ケアマネジャー(介護支援専門員)の求人では、担当件数を「少なめ」「無理のない件数」とだけ書かず、「平均○件・上限の目安○件(直近3か月の実績)」と数字で示し、あわせて事務を支える体制と件数の決め方を書くのが基本です。求職者は件数そのものに加えて、要介護度の内訳や訪問エリア、記録の負担、休んだときの引き継ぎまで見て応募先を選びます。この記事では、件数を考えるうえで前提になる人員基準と報酬の逓減制を一次資料で確認したうえで、求人原稿の書き方と避けたい表現を整理します。
担当件数の前提:人員基準と報酬の逓減制
「ケアマネの担当件数の上限は何件か」はよく検索される疑問ですが、制度上は「人員基準」と「報酬の逓減制」の2つに分けて理解する必要があります。
人員基準:居宅介護支援事業所は、利用者の数が44人またはその端数を増すごとに、常勤のケアマネを1人置くことが基本です。ケアプランデータ連携システム(国民健康保険中央会が運営する、ケアプランをやり取りする仕組み)を使い、かつ事務職員を置いている場合は49人ごとに1人です。利用者の数には、介護予防支援の利用者を3分の1として加えます(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第2条)。
報酬の
| 区分 | 単価が |
さらに |
|---|---|---|
| 居宅介護支援費(Ⅰ) | 45件以上の部分 | 60件以上の部分 |
| 居宅介護支援費(Ⅱ)(ケアプランデータ連携システムの活用と事務職員の配置が条件) | 50件以上の部分 | 60件以上の部分 |
この件数は、2024年度の介護報酬改定で「40件」から「45件」へ、(Ⅱ)は「45件」から「50件」へ引き上げられました。取扱件数には介護予防支援の利用者を3分の1として含め、中山間地域等の事業所には逓減制を適用しません(同資料)。
つまり「何件まで担当できるか」は、事業所の体制(事務職員やシステムの有無)と、要介護・要支援の内訳で変わります。求人で件数を示すときも、この前提をふまえて「なぜこの件数なのか」を説明できるようにしておくと、応募者の納得感が高まります。
ケアマネの求職者が求人で見ていること
ヨビコム介護の支援担当によると、ケアマネの求職者が気にしているのは件数の平均や上限だけではありません。挙がった項目は次のとおりです。
- 要介護度の構成(要支援・軽度・重度の割合)
- 訪問エリアの広さと移動手段
- 更新やモニタリング、給付管理などの事務の量
- 主任ケアマネに相談できる体制
- 事務員の配置や記録ソフトの有無(入力の負担)
- 担当者が休んだときの引き継ぎの方法
「ケアマネ業務全般」とだけ書かれた求人では、こうした点が判断できません。介護労働安定センターの調査でも、介護事業所の介護支援専門員は不足感が37.0%、採用率12.4%・離職率9.5%でした。また、中途採用されたケアマネの54.1%は直前の仕事が介護関係です(令和7年度介護労働実態調査 結果のポイント)。経験者は前の職場と比べて求人を読むため、比べられる情報を出すことが大切です。
求人原稿での担当件数の書き方
支援担当が示した掲載の型をもとに、居宅ケアマネの求人で書く項目を整理しました。○の部分は事業所の実績に置き換えます。
担当件数:平均○件、上限の目安○件(直近3か月の実績。要支援は3分の1件で計算)
新規の割り振り :管理者が各ケアマネの件数と難しさを見て配分。入職後○か月は○件程度から開始
事務の体制 :事務員○名。記録ソフト○○を使用。給付管理は○○が担当
相談体制 :主任ケアマネ○名。週1回の事例検討あり
緊急時・休暇時 :24時間の連絡体制は○名で分担。休暇中は○○が代行
書くときのポイントは3つです。
- 平均と
上限を :平均だけでは繁忙期の負担がわかりません。上限の目安や件数の幅も書きます。分けて 書く - 集計の
期間を :「直近3か月の実績」のように、いつの数字かを示します。求人情報は正確で最新の内容に保つ義務があり、いつ時点の情報かを示すことも求められています(厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」)。書く - 入職直後の
件数を :未経験や復職のケアマネは、最初の数か月の件数が一番の不安材料です。書く
特定事業所加算(体制が整った事業所を評価する加算)を算定している場合は、区分を書いてもかまいません。ただし、算定している事実だけを書き、加算があることで個人の給与が上がる、件数が減ると約束するような書き方は避けます。
求人タイトルにも「何がわかるか」を入れる
支援担当は、タイトルを「ケアマネ募集」から「居宅ケアマネ|担当件数の目安と事務の体制を公開」のように変え、ページ内に職員の1週間、担当件数の分布、緊急時の対応の流れを載せる進め方を提案しています。件数や体制が見えることで、未経験者や復職者の不安を減らす狙いです。
居宅と施設のケアマネは分けて募集する
居宅のケアマネと、特養や老健などの施設ケアマネでは、仕事の中身も件数の考え方も違います。同じ求人で募集すると、どちらの求職者にも伝わりにくくなります。職種ごとの原稿を分けてください。
避けたい表現と、その理由
支援担当が挙げた、ケアマネの求人で起きやすい失敗は次のとおりです。
| 避けたい |
何が |
代わりに |
|---|---|---|
| 「担当件数少なめ」とだけ書く | 入職後に件数が増える予定や、欠員の代行を隠すことになる | 開始時の件数と、増え方の目安 |
| 事務作業の時間を書かない | 実際の残業と食い違う | 会議・実績入力を含めた実際の残業時間 |
| 居宅と施設を同じ求人で募集 | どちらの仕事か伝わらない | 職種ごとに原稿を分ける |
| 加算の名称だけで待遇がよいように見せる | 待遇を誤解させるおそれ | 算定の事実と、実際の手当の金額を分けて書く |
求人は、虚偽だけでなく「誤解を生じさせる表示」も禁止されています(職業安定法第5条の4)。ケアプランの質や利用者の安全に関わる体制は、採用のために実態より良く見せないことが前提です。
2026年度から居宅介護支援も処遇改善加算の対象に
2026年度(令和8年度)の介護報酬改定では、これまで処遇改善加算の対象外だった居宅介護支援・介護予防支援に、加算率2.1%の処遇改善加算が新設されました(厚生労働省老健局「令和8年度介護報酬改定について」)。
求人に反映する場合は、加算率ではなく、職員に実際に支払う方法(毎月の手当か、賞与・一時金か)と金額を、法人の賃金規程に合わせて書きます。加算率は事業所の報酬に掛ける率で、1人あたりの受取額ではないためです。
紹介会社以外でケアマネと出会う方法
支援担当によると、紹介以外の経路としては、資格保有者に向けた職種別の求人原稿、福祉人材センター、地域の研修や関係団体での情報発信(営業的な勧誘ではなく、適切な採用広報として)、既存職員の内部登用、職員紹介と退職者の再応募窓口があります。各経路の件数・面談・内定・定着を比べ、安定して採れる経路が見えたら紹介への依存を減らしていきます。
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よくある質問
Q. 応募者に「何件担当しますか」と聞かれたら?
平均と最大、新規の割り振り方を答えます。入職直後の件数と、何か月かけて増やすかもあわせて伝えてください。
Q. 「残業はありますか」と聞かれたら?
会議や実績入力の時間を含めた実際の残業時間で答えます。月による差が大きい場合は、その幅も伝えます。
Q. 主任ケアマネが少なくても、相談体制は伝えられますか?
管理者への相談の流れや、事例検討・研修の機会など、実際にある仕組みを具体的に示します。
Q. 研修の費用や時間はどう書けばよいですか?
事業所が負担する範囲と、研修の時間を勤務として扱うかどうかを明記します。
ケアマネの求人原稿を見直したい事業所へ
貴事業所の場合、どこから直すとよいか。無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方・応募対応を点検し、優先して見直したい項目をお伝えします。
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