介護実習の受け入れと養成校・福祉系高校との関係づくり

養成校や福祉系高校との関係は、求人票を一度送るだけでは深まりません。実習の受け入れ、職員によるキャリアの話、職場見学、進路指導の先生への定期的な報告を続けることが、数年後の応募につながります。

その中心になるのが介護実習です。介護福祉士の養成課程では、実習の総時間数が450時間と大きな比重を占めています(厚生労働省「介護実習指導のためのガイドライン」)。実習の質が、学生と学校がその事業所をどう見るかを左右します。

ただし、実習は学生の学びの場です。採用の勧誘を強めすぎると、学校との信頼を失います。この記事では、実習の受け入れの基本と、学校との関係を採用につなげる進め方を整理します。

介護実習の基本:実習施設の2つの区分と指導者の要件

厚生労働省のウェブサイトに掲載されている「介護実習指導のためのガイドライン」によると、介護福祉士養成課程の実習は450時間で、実習施設は「実習施設・事業等(Ⅰ)」と「(Ⅱ)」に分かれます。時間数の3分の1以上は(Ⅱ)で行うこととされています(同ガイドライン)。

区分 重点 実習指導者の要件
実習施設・事業等(Ⅰ) 多様な介護の現場で、利用者の理解、コミュニケーション、多職種協働、介護技術の確認などを学ぶ 介護福祉士の資格がある人、または3年以上介護の仕事に従事した人
実習施設・事業等(Ⅱ) 一つの施設で一定期間続けて、個別の介護計画の作成から評価・修正まで、介護過程のすべてを実践する 介護福祉士として3年以上の実務経験があり、厚生労働大臣に届け出た実習指導者の講習会を修了した人など

出典:厚生労働省「介護実習指導のためのガイドライン」

同ガイドラインは、実際に実習生を指導するのは実習指導者以外の介護職員である場合が多いと指摘しています。そのため、実習指導者を中心に施設内で「実習受入チーム」をつくることを勧めています。

受け入れ前に養成校と共有すること

同ガイドラインは、養成校と実習施設が最初に行う情報交換の例を挙げています。主な内容は次のとおりです(同ガイドライン)。

養成校から 実習施設から
養成課程と教育の方針、年間の実習スケジュール、委託金・保険 施設の概要、受け入れの体制(日程・人数など)
実習生の学習の段階、事前学習の内容、各段階の目標と評価の視点 個人情報の扱い、緊急時・事故時の対応
実習生の個人票、実習計画書、教員の巡回日程 ―

利用者と実習生の個人情報の取り扱いには、十分な注意が必要です。ガイドラインは、利用者の個人情報に関する誓約書を交わす、実習生の情報を共有する範囲を決めておく、実習後に個人票を養成校へ返す、といった合意をあらかじめ形成しておくとよいとしています。

学校との関係づくりで続けたいこと

ヨビコム介護の支援担当によると、養成校や福祉系高校との関係づくりで大切なのは、一度の求人より、継続的な接点です。

  • 実習の受け入れ
  • 職員による、介護の仕事やキャリアについての話(学校での講話など)
  • 職場見学の受け入れ
  • 学校の進路担当の先生への定期的な報告

先生が気にしているのは、学生の安全、資格取得の支援、指導の体制、通勤のしやすさ、過去の受け入れの状況です。これらに答えられる情報を、毎年更新して届けます。

介護労働安定センターの調査では、職場体験・職場実習の受け入れを行っている事業所は24.7%でした(介護労働安定センター「令和7年度介護労働実態調査」)。学校との関係は、すぐに応募数に表れるものではありません。数年単位で続ける前提で、担当者と予算を決めておきましょう。

学校訪問で渡す1枚資料

支援担当は、学校訪問のときにA4判1枚の資料を用意することを勧めています。先生が生徒や学生に説明しやすく、比較もしやすいからです。

  • 事業所のサービスの種類、勤務地、アクセス
  • 募集する職種と、必要な資格
  • 働く職員の1日の流れ
  • 夜勤を始める時期と、それまでの教育
  • 給与、手当、休日
  • 職場見学・実習の受け入れの条件
  • 連絡の担当者

資料の内容は、パンフレットや求人票、実際の給与と一致しているかを照合してから渡します。高校の新卒採用では、ハローワークで確認を受けた求人票の手続きと、学校ごとの推薦や実習の規則に従います(厚生労働省「中学校・高等学校卒業予定者の就職・採用活動時期について」)。

関連コラム:高卒採用のスケジュールとルール|介護事業所が押さえる基本

実習を採用につなげる進め方

ここからは、支援担当が勧めている、実習から採用への進め方です。大前提は、実習は学生の学習の機会であり、採用のための場ではないということです。

  1. 実習の前に、学生の学習目標と、これまでの介助の経験を確認する
  2. 固定の実習指導者と、学生が安全に体験できる範囲を決める
  3. 実習の終わりに、ケアについての学びと、職場の魅力や課題について学生と話し合う
  4. 本人が希望した場合に限り、見学や説明会を案内する

実習の評価を、採用に応じるかどうかの圧力に使ってはいけません。実習で信頼を得た事業所は、学生同士や先生の間で評判が伝わります。

効果の測り方

実習の成果は、その年の応募数だけでは判断できません。実習生の満足度と、翌年度以降の見学や応募の数を、長い目で記録していくことを勧めています。

学校との関係で失敗しやすい点

支援担当が注意を促しているのは、次のような点です。これらは特定の事業所の事例ではなく、準備段階で確認している注意点です。

  • 求人票だけを渡し、その後は連絡しない
  • 学校の実習の時期や、進路指導のルールを無視して動く
  • 学生の力を超える介助を任せる
  • 担当者が変わったことを学校に伝えない
  • 選考を早く受けるよう迫る
  • 採用の目的が強すぎて、実習生を過剰に勧誘する
  • 実習中の利用者の個人情報や、SNSへの投稿の扱いを決めていない
  • 休憩や安全についての指導が足りない
  • 実習が終わった後に、学生へのフィードバックがない

学校との長い信頼関係は、事業所にとって大きな財産です。採用より先に、現場での受け入れの質を高めることを優先しましょう。実習と採用の役割は分け、学校との事前の契約や指導のマニュアルも確認しておきます。

よくある質問

学校にはいつ訪問すればよいですか?

学校の進路指導や実習の行事に合わせて、年度の前半から接点をつくります。高校への求人申込と学校訪問は、公的な日程に従います(2026年度は7月1日から)。

学校に持っていく資料は何が必要ですか?

仕事内容、給与、育成、安全、見学の受け入れを1枚にまとめた資料が役立ちます。求人票と内容が一致しているか、渡す前に確認しましょう。

実習生にその場で内定を出してもよいですか?

学校の応募の規則、本人の意思、選考のルールが優先です。高校生の場合は選考開始日(2026年度は9月16日)より前に選考はできません。大学等は政府の要請で正式な内定が10月1日以降とされています(群馬労働局)。

実習の受け入れの成果は何で見ればよいですか?

実習生の満足度と、翌年度以降の見学や応募の数を、数年単位で記録します。

学校との関係を採用につなげる準備を

実習の受け入れと学校との関係づくりは、すぐに結果が出ないぶん、続けられる仕組みが大切です。貴事業所の場合、どこから直すとよいか。無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方・応募対応を点検し、優先して見直したい項目をお伝えします。

ヨビコム介護編集部(2026-11-03)

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この記事を書いた人

ヨビコム介護編集部

介護事業所の採用支援サービス「ヨビコム介護」の編集部です。求人原稿・媒体運用・スカウト・定着など、介護の採用に役立つ情報を、公的な資料をもとにお届けしています。

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