小規模多機能型居宅介護(以下、小規模多機能)の求人で仕事内容を伝えるなら、1日の流れよりも「1週間の勤務例」を見せるのが効果的です。通い・訪問・泊まりを組み合わせる働き方は、曜日ごとに担当が変わるため、1日分を切り取っても全体像が伝わらないからです。
この記事では、求職者がつまずきやすい点を整理したうえで、1週間の勤務例のつくり方、夜勤(泊まり)の書き方、デイサービスの求人と誤解させないための注意点を紹介します。勤務例は
小規模多機能の仕事が求職者に伝わりにくい理由
小規模多機能は、利用者が事業所に「通う」サービスを中心に、職員が自宅を「訪問」するサービスと、事業所に短期間「泊まる」サービスを組み合わせて提供します(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第62条)。デイサービスや訪問介護のように一つの形に決まっていないため、働く姿が想像しにくいのです。
ヨビコム介護の支援担当は、求職者が応募をためらう理由として次の点を挙げています。
- 自分が、いつ、何を担当するのかが分からない
- 送迎、夜勤、利用者の急な体調変化への対応があるのかが分からない
- 通い・訪問・泊まりの間を、どう行き来するのかが分からない
- 担当する利用者とどんな関係になるのかが分からない
小規模多機能は、登録できる利用者の上限が29人(サテライト型は18人)と決められています(同基準 第66条)。限られた利用者を、通い・訪問・泊まりの全部で支えるのがこのサービスの特徴です。この「同じ利用者に続けて関われる」という価値は、業務を並べただけでは伝わりません。
1週間の勤務例のつくり方
1週間の勤務例は、次の手順でつくります。
- 直近3か月の勤務表から、正職員1人の典型的な週を選ぶ
- 曜日ごとに「通い・訪問・泊まり・休み」のどれに当たるかを書き出す
- 各曜日の勤務時間と主な仕事を1行で添える
- 過去3か月の実績から、通い・訪問・泊まりのおおよその割合を出す
- 施設長が休憩や人員配置と合っているかを確認する
ヨビコム介護の支援担当が説明に使っている勤務例は、次のようなものです。これは
| 曜日 | 区分 | 時間 | 主な |
|---|---|---|---|
| 月 | 通い | 8:30〜17:30 | 送迎、入浴、レクリエーション |
| 火 | 訪問 | 9:00〜18:00 | 自宅への訪問(1日3件程度)と記録 |
| 水 | 休み | ― | ― |
| 木 | 通い | 8:30〜17:30 | 送迎、食事、機能訓練の補助 |
| 金 | 泊まり | 16:00〜翌9:00 | 夕食、就寝の介助、夜間の見守り |
| 土 | 夜勤明け | ― | ― |
| 日 | 休み | ― | ― |
表の下に「通い○割・訪問○割・泊まり○割(直近3か月の平均)」と添えると、全体の比重が伝わります。休憩時間や、変形労働時間制など勤務の組み方は、就業規則と雇用契約に合わせて書いてください。
勤務例を載せる場所と、雇用形態ごとの見せ方
勤務例は、1つの場所に載せれば終わりではありません。求職者が目にする場面ごとに、情報の量を変えて載せ分けます。
| 場面 | 載せ方 |
|---|---|
| 求人媒体の仕事内容欄 | 「月・木は通い、火は訪問、金は泊まり(勤務例)」のように1〜2行に要約し、割合を添える |
| 採用サイト・求人の詳細ページ | 上のような表と、職員インタビューをセットで載せる |
| 見学・面接 | 個人名を伏せた実際の勤務表を見せ、求人の勤務例と同じかを確かめてもらう |
雇用形態によっても、勤務例は分けて用意します。正職員は通い・訪問・泊まりをすべて含む週、パート職員は「通いの日中だけ」「訪問だけ」など、実際に募集している働き方の週を示します。正職員の勤務例だけを載せると、短時間で働きたい人が「自分には無理」と判断して離れてしまうからです。
勤務例は、勤務表が大きく変わったときに見直します。求人情報は正確で最新の内容に保つことが求められているため(後述)、掲載した時点を書き添えておくと安心です。
「同じ利用者に続けて関わる」価値を一緒に見せる
勤務例だけを載せると、「毎日違う仕事で大変そう」という印象で終わることがあります。ヨビコム介護の支援担当は、仕事の説明文よりも、「利用者に継続して関われる」という価値と週の時間割をセットで見せることを勧めています。
たとえば職員インタビューで、通いで気づいた変化を訪問で確かめ、泊まりの夜の様子を翌日の通いに生かす、という流れを語ってもらいます。利用者が特定されない形にしたうえで、通い・訪問・泊まりが一人の生活支援につながる様子を描くと、勤務例の意味が伝わりやすくなります。
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夜勤(泊まり)の書き方:判断材料を正直に出す
小規模多機能の夜間は、夜勤を行う職員を1人以上と、宿直を行う職員を必要な数以上置くことが基準で決められています(同基準 第63条)。求人の「泊まり対応あり」だけでは、求職者は体への負担や生活リズムを判断できません。
ヨビコム介護の支援担当が、夜勤について書く項目として挙げているのは次のとおりです。
- 泊まりの利用者数と、夜間に勤務する職員の人数
- 月の夜勤回数(平均と、多い月の回数)
- 夜間の主な仕事(巡回、呼び出しへの対応など)
- 仮眠・休憩の取り方の実態
- 夜勤に入る前の研修と、困ったときの応援体制
- 夜勤1回あたりの手当
これらをまとめた記載例は、「泊まり(夜勤)あり:月○回程度(多い月で○回)。泊まりの利用者は1晩○名程度で、夜勤者○名・宿直者○名の体制です。仮眠時間は○時間程度。最初の○回は先輩職員と一緒に入ります。夜勤手当1回○円」のようになります。○の部分は、直近の勤務表と賃金規程から埋めてください。
泊まりの利用者数は日によって変わります。「0名の日もある」「多い日は定員まで」のように幅で示すと、実態に近い印象を持ってもらえます。
事実と違う好条件は書かないでください。求人情報は、虚偽や誤解を生む表示が禁止されています(厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」、職業安定法、2022年10月施行)。「夜勤なし」の働き方を案内するのは、その区分が実際にある場合だけにします。
デイサービスの求人と誤解させない:起こり得る失敗と防ぎ方
ヨビコム介護の支援担当が、このテーマで起こり得る失敗として挙げているのは次の2つです。
- 「デイサービス」の求人として出し、夜勤や訪問があることを後から説明する
- 通い・訪問・泊まりの兼務が全員に必須なのか、職種によって違うのかをあいまいにする
1つ目は、入職後の「聞いていない」につながります。求人の職種名やサービス名は「小規模多機能型居宅介護の介護職」のように正確に書き、通い・訪問・泊まりのどれを担当するかを本文に明記します。
2つ目は、雇用契約の「業務の変更の範囲」とのずれを生みます。2024年4月から、求人で明示する労働条件に「従事すべき業務の変更の範囲」が加わりました(厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます」)。「今は通いだけだが、将来は泊まりもお願いする」可能性があるなら、その見込みも書く必要があります。勤務表、人員配置、求人原稿、労働条件通知書の4つを同じ内容にそろえておきましょう。
関連ページ:小規模多機能・看多機の採用支援/採用サイト制作/介護職の採用支援
よくある質問
Q. 毎日違う仕事をするのですか、と聞かれたらどう答えますか?
A. 曜日ごとの担当と、直近の実績で通い・訪問・泊まりの割合を示して答えます。「月・木は通い、火は訪問」のように、典型的な週を具体的に伝えると想像しやすくなります。
Q. 訪問は一人で行くのですか?
A. 独り立ちまでの同行の回数と、訪問先で困ったときの連絡体制を説明します。一人で訪問する場合も、すぐに相談できる仕組みがあることを伝えると安心につながります。
Q. 夜勤が苦手でも採用してもらえますか?
A. 夜勤のない区分が実際にある場合だけ案内します。人員配置の上で守れないなら、「夜勤なし」とは約束せず、回数や研修の内容を正直に伝えます。
Q. どんな資格が必要ですか?
A. 職種と担当する仕事によって違います。サービスの種類と職務ごとに最新の要件を確かめてから、求人に書いてください。
1週間の勤務例づくりから、一緒に進めませんか
貴事業所の場合、どこから直すとよいか。無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方・応募対応を点検し、優先して見直したい項目をお伝えします。
