介護施設の看護師採用、人材紹介に頼らない進め方

介護施設の看護師採用で人材紹介への依存を減らすには、紹介をすぐにやめるのではなく、「急募以外は直接応募で採れる受け皿」を先につくることが近道です。具体的には、①直近12か月の入職経路を数える、②看護職専用の求人原稿と採用ページを用意する、③スカウト・ハローワーク・ナースセンター・職員紹介を組み合わせる、④紹介は急募の枠に絞って並走させる、⑤採用数ではなく定着と総費用で比べる、の順で進めます。この記事では、それぞれの進め方と判断基準を、ヨビコム介護の支援担当への取材内容と公的データをもとに整理します。

看護職員の採用で押さえておきたい数字

まず、紹介に頼った場合の費用と、介護の現場で看護職員がどんな状況にあるかを確認します。

厚生労働省の集計では、有料職業紹介の平均手数料(常用就職1件あたり、令和6年度実績)は「看護」で約72.5万円、「介護」で約59.7万円でした(厚生労働省「全国及びブロック別 職種別平均手数料」)。ここでの「看護」は病院なども含む職種全体の値で、介護施設だけの金額ではありません。

同じく厚生労働省の資料では、有料職業紹介で無期雇用に就職した人のうち、6か月以内に離職した割合は「看護」で12.9%でした(令和5年度実績、厚生労働省「全国及びブロック別 職種別離職率」)。手数料とは対象年度が違う点に注意してください。

介護事業所側の状況は、介護労働安定センターの調査が参考になります(令和7年度介護労働実態調査)。

項目 看護職員の値
不足感(大いに不足・不足・やや不足の合計) 44.8%
採用率/離職率 20.8%/14.6%(調査対象7職種で最も高い)
中途採用者の直前の仕事が「医療関係の仕事」 54.7%

採用率と離職率がともに高いことから、介護事業所の看護職員は入れ替わりが多い職種だと読み取れます。また、中途で入る看護職員の半数以上は医療機関から来ています。病院で働く看護師に、介護施設での働き方が具体的に伝わる原稿が必要だということです。

まず直近12⁠か⁠月の入職経路を台帳で数える

「うちは紹介に頼りすぎているのか」は、感覚ではなく自施設の記録で判断します。ヨビコム介護の支援担当によると、看護職採用の何割が紹介経由かを支援先全体で数値化した実測データは持っておらず、まず事業所ごとに入職者台帳を集計してから判断しているとのことです。全国調査の数字と、自施設の比率は別物として扱います。

台帳は、次のような列で十分です。

経路 応募 見学・面接 採用 180⁠日後も在籍 かかった費用
人材紹介
求人検索(媒体)
自社の採用ページ
職員紹介・元職員
ハローワーク・ナースセンター

ポイントは、応募から定着までを同じ表で追うことです。紹介は採用までが早い一方、費用が大きくなります。求人検索や自社ページは応募の質にばらつきが出やすい代わりに、1人あたりの費用を抑えられる場合があります。どちらがよいかは、この表を半年〜1年分ためてから比べると判断を誤りにくくなります。

受け皿づくり:看護職専用の求人原稿と採用ページ

紹介に頼らない採用の土台は、看護職が自分で読んで判断できる求人原稿と採用ページです。介護職の原稿に「看護師も募集」と書き足すだけでは、病院で働く看護師には仕事の中身が伝わりません。

支援担当が看護職の原稿で必ず確認している項目は次のとおりです。

  • 医療行為の範囲(実施しているもの・していないもの)
  • 看護職員の配置人数と、日中・夜間の体制
  • オンコールの有無、当番の回数と実際に出動した回数(実績)
  • 配置医・協力医療機関との連絡の流れ
  • 夜勤の有無と回数、手当の金額
  • 入職後の研修や、介護施設が初めての人への支援

特にオンコールや医療依存度の高い利用者の割合を伏せると、入職後のギャップにつながります。求人情報は、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示が禁止され、正確で最新の内容に保つことが義務になっています(厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」、職業安定法第5条の4)。負担のある条件も、実績の数字と一緒に書くほうが応募後の辞退や早期離職を減らせます。

関連コラム:訪問看護のオンコールは求人にどう書く?回数・出動・手当の示し方

経路をどう組み合わせるか

受け皿ができたら、複数の経路から人を呼び込みます。支援担当によると、看護職は「求人検索の原稿+採用ページ」を軸に、資格条件で絞ったスカウト、職員・元職員からの紹介、施設見学を組み合わせ、急募の枠だけ人材紹介を並走させる形をとることが多いそうです。

経路 向いている場面 注意点
求人検索の原稿(Indeed、ジョブメドレーなど) 常に一定数の応募を集めたいとき 看護職専用の原稿にする
スカウト 資格・経験で候補者を絞りたいとき 一斉送信ではなく個別に書く
ハローワーク・都道府県ナースセンター 費用をかけずに求人を広げたいとき 求人票の内容を最新に保つ
職員紹介・元職員 職場の実態を伝えたうえで来てほしいとき 紹介者に選考の詳細を伝えない
人材紹介 欠員がすぐ出る急募のとき 費用と定着を台帳で比べる

スカウトは「その人に宛てた文面」にする

スカウトで反応を得やすいのは、相手の経験に触れ、勤務の負担と支える体制を具体的に伝える文面です。支援担当が示した文面の型は次のとおりです(数字は事業所の実績に置き換えます)。

これまでの病棟でのご経験を拝見し、ご連絡しました。当施設は看護職員○名の配置で、主な医療行為は○○です。オンコール当番は月○回、実際の出動は直近半年で月平均○回でした。選考の前に、15分のオンライン説明や見学だけのご参加もできます。

文面に入れる数字は、事実を確認してから使います。

ハローワークと都道府県ナースセンター

都道府県ナースセンターは、看護師等について無料の職業紹介を行う機関として法律で定められています(看護師等の人材確保の促進に関する法律 第14条・第15条)。ハローワークとあわせて求人を出しておくと、費用をかけずに接点を増やせます。

また、2026年6月からは、突発的な欠員で人員基準を1割以内で下回った場合に、一定の条件のもと減算の適用を猶予する特例が始まりました。条件には、ハローワークや都道府県ナースセンターなどの無料職業紹介を使って職員確保に取り組んでいることや、報告時点で有効な求人票の写しを添えることが含まれます(厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1502」)。対象は特養・老健・グループホームなどで、訪問介護は対象外です。普段から無料の窓口に求人を出しておくことは、こうした場面の備えにもなります。

人材紹介は急募に絞って並走させる

紹介をすべてやめる必要はありません。欠員がすぐに出て、ほかの経路では間に合わない枠に絞って使います。同じ通知では、民間の職業紹介を使う場合は「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者認定制度」の適正認定事業者を含めることが条件の一つとされています。紹介会社を選ぶ際の判断材料にもなります(厚生労働省「民間人材サービス事業者の育成等」)。

支援の現場で見かける失敗

支援担当が挙げた、看護職採用でうまくいかない典型は次の4つです。

  1. 要件を広げすぎる:「看護師なら誰でも」と募集し、現場で必要な経験(認知症ケア、看取り、経管栄養など)と合わない人が来てしまう。
  2. 負担を伏せる:オンコールや医療依存度を書かず、入職後に「聞いていない」となる。
  3. 紹介会社に任せきりにする:自施設に応募の受け皿がなく、紹介以外から応募が来ない状態が続く。
  4. 早期離職を評価しない:紹介で採用した人が短期間で辞めても、費用と定着を振り返らない。

対策として、支援担当は経験領域別の要件表(必須の経験・あると望ましい経験・入職後に教える内容)と、入職3か月後の定着を確認する仕組みを先に用意することを勧めています。

成果は「採用数」ではなく「定着と総費用」で見る

看護職の採用を評価するときは、採用人数だけでなく、180日後の在籍と、経路ごとの総費用(媒体費・紹介手数料・採用にかけた職員の時間)を並べて見ます。紹介に比べて直接応募の採用数が少なくても、定着がよく総費用が低ければ、その経路を育てる価値があります。

ヨビコム介護の公開事例では、介護・福祉分野の株式会社ideinさま(ナーシングホームの新規立ち上げ)で、導入当初10名程度の体制から累計35名以上が新たに加わりました(導入事例)。ただし、このうち看護職が何名か、紹介と直接応募の内訳は公表していません。同様の成果を保証するものではありません。

よくある質問

Q. 介護施設でも看護師を直接採用できますか?

地域や勤務条件によって変わるため、必ず採用できるとは言えません。ただ、看護職専用の原稿と採用ページを用意し、スカウトや職員紹介と組み合わせることで、直接応募の割合を高められる可能性はあります。まずは入職経路の台帳で現状を確認してください。

Q. 人材紹介はやめたほうがよいですか?

すぐにやめる必要はありません。急募の枠に絞って併用し、直接応募で採れる枠を少しずつ広げるのが現実的です。

Q. 看護師へのスカウトは効果がありますか?

資格・勤務の希望・担当業務が合う候補者に個別の文面で送ると、反応を確認しやすくなります。送信数と返信・面接・採用を記録し、文面ごとに比べてください。

Q. 成果は何で判断すればよいですか?

採用数に加えて、180日後の在籍と、経路ごとの総費用で判断します。

看護職の採用経路を見直したい事業所へ

貴事業所の場合、どこから直すとよいか。無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方・応募対応を点検し、優先して見直したい項目をお伝えします。ヨビコム介護では、応募への一次連絡は当日中、遅くとも営業日24時間以内に行います。面接の実施と合否の判断は事業所が行い、媒体費は事業所から媒体へ直接お支払いいただきます。

関連ページ:看護職の採用支援/人材紹介との費用比較/求人媒体運用・スカウト代行/採用サイト制作

この記事を書いた人

ヨビコム介護編集部

介護事業所の採用支援サービス「ヨビコム介護」の編集部です。求人原稿・媒体運用・スカウト・定着など、介護の採用に役立つ情報を、公的な資料をもとにお届けしています。

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