介護の求人に応募が来ない原因は、「原稿」「条件」「媒体」「応募対応」の4つに分けると整理できます。最初にやることは、求人媒体の管理画面で「表示→クリック→応募→面接→採用」のどこで数字が止まっているかを確かめることです。
表示がほとんどないなら掲載や検索のされ方、閲覧はあるのに応募がないなら原稿・条件・応募の導線、応募はあるのに面接に来ないなら応募後の対応を疑います。止まっている段階によって、直すべき場所はまったく違います。
いきなり媒体を増やしたり広告費を上げたりする前に、この記事のチェックリストで詰まっている箇所を特定してください。
介護の求人は「選ばれる側」から考える
介護関係職種の有効求人倍率は4.08倍で、全職業の1.14倍を大きく上回っています(2024年度平均、厚生労働省「職業安定業務統計」)。有効求人倍率とは、求職者1人に対して求人が何件あるかを示す数字です。
求職者から見ると、条件の近い求人がいくつも並んでいる状態です。介護労働安定センターの調査でも、従業員が「不足」と答えた事業所は65.8%にのぼります(令和7年度介護労働実態調査)。
この状況では、「求人を出せば応募が来る」という前提が通用しません。求職者が比べたときに、選ぶ理由が求人から読み取れるかどうかが勝負になります。
まず「どこで止まっているか」を5分で見分ける
ヨビコム介護の支援担当は、応募が来ない事業所の求人を見るとき、最初の5分で次の項目を確認しています。
- 職種名が、求職者の検索する言葉になっているか(介護職、介護福祉士、夜勤専従、サービス提供責任者などを区別しているか)
- 勤務地、月給の内訳、夜勤や兼務の有無、資格の必須条件が書かれているか
- 写真や職場の紹介があるか、応募の方法がわかりやすいか
そのうえで、媒体の管理画面の数字を段階ごとに分けて見ます。
| 止まっている |
状態 | 疑う |
|---|---|---|
| 表示 | 求人がほとんど表示されていない | 掲載の設定、職種名・勤務地などの検索条件、求人の重複 |
| クリック | 表示はあるが開かれない | 求人タイトル、給与表示、写真 |
| 応募 | 開かれているのに応募がない | 条件、仕事内容の書き方、応募フォームの手間 |
| 面接 | 応募はあるが面接に来ない | 応募後の連絡の速さ、日程の出し方 |
| 採用 | 面接はするが採用・入職に至らない | 面接での説明、条件のすり合わせ |
支援担当によると、実際に詰まっていることが多いのは次の4つです。
- 仕事内容・勤務条件があいまい
- 応募後の連絡が遅い
- 求人タイトルと、求職者の検索する言葉が合っていない
- 給与が地域の水準に見合っていない
数字は職種別に分けて見るのが基本です。介護職では応募があるのに看護職ではない、という事業所も珍しくありません。
原稿のチェックリスト|仕事の中身が伝わっているか
閲覧はあるのに応募が来ない場合、多くは原稿で「働く姿が想像できない」状態になっています。次の項目を確認してください。
- 求人タイトルが「介護スタッフ募集」だけになっていないか(職種・雇用形態・施設形態・勤務地が入っているか)
- 1つの求人に複数の職種を混ぜていないか(1求人1職種が基本)
- 月給の内訳(基本給・夜勤手当・処遇改善の手当など)が分かれているか
- 夜勤の有無と月の回数、夜勤帯の人数が書かれているか
- 入浴介助・送迎・兼務など、実際の業務の範囲が書かれているか
- 資格の「必須」と「あれば尚可」が分かれているか
- 職場やスタッフの写真があるか(利用者が写る写真は使わない、または同意と配慮を確認しているか)
- 掲載している情報が最新か(いつ時点の情報かがわかるか)
書き換えの例
説明用の例で、求人タイトルと冒頭の書き換えを示します。実在の事業所の求人ではありません。
| 書き換え前 | 書き換え後 | |
|---|---|---|
| タイトル | 介護スタッフ募集!アットホームな職場です | 特養の介護職(正社員)|夜勤は月4回・2名体制|○○駅からバス10分 |
| 給与 | 月給25万円以上 | 基本給○万円+夜勤手当(1回○円×月4回)+処遇改善の手当○円 |
| 仕事内容 | 利用者の生活全般のサポート | 食事・入浴・排せつの介助。入浴は機械浴あり。送迎はありません |
| 不安への回答 | 未経験歓迎 | 最初の1か月は先輩と同じシフトに入ります。夜勤は独り立ちの確認後から |
書き換え後は、検索されやすい言葉(施設形態・職種・雇用形態)がタイトルに入り、夜勤や給与の中身が一目でわかります。「未経験歓迎」のような言葉は、何が用意されているかを具体的に書いて初めて安心材料になります。
確認は掲載して終わりにしない
原稿は一度直して終わりではありません。掲載後は4週間ほどを区切りに、表示・応募・面接の数字を見て、反応の悪い項目を1つずつ入れ替えます。季節や近くの競合の募集状況でも反応は変わるため、定期的に見直す習慣をつけておくと安定します。
法律上の「的確な表示」も確認する
2022年10月1日から、求人企業には求人情報を的確に表示する義務があります(改正職業安定法)。虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならず、求人情報を正確で最新の内容に保つ必要があります。
たとえば、夜勤手当を含んだ月収例を「月給」のように見せると、求職者の誤解につながりかねません。基本給と手当を分けて書くことは、応募を増やすためだけでなく、入職後のトラブルを防ぐためにも大切です。
募集を締め切ったら、媒体・自社サイト・ハローワークの求人をすべて速やかに終了します。古い求人が残っていると、問い合わせ対応の手間が増え、信頼も損ないます。
条件のチェックリスト|給与を変えずにできること
介護労働安定センターの調査では、採用に効果があった方策として、取り組んだ事業所のうち38.4%が「賃金水準の向上」を挙げています。次いで「休暇を取りやすく、勤務日時を変えやすい職場づくり」が28.6%でした(令和7年度介護労働実態調査)。
給与は大きな要素ですが、すぐに上げられない事業所も多いはずです。支援担当は、給与や休日数を変えずに「応募する前の不安を取り除く」ことを勧めています。施設形態ごとの例は次のとおりです。
| 施設形態 | 求人に |
|---|---|
| 訪問介護 | 同行訪問の回数、移動手段(自転車・社用車など)、直行直帰の可否 |
| グループホーム | 夜勤帯の人数、緊急時の連絡体制 |
| デイサービス | 送迎車の種類、入浴介助の範囲 |
| 共通 | 職場見学の選択肢、1日の勤務の流れ(時間ごと)、職員の声 |
求職者が応募をためらうのは、条件が悪いからだけではありません。「一人で対応できるか」「夜に何かあったらどうなるか」がわからないことも、大きな理由になります。
給与が地域の水準に届いていないとき
給与が地域の水準より明らかに低い場合、原稿の工夫だけで補うのは難しくなります。その場合は、職種や勤務時間を絞って募集する、処遇改善加算の手当を月給の内訳で正しく示すなど、出せる条件の中で見せ方を整えます。
処遇改善の手当は、毎月固定で払うのか、賞与や一時金に含めるのかを、法人の賃金規程に合わせて書き分けます。一時金で払う分を月額の手当のように見せると、誤解を生む表示になるおそれがあります。
媒体のチェックリスト|増やす前に整えること
応募が来ないと、媒体を増やしたくなります。しかし支援担当は、媒体を増やす前に次の準備を勧めています。
- 既存の求人の必須資格・給与・労働条件が、どの媒体でも同じ内容になっているか
- 1求人1職種の原稿になっているか
- 応募後の連絡担当と、不在時の代わりの担当が決まっているか
- 応募を受ける採用サイトなどの受け皿があるか
- 媒体ごとの応募数を1つの表で管理しているか(アクセス解析の設定を含む)
準備がないまま媒体を増やすと、同じ人からの重複応募、連絡漏れ、広告費の分散が起きやすくなります。
無料で使える媒体から見直すのも有効です。ハローワークのサービスはすべて無料で、福祉のお仕事も福祉人材センター・バンク(無料職業紹介事業者)を通じて求人を出せます。
介護労働安定センターの調査によると、勤続1年未満の介護労働者が今の法人に就職した経路は、友人・知人の紹介29.3%、求人情報サイト21.3%、ハローワーク19.9%でした(令和7年度介護労働実態調査)。どの経路から人が入っているかを、自社の数字でも確かめておきましょう。
媒体ごとの役割の違いは、関連コラム:介護の求人媒体の選び方|ハローワーク・福祉のお仕事・Indeedで詳しく解説しています。
応募対応のチェックリスト|応募があるのに面接に来ない
応募はあるのに面接につながらない場合、原因は応募後の対応にあることが多いです。支援担当が確認している項目は次のとおりです。
- 応募から一次連絡まで、24時間以上空いていないか
- 知らない番号からの電話だけで連絡していないか
- 面接の日程候補が少なすぎないか
- 面接場所の案内がわかりにくくないか
- 求人の内容と、面接で説明する仕事内容に差がないか
- 夜勤明けや子育て中の人が来られる時間帯を用意しているか
ヨビコム介護では、応募への一次連絡は当日中、遅くとも営業日24時間以内を基準にしています。電話がつながらない場合に備え、SMSやメールも併用します。
一次連絡の文面は、短くても次の3点が入っていれば十分です。
- 応募へのお礼と、どの求人への応募かの確認
- 面接または見学の日程候補を3つほど(平日の夕方や土曜も含める)
- 電話が難しい場合はメッセージで返信できること
文面を毎回考えると連絡が遅れます。職種ごとに型を作っておき、担当者が不在の日も代わりの人が同じ文面で送れるようにしておきます。
面接の前日には、道順・所要時間・服装をあわせてリマインドを送ります。「一次連絡ができた割合」「面接を設定できた割合」「面接当日に来た割合」を分けて集計すると、どこで抜けているかがわかります。
なお、面接の実施と合否の判断は事業所が行います。応募対応を外部に任せる場合も、この役割分担は変わりません。
よくある失敗と、直す順番
支援の現場でよく見る失敗は次のとおりです。
- 「介護スタッフ募集・アットホームな職場」という抽象的な表現だけで、夜勤・入浴介助・兼務の実態が伝わらない
- 基本給と、夜勤手当を含んだ月収例を混同している
- 応募の件数だけを見て、面接辞退の多さを見落としている
- 仕事内容をよく見せすぎて、入職後のミスマッチを増やしている
防ぐには、求人を公開する前に、現場の責任者と採用担当が条件を突き合わせることです。
直す順番は、数字が止まっている段階に合わせます。原稿を直すときは、職種別のタイトル、夜勤回数、給与の内訳など、変える項目を1つずつにして前後を比べます。複数を同時に変えると、どれが効いたのかがわからなくなるためです。
導入事例:株式会社idein さま
ナーシングホームを新しく立ち上げた株式会社idein さま(介護・福祉)では、求人広告だけでなく、ホームページや採用サイト、Instagramなど応募の導線まで含めて見直しました。導入当初10名程度の体制から、累計35名以上が新たに加わっています。同様の成果を保証するものではありません。
よくある質問
Q. 無料の
A. 地域・職種・条件によります。原稿と検索のされ方を整える価値はありますが、応募が来ることを保証できるものではありません。
Q. 求人に
A. 職場やスタッフの雰囲気を伝える助けになります。利用者が写る写真は避け、写す場合も同意と個人情報への配慮が必要です。
Q. 先に
A. 表示・応募・面接のどこで止まっているかを確かめてからにしてください。原稿や応募対応に問題があると、広告費を増やしても面接は増えません。
応募が来ない原因を一緒に点検する
貴事業所の場合、どこから直すとよいか。無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方・応募対応を点検し、優先して見直したい項目をお伝えします。
あわせて読みたいページ:求人媒体運用・スカウト代行/採用業務代行/施設形態別の採用支援/職種別の採用支援
