に入力し直す運用になり、効率化の効果が大きく減ります。選定段階で連携の可否と費用を必ず確認してください。

小規模でも導入する意味はありますか

受注処理に時間がかかっている場合は規模を問わず効果があります。まず発注頻度の高い数社から試験導入し、削減できた時間を測ってから拡大を判断してください。

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