訪問看護の採用で伝えたい「同行期間」と「出動実績」

訪問看護ステーションの求人で「同行期間」と「オンコールの出動実績」を伝えるときは、「同行あり」「オンコールは少なめ」と書くのではなく、①同行の標準回数と、独り立ちを判断する基準、②直近6か月の出動実績を「当番回数・電話対応・実際の出動」に分けた数字、の2つを、集計期間と計算方法を添えて示すのが基本です。訪問看護に興味のある看護師が応募をためらう大きな理由は、「いつから一人で訪問するのか」と「夜にどれくらい呼ばれるのか」がわからないことです。この記事では、この2つを数字で示すための書き方と集計表の作り方に絞って整理します。

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なぜ「同行期間」と「出動実績」を数字で示すのか

訪問看護の求人では、同行やオンコールについて「丁寧に指導します」「負担は少なめです」といった書き方がよく見られます。しかし、病棟から訪問看護に移ることを考えている看護師にとっては、比べる材料になりません。

数字で示すことには、次のような効果があります。

  • 応募前に、自分が働けるかどうかを判断しやすくなる
  • 面接で「聞いていた話と違う」という食い違いを防げる
  • ほかのステーションと比べたときに、情報を出していること自体が信頼につながる

ただし、数字は実績に基づいていなければ意味がありません。求人情報は虚偽の表示や誤解を生じさせる表示が禁止され、正確で最新の内容に保つことが義務です。いつの時点の情報かを明らかにすることも、正確・最新に保つための措置として示されています(厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」、職業安定法第5条の4)。

同行期間の書き方:標準と判断基準をセットで書く

ヨビコム介護の支援担当によると、同行の回数は、利用者の医療依存度や看護師の経験によって変わるため、全国一律に「○週間」とは言えません。「1〜4週間」のような期間を、業界の平均として示せる根拠もありません。そのため求人では、自分のステーションの標準と、そこから増減する判断の仕方をセットで書きます。

支援担当が示した表記の型は次のとおりです。○の部分は事業所の実績に置き換えます。

同行:入職後、最初の○件(目安○週間)は先輩と同行します。その後は、訪問の経験と技術の確認をもとに、管理者が単独訪問への切り替えを判断します。
追加の同行:不安のある利用者や処置は、単独訪問に切り替えた後も同行を追加できます。
研修期間の給与:同行期間中も通常の給与を支給します(支給の条件は○○)。

ポイントは、「誰が・何を見て」独り立ちを決めるのかを書くことです。回数だけを書くと、「○回で全員独り立ち」と機械的に運用しているように読まれます。

独り立ちの判断基準を表にしておく

支援担当は、同行の評価表を作り、採用ページや面接で使うことを勧めています。評価表の例は次のとおりです(項目は事業所の利用者像に合わせて変えます)。

確認する項目 確認の方法 単独訪問の目安
訪問の流れ(準備・観察・記録) 同行時に先輩が確認 一人で一連の流れを行える
主な処置(例:褥瘡のケア、カテーテルの管理) 同行時に実施し、管理者が確認 担当する利用者の処置を一人で行える
状態変化に気づいたときの連絡 報告・相談の手順を説明できるか 連絡先と判断の基準を理解している
利用者・家族とのやり取り 同行時の様子 本人が不安を感じていない

経験のある看護師でも、訪問看護が初めてであれば、病棟とは判断の環境が違います。「経験者だから研修は不要」と扱わないことも、支援担当が挙げる注意点です。

なお、都道府県ナースセンターは、訪問看護などについて看護師等への研修を行うことが法律で定められています(看護師等の人材確保の促進に関する法律 第15条)。ステーション内の同行に加えて、外部の研修をどう活用しているかを書くのもよいでしょう。

出動実績の示し方:直近6⁠か⁠月を4つの数字に分ける

オンコールについての不安は、「当番の回数」と「実際に夜間に出かける回数」が混ざって伝わることで大きくなりがちです。支援担当は、直近6か月の記録から、次の数字を分けて集計することを勧めています。

集計する数字 計算の方法 求人での書き方の例
当番の回数 1人あたりの月の当番回数の平均と最大 当番は月平均○回(最大○回)
電話対応の件数 当番1回あたりの電話件数の平均 当番1回あたりの電話は平均○件
実際の出動の回数 電話のうち訪問に出た回数を、当番1人あたり・月あたりで集計 実際の出動は1人あたり月平均○回(最大○回)
夜間・休日の割合 出動のうち、夜間・休日に行った割合 出動のうち夜間・休日は約○%

あわせて、次の2点も書きます。

  • 出動した翌日の勤務の調整:遅出にする、休みにするなど、ステーションで決めているルール
  • オンコールに入れる看護職の人数:何人で当番を回しているか

求人には、「集計期間:○年○月〜○月の6か月」「計算方法:当番表と出動記録から集計」のように、期間と方法を添えます。面接では、繁忙月の実態もあわせて説明すると誤解を防げます。

掲載するときに避けたいこと

支援担当が挙げた、同行と出動実績の伝え方でよくある失敗は次の4つです。

  1. 「同行○回で全員独り立ち」と機械的に運用する:経験や担当する利用者によって必要な回数は違います。
  2. 出動が少なかった月だけを切り取って載せる:入職後に実態との差が出ます。6か月など一定期間の平均と最大を書きます。
  3. 電話相談と実際の訪問を混同する:「呼び出しは月○回」とだけ書くと、どちらの数字かわかりません。
  4. 経験者に研修は不要と扱う:訪問看護の経験がない人には、病棟経験が長くても同行が必要です。

対策として、同行の評価表と直近の出動記録を採用ページと面接の両方で使い、数字の更新日を明記します。

数字は定期的に更新する

利用者の構成が変われば、出動の回数も変わります。半年ごとなど更新のタイミングを決め、採用ページ・媒体の原稿・ハローワークの求人票のすべてを同じ数字にそろえてください。求人の内容を変えたら、掲載している場所すべてで速やかに反映することが求められています(同リーフレット)。

よくある質問

Q. 同行は何週間が一般的ですか、と聞かれたら?

経験や技術の確認、担当する利用者によって個別に決めることを伝えたうえで、自分のステーションの標準の回数(実数)を答えます。

Q. オンコールの出動は多いですか、と聞かれたら?

当番の回数・電話対応・実際の出動を分けて、過去6か月の平均と最大で答えます。

Q. 出動実績のデータがまだそろっていない場合は?

記録をとり始めた時点からの数字を、期間を明記して載せます。データがない段階で「少なめ」とだけ書くことは避けてください。

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この記事を書いた人

ヨビコム介護編集部

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