介護の紹介会社の手数料実績は、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で調べられます。紹介会社ごとに、紹介手数料、返戻金制度の有無、採用後6か月以内の離職の状況などが公開されています。
2025年4月1日からは、紹介会社に職種別の平均手数料率の実績を同サイトに載せることが求められています。あわせて、医療・介護・保育分野では、一定の基準を満たす紹介会社を国が認定する「適正認定制度」があります。
ただし、公開データも認定も比較の入口です。最終的には、自社の契約書と、紹介会社ごとの過去12か月の実績を並べて判断します。
人材サービス総合サイトで確認できること
人材サービス総合サイトは、厚生労働省職業安定局が運営するサイトです。労働者派遣事業・職業紹介事業の許可や届出を受けた事業所を検索できます。
厚生労働省の案内では、このサイトで紹介会社について次のような情報を確認できるとされています。
- 紹介手数料
- 返戻金制度の有無
- 採用後6か月以内の離職率 など
返戻金制度とは、紹介で就職した人が早期に離職したとき、受け取った手数料から紹介会社が定める金額を求人者に返す制度です。
2025年4月から加わった「手数料率の実績」
2025年4月1日から、紹介会社は前年度に受け取った紹介手数料の実績を、人材サービス総合サイトに掲載することになりました。掲載するのは、常用就職の実績が多い上位5職種の、職種別の平均手数料率です。
「常用就職」は、期間の定めのない雇用か、4か月以上の期間を定めた雇用への就職を指します。平均手数料率は、次の式で計算されます。
- 平均手数料率=求人者から受け取った手数料の総額÷求職者の予定年収の総額(いずれも常用就職の全件分)
定額で手数料を受け取っている場合は、率の代わりにその額を掲載できます。常用就職の実績が10件以下の紹介会社は、掲載しなくてもよいとされています。
調べ方の手順
紹介会社を比べるときは、次の順で確認します。
- 人材サービス総合サイトのトップページで「職業紹介事業」の検索を開く
- 紹介会社の名称や許可番号で検索し、事業所の詳細ページを開く
- 許可の有無、手数料に関する事項、返戻金制度、就職・離職の実績を確認する
- 適正認定の特設サイトで、認定を受けているかを確認する
- 紹介会社から提示された契約書・料金表と、公開されている実績を並べる
同じ会社でも、事業所ごとに許可や掲載の内容が分かれている場合があります。実際に契約する事業所の情報を見るようにしてください。
公開データを読むときの注意点
- 手数料率は「上位5職種」の平均です。介護職が上位5職種に入っていない会社では、介護職の率は出てきません
- 平均は、年収の高い職種や人数の多い職種に引っ張られます
- 公開されるのは直近の年度分です
- 率が同じでも、年収見込みに夜勤手当や賞与を含めるかで、請求額は変わります
公的な目安もあわせて見ておきます。厚生労働省の公表では、介護分野の有料職業紹介の平均手数料は常用就職1件あたり59.7万円です(令和6年度実績)。就職後6か月以内の離職率は、介護で19.9%でした(令和5年度実績、期間の定めのない雇用への就職)。
自社の契約と突き合わせる例
説明用の例で、突き合わせ方を示します。ある紹介会社の公開データで、介護職の平均手数料率が提示された契約の料率より低かったとします。
この場合は、まず差の理由を紹介会社に聞きます。年収見込みの計算方法が違うのか、職種や雇用形態で料率を分けているのか、自社だけ条件が違うのかで、交渉の余地や比べ方が変わります。
反対に、公開の率と契約の率が同じでも、年収見込みに賞与や夜勤手当を含めるかどうかで請求額は変わります。率の比較と、1人あたりの請求額の比較は、分けて行ってください。
相場の詳しい見方は、関連コラム:介護の人材紹介手数料の相場は?1件59.7万円と依存の減らし方で解説しています。
適正認定制度の見方
制度の目的と認定の数
「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度」は、紹介手数料の高さや採用後の早期離職といった問題に対応するために作られた制度です。厚生労働省は、基準を満たす紹介会社を「見える化」し、求人者が事前に内容や費用を把握して選べるようにすることを目的としています。
令和7年11月1日時点で52社(うち介護分野24社)が認定されています。認定事業者の一覧は、制度の特設サイトで検索できます。
適正基準のチェックシートも使える
厚生労働省は、分野ごとの「適正基準」をチェックシートとして公開しています。認定を受けていない紹介会社にも、このシートへの記入をお願いし、満たしていない項目の理由を聞くことが勧められています。
令和6年度からは、返戻金制度に関する審査項目も見直されています。
認定が条件に入る場面もある
2026年6月の算定分から、介護報酬の「人員基準欠如減算」に猶予の特例が始まりました。突発的な事情で人員が基準を1割以内で下回った場合に、条件を満たせば年1回に限り、減算の適用が欠如の発生月の翌々月まで猶予されます。
この条件の一つに、民間の紹介会社を使う場合は適正認定事業者を含めることが入っています。ほかに、ハローワークや福祉人材センターなど無料の職業紹介を使っていることや、有効な求人票の写しを添付して報告することも条件です。対象は通所・入所系などのサービスで、訪問介護は対象外です。
ただし、認定は比較の材料の一つです。認定を受けていれば手数料が安い、トラブルがない、採用が必ず成功する、という意味ではありません。
契約で見落としがちな条項
ヨビコム介護の支援担当が、契約前の確認を勧めている条項は次のとおりです。
- 手数料が発生する時点(応募・内定・入職のどれか)
- 料金計算の基礎となる年収見込みに、夜勤手当・賞与・処遇改善の手当を含めるか
- 支払いの期日
- 返戻金の対象期間と返金の割合、起算日
- 早期離職や候補者の辞退のときの扱い
- 同じ人が他の経路からも応募していたとき(二重応募)の扱い
- 複数の紹介会社から同じ人を紹介されたときの扱い
- 一度紹介された人が、後で直接応募してきたときに紹介会社の扱いになる期間
- 守秘義務と個人情報の扱い
- 契約の更新と解約の方法
- 求人の公開を紹介会社だけに限る条項がないか
2025年4月1日からは、紹介会社に違約金の定めがある場合、求人の申込みを受けた時点で、違約金の額・発生する条件・解約方法を書面などで明示することも求められています。口頭やホームページの案内だけで済ませず、手元に残る形で受け取ってください。
紹介会社ごとの実績を一覧にする
公開データの次に見るのは、自社の実績です。支援担当は、直近12か月について紹介会社ごとに次の項目を1つの表にまとめることを勧めています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 紹介人数 | 書類を受け取った人数と、入職した人数 |
| 総手数料 | 請求書の合計 |
| 返金 | 返戻金として戻った額 |
| 90日・180日の離職 | 入職後に辞めた人数と時期 |
| 面接後の辞退 | 面接や内定の後に辞退した人数 |
| 経験の一致 | 紹介された人の経験が求人の条件に合っていたか |
費用の見積もりだけでなく、180日後に何人残っているか、求人の条件に合う人が紹介されているかで評価します。
よくある失敗
- 契約書の料率の数字だけを比べ、年収見込みに含める範囲や返金の割合を見ていない
- 求人媒体から自社に直接応募した人に、紹介料が発生してしまう
- 紹介会社ごとの定着率を追っていない
- 候補者に伝わった条件と、事業所の条件が食い違っている
防ぐには、請求書と採用台帳を毎月突き合わせ、候補者ごとに「どの経路で最初に接点があったか」を記録しておくことです。
法令違反の疑いがある紹介会社については、都道府県労働局に「医療・介護・保育」求人者向けの特別相談窓口が設けられています。
よくある質問
Q. 適正認定の
A. 比べるときの材料の一つになりますが、個別の契約条件の確認は必要です。
Q. 手数料の
A. 公的な平均は、介護分野で常用就職1件あたり59.7万円です(令和6年度実績)。公表データ・自社の契約・地域と職種を突き合わせて判断してください。
Q. 返金制度は
A. 返戻金制度の有無や内容は紹介会社ごとに違います。契約ごとに対象期間と割合を確認してください。
Q. 複数の
A. 使えますが、同じ候補者が重なったときの扱いと、個人情報の管理のルールを先に決めておいてください。
紹介会社の見直しを相談する
貴事業所の場合、どこから直すとよいか。無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方・応募対応を点検し、優先して見直したい項目をお伝えします。
あわせて読みたいページ:人材紹介との費用比較/採用業務代行/採用サイト制作
出典
- 厚生労働省「人材サービス総合サイト」
- 厚生労働省「適切な職業紹介事業者を選ぶツールを利用してトラブルを回避しましょう」(PDF)
- 厚生労働省「職業紹介事業者の皆さまへ 紹介手数料率の実績の公開と違約金規約の明示が必要になります」(PDF)
- 厚生労働省「職業安定法施行規則等の改正(令和7年4月1日から対応が必要)」
- 厚生労働省「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度」
- 適正認定事業者 特設サイト
- 厚生労働省 第248回社会保障審議会介護給付費分科会 資料1(2025年11月21日、PDF)
- 厚生労働省老健局「介護保険最新情報 Vol.1502」2026年5月8日(PDF)
- 厚生労働省「全国及びブロック別 職種別平均手数料(額・分布)」令和6年度実績(PDF)
- 厚生労働省「全国及びブロック別 職種別離職率」令和5年度実績(PDF)
