介護の人手不足は、統計で見ても深刻です。2024年度の介護関係職種の有効求人倍率は4.08倍で、全職業の1.14倍を大きく上回りました。訪問介護員に限ると、2023年度は14.14倍です(厚生労働省 第248回介護給付費分科会資料、第242回資料)。
一方で、介護職員は2026年度に約240万人が必要と推計されているのに、2024年度の実数は212.6万人で、ここ数年は横ばいから減少しています。
ただ、全国の数字は平均です。応募が集まるかどうかは、地域、資格、夜勤の有無、勤務時間によって大きく変わります。この記事では、主要な統計を年度と出典付きで整理し、数字を自分の事業所の採用にどう生かすかを解説します。
有効求人倍率:介護は全職業の約3.6倍、訪問介護員は14倍超
有効求人倍率は、ハローワークに出ている求人の数を、仕事を探している人の数で割った値です。1倍を超えると、求職者より求人が多い状態を表します。
| 区分 | 有効求人 |
時点 |
|---|---|---|
| 介護関係職種 | 4.08倍 | 2024年度 |
| 全職業 | 1.14倍 | 2024年度 |
| 訪問介護の職業(訪問介護員) | 14.14倍 | 2023年度 |
| 施設介護の職業 | 3.24倍 | 2023年度 |
出典:厚生労働省「職業安定業務統計」(第248回介護給付費分科会 資料1、第242回介護給付費分科会 資料2)。パートタイムを含む常用の値
訪問介護員の倍率は、2020年度14.92倍、2021年度14.76倍、2022年度15.53倍と、14〜15倍台が続いています(第242回資料)。施設介護と比べても、4倍以上の差があります。
地域による差も大きい
都道府県別に見ると、差はさらに広がります。2026年2月の介護関係職種の有効求人倍率は、全国平均が3.96倍で、都道府県によって2.14倍から7.95倍まで開きがありました(厚生労働省 第256回介護給付費分科会資料)。
数字を読むときの注意
- 介護関係職種の範囲は、令和5年度(2023年度)から職業分類が変わっています。それより前と長期で比べるときは注意が必要です
- 訪問介護の倍率について、資料自身が「一部の小分類において(求職者数が)実態より値が小さくなることがある」と注記しています
- 月ごとの値(2026年2月の3.96倍など)は季節で変動するため、年度平均と並べて比べないようにします
必要な介護職員数と実際の職員数
厚生労働省は、第9期介護保険事業計画にもとづき、介護職員の必要数を推計しています(厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。
- 2026年度:約240万人(2022年度比 約25万人増、年6.3万人)
- 2040年度:約272万人(2022年度比 約57万人増、年3.2万人)
- 基準となる2022年度:約215万人
これに対し、実際の介護職員数は、2021年度214.9万人、2022年度215.4万人、2023年度212.6万人、2024年度212.6万人でした(第256回介護給付費分科会資料)。必要数が増えていく見通しの中で、職員数は横ばいから減少に転じています。
現場の不足感と採用・離職の動き
介護労働安定センターの「令和7年度介護労働実態調査」(2026年7月公表)では、事業所の不足感と、採用・離職の動きが次のように示されています(介護労働安定センター)。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 従業員が不足している事業所(「大いに不足」「不足」「やや不足」の合計) | 65.8%(前年度65.2%) |
| 訪問介護員が不足している事業所 | 82.9%(7職種で最も高い) |
| 介護職員が不足している事業所 | 69.8% |
| 離職率(訪問介護員と介護職員の合計) | 12.4%(横ばい) |
| 採用率(同) | 14.6%(2年ぶりに上昇) |
| 訪問介護員の採用率/離職率 | 14.5%/11.6% |
| 29歳以下の離職率(2職種の合計) | 17.3%(ほかの年齢層より高い) |
採用率が離職率を上回ってはいるものの、その差は小さく、必要数の伸びには追いついていません。訪問介護員は、有効求人倍率でも不足感でも、最も厳しい職種です。
統計を踏まえて事業所がまず打つ手
ここからは、ヨビコム介護の支援担当が、統計と現場の採用をどうつなげているかを紹介します。
全国の数字と自施設の数字を分けて考える
支援担当が最初に伝えているのは、「全国で人手不足だから、応募が来ないのは仕方ない」と考えて止まらないことです。全国の統計は平均で、自施設の応募状況は、地域、資格、夜勤、勤務時間で大きく変わります。
難しくなりやすいのは、「資格×時間帯×地域」の条件が絞られる職種です。訪問介護員、夜勤が必須の介護福祉士、サービス提供責任者、看護職、ケアマネジャーなどが当てはまります。郊外や中山間地では、移動時間や車通勤の条件、そもそもの候補者の数も制約になります。
地域の状況は、ハローワークの地域別の求人数・有効求人倍率と、近くの事業所の求人条件で確認します。「この地域が全国で最も厳しい」といった決めつけはしません。
優先して取り組む6つの手
支援担当が事業所に勧めている順番は、次のとおりです。
- 欠員と、今後6か月に必要な職種・人数を、配置基準も含めて計算する
- 応募までの流れを分解して見る(求人の表示→応募→面接→採用→入職90日後の定着)
- 給与と、夜勤・移動・研修の条件を、求人原稿に具体的に書く
- 応募があった当日に連絡できる体制をつくる(遅くとも営業日24時間以内)
- ハローワーク、福祉のお仕事、求人検索サービスを、職種ごとに使い分けて運用する
- 緊急の欠員には、人材紹介も併用する
地域の需給だけを見て、広告の量を増やすことは勧めていません。どこで応募者が離れているかを先に確かめるほうが、費用をかけずに改善できることが多いからです。
採用できている事業所に共通すること
人手不足の中でも採用できている事業所には、共通点があります。夜勤の人数・手当・研修・休憩・送迎や移動・オンコールといった、応募者が不安に思う点を原稿で具体的に書いていること。応募の当日に対応し、現場の見学を用意していること。資格取得と未経験者の採用を、育成とセットで組み立てていることです。
人材紹介と直接の応募、それぞれの経路から何人採用できたかを追いかけていることも、共通点の一つです。
支援事例:株式会社ideinさま
介護・福祉の事業を行う株式会社ideinさまは、ナーシングホームの新規立ち上げで、複数の職種の人材確保が必要でした。専任の採用担当がいない中、ヨビコム介護が求人広告にとどまらず採用全体を支援し、採用の進み具合を見える化しました。導入当初は10名程度の体制でしたが、累計35名以上が新たに加わっています(導入事例)。
※同様の成果を保証するものではありません。
避けたい判断
- 全職種をまとめて一つの求人にする
- 夜勤の負担を伏せたまま採用する
- 調査の年度、分母、職種を確認せずに数字を引用する
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よくある質問
人手不足なら、給与を上げないと採用は無理ですか?
条件の改善は大切ですが、それだけではありません。仕事内容を具体的に書くこと、育成の仕組み、応募への素早い対応、採用経路の見直しも重要です。介護労働実態調査では、方策を実施した事業所のうち「採用に効果があった」とする割合が最も高かったのは「賃金水準の向上」(38.4%)でした。ただし、ほかの方策にも効果を感じている事業所があります(介護労働安定センター)。
訪問介護だけが特に厳しいのですか?
全国の統計では、訪問介護員の有効求人倍率(2023年度14.14倍)も不足感(82.9%)も、ほかの職種より高くなっています。自施設については、地域別の求人倍率、資格要件、移動の負担を比べて判断します。
採用の目標は何で測ればよいですか?
応募数だけでなく、入職して90日後も働いている人数を目標にすることを勧めています。応募が多くても早く辞めてしまえば、現場の負担は減らないからです。
信頼できるデータはどこで見られますか?
厚生労働省の介護給付費分科会の資料(職業安定業務統計)と、介護労働安定センターの「介護労働実態調査」が代表的です。引用するときは、年度と、どの職種の数字かを必ず添えましょう。
自施設の数字から、打ち手を決めませんか
全国の人手不足のデータは、変えられない前提です。変えられるのは、自施設の求人原稿、応募対応、採用経路です。貴事業所の場合、どこから直すとよいか。無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方・応募対応を点検し、優先して見直したい項目をお伝えします。
ヨビコム介護編集部(2026-11-03)
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