生活相談員の資格要件は自治体で違う|募集前の確認

生活相談員の資格は、国の基準では「社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者(社会福祉主事任用資格など)、またはこれと同等以上の能力を有すると認められる者」とされています。このうち「同等以上の能力」をどの資格や経験で認めるかは、事業所を指定する自治体(指定権者)によって違います。

たとえば群馬県は介護福祉士や介護支援専門員、一定の実務経験を認めています。一方、新潟市は介護福祉士に一定年数の業務経験を求めています。同じ「介護福祉士」でも、地域によって扱いが変わるということです。

そのため、生活相談員を募集する前に、自事業所の指定権者が示す要件を書面で確認し、求人の応募資格をそれに合わせることが欠かせません。この記事では、法令の基準と自治体の例を確認し、募集前の確認事項と求人の書き方をまとめます。

国の基準で決まっていること

生活相談員の資格の根拠は、特別養護老人ホームの基準です。「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」第5条第2項は、次のように定めています(e-Gov法令検索)。

生活相談員は、社会福祉法第十九条第一項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。

指定介護老人福祉施設の生活相談員はこの規定によることとされ、通所介護の生活相談員もこの規定に「準ずる」とされています(老企第43号、老企第25号)。

社会福祉法第19条第1項各号は、社会福祉主事の任用資格を定めた規定です(e-Gov法令検索 社会福祉法)。

  1. 大学などで、厚生労働大臣が指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者
  2. 都道府県知事の指定する養成機関または講習会の課程を修了した者
  3. 社会福祉士
  4. 厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者
  5. 前各号と同等以上の能力を有すると認められる者として厚生労働省令で定めるもの

5の省令では、精神保健福祉士と、大学で指定科目を修めて大学院への入学を認められた者が定められています(社会福祉法施行規則第1条の2)。

ここまでが全国共通の部分です。介護福祉士や介護支援専門員、実務経験は、この一覧には入っていません。これらを「同等以上の能力を有すると認められる者」として認めるかどうかが、自治体の判断になります。

「同等以上の能力」の扱いは自治体で違う

実際に、自治体の公表内容を比べてみます。いずれも各自治体のページ・通知に記載された内容で、最新の扱いは各自治体に確認してください。

自治体 社会福祉主事任用資格・社会福祉士・精神保健福祉士以外に認めているもの 出典
群馬県(2026年9月1日から適用) 介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉施設等で2年以上かつ実勤務日数360日以上、介護または相談業務等に従事した者 群馬県
徳島県 介護支援専門員、介護福祉士、社会福祉事業に2年以上従事した者 徳島県
新潟市(2017年の通知) 介護支援専門員(介護支援専門員証の交付を受けていること)、介護福祉士のうち、生活相談員として従事する事業所で介護福祉士として3年以上、または介護保険サービス事業所で5年以上の業務経験(いずれも常勤)がある者 新潟市

群馬県と徳島県は介護福祉士を資格だけで認めていますが、新潟市は通所介護等について、介護福祉士に一定の業務経験を加えて認めています。実務経験の数え方も、群馬県は「2年以上かつ360日以上」、徳島県は「社会福祉事業に2年以上」と書き方が違います。

対象となるサービスも、自治体のページごとに書き方が違います。群馬県は通所介護、短期入所生活介護、特定施設入居者生活介護、介護老人福祉施設を、徳島県は介護老人福祉施設、通所介護、短期入所生活介護を挙げています。

また、群馬県のページは2026年9月1日から新しい扱いを適用すると示しているように、扱いは見直されることがあります。過去に調べた内容や、他の地域の一般的な解説記事をそのまま使うのは危険です。

募集前に、指定権者へ確認すること

確認する先は、事業所の指定を所管する部署です。通所介護や特別養護老人ホームなどは都道府県(指定都市・中核市ではその市)、地域密着型通所介護など地域密着型サービスは市町村が指定権者になります。介護保険の担当課や、指定・指導の担当課に問い合わせます。

ヨビコム介護では、次の項目を確認するよう事業所に勧めています。

  • 自事業所のサービスの種類で、生活相談員として認められる資格の一覧
  • 社会福祉主事任用資格をどの書類で確認するか(履修証明書など)
  • 介護支援専門員、介護福祉士の扱い(資格だけでよいか、経験が必要か)
  • 実務経験で認める場合の要件(年数、日数、対象となる施設や職種)
  • 兼務の可否と、常勤換算の考え方
  • 届出のときに必要な証明書類(資格証、実務経験証明書など)

確認した内容は、回答を受けた日時、担当部署、根拠となる要綱や通知のURLとあわせて記録し、求人を掲載するまでに法人内で共有します。

応募の取りこぼしを減らす求人の書き方

求人の応募資格を「社会福祉士のみ」のように狭く書くと、指定権者が認めている資格の持ち主が「自分は対象外だ」と思い、応募しなくなります。逆に、全国の一般論をもとに広く書くと、採用後に要件を満たさないことが分かる、というおそれがあります。

ヨビコム介護では、次のような形で書くことを勧めています。括弧の中は、指定権者に確認した資格で埋めます。

【応募資格】次のいずれかをお持ちの方:〔社会福祉士/社会福祉主事任用資格/精神保健福祉士/介護福祉士/介護支援専門員など、指定権者に確認済みの資格〕
生活相談員としての実務経験がない方もご相談ください(入職後の研修あり)
【仕事内容】利用契約、相談援助、関係機関との連絡調整、送迎(有・無)
【兼務】介護職との兼務の有無と範囲

仕事内容では、送迎の有無や、介護職との兼務の範囲も書いておきます。兼務がある場合は、業務の「変更の範囲」としても明示が必要になることがあります。書き方は、関連コラム:労働条件明示の「変更の範囲」|介護の求人票の書き方で整理しています。

要件を満たす人が見つからないときの打ち手

生活相談員は、資格の要件があるぶん、母集団が限られます。支援の中で検討する打ち手は次のとおりです。

  • 指定権者が認める資格を確認したうえで、資格ごとに求人を分けて出す
  • 「相談員の経験不問」とし、要件を満たす資格の持ち主に広く呼びかける
  • 今いる介護職員の中に、要件を満たす資格の持ち主がいないかを確認し、内部登用を検討する
  • 登用する場合の研修や、教える体制を整える
  • 短時間勤務や兼務が可能かを、指定権者に照会する

ただし、資格の要件を満たさない人に生活相談員の業務を担わせることはできません。人が見つからないからといって、要件を緩めて配置するのは避けてください。

ありがちな失敗

生活相談員の資格をめぐって、事業所が誤解しやすいのは次の2方向です。いずれも、支援の中で注意している起こりうる誤解として挙げるものです。

  • 「社会福祉士でなければならない」と思い込み、応募資格を狭くしてしまう
  • 「介護福祉士なら全国どこでも生活相談員になれる」と思い込み、確認せずに採用する

このほか、次のような失敗にも注意が必要です。

  • 応募者から資格証を受け取っただけで、業務に就けると判断する
  • 指定権者に確認せず、ウェブ上の一般論をそのまま求人に書く
  • 兼務の基準や配置の時間数を満たしていない
  • 採用した後に、資格の要件を満たしていないことが分かる

対策として、募集を始める前に資格要件のチェックシートを作り、法人で保管しておくことを勧めています。

よくある質問

介護福祉士でも生活相談員になれますか?

都道府県や市町村、サービスの種類によって扱いが違います。群馬県や徳島県のように資格だけで認める自治体もあれば、新潟市のように一定の業務経験を求める自治体もあります。指定権者に確認してください。

生活相談員の未経験者でも採用できますか?

資格の要件を満たしていれば、生活相談員としての実務経験がなくても配置できる場合があります。そのうえで、入職後に教える体制があるかを確認しておきます。

生活相談員は介護職と兼務できますか?

人員配置の基準と労働条件の両方を確認する必要があります。兼務の可否や常勤換算の考え方は、指定権者に照会してください。

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関連ページ:デイサービスの採用/特養・老健の採用/職種別の採用/求人媒体運用・スカウト代行

この記事を書いた人

ヨビコム介護編集部

介護事業所の採用支援サービス「ヨビコム介護」の編集部です。求人原稿・媒体運用・スカウト・定着など、介護の採用に役立つ情報を、公的な資料をもとにお届けしています。

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