会計事務所の収益は、顧問料という時間単価ベースのモデルに長く依存してきました。記帳の自動化が進むほど作業量は減り、それに応じて顧問料の引き下げ圧力がかかるという構造にあります。
MAS(Management Advisory Service/経営助言サービス)は、この構造から抜ける手段として位置づけられます。本レポートは、MASを事業として成立させるための設計と、導入時に必ず直面する課題を整理したものです。
このレポートでわかること
会計事務所を取り巻く環境は、次の3点で変化しています。
顧客は既に経営の相談を持ちかけています。それを無償の付随サービスとして受けているか、独立したサービスとして提供しているかが、収益の差になります。
MASは「経営の相談に乗ること」ではありません。成果に向けた継続的な関与が本質です。
| 項目 | 従来の税務・会計業務 | MAS |
|---|---|---|
| 対象 | 過去の数字 | 将来の計画 |
| 成果物 | 申告書、試算表 | 経営計画、実行支援 |
| 関与の頻度 | 月次〜年次 | 計画に応じた継続的な関与 |
| 価値の源泉 | 正確性と適時性 | 経営判断への貢献 |
| 料金の根拠 | 作業量 | 提供する価値 |
| 必要な能力 | 税務・会計の専門性 | 業界知識、経営の視点 |
この違いを所内で共有できていないと、MASは「無料の相談」のまま終わります。何を提供するサービスなのかを、明確に定義することが出発点です。
MASの料金設計は、事業化の成否を分ける最大の論点です。
成果連動の料金は魅力的に見えますが、何をもって成果とするかの合意がないとトラブルになります。外部環境の影響をどう扱うかを含め、契約時に明確にしてください。
MASの最大の障壁は、料金でも顧客でもなく提供できる人材がいないことです。
まず所長または特定の担当者が数社で実践し、型をつくってから広げるのが現実的です。最初から所全体で取り組もうとすると、既存業務との衝突で止まります。
MASは、一度に始めるものではありません。
最初の数社は、収益より型づくりが目的です。ここで得た進め方が、その後の事業化の基盤になります。
| 章 | 内容 |
|---|---|
| MASの定義と重要性 | MASの基本概念と経営における位置づけ |
| MASによる収益構造の変革 | 料金モデルの転換と収益改善 |
| MAS導入のメリット | 顧客満足度と顧客単価への影響 |
| MAS導入に伴う課題 | 専門性の向上と組織体制の整備 |
| MASサービスのラインナップ | 業界特化型サービスの提供方法 |
| MASの導入事例 | 導入後の変化と得られた成果 |
| MAS導入に向けたステップ | 計画策定と段階的なアプローチ |
次のような課題をお持ちの会計事務所・経営者に向けた内容です。
まとめ
記帳の自動化は顧問料の引き下げ圧力に直結します。作業量ではなく価値に基づく収益源が必要です。
MASの料金は顧問料と分けて設計してください。含めてしまうと価値が見えず、値上げもできません。
最大の障壁は人材です。まず数社で型をつくり、その後に広げる順序で進めてください。
既に経営相談を無償で受けています。有償化できますか
提供内容をサービスとして定義し、顧問契約とは別の契約として設計することから始めてください。既存顧客への有償化は難しい場合があるため、新たに提供する内容を明確にしたうえで案内する方法が現実的です。
成果報酬型にすべきですか
顧客の納得は得やすいものの、何をもって成果とするかの合意が不可欠です。外部環境の影響をどう扱うかを含め、契約時に明確に定めてください。定額と成果連動の組み合わせも選択肢になります。
担当できる人材がいません
最初から所全体で取り組む必要はありません。所長または特定の担当者が3社程度で実践し、提供の型をつくってから広げる順序をおすすめします。育成は型ができてからのほうが進みます。
どの顧問先から始めるべきですか
関係が良好で、経営改善への意欲がある企業を選んでください。すべての顧問先が対象になるわけではありません。また、最初から有償で始めることが重要です。
現在の顧客構成、収益構造、所内体制を拝見したうえで、着手できる範囲と立ち上げ手順を整理します。まずは無料の経営相談をご利用ください。
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