2026年11月時点で、介護分野で外国人材を受け入れる仕組みは、EPA(経済連携協定)、在留資格「介護」、技能実習、特定技能の4つです。技能実習に代わる「育成就労」は2027年4月1日に始まる予定で、まだ施行されていません(厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」、出入国在留管理庁「育成就労制度」)。
今すぐ採用を考えるなら、中心になるのは特定技能「介護」です。本人は介護の技能試験と日本語の試験に合格している必要があり、事業所は協議会への入会と、生活面まで含めた支援の体制を整える必要があります。
ただ、手続きが整っても、現場で教える人・相談を受ける人・生活を支える人が決まっていなければ、受け入れはうまく回りません。この記事では、制度の要点を一次資料で確認したうえで、採用担当が受け入れ前に決めておきたいことを順番に整理します。
介護分野で外国人を受け入れる4つの制度と育成就労
介護分野の外国人材の受け入れ制度は、目的も、本人に求められる条件も違います。まずは全体像を押さえておくと、相談先や必要な準備を間違えにくくなります。
| 制度 | 概要 | 2026年11月時点の |
|---|---|---|
| EPA(経済連携協定) | 協定にもとづき、介護福祉士候補者を受け入れる | 運用中 |
| 在留資格「介護」 | 介護福祉士の資格を持つ人が介護業務に就く | 運用中 |
| 技能実習 | 技能移転による国際貢献を目的とする制度 | 運用中(育成就労へ移行予定) |
| 特定技能 | 人手不足分野で、一定の技能と日本語力を持つ人が働く | 運用中 |
| 育成就労 | 人手不足分野で人材を育て、確保する制度 | 2027年4月1日施行予定 |
出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」、出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)」
育成就労は、技能実習を「発展的に解消」してつくられる制度です。目的は国際貢献から、人手不足分野での人材の育成・確保へと変わります(出入国在留管理庁「育成就労制度の概要」)。
2026年の時点で「育成就労で募集します」と書くことはできません。求人や社内の説明資料では、施行日を「2027年4月1日施行予定」と書き分けておきましょう。
特定技能「介護」の要件:本人の試験と事業所の手続き
本人に求められること
特定技能1号(介護)で働くには、次の試験に合格している必要があります(厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」)。
- 介護技能評価試験(介護の知識と技能を問う試験)
- 介護日本語評価試験(介護の現場で使う日本語の試験)
- 国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験N4以上
介護職種の技能実習2号を良好に修了した人、介護福祉士養成施設を修了した人、EPA介護福祉士候補者として4年間の在留期間を満了した人は、試験が免除されます(同ページ)。なお、同ページは「試験に合格しても在留資格の付与を保証するものではない」と明記しています。
特定技能1号の在留期間は通算5年です。介護分野は特定技能2号の対象ではありません。理由として、出入国在留管理庁は、すでに専門的・技術的分野の在留資格「介護」があることを挙げています(出入国在留管理庁「育成就労制度の概要」、同「介護分野」)。
5年後も働き続けてもらうには、介護福祉士の資格を取り、在留資格「介護」へ移る道筋を示すことになります。資格取得の支援は、採用時に伝えられる大事な情報です。
事業所に求められること
受け入れる事業所の側にも、次のような要件があります(厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」、出入国在留管理庁「介護分野」)。
- 介護等の業務を行う「対象施設」であること
- 雇用形態は直接雇用であること(派遣は不可)
- 在留資格の申請より前に「介護分野における特定技能・育成就労協議会」へ入会し、入会証明書を受けること(入会費・年会費なし)
- 受け入れから4か月以内に、協議会の申請システムへ外国人の情報を登録すること
任せられる業務は、入浴・食事・排せつの介助などの身体介護と、それに付随するレクリエーションや機能訓練の補助などです(出入国在留管理庁「介護分野」)。
支援計画と登録支援機関
特定技能1号の外国人を受け入れる事業所は、「1号特定技能外国人支援計画」をつくり、仕事と生活の両面を支援する義務があります。支援計画は在留資格の申請時に提出します(出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」)。
義務とされている支援は、次の10項目です。
- 事前ガイダンス(雇用契約の後、入国前に労働条件などを説明)
- 出入国するときの送迎
- 住居の確保や、銀行口座・携帯電話などの契約の支援
- 生活オリエンテーション(日本のルール、災害時の対応など)
- 住居地・社会保障・税などの公的手続への同行
- 日本語を学ぶ機会の提供
- 本人が理解できる言語での相談・苦情への対応
- 日本人との交流の促進
- 事業所の都合で契約を解除する場合の転職支援
- 定期的な面談と、法令違反があったときの行政機関への通報
この支援は、事業所が自分で行うことも、登録支援機関(出入国在留管理庁長官の登録を受けた支援の専門機関)に委託することもできます。全部を委託した場合は、支援体制の基準を満たしたものとみなされます(同ページ)。
出入国在留管理庁は、2026年7月に「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正(令和9年4月1日施行)」を公表しています(出入国在留管理庁「特定技能制度」)。支援の体制を組むときは、改正後の要件も確認してください。
訪問介護でも働ける?2025年からの見直し
訪問系サービスへの従事は、2025年に見直されました。特定技能の外国人は2025年4月21日から、一定の条件のもとで訪問介護などに従事できるようになっています(厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」)。
本人の条件は、介護職員初任者研修の修了などに加え、介護事業所などでの実務経験が原則1年以上あることです。事業所は、次のような事項を守る必要があります(厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービス従事における留意点について」)。
- 利用者・家族への事前の説明
- 訪問介護の基本事項などを学ぶ研修
- 一人で対応できるまでの一定期間、サービス提供責任者などが同行する
- 本人の意向を確認したうえで、キャリアアップ計画をつくる
- ハラスメントの相談窓口の設置などの対策
- ICT(情報通信技術)の活用を含む、緊急時の連絡体制の整備
事業所は、従事を始める前に協議会から「適合確認書」の発行を受けます。キャリアアップ計画は1年を評価期間とし、終了後4か月以内に提出します(厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」)。
訪問介護は、利用者の自宅で一人で対応する場面が多い仕事です。施設で1年働いてから訪問へ広げるなど、段階を決めておくと、本人も現場も見通しを持てます。
育成就労は2027年4月から:いま押さえておきたい違い
育成就労は、3年間の就労を通じて、特定技能1号の水準まで人材を育てる制度です。育成就労から特定技能1号へ進むことが想定されています(出入国在留管理庁「育成就労制度の概要」)。
技能実習との大きな違いの一つは、本人の意向による転籍(勤め先を移ること)が一定の要件のもとで認められる点です。介護分野では、本人の意向による転籍を制限できる期間は2年とされています(同資料)。
介護分野には、育成就労に関する分野ごとの基準も告示されています。主な内容は次のとおりです(法務省・厚生労働省告示「介護分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準等」令和8年3月31日)。
- 事業所ごとに選ぶ育成就労指導員のうち1人以上は、介護福祉士など同等以上の知識・技術を持つ人であること
- 育成就労指導員の数は、育成就労外国人の数を5で割った数以上であること
- 原則として事業所の開設から3年以上たっていること(同じ法人の他の事業所が3年以上の場合などの例外あり)
- 夜勤など少人数での業務や緊急時の対応をさせる場合は、利用者の安全を確保する措置を講じること
育成就労を検討するなら、2027年4月の施行より前に、指導員の配置と育成計画を準備する必要があります。制度の細部はまだ改訂が続いているため、計画を立てる時点の資料で確認してください。
受け入れ前に決めておきたい体制:採用担当のチェックリスト
ここからは、ヨビコム介護の支援担当が、受け入れの準備について事業所に確認している点を紹介します。事業所から寄せられる相談で多いのは、「特定技能で雇うには何が必要か」「日本語での記録や利用者対応をどう教えるか」「住居や生活の支援を誰が担当するか」「訪問系サービスで働けるか」の4つです。
相談を受けたとき、制度の手続きより先に確認しているのが、現場の体制です。日本語力だけで採用を決めると、受け入れた後に現場の負担が一人に集中しがちだからです。
- 介護技術を教えるOJT(仕事をしながらの指導)の担当者が決まっている
- 業務の指示を、短い文と具体的な言葉で伝える準備がある
- 手順書やマニュアルに、ふりがなや図を入れている
- 仕事や生活の困りごとを受ける相談担当者がいる(直属の上司以外も含む)
- 住居・通勤・役所の手続きなど、生活面の担当が決まっている
- 夜勤を一人で任せる基準(どの業務ができたら独り立ちか)を決めている
- 宗教・食事・文化の違いについて、職員どうしで話し合う場がある
- 受け入れ後3か月のトラブル、残業、ヒヤリハットを定期的に確認する
これらは、受け入れに成功した特定の事業所の実績ではなく、支援担当が準備段階で確認している項目です。
急いだときに起きやすいこと
採用を急ぐと、次のようなことが起きやすくなります。
- 在留資格で認められた業務と、実際に任せる業務がずれる
- 必要な研修や日本語の支援が足りない
- 慣れる前に夜勤を任せてしまう
- 住居や通勤など、生活面の準備が間に合わない
- 現場に受け入れ担当がいない
支援担当が特に注意しているのは、「日本語が話せるから、介護記録も安全に書ける」と考えてしまうことです。会話ができることと、記録や申し送りを正確にこなせることは別の力です。
採用した後の相談が、本人の日本語力だけに頼る形になっていないかも確認しましょう。困ったときに、本人が理解できる言葉で相談できる先を用意しておくことが大切です。
採用支援会社と登録支援機関・専門家の役割分担
外国人材の採用には、採用活動と、在留資格の手続き・法律で決められた支援の両方が関わります。どこまでを誰が担うのかを、最初に分けておくと進めやすくなります。
| 担い |
主な |
|---|---|
| 受け入れる事業所 | 雇用契約、現場での育成、支援計画の実施(または委託)、面接と合否の判断 |
| 登録支援機関 | 事業所から委託を受けて行う、1号特定技能外国人の支援 |
| 行政書士などの専門家 | 在留資格の申請に関する手続き |
| ヨビコム介護 | 採用要件の整理、やさしい日本語や多言語での求人原稿づくり、採用広報、応募者への対応の設計、現場インタビュー |
ヨビコム介護は、在留資格の申請の代理や、許可が必要な有料職業紹介は行いません。採用代行(RPO)だけで受け入れが完結するわけではなく、在留資格の手続きや法定の支援は、事業所と登録支援機関などが担います。
求人原稿では「伝え方」を変える
外国人材向けの求人では、短い文で、一文に一つの情報を書くことを基本にしています。専門用語には説明を付けます。
たとえば「夜勤あり」は、「夜に はたらく 日が あります。月に 4回ぐらいです。こまったときは 先ぱいに 電話できます」のように書き換えます(回数は実際の勤務に合わせて確認します)。
やさしく書くことと、条件をあいまいにすることは違います。給与、手当、寮費、休日、勤務地、契約期間は、日本人向けの原稿と同じ正確さで書きます。
求人の表示には、職業安定法で、虚偽や誤解を生む表示の禁止と、内容を正確・最新に保つ義務があります(厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」)。やさしい日本語の原稿でも、この点は変わりません。
関連コラム:やさしい日本語で書く外国人介護人材の求人原稿|言い換えのコツ
よくある質問
育成就労はいつから始まりますか?
一部の規定を除き、2027年4月1日に施行される予定です(出入国在留管理庁「育成就労制度」)。2026年11月時点ではまだ始まっていないため、現在の受け入れは特定技能などの既存の制度で行います。
特定技能の外国人に訪問介護をお願いできますか?
2025年4月21日から、介護職員初任者研修の修了などと、原則1年以上の実務経験がある人は、訪問系サービスに従事できるようになりました。事業所は利用者への説明や同行による訓練などの遵守事項を守り、協議会から適合確認書を受ける必要があります。個別の可否は、最新の手引きで確認してください。
採用代行に任せれば、受け入れまで完結しますか?
完結しません。在留資格の手続きや、支援計画にもとづく法定の支援は、受け入れる事業所の義務です(登録支援機関への委託は可能)。採用支援会社が担えるのは、求人原稿や応募者対応など、採用活動の部分です。
特定技能の外国人は何年働けますか?
特定技能1号の在留期間は通算5年です。介護分野は特定技能2号の対象ではないため、長く働き続けるには、介護福祉士の資格を取って在留資格「介護」へ移るのが一つの道です。
外国人材の受け入れ準備、どこから始めるか相談しませんか
外国人材の受け入れは、制度の手続きと、現場の受け入れ体制、求人原稿の伝え方がそろって初めて進みます。貴事業所の場合、どこから直すとよいか。無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方・応募対応を点検し、優先して見直したい項目をお伝えします。
ヨビコム介護編集部(2026-11-03)
あわせて読みたいページ:採用業務代行/求人媒体運用・スカウト代行/訪問介護の採用支援
出典
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」
- 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
- 厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービス従事における留意点について」(令和7年3月31日)
- 出入国在留管理庁「介護分野」(特定技能)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」
- 出入国在留管理庁「育成就労制度」
- 出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)」
- 法務省・厚生労働省告示「育成就労法施行規則の規定に基づき介護分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準等」(令和8年3月31日)
- 厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」
