サービス提供責任者の求人で見落としがちなこと|採用前の確認

サービス提供責任者(以下、サ責)の求人で見落としがちなのは、仕事の「範囲」と「比重」です。サ責は訪問スタッフの上位職ではなく、訪問介護計画の作成、利用者との調整、ヘルパーへの指示や研修を担う職種です。求人に「サ責募集」とだけ書くと、求職者は現場の訪問中心の働き方を想像しがちで、入職後に「聞いていた話と違う」というずれが起きます。

対策は、事務と現場の割合、担当する利用者数、サ責の人数、管理者との分担、時間外の連絡体制を求人で具体的に示すことです。この記事では、法令で定められたサ責の業務と資格要件を確認したうえで、ヨビコム介護の支援担当への取材をもとに、求人に書く項目と採用前の判断基準をまとめます。

サ責の仕事は法令でどう決まっているか

サ責の業務は、訪問介護の運営基準で定められています(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)。

根拠 内容
第24条 訪問介護計画の作成、利用者・家族への説明と同意、計画の実施状況の把握と変更
第28条第3項 利用申込みの調整、利用者の状態や意向の定期的な把握、居宅介護支援事業者への情報提供、サービス担当者会議への出席などによる連携、ヘルパーへの援助目標・内容の指示、ヘルパーの業務の実施状況の把握、能力や希望を踏まえた業務管理、研修・技術指導
第5条第2項 利用者の数が40またはその端数を増すごとに1人以上をサ責とする(常勤の訪問介護員等から選ぶ)
第5条第5項 常勤のサ責を3人以上置き、サ責の業務に主として従事する人を1人以上置くなどの条件を満たす場合は、50またはその端数を増すごとに1人以上とできる

つまり、サ責の業務には計画・調整・連携・指導という「訪問以外の仕事」が法令上たくさん含まれます。どの程度訪問にも入るかは事業所ごとに違うため、その割合こそが求人で伝えるべき情報です。

資格要件は最新の基準で確認する

サ責は「介護福祉士その他厚生労働大臣が定める者」から選ぶと定められています(同基準 第5条第4項)。求人を書く前に、次の点を確認します。

  • 介護職員初任者研修の修了者で3年以上の実務経験がある人は、2018年4月以降、原則としてサ責の任用要件に該当しなくなった(経過措置は1年)。事業者には、該当者に実務者研修の受講や介護福祉士の取得の機会を与えることが求められた
  • 看護師などの資格がある人は、3年以上の実務経験を要件としない

出典は厚生労働省の解釈通知(老企第25号 改正新旧対照表)です。求人の「応募資格」欄は、介護福祉士、実務者研修修了者など、現行の要件に沿って書きます。古い求人を流用すると、要件を満たさない資格が残っていることがあるので注意が必要です。

求人に書き忘れがちな6つの項目

取材で支援担当が挙げた、サ責の求人で書き忘れがちな項目は次のとおりです。

  1. 業務の範囲:計画作成、アセスメント(利用者の状態の把握)、担当者会議、訪問予定の調整、ヘルパー指導、実績の確認、利用者・家族への対応、急な欠勤時の代行
  2. 業務の比重:現場の訪問と事務の割合
  3. 担当する利用者の数
  4. 事業所のサ責の人数
  5. 管理者との分担:誰が何を決めるか
  6. 時間外の連絡:夜間や休日の電話を誰が受けるか

「キャリアアップ可能」「やりがいのある仕事」だけでは、求職者は自分の働き方を想像できません。事務の負担、ICT(記録や請求のシステム)の支援、残業の実績の幅、相談体制、1週間の予定例を見せるほうが、応募の判断材料になります。

透明な原稿の例

取材で示された原稿案を、書き方の例として紹介します。○は事業所の実態を確認してから記入します。

月間の担当利用者○名・サ責○名体制。通常の訪問業務○割/計画・調整・会議○割。管理者は別に配置しています。ヘルパーの急な欠勤時の代行体制と、時間外の連絡の分担があります。1週間の予定例は下の表のとおりです。

1週間の予定例は、曜日ごとに「訪問」「計画作成」「担当者会議」「ヘルパー面談・研修」などを並べると、事務と現場のバランスが伝わります。次の表は書き方を示すための記載例で、実際の配分は事業所の実績から作ります。

曜日(記載例) 午前 午後
月 訪問(2件) 週の訪問予定の調整、ヘルパーへの連絡
火 訪問(2件) 訪問介護計画の作成・見直し
水 サービス担当者会議 新規利用者のアセスメント
木 訪問(2件) ヘルパーとの面談・同行
金 実績の確認、記録のチェック ヘルパー研修、翌週の準備

表に添えて、「急な欠勤が出た日は代行訪問に入ることがある(月○回程度)」のように、予定外の仕事の頻度も書いておくと、入職後のずれをさらに減らせます。

早期離職につながる「役割の食い違い」

取材によると、サ責として採用されたのに、次のような状態になると離職につながりやすいとのことです。

  • 業務時間の大半がヘルパーの代行訪問になっている
  • 何を自分で決めてよいか(意思決定の権限)があいまい
  • 夜間の連絡がサ責に集中している
  • 記録や請求の入力が特定の人に頼りきりになっている

また、起こりがちな失敗として、現職のヘルパーをサ責に昇格させたのに、以前担当していた訪問を全件残して事務の負担が倍になるケースや、夜間連絡の分担を決めていないケースが挙がりました(特定の事業所で実証された失敗ではなく、起こり得る例です)。

対策は、採用前に職務記述書(業務の範囲と責任を書いた文書)、担当件数、管理者との責任の分け方を明示し、面接で認識を合わせることです。採用の成否は応募数だけでなく、入社90日後の役割への満足度や残業時間でも確認します。

内部登用か、外部採用か

サ責を社内で育てるか、外から採るかの判断基準は、取材では次のように整理されました。

内部登用が向く場合 外部採用が向く場合
状況 訪問介護の現場を熟知し、資格要件を満たし、指導の時間を確保できる人がいる 新規開設、欠員、指導できるサ責がいないなど、立ち上げの速さが必要
事前に試算すること 本人の希望、移行期間の現場のシフト、後任のヘルパーを何人採る必要があるか 担当人数と業務の比重、既存の職員との役割分担

内部登用では、「資格を取れば自動的に昇格」という仕組みにしないことが大切です。本人の希望と適性を確認し、移行期間に元の訪問をどう引き継ぐかまで決めておかないと、先に挙げた「事務の負担が倍になる」状態に陥ります。

求人を公開する前に、次の項目を確認します。

  • 応募資格が現行の任用要件に沿っている
  • 事務と現場の訪問の割合を書いた
  • 担当する利用者数と、事業所のサ責の人数を書いた
  • 管理者との分担(誰が何を決めるか)を書いた
  • 夜間・休日の連絡を誰が受けるかを書いた
  • 急な欠勤時の代行の頻度を書いた
  • 1週間の予定例を載せた

よくある質問

Q. サ責も訪問業務をしますか?
A. 事業所によって割合が違います。現場の訪問と事務の割合を、実績にもとづいて答えます。

Q. 管理者も兼務しますか?
A. 兼務の有無と、それが基準に適合しているかを確認したうえで明示します。兼務する場合は、管理業務とサ責業務の時間の配分、管理者として判断する範囲もあわせて書きます。「管理者候補」として募集する場合は、いつ頃、どんな条件で管理者を任せる想定なのかを書くと、キャリアを考えている応募者に伝わります。

Q. 事務作業が苦手でも務まりますか?
A. 必要なスキル、使っているシステム、研修やサポートの内容を具体的に説明します。

Q. 責任が重いのでは、と聞かれたら?
A. 担当件数、連絡体制、急な欠勤時の代行のルールを示して答えます。「大丈夫です」ではなく、仕組みで答えることが信頼につながります。

サ責の求人を、業務の実態から組み立て直します

貴事業所の場合、どこから直すとよいか。無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方・応募対応を点検し、優先して見直したい項目をお伝えします。

関連ページ:訪問介護の採用支援/ホームヘルパーの採用/採用ブランディング

関連コラム:訪問介護の人手不足と採用|ヘルパー・サ責の求人の見せ方

この記事を書いた人

ヨビコム介護編集部

介護事業所の採用支援サービス「ヨビコム介護」の編集部です。求人原稿・媒体運用・スカウト・定着など、介護の採用に役立つ情報を、公的な資料をもとにお届けしています。

お役立ち情報一覧へ戻る

介護の採用、まずは無料でご相談ください

求人原稿・媒体・紹介会社の使い方・処遇改善の見せ方まで、現状を点検して課題を整理します。

RECRUITING CHECK

無料の採用現状診断

無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方から応募対応・定着の仕組みまで点検し、貴事業所で優先して見直したい項目をお伝えします。オンラインで、ご相談だけでも歓迎です。

点検する3つの項目

  1. 01求人原稿・媒体の使い方
  2. 02応募対応のスピード
  3. 03定着の仕組み