デイサービスの求人では、「送迎あり」「入浴介助あり」と書くだけでは足りません。求職者が知りたいのは、運転するのか、どの車で、どの範囲を、週に何日担当するのか。入浴なら、1日に何人を、どんな設備で、何人体制で介助するのかです。
この記事では、送迎と入浴介助を求人原稿に書くときの項目と記載例、「運転なし」「入浴なし」の求人を出す前に確かめること、採用担当と施設長でそろえておく判断基準を順に紹介します。結論を先に言うと、送迎と
「送迎あり」「入浴介助あり」だけでは伝わらない理由
デイサービスの仕事のうち、送迎と入浴は、求職者が不安を感じやすい業務です。送迎は事故の心配や運転への苦手意識につながり、入浴介助は体への負担が想像しやすいからです。
ヨビコム介護の支援担当によると、求職者が気にしているのは次のような点です。
- 送迎:運転の有無、車種、運転する範囲、必要な免許、添乗(同乗)する職員の有無、事故が起きたときの対応、雨の日や朝夕の道路事情
- 入浴:1日に担当する人数、機械浴か一般浴か、立ち上がりや移乗の介助を何人で行うか、体への負担、感染対策
求人情報サイトで仕事を探す人は、複数のデイを並べて比べます。介護労働安定センターの調査では、勤続1年未満の介護労働者が今の法人に就職した経路として「求人情報サイト」が21.3%を占め、「友人・知人からの紹介」(29.3%)に次いで多くなっています(令和7年度介護労働実態調査)。比べられる場面で中身が分からない求人は、応募の候補から外れやすくなります。
送迎の書き方:車種・範囲・頻度・研修をそろえる
送迎は、次の5つをそろえると具体的になります。
| 項目 | 書く |
記載 |
|---|---|---|
| 担当の形 | 運転か、添乗か、両方か | 運転担当(添乗職員あり)/添乗のみ |
| 車種 | 実際に使う車 | 軽自動車・普通乗用車(車いす対応車あり) |
| 範囲 | 事業所からの距離や地域 | 事業所から片道○km圏内 |
| 頻度 | 週あたりの担当日数、朝夕の別 | 運転は週○日程度、朝・夕どちらも |
| 研修 | 独り立ちまでの流れ | 先輩の同乗研修○回のあと独り立ち |
記載例としては、「送迎あり:軽自動車・普通乗用車。事業所から片道○km圏内。運転担当は週○日程度。最初は先輩職員が同乗する研修を○回行います」のような書き方です。○の部分は、事業所の実態に合わせて埋めてください。
必要な免許は「普通免許」とだけ書かず、運転してもらう車種とあわせて書きます。普通免許で運転できる車の範囲は、免許を取った時期や車の重さなどで変わるためです(警察庁「準中型免許」リーフレット)。乗車人数の多い送迎車を使う場合は、その車を運転できる免許かどうかを面接前に確認できるようにしておきます。
事故が起きたときの対応も、求職者がよく尋ねる点です。加入している保険と、事故のときに誰へどう報告するかの手順を、面接で説明できるようにしておきましょう。
入浴介助の書き方:人数・方式・体制を数字で示す
入浴介助は、「入浴介助あり」の一言から、次の3つに分けて書きます。
- 人数:1日に入浴する利用者の数と、そのうち自分が担当するおおよその人数
- 方式:一般浴(個浴・大浴場)か、機械浴(リフトやストレッチャー浴など)か
- 体制:浴室内の介助、着替え、誘導を何人で分担しているか
記載例は「入浴介助あり:1日○名程度。一般浴と機械浴(リフトあり)。浴室内は○人体制で、着替え・誘導は別の職員が担当します」です。機器の名前は、実際に設置しているものだけを書きます。
体への負担が気になる人には、「移乗はリフトを使う」「立ち上がりの介助は2人で行う」など、負担を減らす工夫を具体的に示すと伝わります。ただし、実際の運用と違うことは書かないでください。
「運転なし」「入浴なし」の求人を出す前の判断基準
運転が苦手な人や、入浴介助に不安がある人にも応募してほしいとき、「送迎の運転なし」「入浴介助なし」の求人を別に出す方法があります。ただし、出す前に次の条件を確かめることが前提です。
- 運転を専門に担当する職員や、運転と添乗を分けられる職員が別にいる
- 入浴を専任で担当する職員がいて、フロア担当と分けられる
- その職員が休んだ日も、人員配置の上で「運転なし」「入浴なし」を守れる
- 施設長と採用担当が、その条件を守ることに合意している
ヨビコム介護の支援担当は、人員配置に合わない例外を約束しないことを重視しています。条件を満たせないのに「運転なし」と書くと、入職後に約束が守れなくなるからです。
条件を満たさない場合は、免除を約束するのではなく、不安を減らす材料を示します。同乗研修の回数、福祉用具などの補助具、経験者と組む体制などです。「運転は練習してから担当してもらう」のように、段階を書くのも一つの方法です。
採用担当と施設長で決めておく「必須・相談可・免除不可」
ヨビコム介護の支援担当が、このテーマで起こり得る失敗として挙げているのは次のようなケースです。
- 送迎が必須なのに、求人に書いていない
- 「普通免許」とだけ書き、実際には大きな車の運転を求めている
- 入浴介助の人数や機器を伏せている
- 運転や入浴ができない応募者を、面接の後になって初めて断る
どれも、採用担当と現場で業務の扱いがそろっていないことが原因です。そこで、送迎(運転・添乗)と入浴介助のそれぞれについて、「必須」「相談可」「免除不可」のどれに当たるかを施設長と決め、求人原稿と面接の説明を統一します。
2024年4月からは、求人で明示する労働条件に「従事すべき業務の変更の範囲」が加わりました(厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます」)。「変更の範囲」とは、雇い入れ直後だけでなく、将来の配置転換なども含めた契約期間中の見込みのことです。今は担当しない送迎を将来お願いする可能性があるなら、その見込みも書いておく必要があります。
また、求人情報は虚偽や誤解を生む表示が禁止され、正確で最新の内容に保つことが求められています(厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」、職業安定法、2022年10月施行)。送迎や入浴の担当が変わったら、求人媒体・自社サイト・ハローワークの求人をすべて直しましょう。
応募から面接までに確認しておくこと
求人原稿で中身を示したら、応募の段階でも確認の仕組みをつくります。ヨビコム介護の支援担当は、応募前の確認フォームで「運転できるか」「入浴介助の経験があるか」を任意で尋ねる方法を勧めています。答えによって不採用にするためではなく、面接で何を説明すればよいかを事前に把握するためです。
面接では、送迎の車種と範囲、入浴の人数と体制を、求人原稿と同じ言葉で説明します。求職者からの質問には、実際の勤務表や直近の担当実績をもとに答えると、話がぶれません。面接の実施と合否の判断は事業所が行い、応募への一次連絡は当日中、遅くとも営業日24時間以内を目安にすると、他のデイに先を越されにくくなります。
関連ページ:デイサービスの採用支援/介護職の採用支援/求人媒体運用・スカウト代行
よくある質問
Q. 運転は必須と書くべきですか?
A. 実際の職務の分け方で決めます。全員が運転を担当するなら「必須」と書き、車種と頻度を添えます。運転担当と添乗担当を分けているなら、職務ごとに分けて書くと誤解が生まれにくくなります。
Q. 入浴介助は毎日ありますか、と聞かれたらどう答えますか?
A. 週あたり、1日あたりの平均的な担当数と、何人で介助しているかを示して答えます。曜日によって入浴の多い日があるなら、それも伝えておきます。
Q. 未経験の人にも送迎や入浴をお願いできますか?
A. 同乗研修や先輩との同行、安全のための手順を説明できれば、未経験の人にも任せやすくなります。独り立ちまでの流れを求人に書いておくと、応募の不安が減ります。
Q. 送迎中の事故が心配だという応募者には何を伝えますか?
A. 加入している保険と、事故が起きたときの報告の手順を伝えます。運転前の研修や、慣れるまでは近い範囲から担当してもらうなどの配慮があれば、あわせて説明します。
送迎・入浴の書き方を、求人原稿ごと見直しませんか
貴事業所の場合、どこから直すとよいか。無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方・応募対応を点検し、優先して見直したい項目をお伝えします。
