介護施設の立ち上げでは、開設日から
この記事では、開設の何か月前から動くかの目安、入居ペースに合わせた段階採用の考え方、大量採用で起きやすい問題、ナーシングホームの立ち上げで採用を支援した事例を紹介します。
開設の何か月前から動くか:逆算の目安
ヨビコム介護の支援担当が、開設時の採用計画のたたき台として示している逆算モデルは次のとおりです。施設の規模や、資格職の採りにくさによって変わる目安です。
| 時期 | やる |
|---|---|
| 開設の6か月前 | 職種ごとの採用要件、人数、待遇を決める |
| 4〜5か月前 | 採用ページを公開し、求人媒体での募集を始める |
| 2〜3か月前 | 主要な職種の内定を出す |
| 1か月前 | 研修とシフトを確定する |
看護師や介護職など多くの職種を一度に大量に採用する施設では、さらに前倒しが必要です。また、このモデルは採用の目安です。自治体への指定申請や開設の届け出の期限は、別に確認してください。
入居の増え方に合わせた段階採用の設計
開設時にすべての職員をそろえる必要はありません。一方で、人が足りなければ入居の受け入れを止めることになります。そこで、入居者の増え方に合わせて採用を段階的に進めます。ヨビコム介護の支援担当が計画に入れている要素は次のとおりです。
- 開設時に必要な、基準上の最低限の配置
- 開設時の入居者数と、1か月後・3か月後・6か月後の入居の見込み
- 夜勤と日勤のシフト
- 介護福祉士、看護師、管理職、ケアマネジャーなど資格職の要件
- 研修にかかる期間
- 内定辞退や早期離職に備えた予備の人数
計算
人数の根拠になる配置の基準は、施設の種類によって違います。指定権者の基準や、施設の運営方針と照らし合わせてください。
大量採用で起きやすい問題
開設時の大量採用では、次のような問題が起きやすくなります。ヨビコム介護の支援担当が、事前に確認しておきたい点として挙げているものです。
- 入居の立ち上がりと採用のペースがずれる(人が多すぎて人件費を圧迫する、または足りずに受け入れを止める)
- 職種によって採りやすさが違い、一部の職種だけが遅れる
- 内定から開設までの待機期間に、内定者の気持ちが離れる
- 教える側の職員が足りない
- 同じ時期に入った職員どうしで、仕事の進め方やルールがそろわない
- 資格証や入職書類がそろわない
- 開設の最初の月に、夜勤の配置がうまく組めない
どれも、採用数だけを追っていると見落としがちです。判断の基準は、冒頭で触れた「開設日までに独り立ちできる人数」です。内定者の研修の予定と、開設前に勤務できる日を、職種ごとに一覧で管理しましょう。
内定から開設までの待機期間には、内定者との接点を途切れさせない工夫が必要です。開設準備の進み具合を定期的に知らせる、建物が完成したら内定者向けの見学の機会を設ける、開設前研修の日程と、その間の給与や交通費の扱いを内定の時点で伝える、といった方法があります。前の職場を辞める時期の相談に乗ることも、辞退を防ぐ助けになります。
事例:ナーシングホームの立ち上げを採用面から支援
株式会社ideinさまは、ナーシングホームを新たに立ち上げるにあたり、看護師を含む複数の職種で人材を確保する必要がありました。採用を専任で担当する部署はなく、広報担当や管理職が兼任している状態でした(導入事例:株式会社idein)。
ヨビコム介護は、外部の採用担当として伴走しました。主な取り組みは次のとおりです。
- 採用の状況を定期的に確認し、できていることと改善が必要なことを整理する
- 求人広告だけでなく、採用サイトや応募までの導線も含めて設計する
- 採用サイトやInstagramでの発信を整える
- 採用を外に任せきりにせず、社内に知見が残る形で進める
その結果、導入当初10名程度の体制から、累計35名以上が新たに加わりました。※同様の成果を保証するものではありません。
この事例で参考になるのは、複数の職種の採用を並行して進めるために、採用の進み具合を見える形にしたことです。職種ごとの進み具合が一目で分かれば、遅れている職種に早く手を打てます。
避けたい失敗と、進捗の管理方法
ヨビコム介護の支援担当が、起こり得る失敗として挙げているのは次のようなケースです。
- 施設のオープンを告知してから、初めて募集を始める
- 面接の日程を、施設長が一人で管理している
- 内定辞退の割合を、採用計画に織り込んでいない
- 職種ごとに求人を分けず、条件が伝わらない
- 開設前の研修の給与や交通費を決めていない
防ぐ方法は、役割ごとの応募者の進捗表をつくり、週に1回見直すことです。内定者については、研修の予定と出勤できる日まで管理します。応募への一次連絡は当日中、遅くとも営業日24時間以内を目安にし、面接の実施と合否の判断は事業所が行います。
募集の経路は一つに絞らないことも大切です。介護労働安定センターの調査では、勤続1年未満の介護労働者が今の法人に就職した経路は、「友人・知人からの紹介」29.3%、「求人情報サイト」21.3%、「ハローワーク」19.9%の順でした。また、就職した理由は「通勤に便利だから」が52.1%で最も高くなっています(令和7年度介護労働実態調査)。開設の告知とあわせて、近隣に住む人に届く経路を複数用意しておきましょう。
よくある質問
Q. 開設の何か月前から採用を始めればよいですか?
A. 目安は6か月前に採用の条件を決めることです。資格職が多い場合や、施設の規模が大きい場合は、さらに前倒しします。
Q. 入居者が少ないうちから人を雇うのは無駄ではありませんか?
A. 基準上の配置、研修の期間、財務の負担のバランスで計画します。研修を終えて独り立ちできるまでの期間を考えると、入居が増えてから採用を始めるのでは間に合わないことがあります。
Q. 募集広告はいつ出せばよいですか?
A. 職種ごとの条件が決まってから、開設の告知と並行して出します。条件が固まる前に出すと、後で内容を変えることになり、求職者に誤解を与えかねません。
Q. 採用業務の外部委託(RPO)は立ち上げに向いていますか?
A. 専任の採用担当がいない場合や、複数の職種を並行して管理する場合は、役割を分担する方法として有効です。任せる範囲に合わせてプランを組み立てられます。
立ち上げの採用計画、逆算から一緒に組みませんか
貴事業所の場合、どこから直すとよいか。無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方・応募対応を点検し、優先して見直したい項目をお伝えします。開設を控えた事業所には、開設日から逆算した採用の進め方もご相談いただけます。
