グループホームの夜勤職員を採用し定着させる求人と受け入れ体制

グループホームの夜勤職員を採用し、辞めずに続けてもらうには、まず求人で夜勤の中身を数字で伝えることです。求職者が知りたいのは「夜勤あり」の一語ではありません。「何人で何人の入居者を見るのか」「緊急時は誰に頼れるのか」「休憩と仮眠は実際に取れるのか」「夜勤明けはどうなるのか」「月に何回か」の5点です。

そのうえで、入職してから夜勤に一人で入るまでの手順を決めておきます。この記事では、人員基準と労働時間のルールを確かめたうえで、求人に書く項目の例、誤解を生む表現、受け入れの手順を順にまとめます。

グループホームの夜勤体制で、基準が決めていること

求人を書く前に、夜勤の人数のうち「基準で決まっている部分」と「事業所ごとに違う部分」を分けておきます。ここが混ざると、求人の説明がぶれやすくなります。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の人員基準は、厚生労働省令で定められています。夜間と深夜の時間帯は、共同生活住居(いわゆるユニット)ごとに、夜勤を行う介護従業者を1人以上置くことになっています。この夜勤には宿直勤務は含まれません(指定地域密着型サービス基準 第90条)。

項目 基準の内容
1事業所の共同生活住居の数 1以上3以下(第93条)
1つの共同生活住居の入居定員 5人以上9人以下(第93条)
夜間・深夜の介護従業者 共同生活住居ごとに夜勤1人以上(宿直は除く。第90条)
3ユニットの例外 3つの住居がすべて同じ階で隣接し、状況把握と速やかな対応ができる構造で、安全対策が講じられている場合は、事業所全体で夜勤2人以上とすることができる(第90条ただし書)

介護報酬の算定でも、同じ考え方の夜勤基準が告示で定められています(厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準)。

つまり基準上は、1ユニットを夜勤1人で担当する体制が認められています。求職者の不安は「一人かどうか」だけではなく、一人の時間に何が起き、誰が支えるかにあります。ここを求人で具体的に示せるかどうかが分かれ目です。

一人夜勤の伝え方に絞った内容は、関連コラム:グループホームの夜勤人数と「一人夜勤」を求人でどう伝えるかで詳しく扱います。

求職者が夜勤で不安に思う5つのこと

ヨビコム介護の支援担当によると、グループホームの夜勤について求職者から出る質問は、おおむね次の5つに集まります。

  1. 夜間は何人で、何人の入居者を見るのか
  2. 急変や転倒のとき、一人で判断しなければならないのか
  3. 仮眠は本当に取れるのか
  4. 夜勤明けの勤務はどうなるのか
  5. 月に何回入れば、生活のリズムを作れるのか

どれも「夜勤あり」「夜勤手当あり」だけでは答えになっていません。支援担当は、ユニットやフロアごとの人員、緊急時のバックアップ、休憩の取得の実態を、幅を持たせてでも数字で示すよう事業所にお願いしています。

求人に書く夜勤情報の項目と記載例

次の記載例は、支援の現場で使っている型です。○の部分は、事業所の直近の勤務表や労務記録を見て埋めてください。分からない項目は空欄のまま公開せず、確認してから載せます。

夜勤 16:00〜翌9:00(休憩・仮眠 合計○時間。取得の実態は面接で説明します)
1ユニット入居者○名に対し、夜勤者○名(事業所全体では○名)
夜勤回数 月○〜○回(シフトは前月○日までに確定)
夜勤手当 1回○円(深夜割増賃金とは別に支給)
緊急時は管理者へ連絡。協力医療機関と連携しています
初めての夜勤は先輩と○回同行してから

書くときに押さえたい法令のポイントは4つです。

  • 休憩:労働時間が8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に与え、自由に利用させる必要があります(労働基準法 第34条)。厚生労働省のパンフレットでも、代わりの人がいないため夜勤帯の休憩が取れていない例への注意が示されています(介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント)。
  • 仮眠と待機:呼ばれたらすぐ対応することを求められ、労働から離れることが保障されていない待機は「手待時間」で、労働時間として扱います(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン)。「仮眠あり」と書くなら、それが休憩なのか待機なのかを社内で整理してから書きます。
  • 深夜割増:午後10時から午前5時までの労働には、通常の賃金の25%以上の割増賃金が必要です(労働基準法 第37条第4項)。夜勤手当がこれと別なのか、含むのかを書き分けます。
  • 長時間の夜勤:1日8時間を超える夜勤を所定の勤務として組む場合は、1か月単位の変形労働時間制など(労働基準法 第32条の2ほか)の定めが前提になります。求人には「拘束時間」と「休憩を除いた実働時間」の両方を書くと誤解が減ります。

なお、夜勤明けの日は暦日の休みにならないため、法定休日には当たりません(前掲パンフレット)。「夜勤明け・休み」を休日の日数に数えていないか、求人の休日表記も確かめてください。

1晩の流れ(夜勤フロー表)を添える

項目を並べるだけでは、夜勤の忙しさは伝わりません。支援担当は、1晩の流れを時刻つきで示す「夜勤フロー表」を求人や採用ページに添えることを勧めています。次は書き方の例です。時刻や内容は、必ず自事業所の実際の流れに置き換えてください。

時刻(例) 主な業務(例)
16:00 日勤者から申し送り。入居者の体調と服薬を確認
17:30〜19:00 夕食の準備・介助、口腔ケア
19:00〜21:00 就寝の介助。記録
22:00〜翌5:00 定時の巡回、排泄介助、コール対応。この間に休憩・仮眠○時間
6:00〜8:00 起床の介助、朝食の準備・介助
8:30〜9:00 日勤者へ申し送り、記録の仕上げ

フロー表で大事なのは、休憩・仮眠をどの時間帯に取るのか、その間のコールは誰が受けるのかまで書くことです。ここが空白だと、「結局休めないのでは」という不安が残ります。

面接で見せるものを決めておく

求人に書ききれない部分は、面接で補います。次のものを面接で見せられるように準備しておくと、誰が面接しても説明がぶれません。

  • 直近3か月の夜勤の勤務表(職員の氏名は伏せる)
  • 夜間の緊急連絡の流れ(誰に、どの順番で連絡するか)
  • 独り立ち判定表(後述)
  • 見学の際に、夜勤を担当している職員と話せる時間

「実績の幅」を見せることがポイントです。「休憩は取れます」と言い切るより、「取れなかった日は月に○回ほどあり、その日は○○で調整しています」と伝えるほうが、夜勤経験のある人には納得してもらいやすい、というのが支援担当の見方です。

誤解を生む表現と、書き換えの例

求人には、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならず、内容を正確・最新に保つ義務があります(職業安定法の的確表示義務、厚生労働省リーフレット)。夜勤の表記で、支援担当が事業所に見直しをお願いすることが多いのは次の表現です。

避けたい表現 何が問題か 書き換えの例
夜勤はラク/基本的に寝られる 入居者の状態や日によって違い、断定できない 休憩・仮眠○時間。直近3か月で取れなかった日は月○回程度
緊急対応なし 夜間の急変はゼロにできない 急変時は管理者へ電話。応援が必要な場合の手順あり
必ず二人体制 配置日や欠員で変わる 原則○名体制。欠員時は○○で対応
夜勤手当○万円 月額か1回あたりか分からない 夜勤手当 1回○円(月○回で○円の計算例)
夜勤者複数在籍 同じユニットに一人なのに複数と誤解される 夜間は1ユニット1名。事業所全体では○名

最後の例は特に注意が必要です。ユニットごとには1人なのに、事業所全体の人数だけを書くと、入職後に「聞いていた話と違う」と受け止められます。

夜勤に入るまでの受け入れ手順(現場の判断基準)

少人数の職場では、入職から夜勤の独り立ちまでの流れを決めておくことが定着に直結します。支援担当が事業所にお願いしている手順は次のとおりです。

  • 入職後1〜2週間は日勤で同行し、入居者一人ひとりの状態と日勤の業務をつかむ
  • 夜勤に入る前に、急変・転倒・徘徊を想定した緊急対応のロールプレイを行う
  • 相談相手となるメンターを一人に固定する
  • 入職7日目と30日目に面談する
  • 夜勤明けには体調を確認する
  • 事故やヒヤリハットの情報を、夜勤者にも共有する
  • 相談先を管理者だけにせず、複数用意する

判断の基準は「独り立ち判定表」を文書にすることです。同行回数、緊急時の連絡手順の理解、記録の書き方などを項目にし、満たしたら一人で夜勤に入ります。

人員に余裕がない時期ほど、判定を急ぎたくなります。それでも、運用できない約束(例:「夜勤は○回同行してから」)は求人に書かないでください。書いた約束が守られないことが、早期離職の引き金になりやすいからです。

健康面では、深夜業を含む業務に常時就く人には、配置替えの際と6か月以内ごとに1回の健康診断が必要です(労働安全衛生規則 第45条)。夜勤の多い職員の健診時期も、受け入れ計画に入れておきます。

よくある失敗と、その防ぎ方

支援担当が挙げる「やりがちな失敗」は4つです。どれも求人の書き方と、入職後の運用のずれから起きます。

  • 夜勤の開始を早めすぎる:人手が足りず、同行が終わる前に一人で夜勤に入ってもらう。不安が残ったまま夜勤が続き、辞める理由になる
  • 夜勤回数が説明より増える:欠員が出ると、面接で伝えた回数を超えて夜勤が入る。事前に「欠員時の上限」を決めておく
  • 夜間の連絡先があいまい:日中の責任者とは別に、夜間に電話がつながる人と順番を決めていない
  • 手当と実際の勤務時間が期待とずれる:1回の手当額だけを強調し、拘束時間や実働時間を伝えていない

介護労働安定センターの調査では、職場定着に効果があった方策として「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」を挙げた事業所が57.9%で最も多く、「人間関係が良好な職場づくり」が54.6%で続きました(いずれも方策を行っている事業所のうちの割合。令和7年度介護労働実態調査 結果の概要)。夜勤回数の上限や、シフト確定の時期を守ることは、この「勤務日時を変えやすい職場」の土台にもなります。

書き方を変えたら、何を見て効果を確かめるか

夜勤の書き方を変えた効果は、応募数だけでは測れません。支援担当は、夜勤の流れ表、サポート体制、休憩の実態、夜勤に入るまでの研修回数を書き足すことで、求職者の不安を下げられると考えています。ただし、これは効果を約束するものではありません。

そのため、書き換えの前後で次の数字を記録して比べることをおすすめしています。

  • 応募から面接設定に進んだ割合(面接設定率)
  • 面接後の辞退の理由
  • 入職90日後に在籍している割合(90日定着率)

ヨビコム介護では、求人原稿の作成や媒体の運用、応募への一次連絡を代行しています。応募への一次連絡は当日中、遅くとも営業日24時間以内に行います。面接の実施と合否の判断は事業所が行います。

介護分野の支援例として、ナーシングホームを新たに立ち上げた株式会社ideinさまでは、導入当初10名程度の体制から、累計35名以上の職員が新たに加わりました(導入事例)。同様の成果を保証するものではありません。

夜勤専従の募集に絞った書き方は、関連コラム:介護の夜勤専従スタッフが集まる募集のつくり方で扱います。

よくある質問

Q. 求職者から「一人夜勤ですか」と聞かれたら、どう答えればよいですか。
A. ユニットごとの実態をそのまま答えます。「夜間はこのユニットを1名で担当し、事業所全体では○名」のように、ユニットと全体の人数を分けて伝えます。あわせて、急変時の連絡先と応援が来るまでの流れも説明します。

Q. 「仮眠できますか」には、どう答えればよいですか。
A. 就業規則上のルールと、実際の取得状況を分けて伝えます。「休憩・仮眠は合計○時間。直近3か月で取れなかった日は月○回程度」のように答えると、入職後のずれが小さくなります。仮眠を保証する言い方は避けます。

Q. 入職した初日から夜勤に入ってもらってもよいですか。
A. おすすめしません。同行期間と、一人で入る基準(独り立ち判定表)を示し、満たしてから夜勤に入る流れにします。経験者でも、入居者の状態や建物の構造を知る期間は必要です。

Q. 「夜勤回数を減らせますか」と聞かれたら。
A. 固定シフトなどで実現できる範囲だけを答えます。できない約束をすると、欠員時に守れず不信につながります。

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関連ページ:グループホームの採用支援/介護職の採用支援/採用業務代行/導入事例

この記事を書いた人

ヨビコム介護編集部

介護事業所の採用支援サービス「ヨビコム介護」の編集部です。求人原稿・媒体運用・スカウト・定着など、介護の採用に役立つ情報を、公的な資料をもとにお届けしています。

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