老健の看護師・リハ職採用で押さえたいこと

老健(介護老人保健施設)の看護職員とリハ職(PT・OT・ST)の採用では、①職種ごとに別の求人原稿をつくる、②病院との違いを「楽」ではなく「役割の違い」として具体的に書く、③見学で実務を確認してもらう、の3点を押さえることが大切です。中途で入る看護職員・リハ職の半数以上は医療機関から来ており、病院の感覚のまま入職するとギャップが生じやすいためです。この記事では、人員基準の確認から、求職者が気にする点、原稿と見学の進め方までを、ヨビコム介護の支援担当への取材と公的資料をもとに整理します。

前提:老健の人員基準と、候補者がどこから来るか

老健に必要な職員の数は、省令で定められています(介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準 第2条)。採用計画に関わる主なものは次のとおりです。

職種 基準(いずれも常勤換算)
医師 入所者数を100で割った数以上
看護職員・介護職員 合わせて入所者3人に1人以上。看護職員は総数の7分の2程度が標準
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 入所者数を100で割った数以上

基準を下回ると減算の対象になります。2026年6月からは、突発的な欠員で1割以内の不足が生じた場合に、ハローワークや都道府県ナースセンターなどを使った求人、報告時点で有効な求人票の写しの添付などを条件に、年1回、翌々月まで減算の適用を猶予する特例が始まりました。老健も対象です(厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1502」)。猶予であって免除ではないため、欠員が出る前から求人を出し続けておくことが基本になります。

候補者がどこから来るかも確認しておきます。介護労働安定センターの調査では、介護事業所に中途で入った看護職員の54.7%、PT・OT・ST等の51.9%は、直前の仕事が「医療関係の仕事」でした(令和7年度介護労働実態調査 結果のポイント)。同じ調査で、介護事業所の不足感は看護職員44.8%、PT・OT・ST等39.7%です。老健に限った値ではありませんが、病院で働く人に向けた伝え方が採用の中心になることがわかります。

職種ごとに、求職者が気にしていること

支援担当によると、老健の看護職とリハ職では、求職者が気にする点がはっきり分かれます。同じ原稿にまとめると、どちらにも必要な情報が届きません。

看護職員が気にすること リハ職(PT・OT・ST)が気にすること
医療依存度(どんな処置が多いか) 在宅復帰に向けた評価・訓練にどう関わるか
医師の常勤・当直の体制 1日に担当する件数・単位
急変時の連絡の流れ 介護職との協働の仕方
夜勤の配置人数と回数 記録やカンファレンスにかかる時間
オンコールの有無と実績 訓練スペースや機器

「病院からの転職歓迎」とだけ書いても、利用者の状態や実際の仕事は伝わりません。表の項目を、施設の実態に合わせて具体的に書きます。

病院経験者への伝え方:「楽」ではなく「役割の違い」を書く

支援担当が病院経験者向けに提案している打ち出し方は、次の3つです。

  1. 病院で身につけた知識を生活に生かす:看護やリハの知識を、利用者の生活機能や在宅復帰の支援にどうつなげるかを書く。
  2. 多職種で退所後の生活まで見る:医師・看護・介護・リハ・支援相談員でどのように計画をつくるかを書く。
  3. 相談の体制を示す:医師への連絡方法、定例カンファレンスの頻度などを実態とともに書く。

あわせて、病院との違い(勤務形態、当直、医療的な判断の範囲、給与)も隠さずに書きます。「病院より楽」と言い切る表現は避けてください。実際に楽かどうかは人によって違い、入職後に「話が違う」と感じさせる原因になります。

求人情報は、虚偽の表示だけでなく誤解を生じさせる表示も禁止され、正確で最新の内容に保つことが義務です(厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」)。

入職後のギャップを防ぐ:見学で確認してもらうこと

支援担当によると、老健に入った看護職・リハ職が戸惑いやすいのは次のような点です。

  • 病棟と比べて、医療機器やスタッフの構成が違う
  • 急変時の対応や、夜勤の人数が違う
  • 在宅復帰に向けた評価や、書類の業務がある
  • リハ職は、想像より会議や記録が多いと感じることがある
  • 看護職は、医師との連絡の形が病院と違う場合がある

これらは原稿だけでは伝えきれません。「専門性が生かせます」と約束するより、見学で実際の業務を見てもらうほうが確実です。見学では、次のような点を確認してもらうとよいでしょう。

  • 1日の流れ(申し送り、処置、訓練、記録、カンファレンスの時間)
  • 夜勤帯の看護職員の人数と、医師への連絡方法
  • リハ職の1日の担当件数と、記録にかかる時間
  • 送迎や当直など、職種外の業務の有無

原稿・採用ページ・スカウトの作り方

支援担当が提案している進め方は、職種別の採用ページ(またはページ内の職種別の区分)に、退所支援の流れ、1日の業務、利用者像、オンコール・夜勤、研修を載せることです。そのうえで、病院経験者に向けたスカウトでは、その人の臨床経験が老健のどの場面で生きるかを具体的に書きます。

よくある失敗は次の3つです。

  1. 介護職の求人原稿を、そのままリハ職に流用する
  2. 病院と同じ医療処置がいつでもできるかのように説明する
  3. 会議・記録・送迎・当直の有無を書かない

対策として、原稿は管理職だけでなく、現場の看護職・リハ職にも読んでもらい、仕事内容の書き方を直します。採用後は、職種ごとに面接辞退の理由と、入職90日後に辞めた人の理由を記録し、原稿に戻して直していきます。

処遇改善の書き方にも注意する

2026年度(令和8年度)の介護報酬改定で、処遇改善加算の対象は介護職員だけでなく介護従事者に広げられました(厚生労働省老健局「令和8年度介護報酬改定について」)。看護職やリハ職への配分の有無や方法は法人の賃金規程で決まります。求人に書く場合は、毎月の手当か賞与・一時金かを分けて、実際に支払う金額を書いてください。

よくある質問

Q. 病院経験だけの人でも応募できますか?

資格と担当してもらう業務、入職後の研修体制を確認したうえで、応募できる条件を求人に明記します。介護施設が初めての人に何を教えるかを書くと、応募の不安を減らせます。

Q. 夜勤やオンコールについてはどう答えればよいですか?

看護職とリハ職を分けて、回数や出動の実績で答えます。

Q. 個別リハの件数を聞かれたら?

1日の件数と、記録・カンファレンスにかかる時間をあわせて示します。

Q. 在宅復帰の支援に関われますか、と聞かれたら?

施設の方針と、その職種が担う役割を具体的に説明します。

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この記事を書いた人

ヨビコム介護編集部

介護事業所の採用支援サービス「ヨビコム介護」の編集部です。求人原稿・媒体運用・スカウト・定着など、介護の採用に役立つ情報を、公的な資料をもとにお届けしています。

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