処遇改善加算の「ロ」区分(Ⅰロ・Ⅱロ)は、2026年6月の算定分から新設された上乗せの区分です。Ⅰイ・Ⅱイの要件に加え、ケアプランデータ連携システムの利用など「令和8年度特例要件」のいずれかを満たす事業所が算定できます。
求人で伝えるときのポイントは3つです。区分は取得している事実だけを書くこと。ICTは機器の名前より「仕事がどう変わるか」を具体的に書くこと。そして、区分を取ったことと、職員一人ひとりの給与がいくら増えるかを分けて説明することです。
この記事では、要件は厚生労働省の通知で確認できた範囲に限って整理し、そのうえで求人の書き方と注意点をまとめます。
「ロ」区分とは(厚労省通知で確認できた範囲)
2026年度の期中改定で、処遇改善加算は6つの区分(Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳ)になりました。Ⅰロは「Ⅰイの要件+令和8年度特例要件」、Ⅱロは「Ⅱイの要件+令和8年度特例要件」で算定します(老発0313第6号)。
令和8年度特例要件は、生産性向上や協働化の取組として、次のいずれかを行っていることです。
| 取組 | 対象と |
|---|---|
| (ア)ケアプランデータ連携システムを利用している | 訪問介護・通所介護などの訪問・通所系(表1-2)、小規模多機能・看護小規模多機能・短期入所(表1-3) |
| (イ)生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡを算定している | 小規模多機能・看護小規模多機能・短期入所(表1-3)、特定施設・グループホーム・特養・老健・介護医療院など(表1-4) |
| (ウ)事業所の法人が社会福祉連携推進法人に所属している | 区分の限定なし |
出典:老発0313第6号
申請の時点では、(ア)は加入と利用の誓約、(イ)は算定の誓約でも算定できます。(ア)を誓約した場合は、2027年3月末までに利用し、実績報告書で利用実績を報告することとされています(同通知)。
あわせて、特例要件を満たす事業所は、キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅳと職場環境等要件についても、2027年3月末までに整備・実施すると誓約すれば、申請時点から満たすものとして扱われます(同通知)。
加算率は、たとえば次のとおりです(2026年6月以降)。
| サービス | Ⅰイ | Ⅰロ | Ⅱイ | Ⅱロ |
|---|---|---|---|---|
| 訪問介護 | 27.0% | 28.7% | 24.9% | 26.6% |
| 通所介護 | 11.1% | 12.0% | 10.9% | 11.8% |
| 介護老人福祉施設(特養) | 16.3% | 17.6% | 15.9% | 17.2% |
| 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 21.0% | 22.8% | 20.2% | 22.0% |
厚生労働省は、この上乗せについて「生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員を対象に、月0.7万円(2.4%)の上乗せ措置」と説明しています(令和8年度介護報酬改定について)。これは国の措置の規模で、個々の職員の支給額は事業所の配分のルールで決まります。
なお、特例要件は通知上「令和8年度」の要件として示されています。2027年度以降の扱いは、次の介護報酬改定の内容で確認してください。
「ロ」区分の取得を求人でどう書くか
区分は、取得している事実として書いて構いません。注意したいのは、区分と個人の給与を結びつけない書き方にすることです。
避けたい
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国の措置の規模を、全員が受け取る確定額のように見せています。また、誓約で算定している段階なのに「導入済み」と書くのも避けます。
伝わりやすい
介護職員等処遇改善加算Ⅰロを算定しています(2026年○月時点)。ケアプランデータ連携システムを使い、居宅介護支援事業所とのケアプランのやり取りをオンラインで行っています。処遇改善分の配分方法と手当の額は、面接時に書面でご説明します。
区分の名前だけでは、求職者には何をしている事業所かが伝わりません。区分を書くなら、その根拠となった取組の中身を一文添えると、働く環境の情報として意味を持ちます。
手当の書き方そのものは、関連コラム:処遇改善手当の求人での書き方|誤解を招かない表記と例文を参照してください。
ICTは「機器の名前」より「働き方の変化」で伝える
ヨビコム介護の支援担当の見立てでは、求職者に響くのは「機器が新しいこと」より、働き方がどう変わるかです。たとえば次のような点です。
- 手書きの記録を書き写す作業が少ない
- 記録を一度入力すれば、ほかの職員とすぐ共有できる
- 夜間のナースコールや見守りの状況を、チームで把握できる
- 残業や申し送りの時間が減り、教育に時間を回せる
これは他業界の支援経験からも同じで、「新しい道具」ではなく「現場の負担がどう減るか」を具体的に書いたほうが伝わります。
求人に書くときは、製品名を並べるより、使っている頻度、使う職種、運用で変わった点を説明します。掲載文の例は次のとおりです。いずれも、実態がある場合にだけ書く前提です。
介護記録はタブレットで現場から入力しています。紙からの書き写しはありません。
シフトと申し送りは共有ツールで確認できます。
使い方は入職時の研修(○時間)でお伝えします。
見守り機器を○室に導入しています(2026年○月時点)。
台数や研修時間は、実際の数字を入れます。職場環境等要件で公表している生産性向上の取組(介護ソフトや情報端末、インカムなどの導入)と同じ内容でそろえることも大切です。公表と求人のそろえ方は、関連コラム:職場環境等要件の見える化と求人表記をそろえる方法で整理しています。
入職後のギャップを生まないための注意点
ICTの打ち出しは、実態とずれると入職後の不満に直結します。支援担当が掲載前に確認しているのは、次のような点です。
- 端末は買ったが、実際には紙と併用している
- 夜勤の時間帯はシステムが使えない
- 使い方を教える担当者がいない
- 職員が私物のスマートフォンを業務に使っている
こうした実態があるなら、隠さずに書くか、改善してから打ち出します。また、表現として次のものは避けています。
- 紙の記録が残っているのに「完全ペーパーレス」と書く
- 見守りセンサーの導入を「夜勤者は不要」と受け取れるように書く
- 生産性向上推進体制加算や処遇改善加算の要件を満たしていないのに「取得済み」と書く
- 操作画面の写真に、利用者の情報が写り込んでいる
公開前には、現場での確認、請求担当による加算要件の照合、個人情報の写り込みの確認を行います。ロ区分は、アプリを入れただけで自動的に算定できるものではありません。要件は事業所ごとに最新の通知で確認してください。
打ち出しの効果を確かめるには
ICTの打ち出しが採用にどう効いたかについて、ヨビコム介護として介護分野で計測したデータはまだありません。効果を確かめたい場合は、次の指標を記録する方法をすすめています。
- 応募時の志望理由に、ICTや働き方の記載が出てくるか
- 見学の申込率が変わったか
- 入職後、業務内容の認識が求人と合っていたか
- 残業時間の実測値
「ICTを導入しています」とだけ書いていた求人を、「記録に使う端末」「一度の入力で共有される流れ」「研修」「申し送りの方法」に分けて書き直す。そのうえで、写真の代わりに簡単な図で流れを示す。この程度の書き換えでも、伝わる情報量は大きく変わります。
よくある質問
ICTがあると仕事は楽になると書いてよいですか?
「楽になる」と一言で書くより、記録や申し送りのどの作業がどう変わったかを書くほうが正確です。可能なら、残業時間などの実測値で示します。
デジタルが苦手な人でも応募できますか、と聞かれたら?
入職時の研修の時間と内容、使う端末、困ったときに聞ける担当者がいるかを答えます。求人にも同じ内容を書いておくと、不安による応募の取りこぼしを減らせます。
ロ区分を取れば、職員の給与は増えますか?
加算の区分を取ることと、職員への賃金の配分は別に説明します。配分の方法は事業所の規程で決まるため、規程に基づく金額と条件で答えてください。
どの機器を使っているか、求人に書くべきですか?
製品名より、端末の種類、台数、使う職種、使う場面を書くほうが伝わります。求職者が知りたいのは、入職後の自分の仕事がどうなるかです。
ICTの伝え方と求人原稿、まとめて点検しませんか
貴事業所の場合、どこから直すとよいか。無料採用相談で、求人原稿・媒体の使い方・応募対応を点検し、優先して見直したい項目をお伝えします。
