高校新卒の採用は、日程が全国で決められています。2026年度(2027年3月卒業予定者)は、ハローワークでの求人受付が6月1日、学校への求人申込と学校訪問が7月1日、応募書類の提出が9月5日、選考と内定が9月16日から始まりました(厚生労働省「中学校・高等学校卒業予定者の就職・採用活動時期について」)。
このほか、学校を通じた応募、決められた応募書類、一定期間は1人1社しか応募できない「一人一社制」など、中途採用とは違うルールがあります。複数応募をいつから認めるかは都道府県ごとに違うため、事業所のある地域の申合せを確認する必要があります。
介護事業所の場合は、ルールに加えて、先生や保護者が安心できる育成の道筋を見せられるかどうかが結果を分けます。この記事では、日程とルールを確認したうえで、介護ならではの準備を整理します。
高卒採用の年間スケジュール(2026年度の例)
厚生労働省によると、高校卒業予定者の採用選考スケジュールは、全国高等学校長協会、主要経済団体、文部科学省、厚生労働省が毎年度協議して取りまとめています。2026年度(令和8年度)の日程は、前年度から変更がありませんでした(厚生労働省)。
| 時期 | 公的な |
介護事業所の |
|---|---|---|
| 4〜5月 | ― | 採用人数と職種の決定、受け入れ・育成計画、見学の段取り |
| 6月1日〜 | ハローワークで求人申込書の受付開始 | 求人票の作成・提出 |
| 7月1日〜 | 学校への求人申込・学校訪問の開始 | 学校への求人票の持参、見学の案内 |
| 夏休み | (応募前の職場見学が多い時期) | 職場見学の受け入れ |
| 9月5日〜 | 学校から応募書類の提出開始(沖縄県は8月30日) | 選考の準備 |
| 9月16日〜 | 選考開始・採用内定開始 | 面接、採否の通知 |
| 翌年4月 | 入職 | 入職後の研修・OJT(仕事をしながらの指導) |
出典:厚生労働省「中学校・高等学校卒業予定者の就職・採用活動時期について」。「介護事業所の準備」は編集部による整理
高校への求人は、ハローワークが内容を確認したうえで学校に提出されます。ハローワークの確認印がない求人票では、学校は生徒を推薦しません(文部科学省・厚生労働省通知(令和7年2月7日))。
学校訪問は、原則として、ハローワークで確認を受けた求人票で学校に求人申込をした日以降に行います(群馬労働局「令和9年3月新規学校卒業者を募集する事業主の皆様へ」)。夏休み前に慌てないよう、春のうちに準備を進めておくのが現実的です。
押さえておきたい高卒採用のルール
一人一社制と複数応募
一人一社制とは、一定の期間、生徒が1社にしか応募・推薦を受けられない仕組みです。いつから複数応募を認めるかは、都道府県ごとの就職問題検討会議の申合せで決まり、地域によって違います。
| 地域 |
応募・ |
|---|---|
| 群馬県 | 9月5日時点は1人1社、10月1日以降は1人2社まで |
| 広島県 | 9月30日までは1人1社、10月1日以降は複数応募可 |
| 徳島県 | 10月15日までは1人1社、10月16日以降は1人2社まで |
| 岡山県 | 11月1日以降に複数応募・推薦が可能 |
| 秋田県 | 1人3社まで応募可能 |
出典:群馬労働局、広島県高等学校就職問題検討会議、徳島県高等学校等就職問題検討会議、岡山県高等学校就職問題検討会議、秋田労働局
一人一社制の期間に応募してきた生徒は、その事業所だけを選んでいます。選考を早めに終え、結果を速やかに伝えることが、生徒と学校への誠実な対応になります。群馬労働局の資料では、採否は採用試験後おおむね7日以内に決め、学校長を通じて本人に通知するよう求めています(群馬労働局)。
応募書類は「全国高等学校統一用紙」だけ
高校生の応募書類は「全国高等学校統一用紙」と決められています。会社独自のエントリーシートなどを求めてはいけません。戸籍謄本や住民票を出させることも、身元調査につながるため行わないよう求められています(群馬労働局)。
職場見学で選考はできない
夏休みに行われることが多い応募前の職場見学は、生徒が仕事を知るための機会です。求人票の例には「応募前職場見学では選考できません」と明記されています(群馬労働局)。見学の場で面接のような質問をしないよう、案内する職員にも共有しておきましょう。
文書募集にも条件がある
パンフレットや採用サイトなどで高校生を募集する「文書募集」は、7月1日以降に行えます。その際は、ハローワーク名と求人番号を書く、求人票と違う内容を書かない、応募はハローワークか学校を通じて行うと明記する、などの条件があります(群馬労働局)。採用サイトに高卒向けのページを作るときは、この条件に合わせます。
介護事業所が最初につまずくポイント
ヨビコム介護の支援担当によると、高卒採用を初めて行う介護事業所がつまずきやすいのは、中途採用と同じ感覚で進めてしまう点です。
- 学校とハローワークを通じた応募、求人票の提出時期、選考開始日など、独自のルールがある
- 応募を決めるのは生徒本人だけではなく、進路指導の先生や保護者の意見も大きい
- 学校への案内が夏休みの直前になり、見学の日程が組めない
- 地域の一人一社制の扱いを確認していない
特に、先生や保護者に「安全に育ててもらえる職場だ」と説明できないと、求人票を出しても生徒に届きにくくなります。
避けたい進め方
支援担当が注意を促しているのは、次のような進め方です。
- 転職サイト向けの文章を、そのまま高校生向けに使う
- 職場見学で、現場の業務の説明ばかりして、資格取得や育成の道筋を示さない
- 入職してすぐ夜勤に入ることを当然のように話す
- 学校の応募ルールや選考開始日から外れた動きをする
これらは特定の事業所の事例ではなく、準備段階で確認している注意点です。学校への情報提供を継続し、ルールを守ることを優先しましょう。
見学で高校生・先生・保護者に伝えること
職場見学では、相手によって知りたいことが違います。支援担当は、次のように伝える内容を分けて準備するよう勧めています。
| 相手 | 伝えたい |
|---|---|
| 高校生 | 実際の1日の流れ、利用者との接し方、研修と資格取得の道筋、休日、夜勤の有無と始まる時期 |
| 先生 | 教育担当者、安全やハラスメントへの対策、入職後の相談先 |
| 保護者 | 雇用条件、通勤や転居、体への負担と、それを減らす工夫 |
見学では、利用者の個人情報を守ることが前提です。撮影や利用者との接触は、事前に許可を取った範囲に限ります。また、見学は職場を知ってもらう場で、労働体験にはしないことも大切です。
「育成の道筋」を見える形にする
ヨビコム介護を運営する株式会社Digital&は、他業界(建設業など若手が不足している業界)の支援で、採用ターゲットの整理、採用サイトの制作、職場の魅力の言語化に取り組んできました。その経験から、高校生の採用では、先生や保護者が判断しやすい資料があるかどうかが大切だと考えています。
介護事業所なら、次の4つを、先生や保護者にも分かる形で1枚にまとめ、見学や体験と結びつけることを勧めています。
- 仕事の1日(時間ごとに何をするか)
- 資格取得の支援(どの資格を、いつ、どんな支援で取れるか)
- 未経験からの育成(誰が、何を、どの順番で教えるか)
- 夜勤を始めるまでのステップ(何ができるようになったら夜勤に入るか)
求人票や1枚資料に書いた内容は、実際の勤務や給与規程と一致させます。求人情報は、虚偽や誤解を生む表示が禁止され、正確で最新の状態に保つことが職業安定法で義務付けられています(厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」)。
関連コラム:介護の新卒採用|社会福祉法人の説明会から入職までの設計、介護実習の受け入れと養成校・福祉系高校との関係づくり
よくある質問
いつから募集の準備を始めればよいですか?
春のうちに、採用人数、職種、育成計画、見学の段取りを決めておきます。公的な日程では、ハローワークでの求人受付が6月1日、学校への求人申込が7月1日からです。来年度の日程は、厚生労働省や都道府県労働局の公表資料で確認してください。
高校新卒の職員を夜勤に入れられますか?
労働基準法では、18歳未満の人を深夜(午後10時〜午前5時)に働かせることは原則として禁止されています(兵庫労働局「年少者・女性の労働条件」)。年齢を必ず確認したうえで、18歳以上であっても、技術と体調の面で準備ができてから夜勤に入る計画にしましょう。
資格がなくても入職できますか?
介護の仕事には資格がなくても就ける業務があります。ただし、任せる業務の範囲と、入職後に受ける研修は事業所ごとに確認が必要です。資格取得の支援があれば、求人票や見学で具体的に伝えましょう。
先生には何を渡せばよいですか?
職場の概要、育成の流れ、労働条件を1枚にまとめた資料が役立ちます。求人票と内容が食い違わないよう、渡す前に照合してください。
高卒採用の準備、どこから始めるか相談しませんか
高卒採用は、ルールを守ることと、先生・保護者に育成の道筋を伝えることの両方が求められます。貴事業所の場合、どこから直すとよいか。無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方・応募対応を点検し、優先して見直したい項目をお伝えします。
ヨビコム介護編集部(2026-11-03)
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出典
- 厚生労働省「中学校・高等学校卒業予定者の就職・採用活動時期について」
- 文部科学省・厚生労働省「令和8年3月新規中学校・高等学校卒業者の就職に係る推薦及び選考開始期日等並びに文書募集開始時期等について(通知)」(令和7年2月7日)
- 群馬労働局「令和9年3月新規学校卒業者を募集する事業主の皆様へ」
- 広島県高等学校就職問題検討会議「令和9年3月新規高等学校卒業者の就職に係る応募・推薦の在り方について」
- 徳島県高等学校等就職問題検討会議の申し合わせ(令和8年4月24日)
- 令和7年度岡山県高等学校就職問題検討会議 申し合わせ事項(令和8年3月23日開催)
- 秋田労働局「令和8年度『秋田県学校卒業者就職問題検討会議』における申合せについて」
- 兵庫労働局「年少者・女性の労働条件」
- 厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」
