介護の採用サイトに載せるべき項目は、通勤・アクセス、1日の流れ、勤務時間と夜勤体制、給与モデル(内訳と前提つき)、研修と資格取得の支援、職員の声、応募・見学への導線の7つです。求職者が「自分がここで働いたらどうなるか」を具体的に想像できる情報をそろえることが目的です。
あわせて大切なのが、書き方の正確さです。給与モデルは前提を示し、夜勤や負担の大きい業務も隠さずに書きます。この記事では、ヨビコム介護の支援担当の知見と公的な調査をもとに、項目ごとの書き方と、載せないほうがよい情報を整理します。
介護事業所が採用サイトを持つ意味
公益財団法人介護労働安定センターの「令和7年度介護労働実態調査」では、事業所のホームページで自事業所のアピールポイントを求職者に発信している事業所は36.8%で、そのうち24.4%が「採用に効果があった」と回答しています(令和7年度介護労働実態調査 結果のポイント、図表2-1-1)。
一方で、勤続1年未満の介護労働者が就職した経路は、「友人・知人からの紹介」29.3%、「求人情報サイト」21.3%、「ハローワーク」19.9%が上位で、「法人又は施設・事業所のホームページ」は3.5%でした(同 図表2-2-1)。採用サイトは、それだけで応募を集めるというより、求人サイトや紹介で事業所を知った人が「応募する前に確かめる場所」として働きます。
制度の面でも、採用情報の公開は意味を持ち始めています。2026年6月の算定分から、突発的な欠員で人員基準を1割以内で下回った場合に減算を一時的に猶予する特例が設けられました。その留意事項には、ハローワークなどを活用している場合でも「当該事業所が自ら採用情報をウェブサイトで公表する等、職員の確保に係る取組を積極的に行っていることが望ましい」と書かれています(厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1502」)。これは「望ましい」とされているもので、必須の条件ではありません。なお、この特例の対象に訪問介護は含まれません。
求職者が知りたいことから項目を決める
同じ調査で、勤続1年未満の人が今の法人に就職した理由は、「通勤が便利だから」52.1%、「職場の人間関係がよさそうだったため」41.7%、「自分のやりたい介護ができそうだったため」40.3%、「時間外労働が少ないため」30.5%などでした(同調査 結果のポイント、図表2-4-1)。
ヨビコム介護の支援担当も、求職者が重視するのは給与・福利厚生、1日の仕事の流れ、勤務時間・夜勤体制、立地・交通・駐車場、研修・資格支援、職員の声、応募・見学への導線だと考えています。ただし、どのページがよく見られているかは事業所によって異なります。公開後はアクセス解析で実際の閲覧状況を確かめてください。
載せるべき7つの項目と書き方
| 項目 | 書く |
書き方の |
|---|---|---|
| 通勤・アクセス | 最寄り駅・バス停からの道のり、車通勤の可否、駐車場 | 事業所ごとに分けて書く |
| 1日の流れ | 出勤から退勤までの時間割(日勤・遅番・夜勤など) | 利用者さんが写らない写真や図で |
| 勤務時間・夜勤体制 | 勤務パターン、夜勤の回数の目安、夜勤の人数、休憩、困ったときの連絡先 | 夜勤がない職種・雇用形態も明記 |
| 給与モデル | 固定給と変動給を分けた内訳、前提条件 | 次の節を参照 |
| 研修・資格支援 | 入職後1か月の研修の流れ、資格取得の費用補助と条件 | 時系列で書く |
| 職員の声 | 入職の理由、良い点、大変な点 | 本人の同意を取ったうえで |
| 応募・見学の導線 | 職種別の募集要項、応募フォーム、見学の申し込み | スマートフォンで迷わず進めるか |
夜勤体制は「人数」と「相談先」まで書く
夜勤は、未経験者や子育て中の人がとくに気にする項目です。「夜勤あり」だけでなく、1回の夜勤の時間、夜勤の人数、休憩の取り方、急変時に誰へ連絡するかまで書くと、不安が具体的な判断材料に変わります。夜勤をいつから任せるかの基準もあわせて示しましょう。
1日の流れは職種・勤務帯ごとに
介護職員、看護職員、生活相談員などでは1日の流れが異なります。職種や勤務帯ごとに分けて書くと、求職者は自分の働き方に当てはめて読めます。
給与モデルの正しい見せ方
給与モデルは、求職者が最も注目する項目の一つです。支援担当がすすめているルールは次のとおりです。
- 固定給を
先に :基本給と、毎月決まって支払われる手当を表にする示す - 変動する
部分を :夜勤の回数や残業時間によって変わる部分は、回数や時間の前提とともに分けて書く別の 欄に する - 支給の
条件を :資格手当、役職手当、処遇改善による手当などは、支給の条件と支払い方(毎月か、一時金か)を書く書く - 確定していない
ものは :賞与や、金額が確定していない加算による支給分は、月額の確定分に入れない月額に 含めない
計算例
以下は書き方を示すための計算例です。実際の金額は、事業所の給与規程に置き換えてください。
月収例:基本給22万円+資格手当1万円+処遇改善手当2万円+夜勤手当6,000円×4回=27.4万円
(夜勤月4回の場合。夜勤手当は回数によって変わります)
職業安定法にもとづく厚生労働省の資料では、モデル収入例を必ず支払われる基本給のように表示することや、固定残業代を採用する場合に基礎となる労働時間数などを示さずに基本給に含めて表示することを、してはならない例として挙げています(厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」)。月収例を載せるときは、「夜勤4回の場合」のように前提を必ず添えてください。
載せないほうがよい情報・表現
支援担当が、採用サイトに載せないほうがよいと考えているのは次のようなものです。
- 利用者さん個人が特定できる写真やエピソード
- 実際には提供していない手当や休暇
- 確定していない処遇改善による賃金
- 実態より高く見える平均年収
- 夜勤やオンコールの負担を隠した「残業なし」
- 本人の同意を取っていない職員のプロフィール
- 外部の素材の無断転載
求人情報は、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示が禁止され、正確で最新の内容に保つことが義務づけられています。募集を終えたり内容を変えたりしたら、自社の採用ウェブサイトも速やかに更新し、いつの時点の情報かを明らかにすることが求められています(厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」)。採用サイトでは、施設や職員を良く見せることより、書いた内容を確かめられることのほうが大切です。
採用サイトでよくある失敗
支援の中で見かける失敗には、次のようなものがあります。
- 法人のホームページから、採用ページにたどり着けない
- スマートフォンで見ると、応募フォームが長すぎる
- 給与モデルに前提が書かれていない
- 複数の事業所の条件を一つにまとめてしまい、勤務地ごとの違いが分からない
- 動画はあるが、職種別の募集要項や応募フォームへの導線がない
支援担当がすすめる確認方法は、求職者の立場で、トップページから3回のクリック以内に募集要項や応募フォームまで進めるかを、実際にスマートフォンで試してみることです。
ヨビコム介護が支援した株式会社ideinさま(介護・福祉、ナーシングホームの新規立ち上げ)では、採用サイトの整備と求人運用の強化、Instagramでの発信を組み合わせ、導入当初10名程度の体制から累計35名以上が新たに加わりました(導入事例)。同様の成果を保証するものではありません。
採用サイトの公開前チェックリスト
- 事業所ごとの通勤・アクセス・駐車場を書いた
- 職種・勤務帯ごとの1日の流れを載せた
- 夜勤の回数の目安、人数、休憩、連絡先を書いた
- 給与モデルを固定給と変動給に分け、前提を添えた
- 手当の支給条件と支払い方を書いた
- 職員の写真・声は本人の同意を取った
- 利用者さんが特定できる情報が入っていない
- スマートフォンで3クリック以内に応募・見学へ進める
- 情報の更新日を表示した
よくある質問
施設の公式サイトと採用サイトは分けたほうがよいですか?
更新を担当できる体制、募集する職種の数、採用ページへの流入の状況を見て判断します。分けない場合も、公式サイトのトップから採用情報に迷わずたどり着けるようにしておきましょう。
給与モデルは載せたほうがよいですか?
内訳と前提条件をあわせて示せば、求職者の理解が深まります。前提のない月収例は誤解のもとになるため、夜勤の回数や資格の有無などの条件を必ず添えてください。
写真には誰を載せればよいですか?
本人の同意を得た職員と、撮影を許可したエリアだけにします。利用者さんが写り込まないよう、撮影の場所と時間を決めてから撮りましょう。
採用サイトの成果はどう測ればよいですか?
問い合わせ、見学の申し込み、応募、採用までをつなげて見ます。公開前と公開後で、職種別の応募数や面接に進んだ割合を記録しておくと比較できます。
採用サイトを、応募につながる形に
採用サイトは、求人やSNSから来た求職者が最後に確かめる場所です。ヨビコム介護では、介護事業所の採用サイト制作(40万円〜(税別))を、求人原稿や媒体の運用とつなげて支援しています。
貴事業所の場合、どこから直すとよいか。無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方・応募対応を点検し、優先して見直したい項目をお伝えします。
