ECサイトの作り方と運営のポイントを徹底解説
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ECサイトを始めるにあたって最初に決めるのは、「どこで売るか」です。モールに出店するのか、自社サイトを構築するのか、どのサービスを使うのか。この選択が、その後の費用構造と打てる施策を決めます。
そして多くの事業者が見落とすのが、開設後の運営業務の量です。受注処理、在庫管理、問い合わせ対応、発送、返品対応が毎日発生します。ここを設計せずに開設すると、売れ始めた途端に回らなくなります。
本記事では、出店方式の選び方、開設前に決めるべき設計事項、日々の運営業務、そして通信販売に適用される法規制まで、開設から運営までを順に整理します。
この記事でわかること
- 出店方式(モール/ASP/パッケージ/独自開発)の選び方
- 開設前に決めておくべき5つの設計事項
- 開設後に毎日発生する運営業務の全体像
- 特定商取引法をはじめとする法的な表示義務
- 運営が回らなくなる前に整えておくこと
出店方式をどう選ぶか
ECを始める方法は大きく4つあり、初期費用、運用の自由度、必要な知識がそれぞれ異なります。
最初はモールかASPカートから
いきなり大きな投資をする必要はありません。商品が売れるかどうかが確認できていない段階での大規模な構築は、失敗したときの損失が大きくなります。
モールで需要を確認しながら、並行してASPカートで自社サイトを立ち上げる進め方が、リスクを抑えつつ資産を積む方法として現実的です。
モールと自社サイトの根本的な違い
モールは集客力がある一方、顧客情報がモール側に帰属し、価格やブランド表現の自由度も制限されます。手数料も継続的に発生します。
自社サイトは立ち上がりが遅いものの、顧客情報が自社に蓄積され、リピート施策を自由に打てます。長期的には、この差が収益性を分けます。
| 方式 | 初期費用 | 月額 | 自由度 | 向いている段階 |
|---|---|---|---|---|
| ECモール出店 | 低い | 出店料+販売手数料 | 低い | まず売ってみたい |
| ASPカート | 低い | 定額(規模により変動) | 中程度 | 自社サイトを始めたい |
| パッケージ | 高い | 保守費 | 高い | 規模が大きい |
| 独自開発 | 非常に高い | 保守・開発費 | 非常に高い | 特殊な要件がある |
どちらか一方を選ぶ必要はありません。モールで足元の売上を確保し、購入者を自社サイトのリピートへ誘導するという組み合わせが、多くの事業者にとって最適です。
開設前に決めておくべき5つのこと
サイトを作り始める前に、次の5点を決めておいてください。後から変更すると、システムの選定からやり直しになる場合があります。
- 取り扱う商品と、その届け方常温か冷蔵冷凍か、大型か小型か、破損しやすいかによって、必要な梱包資材と配送手段が変わります。冷凍が必要なら保管設備が必要になり、初期投資が大きく変わります。
- 価格と送料の方針送料を商品価格に含めるか別途請求するか、無料になる購入金額を設けるかを決めます。送料の設定は購入率に最も強く影響する要素のひとつです。
- 決済手段クレジットカードは必須として、コンビニ決済、銀行振込、後払い、各種QRコード決済のどこまで対応するかを決めます。手数料が利益に直接影響します。
- 受注から発送までの流れ誰が注文を確認し、誰が梱包し、いつ発送するか。1日あたり何件まで対応できるかを、実際に手を動かして確認してください。
- 問い合わせへの対応体制どの手段で受け付け、誰が何時間以内に返すかを決めます。対応の遅さは、そのままレビューの評価に表れます。
開設後に発生する運営業務
ECサイトは開設して終わりではありません。毎日発生する業務の量を、開設前に見積もっておく必要があります。
- 受注処理:注文内容の確認、入金確認、在庫引き当て
- 梱包・発送:ピッキング、梱包、伝票発行、集荷依頼
- 在庫管理:実在庫とシステム在庫の一致、発注、欠品対応
- 問い合わせ対応:商品の質問、配送状況、変更・キャンセル
- 返品・交換対応:受付、検品、返金処理
- 商品登録・更新:新商品の登録、写真撮影、説明文の作成
- 販促:メール配信、SNS投稿、セールの設計
- 数値確認:売上、購入率、在庫回転、広告効果
実店舗と違い、顧客は商品に触れられません。写真の質と説明の丁寧さが、そのまま購入率に反映されます。
注文が増えるほど、上位の業務に時間を取られ、下位の業務ができなくなります。これがEC運営で最も多い停滞の形です。
受注処理と在庫管理は、件数が増えた段階でシステム化するか外部に委託するかを検討してください。判断の目安は、その業務が販促や商品開発の時間を圧迫し始めたときです。
通信販売に適用される法規制
ECサイトの運営には、店舗販売にはない表示義務があります。これを満たさないまま販売すると、行政指導の対象となる可能性があります。
| 法令等 | 主な内容 | 対応 |
|---|---|---|
| 特定商取引法 | 事業者情報、価格、送料、返品条件などの表示義務 | 特商法に基づく表記ページの設置 |
| 景品表示法 | 価格や品質の表示に根拠が必要 | 二重価格表示や効果の断定に注意 |
| 個人情報保護法 | 個人情報の取得・利用・管理 | プライバシーポリシーの明示 |
| 消費者契約法 | 不当な契約条項の禁止 | 利用規約の見直し |
| 食品表示法 | 食品を扱う場合の表示義務 | 名称・原材料・期限等の記載 |
| 薬機法 | 化粧品・健康食品等の表現 | 効能効果の表現に厳格な制限 |
食品、酒類、化粧品、医薬部外品、中古品などを扱う場合、営業許可や免許が別途必要になります。取り扱う商品が決まった段階で、所管の窓口に必ず確認してください。本記事の内容は一般的な整理であり、個別の判断を行うものではありません。
とくに返品条件は、記載がない場合に法律上の原則が適用されます。自社の方針を明記していないと、想定外の返品に応じる必要が生じる可能性があります。
開設後に見るべき数値
ECは実店舗と違い、顧客の行動がすべて数値として残ります。最低限、次の数値を月次で確認してください。
- 訪問数:どこから何人来ているか
- 購入率:訪問者のうち何%が購入したか
- 客単価:1回の購入金額
- カゴ落ち率:カートに入れたが購入しなかった割合
- リピート率:再購入した顧客の割合
- 在庫回転:売れ筋と死に筋の把握
流入を増やす施策はECサイトの集客方法、購入直前の離脱対策はECにおけるカゴ落ちとは?原因と対策、数値の活用方法はECサイトのデータ活用をご参照ください。
売上が伸びないとき、原因が「来ていない」のか「来たが買われていない」のかで打つ手はまったく違います。訪問数と購入率を分けて見ることで、この判断ができます。
まとめ
出店方式はモールで需要を確認しながら、自社サイトを並行して育てるのが現実的です。いきなり大規模な構築は避けてください。
開設前に、商品の届け方、送料方針、決済手段、発送の流れ、問い合わせ体制の5点を決めてください。後からの変更は負担が大きくなります。
通信販売には店舗にない表示義務があります。特定商取引法に基づく表記、返品条件の明記は必須です。商材によっては追加の許認可も必要です。
よくある質問
モールと自社サイト、どちらから始めるべきですか
商品が売れるかどうかの確認が済んでいない段階では、集客力のあるモールから始めることをおすすめします。需要を確認したうえで、並行して自社サイトを立ち上げ、リピート顧客を自社側に蓄積していく進め方が現実的です。
ECサイトの構築にいくらかかりますか
方式によって大きく異なります。モール出店やASPカートであれば初期費用を抑えて開始できますが、パッケージや独自開発は相応の投資が必要です。まず何を検証したいのかを決めてから、方式を選んでください。
送料は無料にすべきですか
送料の設定は購入率に強く影響しますが、無料にすれば利益が減ります。一定金額以上で無料にする設定が一般的です。商品単価と配送コストから、無料ラインを設定してください。
受注処理が追いつかなくなってきました
システム化か外部委託を検討する時期です。判断の目安は、受注処理が販促や商品開発の時間を圧迫し始めたときです。1件あたりの作業時間を実測し、委託費用と比較してください。
特定商取引法の表記は何を書けばよいですか
事業者名、所在地、連絡先、販売価格、送料などの追加費用、支払方法と時期、引渡し時期、返品の条件などが基本項目です。記載事項は法令で定められているため、最新の要件をご確認のうえ作成してください。
取り扱う商材、想定する規模、既存の体制を踏まえて、出店方式の選定から運営体制の設計までを整理します。まずは無料の経営相談をご利用ください。