採用代行(RPO)とは?その概要と背景を解説

SHARE
採用代行(RPO)の定義と役割
採用代行(RPO)とは何か?
採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)とは、採用活動の一部もしくは全部を外部の専門会社に委託するサービスです。欧米では一般的に活用されており、近年の日本でも導入が広がっています。企業は、自社の採用体制や人手不足の課題を補完・解決する手段として、採用代行を活用しています
採用代行(RPO)が注目される2つの背景
採用手法の多様化と業務負荷の増加
採用代行が注目されるようになった背景の1つ目は、採用手法の多様化です。
かつては求人広告や情報誌を出せば人材が集まりましたが、現代の採用活動では多様な手法を用いた対応が不可欠な時代となりました。求職者の行動も変化しており、企業はSNS、スカウト、ダイレクトリクルーティングなどを組み合わせた戦略が求められています。
これにより、採用担当者が新たな手法を学び、効果検証までを担う必要が出てきており、業務量は膨大になっています。その結果、本業であるコア業務への集中が難しくなっているため、採用活動を外部へ委託する必要性が高まっているのです。
採用活動の長期化と人事リソースの限界
採用代行が注目される2つ目の背景は、採用活動の長期化です。
特に新卒採用では、以前は最終学年の春〜夏に集中していた活動が、現在ではインターンや早期選考イベントの影響で長期化しています。これにより採用活動全体が煩雑化し、人事の業務負荷も大幅に増加する中でアウトソーシングによる負担軽減が注目されるようになりました。
さらに、コロナ禍で一時採用をストップしていた企業では、再開後に体制が追い付かず、求職者との接点や魅力訴求に十分な時間が取れないといった課題が発生。こうした現状から、採用代行(RPO)へのニーズは一層高まっています。
採用代行(RPO)と人材紹介の違いとは?
サービスの目的・活用場面の違い
採用代行(RPO)と人材紹介は、いずれも「採用活動を外部に任せる」点では共通していますが、目的や活用シーンには大きな違いがあります。
人材紹介は、あらかじめ求職者データベースを持つ紹介会社が企業に候補者を紹介し、採用が決まった段階で報酬が発生する“成果報酬型のマッチングサービス”です。
ピンポイントで人材を採用したい企業、特に専門スキルを持つ即戦力を早期に採用したい企業に向いています。
一方、採用代行(RPO)は、採用活動の全体設計や運用を企業に代わって実行する“プロセス代行型の支援サービス”です。
採用計画の立案、求人作成、候補者管理、面接調整、内定者フォローまでを一括で請け負うことができ、採用枠が多くポジションの幅が広い企業に適しています。
契約形態・業務の範囲
両サービスとも「業務委託契約(準委任)」で提供されますが、人材紹介は特定の候補者を採用できたかどうかが成果の指標になります。採用成功しなければ費用は発生しません。
一方、RPOは「どの工程をどの範囲で代行するか」に応じて契約が成立するため、業務開始と同時に料金が発生します。
母集団形成から面接調整、結果連絡までの各タスクを分解して委託できる点が特徴です。
料金体系の違い
料金面でも大きな違いがあります。
- 人材紹介は完全成果報酬制で、採用1人あたりの年収の20~35%程度が相場です。費用は高額ですが、成功しない限り費用がかからないため、少人数採用ではリスクを抑えられます。
- 一方、採用代行(RPO)では、以下3つの料金体系が一般的です。
- 定額制(月額20~100万円程度):一定期間、決まった業務をまとめて委託できる
- 従量課金制:応募者数や対応件数に応じて費用が変動する
- 成果報酬制:一部業務において成果連動で報酬が発生(面接実施や内定など)
- 定額制(月額20~100万円程度):一定期間、決まった業務をまとめて委託できる
採用人数が多い企業や、工程全体を外注したい企業にはRPOのほうがコストパフォーマンスが高くなる傾向があります。
契約形態と料金体系の違い
両者とも業務委託契約(準委任)を結びますが、料金体系に差があります。人材紹介は成果報酬型が一般的なのに対し、採用代行は定額制・従量課金制・成果報酬制など多様なプランがあります。
適している企業の違いと併用のすすめ
人材紹介は、専門職やピンポイントで人材を採用したい企業に向いています。一方、採用代行は採用数が多い・ポジションが広範な企業に最適です。両者は目的に応じて使い分けたり、併用したりすることで、採用活動の効率と質を高めることができます。
採用代行(RPO)で委託可能な12の業務
採用ターゲットの策定
採用したい人物像は、企業側で策定して採用代行会社と共有するのが一般的です。ただし、ミスマッチや早期離職が多いなどの課題を抱えている場合は、初期段階から代行会社のコンサルティングを受けるのが効果的です。
代行会社は職種や働き方、給与水準など求職者の傾向を把握しているため、ターゲット像の調整やアピール方法の見直しを提案できます。また、初期の段階で人物像を明確化・共有することで、その後の求人原稿作成や選考過程でのズレやミスマッチを防ぐことが可能です。
採用計画・戦略の立案
採用計画や戦略は企業側で立案することが一般的ですが、採用代行会社によるコンサルティングを活用することも可能です。特に選考フローの設計や工程の見直し、人事リソースの不足を補う場面で有効です。新規事業やスタートアップでの採用立ち上げ時にも、外部の知見を活かすことでスムーズな体制構築が可能となります。
求人広告の作成・掲載
求人原稿の作成や、募集媒体の選定・出稿手続きなどを委託できます。求職者の動向や採用市場の変化に応じて、文面の最適化や適切な媒体の選定が行われるため、効率的に母集団形成が可能です。通年で採用を行う企業にとっては、工数削減に大きく貢献します。
採用エージェントの管理・運用
複数の人材紹介会社や媒体に登録している企業では、それぞれの窓口対応が煩雑になりがちです。採用代行会社に一括して管理を委託することで、対応の標準化と効率化が可能になります。加えて、エージェントとのやり取りや成果の振り返りを通じて、選定の見直しや最適化の提案も期待できます
説明会の実施や資料作成
新卒・中途問わず、会社説明会や職種別説明会の企画・運営、資料作成などを委託可能です。説明会用のスライドや配布資料の作成だけでなく、当日の実施や受付・進行まで含めた対応も可能です。実施に際しては、代行会社との間で伝えるべき内容の事前調整が重要となります。
DMやスカウトの配信
求人サイトやダイレクトリクルーティング媒体で、求職者に対してDMやスカウトメールを配信する業務です。文面作成、送信対象のリストアップ、配信日時の設定、問い合わせ対応など、手間のかかる作業を代行できます。一部ではRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用して、配信業務の自動化も行われています。
リクルーター業務
代行会社の担当者がリクルーターとして求職者と接点を持ち、面談や説明会の場で企業理解を深めてもらいます。企業にとっては、他社よりも早く内定を提示するためのスピード感を得ることができ、求職者にとっては細やかな対応を通じて安心感を得られるというメリットがあります。
応募者の管理
応募者のエントリー情報を管理し、選考状況の把握や選考結果の通知などを一括で代行します。採用担当者にとっては時間のかかる業務ですが、代行会社に委託することで業務負荷を軽減し、コア業務に集中しやすくなります。
初期選考
書類選考や適性チェックなど、選考初期の判断業務を代行します。採用規模が大きい企業では特に効果的で、あらかじめ合否基準をすり合わせておくことで、企業の採用方針に沿った選考が実施されます。
面接の日程調整・連絡
選考段階での面接の日程調整を行い、企業側・応募者双方のスケジュールを調整して確定させます。連絡内容の送付、面接官へのリマインドなども含めて一括で代行可能です。選考プロセス全体のスムーズな進行に貢献します
面接の実施
面接自体の実施も代行可能です。面接官が不足していたり、知識や経験が不十分であったりする場合は、採用代行会社のキャリアカウンセラーや専門面接官が面接に対応します。遠方の候補者に対しては、オンライン面接の代行も可能です。
内定者のフォロー
内定通知や入社意思の確認、入社後の定着支援まで対応可能です。メールや電話でのやりとりだけでなく、研修や懇親会の企画、eラーニングなども代行できます。細やかなフォロー体制により、内定辞退や早期離職のリスクを低減します。
採用代行(RPO)の費用体系と業務別料金目安
採用代行の費用はどう決まる?
採用代行(RPO)の費用は、「委託する業務の範囲」「採用人数」「契約期間」などによって大きく変動します。また、代行会社ごとの料金設定にも幅があるため、相場の把握には複数社の見積もり比較が不可欠です。
本章では、現在主流となっている3つの料金体系と、代表的な業務ごとの料金例を紹介します。自社の採用体制や予算に応じて、最適な料金プランを検討する参考にしてください。
採用代行(RPO)の主な料金体系3パターン
定額制
一定期間のパッケージ型契約で、3ヵ月、6ヵ月、1年などのプランが一般的です。
業務単位で委託するよりもトータルコストを抑えやすく、パッケージ外業務はオプションで追加可能です。短期間でRPOを試してみたい企業や、予算内で業務を抑えたい企業に向いています。
成果報酬制
採用活動の成果に応じて報酬が発生する仕組みで、面接実施時や採用確定時などが報酬の発生ポイントです。報酬額は、採用者の年収の20~30%が相場とされます。採用一軒当たりの費用は比較的高額ですが、確実な成果にしか支払いがないため、無駄な費用を払いたくない企業に適しています。
従量課金制
従量課金制は、委託する業務の内容や作業量に応じて料金が決まる料金体系で、現在ほとんどの採用代行(RPO)会社が採用しています。業務ごとの料金表が用意されていることも多く、初期費用やオプションの追加料金が設定されているケースもあります。
費用は件数や実施期間によって変動するため、導入前に正確な見積もりを取ることが重要です。負担の大きい一部業務だけを委託したり、採用活動を特定の時期に集中して強化したい場合など、自社の状況にあわせて柔軟に費用をコントロールしたい企業に適したプランです。
業務ごとの料金例(目安)
サービス内容 | 費用の目安 |
DM・スカウト配信業務 | 月額20万円〜 |
面接選考の日程設定 | 月額20万円〜 |
面接代行(実施) | 1回あたり1万円、月額30万円〜 |
候補者評価シートの作成 | 1回3,000円 |
応募者への合否連絡(内定通知含む) | 月額2万円〜 |
入社意思の確認 | 月額2万円〜 |
※実際の金額は業務量や期間、採用難易度により上下するため、必ず複数社に見積もりを依頼しましょう。
採用代行(RPO)のメリットとその効果
採用業務の効率化と質の向上
RPOを導入することで、採用業務の質を保ちながら効率的な運用が可能になります。プロの知見を活かしながら業務プロセスを最適化できるため、ミスマッチの低減や採用成功率の向上が見込めます。
担当者の負担軽減と注力領域の明確化
採用担当者が煩雑な事務作業から解放され、応募者との面談や経営陣との連携など、より重要な業務に集中できるようになります。これにより、全体の採用活動のスピードアップと質的改善が実現します。
応募者・内定者への手厚い対応が可能に
リソースの余裕ができることで、応募者への迅速な対応や、内定後のフォロー体制が充実します。結果として、応募辞退や内定辞退を防ぐ効果も期待できます。
採用コストの最適化
RPOの導入により、人件費や求人広告費の見直しが進み、無駄なコストを削減できます。適切なプラン選定によっては、自社単独で進めるよりもトータルコストを抑えることも可能です。
採用ノウハウの社内蓄積
代行業者の進め方や提案から、新たな知識・手法を学び、社内に採用ノウハウを蓄積することも可能です。中長期的な視点で、採用力の底上げにつながります。
採用代行(RPO)のデメリットとその対策
外注コストが発生する
当然ながら外部委託にはコストがかかります。自社でも対応可能な業務まで委託してしまうと、割高に感じられることも。費用対効果を踏まえた業務整理と部分委託がポイントです。
社内にノウハウがたまりにくい
すべてを代行会社に任せきりにすると、自社に採用の知見が蓄積されません。業務の一部を自社で担う、定期的にフィードバックを受けるなどの工夫で、ノウハウを吸収しましょう
認識のずれが生じやすい
企業と代行会社の間で、ターゲット像や採用基準の共有が不十分だと、方向性のずれが生まれます。初期段階でのすり合わせや、定期的なレビュー体制の構築が重要です。
ミスマッチのリスク
応募者とのコミュニケーションが間接的になる分、自社理解が浅くなる可能性もあります。面接への同席や内定後のフォローなど、直接関与するフェーズを設けることで緩和できます。
採用代行(RPO)の利用効果を高める7つのポイント
採用代行(RPO)を効果的に活用するためには、導入前の準備と社内体制の整備が重要です。ただ外注するだけでは十分な成果は得られず、自社内の整理や委託先との連携によって初めてメリットが最大化されます。
以下の7つのポイントを実践することで、失敗リスクを減らし、RPO導入の効果を実感しやすくなります。
1. 求める人物像や人数を明確にする
採用ターゲットとなる人物像を社内で共有できていないと、ミスマッチの原因になります。特に職務要件やスキルは整理できていても、性格傾向や価値観、行動特性などの“人物像”が曖昧なケースは少なくありません。
ペルソナを設定する際には、「年齢層」「家族構成」「趣味・価値観」など、より具体的なプロファイルに落とし込むことが有効です。「リーダーシップがある」「コミュニケーション能力が高い」などの抽象的な表現は解釈が分かれるため、避けたほうがよいでしょう。
(h3) 2. 自社の採用課題や改善目標を明確にする
RPOを活用する前に、自社が抱える課題を明らかにすることで、委託すべき業務の優先順位を見極めやすくなります。「母集団形成に課題がある」「面接の歩留まりが悪い」など、現状を分析しておくことで、解決したいテーマに強みを持つ代行会社を選定しやすくなります。改善したい目標は、可能な限り数値で設定することも効果的でしょう。
3. 委託する業務内容や範囲・責任を明確にする
採用活動は工程が多く、業務分担が不明確なまま進めると、作業漏れや責任の押し付け合いが発生しやすくなります。密に連携を取りながら進めていきましょう。
特に書類選考・面接・フォロー対応など、人の判断が関与する領域では、丸投げではなく、基準や方針を明確にした上で委託することが肝心です。契約時には、業務範囲や責任の所在を明記した文書を取り交わし、相互に誤解のないように進めましょう。
4. 情報共有の方法やルールを確認する
RPO会社との間でスムーズな情報連携が図れるよう、日常の連絡手段や緊急時の対応フローをあらかじめ決めておく必要があります。
例えば、「通常の進捗共有は週次レポートで」「応募者の辞退やトラブルは即時電話連絡で対応」など、明文化しておくことで運用が安定します。
特に遠隔でやり取りするケースが多いRPOにおいては、こうしたコミュニケーション設計が成果を左右します。
5. 進捗や認識をこまめにすり合わせる
「任せっぱなし」にするのではなく、プロセスごとの進捗を可視化し、双方で状況を共有しながら進めることが大切です。
RPO導入後も、進捗レポートへのフィードバックや月次の打ち合わせなどを通じて、現場と委託先の認識を調整することで、精度の高い採用活動を維持できます。
万が一、採用ターゲットや市場環境に変化があった際も、早期に軌道修正がしやすくなります。
6. 費用を事前に試算してお
見積もりを依頼する前に、自社内でおおよその費用イメージを立てておくことで、価格感のずれを防げます。
たとえば、「スカウト業務を週●件で委託したらいくらになるか」「面接代行を月10件行うとしたら」など、仮想的な試算を行っておくと、見積もりの適正性が判断しやすくなります。
また、自社内で対応する場合とのコスト比較も効果的です。
7. 機密保持契約(NDA)を取り交わす
採用活動では、求職者の個人情報や社内の機密情報が多く扱われるため、委託先とは必ず**機密保持契約(NDA)**を締結しておきましょう。
セキュリティポリシーや取り扱い体制の確認も、導入前の大切なチェック項目です。
万が一のトラブルに備えるだけでなく、信頼できるパートナーと安心して連携するための基盤となります。
まとめ:採用代行(RPO)を正しく理解し、最適な形で導入しよう
採用代行(RPO)は、採用活動における工数やリソースの課題を解決し、採用の質とスピードを同時に向上させる手段として、多くの企業に注目されています。特に人事部門が少人数である企業や、採用活動を強化したい時期に限定的な支援を求める企業にとっては、柔軟に活用できる外部パートナーといえるでしょう。
本記事では、RPOの基本的な仕組みから、委託可能な業務領域、料金体系のパターン、導入時の注意点まで、導入検討に必要な情報を網羅的に解説してきました。
RPOの活用は単なる業務の一時的な外注ではなく、自社の採用力を内側から強化していくための戦略的な一手でもあります。長期的な視点で見れば、採用代行会社との連携から得られるノウハウの蓄積や、採用基盤の強化につながることも多くあります。
この記事をきっかけに、自社にとって最適なRPOの導入方法を見出し、採用活動の質とスピードを高めていく一助になれば幸いです。