介護職員の採用単価の相場は?年間採用予算の立て方と計算例

介護職員の採用単価は、「採用にかかった総費用÷採用人数」で計算します。介護に絞った採用単価を全国で集計した公的な統計は、今回の調査では見つかりませんでした。そのため、経路ごとの公表された費用を目安にしながら、自事業所の数字で出すのが確実です。

目安としては、人材紹介の手数料が常用就職1件あたり平均59.7万円です(厚生労働省、令和6年度実績)。一方、ハローワークや福祉のお仕事は無料で使え、求人サイトには採用が決まったときだけ料金がかかる型もあります。

年間の採用予算は、必要な採用人数から、必要な応募数と経路ごとの費用を逆算して立てます。この記事では、その手順を計算例つきで説明します。

採用単価とは|何を費用に入れるか

採用単価は、一定の期間に採用にかかった費用の合計を、その期間の採用人数で割った数字です。ヨビコム介護の支援担当は、次の費用をすべて入れて計算することを勧めています。

  • 求人媒体の掲載費・広告費
  • 人材紹介の手数料
  • 採用業務を外部に任せている場合の費用
  • 採用サイトの制作費(使う期間で割って配分)
  • 採用担当や現場職員が応募対応・面接・見学にかけた時間(人件費に換算)

式にすると次のとおりです。

  • 採用単価=(媒体・広告費+紹介手数料+外部委託費+採用サイト制作費の期間配分+社内の工数)÷対象期間の採用人数

媒体費だけで計算すると、紹介手数料や社内の工数が抜け、実際より安く見えてしまいます。外部に支払う費用も含めて、同じ物差しで比べることが大切です。

採用経路ごとの費用の目安

公表されている情報から、経路ごとの費用の目安を整理します。いずれも「その経路に支払う料金」で、社内の工数は含みません。

経路 料金の仕組み・目安 出典
人材紹介(有料職業紹介) 介護分野の平均手数料は常用就職1件あたり59.7万円(令和6年度実績) 厚生労働省
ハローワーク サービスはすべて無料 厚生労働省
福祉のお仕事 福祉人材センター・バンク(無料職業紹介事業者)を通じて掲載 福祉のお仕事
Indeed 掲載は無料。有料のスポンサー求人はクリックされたときだけ費用がかかる Indeed公式
採用時に料金がかかる求人サイト 例:ジョブメドレーは資格と雇用形態に応じて1人7.2万円〜。ウェルミージョブは介護福祉士の常勤で32万円(税別)など、職種・資格・雇用形態で設定 各媒体の公式情報

人材紹介の59.7万円は、常用就職(期間の定めのない雇用か、4か月以上の期間を定めた雇用)の件数と手数料の総額から計算した平均です。施設団体の調査では、介護福祉士資格のある常勤介護職で平均89万円という値もあります(全国老人福祉施設協議会、令和5年度調査)。

経路ごとの料金は、そのまま採用単価にはなりません。無料の媒体でも、原稿づくりや応募対応に時間がかかれば、その分が費用になります。

どの経路が「効いた」と感じられているか

介護労働安定センターの調査では、採用活動を行っている事業所のうち「採用に効果があった」と答えた割合は、有料職業紹介の活用で53.4%、有料の求人情報サイトの活用で44.8%、ハローワークや福祉人材センターへの相談で41.8%でした(令和7年度介護労働実態調査)。

ただし、これは費用を考慮しない「効果の実感」です。費用対効果を比べるには、自事業所の経路別の採用単価を出す必要があります。

見落としがちな費用

支援担当が「採用単価に入っていないことが多い」と指摘する費用は次のとおりです。

  • 面接、応募者への連絡、職場見学の対応にかかる時間
  • 求人原稿や写真の制作、採用サイトの維持費
  • 内定者への連絡やフォロー
  • 紹介手数料の返金(戻ってきた分は差し引く)
  • 欠員を埋めるための派遣や応援、夜勤の穴埋め
  • 入職後の研修と、早期に辞めた人の再採用

採用単価だけを小さくしようとすると、定着しない採用が増えることがあります。支援担当は、採用単価とは別に「6か月以上定着した人1名あたりの費用」も見ることを勧めています。

厚生労働省の公表では、有料職業紹介で期間の定めのない雇用に就いた人のうち、6か月以内に離職した割合は介護で19.9%でした(令和5年度実績)。早期離職があると、同じポジションに2回分の採用費がかかります。

年間採用予算の立て方

手順1:必要な採用人数を出す

支援担当が予算づくりで最初に確認する数字は、次のとおりです。

  • 直近12か月の期首・期末の職員数
  • 自然な退職、増員、新しい事業所の開設による必要人数
  • 資格や夜勤の可否を含めた職種別の必要人数
  • 入職後90日以内の離職の人数

退職の見込みを立てるときは、自事業所の過去の離職率を使います。参考までに、訪問介護員と介護職員を合わせた離職率は全国で12.4%です(介護労働安定センター「令和7年度介護労働実態調査」)。

手順2:必要な応募数を逆算する

次に、採用までの各段階の割合から、必要な面接数と応募数を逆算します。

  • 必要な内定数=必要採用数÷内定承諾率
  • 必要な面接数=必要な内定数÷面接から内定に至る割合
  • 必要な応募数=必要な面接数÷応募から面接に至る割合

割合は、過去12か月の自事業所の実績を使います。実績がなければ、まず3か月分を記録するところから始めます。

手順3:経路ごとに費用を割り当てる

最後に、どの経路で何人を採るかを決め、月ごとの採用計画と費用の枠を作ります。急ぎの欠員に備える分と、計画的に採る分を分けて考えると、紹介に頼りすぎるのを防げます。

計算例|職員50⁠名の事業所の場合

以下は説明用の架空の計算例で、実際の事業所や支援実績の数字ではありません。

前提
– 職員50名、過去の離職率12%として退職見込み6名、増員2名で、必要採用数は8名
– 内定承諾率80%、面接から内定50%、応募から面接60%

必要な応募数
– 必要な内定数:8÷0.8=10件
– 必要な面接数:10÷0.5=20件
– 必要な応募数:20÷0.6=約34件

費用(年間)

項目 金額
人材紹介 2名×59.7万円 119.4万円
求人広告費(月4万円×12か月) 48万円
採用時に料金がかかる求人サイト 2名分(仮に1名20万円) 40万円
ハローワーク・福祉のお仕事・職員紹介 4名分 0円
社内の工数(応募対応・面接) 30万円
合計 237.4万円

この場合、採用単価は237.4万円÷8名で約29.7万円です。仮に8名全員を紹介で採用すると、手数料だけで477.6万円になります。

計算例の数字は前提の置き方で大きく変わります。自事業所の実績の割合と、契約している料金を当てはめて試算してください。

予算の配分を見直すときの考え方

配分を見直す視点

予算を見直すときは、広告費を増やす前に、お金をかけずに応募を受けられる土台が整っているかを確認します。求人原稿、採用サイト、応募への対応が整っていないと、広告費を増やしても採用につながりにくいためです。

他業界の支援経験からも、求人媒体への出稿を続けても応募が集まらなかった企業が、求人原稿の改善や採用サイト・職場の動画などの直接応募の土台に費用を回して、採用につなげた例があります。介護でも同じ考え方は使えます。ただし、どれだけ費用が下がるかは事業所ごとに違うため、自事業所の数字で確かめながら進めてください。

外部の採用支援を使う場合は、その費用も採用単価に含めて比べます。ヨビコム介護の料金は月額10万円〜(税別)で、任せる範囲に合わせてプランを組み立てています。

よくある失敗

  • 媒体費だけで計算し、紹介手数料や社内の工数を入れていない
  • 広告を使った月と採用した月がずれているのに、単月で比べている
  • 施設単位では採用人数が少なく、1名の増減で採用単価が大きく上下する
  • 一番安い経路に集中し、介護福祉士など職種による応募の質の違いを見落とす

防ぐには、3〜6か月をまとめた平均と、職種別の集計を使います。

よくある質問

Q. 介護の採用単価の相場はいくらですか。
A. 職種・地域・勤務条件・経路によって大きく違います。公表データ(人材紹介の平均59.7万円など)と、自事業所の実績を分けて見てください。

Q. 採用業務を外部に任せている費用も入れますか。
A. 入れます。外部委託費も採用にかかった費用です。

Q. 人材紹介と他の経路はどう比べればよいですか。
A. 同じ期間で、採用人数・定着した人数・総費用をそろえて比べます。

Q. 広告の予算はどう決めますか。
A. 必要な採用人数と、各段階の割合から必要な応募数を出し、そこから試算します。

採用予算の立て方を相談する

貴事業所の場合、どこから直すとよいか。無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方・応募対応を点検し、優先して見直したい項目をお伝えします。

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この記事を書いた人

ヨビコム介護編集部

介護事業所の採用支援サービス「ヨビコム介護」の編集部です。求人原稿・媒体運用・スカウト・定着など、介護の採用に役立つ情報を、公的な資料をもとにお届けしています。

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