サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や住宅型有料老人ホームの求人で、併設の訪問介護やデイサービスとの兼務があるなら、「兼務あり」の一言で済ませてはいけません。雇い
2024年4月からは、求人で明示する労働条件に「業務の変更の範囲」と「就業場所の変更の範囲」が加わりました。この記事では、求職者が誤解しやすい点、変更の範囲の書き方、面接での説明の順番、避けたい失敗を、記載例とあわせて紹介します。
求職者が誤解しやすい5つのポイント
サ高住や住宅型有料老人ホームでは、住まいとしての業務(生活支援や見守りなど)と、併設の訪問介護やデイのサービスとしての業務が、同じ建物の中で行われることがあります。求職者から見ると、この線引きが分かりにくいのです。
ヨビコム介護の支援担当によると、誤解が生まれやすいのは次の点です。
- 住宅の業務と、併設事業所のサービスの業務を兼務するのかどうか
- 所属はどちらで、誰の指示で働くのか
- 入居者以外の自宅への訪問や、デイの送迎があるのか
- 勤務する場所やシフトが、どんなときに変わるのか
- 資格の要件や給与の計算が、業務によって変わるのか
「建物の中だけで介護をする仕事」と思って応募した人が、入職後に外部への訪問や送迎があると知ると、期待とのずれが大きくなります。これを防ぐには、現場の実態を1週間の勤務表で整理し、求人に反映させることが出発点です。
2024年4月からの「変更の範囲」の明示とは
2024年4月1日施行の改正職業安定法施行規則により、求人で明示する労働条件に次の3つが加わりました(厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます」)。
- 従事すべき業務の変更の範囲
- 就業場所の変更の範囲
- 有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)
「変更の範囲」とは、雇い入れ直後だけでなく、将来の配置転換などの見込みも含めた、契約期間中の変更の範囲を指します。厚生労働省のリーフレットでは、「(雇入れ直後)渋谷営業所(変更の範囲)都内23区内の営業所」のような記載例が示されています。
ハローワークへの求人の申し込みや自社サイトでの募集、求人広告では、求人票や募集要項に労働条件を明示します。広告のスペースが足りないときは一部を後で示すこともできますが、原則として、面接などで求職者と最初に接触する時点までにすべての労働条件を明示する必要があります(同リーフレット)。
兼務がある求人の記載例
ヨビコム介護の支援担当が示している記載例を、併設の訪問介護との兼務がある場合に当てはめると、次のようになります。
| 項目 | 記載 |
|---|---|
| 業務内容 | (雇入れ直後)住宅型有料老人ホームでの生活支援・介護業務(変更の範囲)併設する訪問介護事業所での訪問介護業務(資格要件を満たす場合) |
| 就業場所 | (雇入れ直後)○○ホーム(○○市○○町)(変更の範囲)法人が運営する○○市内の事業所 |
就業場所の変更の範囲は、法人の異動の実態に合わせて書きます。他の拠点への異動がないなら、その事業所だけを書きます。リーフレットの記載例には「製造業務を除く当社業務全般」のような広い書き方もあります。しかし、実際には起こらない異動や業務まで含めて広く書くと、求職者は「どこで何をさせられるか分からない」と受け取ります。ヨビコム介護では、実態のない無限定の書き方は避け、実際に起こり得る範囲で書くことを勧めています。
併設の訪問介護で働くには、資格の要件があります。訪問介護を行うのは、介護福祉士か、都道府県の指定を受けた介護員養成研修を修了した人などです(介護保険法施行令 第3条)。変更の範囲に訪問介護を含めるなら、資格の要件もあわせて書いておきましょう。
「兼務あり」を週の勤務例と業務一覧に置き換える
「兼務あり」とだけ書かれた求人は、求職者が自分の経験と照らし合わせられません。ヨビコム介護の支援担当は、次の2つに置き換えることを勧めています。
1. 週の
「月・水は館内(住宅の業務)、火・金は訪問介護、木は記録や会議(勤務例)」のように、どの曜日にどの業務を担当するかを示します。説明のための例であることを書き添え、実際の勤務表と合っているかを確かめてから載せます。
2. 事業ごとの
| 事業 | 主な |
|---|---|
| 住宅(サ高住・住宅型有料) | 安否確認、生活相談、食事の配膳、見守り |
| 併設の訪問介護 | 入居者の居室への訪問による介護、記録 |
| 併設のデイ | 送迎、入浴、レクリエーション |
表の中身は、法人の実態に合わせて書き換えてください。業務が事業ごとに分かれていれば、求職者は「この業務なら経験がある」「送迎は初めて」と自分で判断できます。
書き換えの
- 書き換え前:「介護スタッフ募集。併設事業所との兼務あり。未経験歓迎」
- 書き換え後:「住宅型有料老人ホームの介護スタッフ募集。入職後3か月は館内の生活支援と介護を担当します。その後、資格要件を満たした方は、併設の訪問介護で入居者の居室への訪問も担当します(週2日程度の勤務例あり)。デイの送迎は担当しません。就業場所は○○ホームのみで、他拠点への異動はありません」
書き換え後の文には、いつから、どの業務を、どのくらいの頻度で担当するか、担当しない業務は何か、が入っています。数字や期間は、実際の運用に合わせて置き換えてください。「担当しない業務」をはっきり書くことも、求職者の安心につながります。
面接で兼務を説明する順番
求人で示した内容は、面接でも同じ順番で説明します。ヨビコム介護の支援担当が勧めている順番は次のとおりです。
- 所属・雇用形態・賃金
- 兼務する可能性のある業務
- 勤務する場所と勤務時間
- 必要な免許・資格
- 兼務の実際の頻度
- 兼務の内容が変わるときの決め方
これを1枚の紙にまとめて渡し、質問を受けます。あわせて、応募者に「どの業務なら担当できるか」「外部への訪問や送迎は可能か」を確認し、面接の記録に残しておきます。入職後に「面接で聞いた話と違う」と言われたときに、双方で確かめられるようにするためです。面接の実施と合否の判断は、事業所が行います。
避けたい失敗と防ぎ方
ヨビコム介護の支援担当が、起こり得る失敗として挙げているのは次のようなケースです。実際の支援先で起きた事例ではなく、事前に防ぎたい典型例として紹介します。
- 住宅の業務と訪問介護の業務で、指示を出す人や記録の線引きがあいまい
- 求人には「転勤なし」とあるのに、実際には他の拠点との兼務がある
- 資格が必要な訪問の業務を、資格のない新人に予定している
- 事業ごとの勤務時間の記録が重なったり、抜けたりしている
2つ目は、就業場所の変更の範囲と食い違うおそれがあります。求人情報は、虚偽や誤解を生む表示が禁止され、正確で最新の内容に保つことが求められています(厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」、職業安定法、2022年10月施行)。兼務の実態が変わったら、求人媒体・自社サイト・ハローワークの求人をすべて直します。
防ぐ方法は、採用活動の前に、事業ごとの業務の範囲と資格の要件、勤務時間の記録方法を法人内で整理しておくことです。
関連ページ:有料老人ホーム・サ高住の採用支援/訪問介護の採用支援/採用業務代行
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よくある質問
Q. 住宅の職員と訪問介護の職員は別の人ですか?
A. 法人の雇用と勤務の実態に合わせて答えます。同じ人が兼務するなら、週の中でどの業務をどのくらい担当するかを勤務例で示します。
Q. 他の拠点に異動することはありますか?
A. 就業場所の変更の範囲と、実際の異動の例を示して答えます。異動がない場合は、求人にもその事業所だけを書きます。
Q. デイの送迎もしますか?
A. 業務一覧で、送迎を担当するかどうかを具体的に答えます。担当する場合は、車種と頻度も伝えます。
Q. 兼務する業務に資格は必要ですか?
A. サービスごとに資格の要件を確かめて答えます。併設の訪問介護で働く場合は、介護福祉士や介護員養成研修の修了などの要件があります。
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